1.電脳のBABEL 2
《ネオ・アンゲルス・シティ中央区、霧島コーポレーション総務ビル地下フロア、B‐02号室》
意識が現実に戻ってくる。接続していたV.S.との同調が切れて、ゆっくりと自分自身が戻って来る。
重い。体が。何もかもが。
「柚香」
かけられる声は、良く知っている。三年前からずっと、自分の担当をしてくれている間宮だ。ハイパーネットで動く際の、生体チェックや同調のチェック、その他様々な補助をしてくれている。医療についても知識があるので、全面的に頼ってしまっている。
「柚香。意識がまだこちらに戻らないか?」
「……」
自分の体を意識する。ぴぴっ、と電子音が鳴った。覚醒したという合図だ。
「気がついたね」
透明なカバーが音もなく開く。間宮の手がのびてきて、てきぱきとヘッドセットの補助ベルトを外した。重い装置が頭から外され、目に飛び込んできた人工的な光に柚香はまばたいた。発光ダイオード灯が青白く照らす、無機質な部屋。機械が並べられ、コードが床を這い回る、その場所。
「大丈夫か? 意識フィードバック領域に、負荷がかかったようだが」
「だい、……じょうぶ」
口を動かすのが億劫だ。それでも起きなくてはならない。柚香は横たわっていたネット接続機から身を起こした。
「飲みなさい」
スポーツ飲料水が差し出される。喉の渇きを意識して、柚香はありがたくそれを受け取った。一口飲むと、水分が染み渡る気がした。ごくごくと全てを飲み干す。
「妙な反応が出ていた。同調に違和感はなかったか?」
全て飲み干した所で手を差し出され、間宮に空のコップを渡す。三十歳ほどの、優しげな顔だちの男がこちらを見つめていた。彼の言葉に柚香は答えた。
「接続中に、目眩が起きた」
「負荷のせいだな。……柚香。銀狼のV.S.に同調するのはもう、無理がきているのじゃないのか」
「間宮さん」
「元々、あれはおまえ用のV.S.ではない。それを無理に同調させている。負荷がかからない方がおかしい」
「私は、やめるつもりはない」
きっぱりと柚香は言った。
「銀狼は、在り続けなければならない。そう言ったのはあなただろう」
「そうだ。だが」
「探索は続ける。囮としての役割も果たす。五年前にそう決めた。その決意は変わらない」
間宮は目を閉じた。小さく息をつく。次いでその目を開くと、がばっ! と柚香に抱きついて叫んだ。
「でもね、でもね、柚香ちゃん、わかってる? 十六歳って言ったらバリバリ乙女の年齢なのよっ? 花とフリルとリボンと夢が手と手をつないでうふふ、あはは、みたいな砂糖菓子の時代だってのに、あんな男臭いV.S.との同調が、そうそう順調に行くわけないでしょう〜〜〜っ?」
三十をとうに過ぎただろう男の低音で語られるオネエ言葉は、インパクトがあった。しかし柚香は平然としていた。
「間宮……言葉づかい」
「良いじゃないの、誰も聞いてやしないわよ〜っ!」
きーっと叫んでから間宮は涙をぬぐった。
「見てよ、鏡!」
がしっ! と柚香の肩をつかむと、なぜかその場にあった姿見の前に引きずって行き、叫んだ。
「こんなに、こんなに可愛いのに、あんな男オトコしたV.S.なんかと同調するなんて〜〜〜〜〜っ!」
柚香は前を見た。そこには硬い表情の少女がいた。
全体的に見て、柔らかさよりも直線的な所が目立つ体型だ。肩を過ぎるぐらいの黒髪。少し切れ長の目。黒い瞳には生気が宿り、前を見据えている。やや小作りな目鼻だち。小さな唇。それでいて、肩幅はそれなりに広い。骨も、おそらくは同年代の少女たちと比べると太い方だろう。それが目立たないのは、体格が小柄だからだ。
今は簡素なシャツとズボンをはいているので、腕がむきだしになっている。引き締まったそれは、彼女が何かの鍛練をしている事を示している。
これが城島柚香。現実の私。十六歳の高校二年生。
可愛い?
