第3話
「はい。これがギルドにいるという証明書になります。無くさないで下さいね」
金髪のお姉さんーユノと言うらしいーから、俺は証明書を受け取った。こういうのは、再発行は大変だという話を聞いたことがあるし、大切にしないと申し訳ないよな。
「それにしても、あのギルドマスターを瞬殺するなんて、アルドさんは素晴らしいですね。最強の中の最強と呼ぶべき人です! 私、あなたのファンになっちゃいました!」
「そうかい。俺からしたら、あんな雑魚をマスターにしてて大丈夫か不安になるけどな」
「あはははは。あれでも、S級モンスターを倒せるくらいの力はあるんですけどねえ」
「だが、あれではSSS級モンスターは倒せない。そんなんじゃ論外だ」
「え。SSS級って、伝説の存在ですよ? そんなにポンポン現れたりしませんって」
「いや。そいつは普通に」
突然扉が開けられ、俺の話が遮られた。
「大変だあああ! SSS級モンスターが出たぞお!」
その男の言葉に、ギルド中が騒然とした。ユノが白目を向いていた。
「嘘でしょ……SSS級モンスターって……世界が終わる」
フラフラと彼女が倒れたので、俺が支えた。久しぶりのSSS級モンスター。腕がなるな。
「おい。そこのお前!」
「は。はい! なんでしょうか!」
「SSS級モンスターはどこにいる? 俺が倒してやろう」
「えええええええええ!? 無理無理無理無理無理! 無理ですって! 無駄死にするだけですよおお!」
「SSS級モンスターに殺されるわけないだろ。さっさと案内しろ」
俺はそいつを無理矢理脅し、SSS級モンスターのいる場所へと案内させた。
「それじゃあ、俺はこれで! うわああああああ!」
男は情けなく逃げて行った。まあ、こいつが相手では仕方ないな。目の前にいるのは、SSS級モンスター。バーニングドラゴン。吐息だけで国を滅ぼし、飛翔するだけで辺りが更地になるというとんでもない奴だ。だが、その程度の奴なら簡単に殺せる。今はそこら中に炎をまき、色んな建物を灰にしていた。奴の熱気で周辺の地形が歪み、建物の壁は溶けている。20メートルは優に超えるだろう大きさ。大きさに不安はあるが、中々楽しませてくれそうだ。
俺は奴を倒すため、そこらへんに落ちてた剣を拾った。本当なら専用武器を使いたいが、今は家に置いて来てるからな。誰が落としたかもわからないこいつで我慢するとしよう。この熱気でも溶けてないし、それなりに優秀そうだからな。ドラゴンは俺に気付いたようで俺を睨み、灼熱の炎を放つ。くらったらひとたまりもないだろう。世界最強の硬度を持つオリハルコンですら、簡単に塵と化すほどの威力。だが。
「ぬるい炎だな」
俺は剣を一振りした。すると、炎は一瞬で消えた。しかし、剣にヒビが入ってしまった。長くは持たなさそうだし、早めに決着をつけるとしよう。走って近づくのもめんどいし、斬撃にするか。俺は剣に、魔力を込め、縦に一振りした。すると。
「が!? ぎゃああ……ああああ」
ドラゴンは情けない声で鳴きながら、真っ二つになって倒れた。しかし、剣は完全に砕けてしまい、使い物にならなくなった。誰が持ってた剣か知らないが、後で弁償しないといけないな。
「にしても、ずいぶんと弱かったな」
奴の炎も威力が弱かったし、体も小さかったから、あれは子供だろうな。大方、餓鬼の無邪気な遊びでこっちに来たと言った所か。俺たち人間からしたら、迷惑極まりないけどな。