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教え11 お呼ばれですか?

「お待ちしておりました。ジーモイーブ男爵」


スーツでピシッと決めた、まさに執事という格好の方に呼び止められます。因みに、ジーモイーブというのは、我が家の領地の名であり、私たちの家名でもあります。今回が初公開ですね。

お父様はそんな執事様にすら緊張された顔をしています。身分で言えば、圧倒的にお父様の方が上なんですけどね。雰囲気で押されているようです。


「それでは、式典の会場へご案内します。どうぞこちらへ」


「あ、ああ」


執事さんが、私たちを先導して歩き出します。執事さんなだけあって、歩き方はとても綺麗です。

公爵になるのですし、こういう方がこれから我が家で働き出すのでしょうね。その時には、お茶の入れ方でも習ってみましょう。自分で美味しいお紅茶を入れてみたいので。


「……こちらです」


1つの建物の中のはずなのに、かなり長い時間歩いてやっと到着しました。部屋を移動するのにこれだけ歩く必要があるのですから、王族の方々は痩せそうですね。

と、そんな冗談とも言えないような冗談は置いておきまして。今は案内された場所が大事ですね。部屋の中には、大勢の方々が集まっています。おそらく今回の式をするにあたって招待された人たちなのでしょう。公爵の就任式ですから、それこそお偉いさんたちが集まっているんでしょうね。


「式が始まるまで、しばらくおくつろぎください。それでは、私めはここで失礼致します」


執事さんは去って行きました。最後までキッチリとした方でしたね。

さて、執事さんはともかく、式が始まるまでの過ごし方を考えなければなりません。皆さんは何やらテーブルの上にあるお菓子などを食べているようですし、私も何か頂くとしましょう。

……1人で行くのもアレですし、シアネさんとタウさんも誘いましょうか。


「シアネさん。タウさん。お菓子を頂きに行きませんか?」


「いくぅ!お菓子ぃぃ!!」

「えっ!?……あっ、うん。行こうかな」


タウさんはお菓子の一言で簡単に釣れました。シアネさんの方はまだ緊張されているようで、少し迷いのある返答でしたね。

ただ、頷いたことに違いはありません。一緒にパーティーで食べる高級なお菓子を堪能するとしましょう。

どれから食べるか、迷いどころです。


「……おいしぃ~」

「ほ、本当だ。甘い」


「そうですねぇ。甘さも控えめで、食感もなかなか。美味しいのではないでしょうか」


全体的に美味しいです。特に私は苺らしきベリー系の味がするマカロンが好きでしたね。

などと思っていたときでした、


「……皆様。これより、新公爵の就任式を行います。お静かにお願い致します」


ついに始まるようです。お父様がもうガッチガチですね。そんな緊張しているお父様の前に国王様が現れ、お父様がその前へ行き、公爵の地位へ任命して頂く。私は見ているだけ。

それだけで終わるはずでした。


「……ジーモイーブ公爵。そういえば、そなたには娘が3人おったな」


「は、はい。その通りでございます、陛下」


お父様の子供の話になりました。私と、シアネさんとタウさんですね。

3人全員の話なのか、誰か1人の話なのかは分かりません。が、なぜでしょうか。非常に嫌な予感がしますね。


「その中に、4歳のモノもいたな?」


「はい。次女のフェルルが、現在4歳です」


私!?私ですか!?王に私の存在を問われるなんて、とても嫌な予感がするのでが!?すぐに対応できる準備をしておかなければ!


「では、その次女のフェルルと話がしたい。フェルルとやら、出てきたまえ」


呼び出されてしまいました。これは、行かないわけにはいかないですよね。

……どうなるかは分かりませんが、行きましょう。きっと、魔王様が力になってくれるはずです。


「ご機嫌麗しゅう。陛下」


私はできるだけ綺麗に歩き、お父様の斜め後ろで膝をつきます。作法などは流石に勉強していないので、できるだけ無礼にならないように考えた結果がこれです。ここが1番良いと思われます。

私が国王様と話すのであれば、礼儀作法も勉強しておくべきでしたね。事前に連絡が欲しかったです。


「おぬしがフェルルだな。……おぬしに1つ頼みがある。受け入れるのであれば、ある程度おぬしの望みを叶えてやろう」


「……なるほど。頼みですか。その陛下の要求は、どういったモノでしょうか?」


聞きたいことは沢山ありますし、考えたいこともたくさんあります。

が、そんなことをしている時間もありませんし、本当に聞きたいことだけ聞いて、その間に考えましょう。先延ばしにしてじっくり考える手もありますが、そこを決めるのも話を聞いてからで良いはずです。


「おぬしに、第3王女であるリセスの供回りになって欲しいと思ってな」

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