柚香は鏡の中の自分を見つめて、目を細めた。
どこが。ぎすぎすして、みっともないばかりだ。
「柚香ちゃんが望めば、ちょー可愛いV.S.を用意しているのにっ!」
柚香の心のつぶやきなど頓着せず、間宮は叫ぶと立体ホログラムを作動させた。目の前に人形ぐらいの大きさの、少女の姿が立ち上がる。
「……」
柚香は思わず、冷たい目になってしまった。明らかに自分とわかるそのホログラムはなぜか、くるくるに巻いた髪にピンクのリボンをつけ、フリルがひらひらとなびくミニスカートに、踵の高い真っ赤な靴をはいてにっこり笑っていた。足と胸の露出がやたらと大きい。化粧までしている。なんて事だ。
「消せ。すぐに」
「いやーん、言葉遣いが銀狼になってるうっ!」
「おまえは魔女になってるぞ。サポートはありがたいが、どうにかならんのか、その言葉づかい」
「だって、もう五年以上もこれやってるんですもの〜……直らないわよ、今さら」
間宮は困惑したように言った。
「昔はアタシも、可愛らしい美少年だったの。別におかしくはなかったのよ? 霧人だって褒めてくれたわ」
先代『銀狼』の名を出すと、柚香の目元が少し和らいだ。
「霧人の場合は単に、面倒だったから、適当に相槌打ってただけな気がするがな」
「その霧人専用のV.S.だったじゃない、銀狼は。柚香ちゃんが、頑張り屋さんなのは知っているわ。バーチャルでの反応速度を上げる為に、鍛練も続けているし。銀狼には特に、特別な能力は付加していないのよ。それでもあれだけの動きができるのは、現実での動きが優れている柚香ちゃんだからだわ。他の人間じゃ、ああは動けない。
でもね、……柚香ちゃんは女の子なのよ」
ふう、と間宮は息をついた。
「自分のものではない、しかも男性専用に調整されたV.S.に同調するのには、意識フィードバック領域に負荷がかかるの。どうしてもね。V.S.って本来、第二の自分じゃない。同調がうまく行くように、最初の作成でも気を使うし、細かい調整も毎年する。それで馴染ませてゆくのよ。自分の精神に。
銀狼は霧人が特に念入りに、自分に合わせて作ったものだったわ……柚香ちゃんは言わば、人の使っていた鎧に、自分を無理やり合わせている状態なのよ」
「問題なく動ける」
「問題あるわよ! だから目眩が起きるんじゃない!」
間宮はきっとした顔になった。
「男と女じゃ体格が違うのよ。精神的な感覚も全てが違ってくるの。腕の長さ、足の長さ、筋肉のつき方、動き方。全て柚香ちゃんが本来持っている感覚とは、ズレているはずよ。メンタル面での反応も、柚香ちゃん本来のものとは違うはず。まっさらな状態ならともかく、あれは霧人が五年は使っていたV.S.よ。霧人のメンタル面に合わせた成長をしているわ」
V.S.は成長する。使えば使うほど、使用者に合わせた変化を起こす。逆を言えば、他人のV.S.は、使おうとしても違和感が拭えないし、自在に動かす事が難しい。
「銀狼を使えば使うほど、その違和感がずっと積み重なってゆくのよ、精神の奥の方で。それがどれだけ危険な事か」
「だから、おまえの前でしか銀狼にはならないし、メンタル面でのチェックも毎回受けている」
「そういう話じゃないわよ! いえそういう話なんだけどっ!」
「どっちだ」
「だから!」
苛々した風に首を振ってから、間宮は自分を落ち着かせるように息をつくと、少し落ち着いた口調で続けた。
「他人のV.S.で自分の能力を発揮しようなんて事は、本来無茶の領域に入るのよ。どれだけ親しい人間でも、同調率は六十から七十。八十以上になる事はないわ。なのに柚香ちゃんったら、九十近い同調率を出している。……それだけ無茶してるのよ、精神の奥の方で。他者のV.S.との同調率が高いって事は。 同調高める為に躊躇なく、自分を殺してるって事なんだから!」
