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技術協定と各種兵器開発状況

 北アフリカで機械化率の低いイタリアと、制空権を握られ現地住民のストライキやサボタージュで補給に不安を抱える英国が膠着状態になる中年が明け、ベルリンで独日他枢軸陣営と技術協定更新の為会談が行われた。


 防共協定以後──独ソ不可侵条約締結から三国同盟成立までの間はドイツとの技術交換は停止していたが──不定期に技術交換を行っていたのである。


 イオニア海海戦の勝利の陰には技術交換により39年4月に日本で開発、提供された橘型マグネトロンの存在があった。


 1年後にバーミンガムで同じ性能の物が開発され、空襲を避けて9月に米国へ送られた後試験を受けている最中に一部とはいえ実戦に投入、初陣を完勝で飾ったのだった。


 今回イタリアは潜水服、P.108のライセンス。


 ドイツは航空機エンジン、Ⅲ号戦車のライセンス。


 日本は前年に発明されたばかりの自動懸吊装置、重油漏洩防止装置を提供。


 技術協定以外の動きとしては、まずイタリアが石油、ルーマニアが穀物をスペインに提供する事になった。


 他の枢軸国にジブラルタル制圧を要求されていたスペインは国内の復興に十年近くかかると参戦に否定的で、諜報や空海軍の給油拠点、ジブラルタルに駐屯する英軍の活動内容の情報提供と引き換えに石油と穀物を要求していたが石油をイタリアが、穀物をルーマニアが受け持つ事になったのである。


 巡洋艦以下の戦力しか持たず、国内が荒廃したスペインに世界一の海軍を持つ英国と戦えと言うのは無謀でしかない事は国籍こそ違えど同席した海軍軍人達の一致した見解だった。


 他にはバルカン諸国がドイツの交渉という名の圧力で同盟に参加する事が内定。


 イタリアを主力としてギリシャ侵攻をブルガリアが加盟する3月以降に実施する事、又東欧からソ連の目を逸らし英本土空襲援助への返礼に打撃力不足のイタリアを支援する為、ドイツはエジプトへ派兵を決定した。


 トラック型の自走砲は舗装路では強かったが反撃に耐えながらの不整地突破は自殺行為で、32口径75㍉砲を車載したP26/40の改良版、P22/41は未だ試験中だったのである。


 統制型エンジンで急場を凌ぎ、ポーランドの工場を修理している間にドイツやポーランドの技術支援で開発した330馬力のディーゼルエンジンは完成したが、Ⅲ号戦車は紙上のみで試験以前の問題だった。


 海軍は戦艦インペロが2月に竣工予定だが要員の訓練を考えるとギリシャ侵攻に間に合わない事は確定。


 空軍もマッキ202の投入が最速で2月と同じだが戦力化されているのが幸いだった。


 これは英本土空襲参加時にハリケーンにすら対抗出来なかったG.50の生産を昨年11月から打ち切り、202に振り向けた結果まとまった数を揃えられた為である。 


 エンジンはDB601A(DB601の最初のエンジン)が発展して馬力が1100馬力から1175馬力に向上したAaで、エンジンに合わせて設計した機体も速度が600kmを超えた他はマッキ200と特性が似通っていたので複葉機を好む搭乗員を除けば機種転換は簡単に済んだ。

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