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資源と嗜好品。持たざる者の足掻き

 戦争突入後ドイツのゴムのストックは減少したが、バルバロッサ作戦以後はそれが加速した。


 主な輸出国だった英国が敵になり、包囲する形となったスウェーデンが良質な鉄鉱石やボールベアリングと引き換えに天然ゴムや食料、燃料を求めていた為戦争遂行の為応じざるを得なかった事や、上記作戦で進撃した先の道路事情が西欧より酷く、鉄道も軌間が異なる為積み替えを嫌ったしわ寄せが道路に向かい、輸送が追い付かないので電撃戦にブレーキを掛けていたのである。


 スウェーデンの要望は兎も角悪路を長距離かつ過積載のまま輸送した事による疲労を原因とする事故は想定以上で、驚いたドイツはイタリアに対し収穫したロシアタンポポの緊急輸出を要請。


 原産国であるソ連でもロシアタンポポは栽培されていたが、主な産地はカザフやウズベク地方で人口密集地であるヨーロッパ・ロシア周辺では農作物の生産が優先されていた為必要量を賄えなかったのだ。


 ドイツは36年頃にイタリアからロシアタンポポを入手し自国でも栽培していたが、ha辺りの精製後収量はイタリアの184㎏に対し168㎏とやや劣り、従来の英国産天然ゴムの400㎏には比すべくもなかった。


 ドイツが誇る科学技術を持ってしても、温度と圧力の変化と衝撃に対しては天然ゴムを超える事は出来ず、開戦後の航空機用タイヤは機体素材のジュラルミン共々イタリアからの輸入に依存していたのである。


 手間がかかり徴兵で人手不足になりつつあったが、タンポポの搾り滓を代用コーヒーとして使う目的もあった。


 ジャワを支配するオランダ、同じくベトナムを領するフランスを降したものの英海軍による海上封鎖は前大戦と変わらず、友邦の支配下にあるエチオピアもスエズ以南にある上に夏まで反伊闘争が起きていた事も有ってコーヒーの入手は絶望的だったのである。


 地中海では英伊両海軍がサルデーニャ沖で戦ったが双方に沈没艦はなく引き分けに終わった。


 地上では並行して行われたイラン進駐でイランが英ソに完全占領された2日後の9月19日にウクライナのキーウが陥落。


 同地は8月には枢軸軍が完全に包囲しており、ソ連軍は戦車を先頭に立てて度々突破を図ったがイタリアから供与されたばかりの自走砲を始めとする砲撃により撃退されていた。


 イタリアにとっては図らずもグアダラハラの仇をキーウで討つ形となったのである。


 ウクライナ地方の組織的抵抗を排除し、収穫期に入った同地の穀倉地帯を何とか確保した頃ゴム、代用コーヒーが後方に到着し始めた。


 農業大国兼産油国であるルーマニアが参戦していた為食料と燃料の供給不足が懸念されていたが、イタリアからの産物や波及効果により損耗は史実より少なかった。


 資源、工業地帯を抑えた頃海では改修を終え、史実より艦体や装備を強化したビスマルクが空軍掩護下の元ティルピッツ以下の水上部隊を引き連れ出撃。


 24日には迎撃に出たフッドとキング・ジョージ5世を撃沈したが、遅れてやってきたロドニーからの砲撃を浴びたビスマルクは避難先のサン=ナゼール港で英海空軍の猛攻を受けて着底した。

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