「問題ない」
繰り返して、柚香は間宮の腕を振り払った。
「後悔もない。霧人を害したものを私は、許さない。その為ならいくらでも自分を殺せる」
「そうじゃないのよ、柚香ちゃん……」
間宮は気弱な口調になると、柚香に抱きついた。
「アタシはあなたが心配なのよ。お願い。無茶はしないで」
「していない。……心配するな」
奇妙な光景だった。会話だけを聞けば、青年と、彼を案じる少女の会話とも聞こえただろう。しかし現実には、心配するなと言っているのは少女の方で、取りすがっているのは男である。
「間宮は生真面目だからな。サポートは的確だし、ログイン中も安心していられる」
「だってあなたは、アタシにとって大事な人だもの」
そこで電子音が響いた。振り向いた二人の前で、モニター画面が点滅し、スピーカーから声が響いた。
『どうしてそう仲が良いのかな、魔女と柚香ちゃんは。ぼく、妬けちゃうよ?』
どこか幼さを残したような声がして、モニターに平凡な容貌の少年が映った。十五歳ぐらいに見えるが、態度と口調から幼く見える。しかし彼がただの少年ではない事は、柚香も間宮も知っていた。
「和樹」
『柚香ちゃんから離れてよ、魔女。サポートは命じたけど、そんな風に抱きついて良いなんて許可した覚え、ないよ?』
「ご、ごめんなさい、アタシ、つい」
間宮が柚香から離れる。柚香はモニターの前に歩み寄った。
「間宮を責めるな。私が悪い」
『どうして柚香ちゃんが悪いの?』
「私は間宮に……本来の仕事ではない事をさせている上に、わがままを言っている」
『魔女の場合は趣味と実益を兼ねていると思うけど? 堂々と女装できるんだもん』
画面の中の少年は笑った。
『それに、柚香ちゃんのはわがままじゃないよ。どっちか言うと、ぼくのわがままだな』
「なぜ和樹が?」
『柚香ちゃん。ぼくは柚香ちゃんの為なら、何だってしてあげるよ?』
画面の中から少年が言った。
『都市の機能を麻痺させる事だって、ここを壊してしまう事だって簡単だよ? 柚香ちゃんが望むなら』
「そんな事は望まない」
『そう?』
和樹と呼ばれた少年の笑みは、純粋で打算がないように見える。しかし言っている内容は、大変なものだった。聞いている間宮の顔色が、少し悪くなっている。柚香は静かに言った。
「壊すのは簡単だが、作るのは大変なんだ。もう少し建設的な事を言え、和樹」
『そうだね』
にこにことして少年は言った。
『だから、柚香ちゃんって好きだよ。ぼくにちょっと言えば、何だってできるのに。とっても真面目な事しか言わないもんね?』
「私は、当たり前の事しか言っていない」
『その辺りがね。大好き。さっきの話だけれど、柚香ちゃんは、わがままなんて言ってないよ。どっちか言うと、暴走しそうなAIを身を捨てて止めてくれているんだよ。わがままじゃなくて、自己犠牲』
「そうか?」
『そうだよ。だって、こんなぼくに付き合ってくれてるんだもん』
くすくす笑って少年は言った。
『ああ、そうだ。スコーピオンだけど、外国の勢力とつながっていたよ。『自然に帰ろう』をスローガンにしているエコ組織。自然に帰る為ならテロも辞さない人たち。AIに全てが制御されている、この街が目障りだったみたい』
少年は続けた。
『それでヤクザを送り込んだり、高校生に麻薬売って資金を稼いでいる辺り、どの辺がエコなんだって言いたくなるけどね。関係者の洗い出しは終わったよ。警察を動かしたから、朝までには決着がつくと思う』
