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北アフリカ戦線

 ムッソリーニが主張したエジプト侵攻は現地軍は否定的だった。


 石油を産するインドネシアに国家予算の1/3を費やしたオランダ程ではないにせよ本土に次ぐ投資が行われ、30年代後半にはドイツから安価な鉄鋼が作業機械その他に化けて教官と共にやって来たが、元の国力が低く兵力が多い事も有って英軍に比べれば機械化率が低く、存命時のバルボはトラックを1000台要求していた。


 40年には自動車の日産台数が1400台と米国の15%程度を製造し、その殆どがトラックだったが船舶輸送がネックだった。


 エチオピア侵攻時に配備されたM11部隊(自走砲形式ではない、装甲40㍉、11.3t)は戦意は高かったものの数は少なく、33kmと低速であった。


 リビア再征服が終了して8年近くが経過。


 士官、下士官は兎も角殆どの兵は機動力のある相手との戦闘経験より工兵としての経験の方が長く、機動力が確保されるまでは侵攻するより生命線である油田や海水淡水化施設の防衛に徹したかったのである。


 開戦後、英国の第11軽騎兵隊にフォート・カップツッオを攻撃されたが上記の理由に加えてエチオピア侵攻時に据え付けられたDa 210/22 modello35による反撃を行った為、大した損害はなかった。


 だがバルティアでは同部隊の待ち伏せに遭いラストゥッチ工兵司令官は何とか逃走。


 拠点防衛なら兎も角機動砲戦を行うには火砲の質量でも劣る為、要望リストにはトラックに加えて強力な火砲、戦車が追加された。


 要望を受けたバドリオは油田のあるリビアの重要性を理解していたが、マルタ島を空襲している間に現地のインフラ整備能力と車両修理能力、汎用性を鑑みて簡易自走砲を準備する事にした。


 油田のあるキレナイカは燃料と米国のグッドリッチ社から追加導入した人造ゴム製造プラントがあり、徹甲弾しか撃てないマチルダには高価な棺桶にしかならない戦車より現地で修理可能な簡易自走砲の方が向いていると考えたのである。


 8月、600台のトラックと42門の90㍉高射砲が到着。


 火砲の更新が未了だった為中堅幹部は喜んだが上層部と本国からマチルダの性能を知らされ微妙な顔をした。


 ジブラルタルもマルタも一時無力化されたのは朗報だったが、侵攻方向のアレキサンドリアに在泊している英海軍は健在で、本国からの輸送は兎も角海岸を進撃する際側面を脅かされる危険性があった。


 9月9日、トブルクを始めとする防御陣地に高射砲の半分を残置、残りを自走砲化して第一リビア師団に砂漠から進撃させた。


 側面を危険に晒され、海上掩護と機甲戦力の増援がないまま想定以下の機械化率で侵攻を開始したのである。

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