「そうか」
『『メイヴ』じゃなくて残念だったね、柚香ちゃん』
「……いや。被害が出なくてよかった」
少年はくすっと笑った。
『この後はどうするの?』
「チェックをした後、病院に寄ってから帰る」
『誰かに送らせるよ』
「その必要は……」
『ダメ。今、何時だと思っているの、柚香ちゃん。もう九時過ぎてるんだよ? 変な事考えるおじさんが出たら困る』
きっぱりと言うと、少年は間宮に目を向けた。
『間宮』
「手配します」
姿勢を正して間宮が言う。
『頼んだよ。ところでさ』
「はい?」
『その服、可愛いね』
和樹の目は、ひらひらフリルの立体ホログラムに向けられていた。
『今度、銀狼の装備でこういうの開発してみようか?』
「やめろ。こんなものつけて蹴りが出せるか!」
怒鳴った柚香に、和樹はあはは、と笑った。
『気にするのがそこなんだー。柚香ちゃんらしいや』
「和樹! 本当にやめろよ? 私の装備にはリボンもヒールもいらないんだからなっ?」
『え〜?』
残念そうに言う和樹。柚香はきっ、と間宮を睨んだ。
「おまえがこんなもの、作成するからっ」
「あああ、ごめんなさい柚香ちゃんっ。でもこれ似合うと思うのっ」
『だよね。あー、ごめん。怒らないでよ、柚香ちゃん。銀狼には開発しないよ。銀狼にはね』
何だ、その含みのある言葉は。
問い詰めようとした柚香だったが、その前に和樹は会話を終了した。
『いけない、こっちに集中してたら処理が煩雑になってきた。戻るよ。それじゃあね、柚香ちゃん』
そう言って、モニターから姿を消す。
間宮はため息をついた。
「相変わらず愛されてるわねえ、柚香ちゃん」
「ヒヨコの刷り込みみたいなものだろう」
「そうかしら。結構彼、真剣みたいだけれど」
間宮はくすっと笑った。
「ちょっとした伝説になりそうね。都市の機能を司るAIに愛された女子高生」
「やめろ」
柚香が静かに言った。その口調にひやりとしたものを感じて、間宮は真顔になった。
「ごめんなさい、柚香ちゃん……」
「和樹は私には幼なじみだ。単にそれだけだ。AIだろうと何だろうと関係ない」
「そう」
「友人であり、家族だ。和樹もそうだ……それだけだ」
間宮は何か言いたげな顔になったが、何も言わなかった。
(でもね、柚香ちゃん)
心の中で独りごちる。
(『藍王』の方は、そうは思っていないみたいよ……)
ネオ・アンゲルス・シティの機能を司る、『藍王』。霧島コーポレーションが開発した、ハイパーAI。
霧島コーポレーションはネオ・アンゲルス・シティのみならず、世界各地に展開される電子機器プログラミングの一大会社でもあった。より人間らしいプログラミングを。そうした『AI人間化競争』が世界各地で加熱したのは十数年前。霧島コーポレーションでもその例に漏れず、人間らしいAIを作り出そうと、研究者が躍起になった。
そうしてできたのが、『AI‐O3』、通称『藍王』。自立して判断を下す、より人間らしいAI。
『彼』はここ数年、ハイパーネット上をV.S.の形を取って徘徊するようになっていた。そうして『人間』の行動を学び、さらに進化を続けている。
V.S.としての彼の名は、『霧島和樹』。
(本当に人間らしくて、困っちゃうわ。焼き餅は焼くし)
間宮は思った。
(あれがプログラムだなんて、誰も思わないわ。思えない。思春期の少年の、少女に対する恋心まで、どうやってプログラムするって言うの? ……まさかと思うけれど。あの噂、本当なんじゃないでしょうね)
『霧島和樹』は公的には、霧島コーポレーション会長の孫という事になっている。V.S.の登録を誤魔化す為に、そういう事にしたらしい。要人の子や孫には、情報に良くガードがかけられる。それを逆手に取っての事だ。
しかし抜け道はある。良く調べてみれば確かに、現会長の孫に霧島和樹という人物はいる……十三年前に三歳で死亡してはいるが。
『藍王』が完成したのは十二年前。当時、世界最高水準のAIであると称えられた。そのあまりにも人間らしい反応に、誰もが驚いたと言う。けれど。
あまりにも人間らしすぎるその反応に、人体実験が行われたのではないか、という噂が囁かれたのも事実だ。
(『藍王』の柚香ちゃんに対する執着は、すごいわ。柚香ちゃん自身は気づいていないけれど)
今でも、一介の女子高生に対し、途方もないほどの便宜を図っている。都市警備の情報は流し放題、ハイパーネットでの活動もほぼ完全にサポートしている。彼女の体調やメンタル面でのチェックは間宮が行っているが、そのデータだって彼は全て入手しているのだろう。都市の法をも無視し、恋人を守っている。全力で。
(小説で言うなら、魔法の国の王さまと、その恋人の女戦士って所かしら)
でも現実は、小説のようには行かない。
ふと、間宮は不安になった。
柚香は人間だ。いつかは寿命が来る。その時『藍王』は……和樹はどうするのだろう。
間宮にメディカルチェックとメンタルチェックをされた柚香は、様々なデータを取られた後、帰って良いとの言葉をもらった。何となく体がべたつく感じがしたので、シャワーを借りて軽く汗を流す。ごく普通のシャツとジーンズに着替えてから時計を見ると、十時を過ぎていた。
ビルの入り口に上がると、間宮が手配した護衛の青年が待っていた。
「城島柚香さんですか?」
「はい」
「成島です。あなたを家まで送るよう言われています」
「よろしくお願いします。途中、病院に寄りたいのですが」
「それも聞いています。ご家族のお見舞いだそうですね」
「はい」
「終わるまで待っています。その後、ご自宅までお送りします」
「ありがとうございます」
柚香はぺこりと頭を下げた。
「いえ、こちらも仕事ですから。お気になさらず」
穏やかに言う男は、きちんと筋肉がついた体つきをしており、何となく柚香はうらやましいと思ってしまった。自分の腕を見つめる。
女の腕。
技は身につけている。暴漢にいきなり襲われても、対応できる自信はある。逃げる事も卑怯だとは思わない。必要な時には逃げ出す判断もできる。
けれど。この姿。この見かけ。現実の自分は見かけで侮られてしまう。
ふと、隆也を思い出した。ジェネシスの頭。金髪に青い目の、粗削りな顔をした男。あの男なら。見かけで侮られる事はないだろうに。
「どうかしましたか?」
「あ、いえ。それじゃ、お願いします」
こちらに、と言われて成島について行くと、最新のエアカーに案内された。霧島コーポレーションが開発しているエアカーだ。真っ赤なボディに流線形のラインが格好よいと、話題のものだった。もっと普通の車で良いのに、と思って柚香は肩を落とした。和樹の指示だろうか。
それでも笑顔でどうぞと言われると断る事ができず、柚香は黙って車に近づいた。自分で開ける前に成島に扉を開かれ、まるでお嬢様の扱いだと思う。
乗り込む前に、ふと周囲を見回す。
振り仰いだ空にはビルが林立し、星が見えなかった。その代わりに人工の灯が輝いている。
そこには人がいる。命を持った人が。
立ち並ぶビルに重なって、目に見えないハイパーネットの世界が見えた気がした。そこにもまた、人がいる。
泣き、笑い、怒り、……生きている人が。