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天使は街に舞い降りて  作者: ゆずはらしの
第三章 テロリストと幻惑のワルツを
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3.テロリストと幻惑のワルツを 4

《ネットエリア 黄金の通り三番地、噂好きの穴蔵》



「なんか規制強くなってね?」

「ここ来るまでにV.S.ヴィス、あんま見かけなかった」


 『穴蔵』に入ってきた少年たちが、困惑したように言った。


「普通の手順で入れなくてさ。ちょっと裏技使って入ったけど……」

「俺もだ。おい。『表』のマスター、止まってる」


 いつもは賑わっている『穴蔵』には、誰もいなかった。マスターは笑顔のまま停止している。穏やかな表情の彼は、店としての体裁を整える為の、自動対応ホログラム……人形パペットだ。しかし『穴蔵』が『穴蔵』である所以ゆえんは、そこではない。ここにはもう一人のマスターがいる。


「『裏』のマスターは?」

「来てないみたいだ……入れなかったのか、あの人に限って」


 人形が提供するサービスは、普通の店と同じもの。けれど『裏』のマスターは、普通の人間が行っていた。ネオ・アンゲルスを飛び交う情報を彼は、掲示板を使ってまとめ、利用者にわかりやすく掲示する。都市の政治に関わる部分から、馬鹿馬鹿しい都市伝説の類まで、情報と名のつくものなら何でも扱う。何度か代替わりはしているが、基本的なスタイルは変わらない。あらゆる噂、情報を集め、わかりやすく提供する場所。それがここ、『噂好きの穴蔵』なのだ。


「掲示板は」

「生きてる。なんか書き込みすごくなってる」


 少年たちは店内にある掲示板を視覚化させた。宙に大きなスクリーンが現れる。



《警告! あなたがたは不正にアクセスしています。現在、ハイパーネットはアクセス規制を行っています。ただちに退去して下さい》



 スクリーンに赤い文字で警告が浮かび上がった。少年たちはそれを鼻で笑うと、無視して掲示板を操作した。


「あ、ツンさんの書き込み」

「どこ? あー。相変わらず宇宙人の陰謀説言ってら。東地区の謎の灯点滅? ああ、ニュースで言ってたあれ……あれだけ広範囲に灯が点滅したのは、宇宙人が我々にメッセージを送っていたからだってさ。一定のリズムを解読すれば、メッセージの意味がわかるはず……って、あるわけないだろ、そんなの」

「メガさんは、冷静に突っ込んでるな」

「でも言ってる事はツンさんと変わんねえぞ。テロリストの陰謀って、何の関係があるんだよ」


 二人は掲示板の書き込みをさらにチェックした。


「トールさんが書き込みしてる……マジ? 市長とその家族がテロリストに監禁されてるってさ」

「ガセじゃないの?」

「あの人の情報はしっかりしてるだろ。いつも。霧島のシークレット・サービスが動いてるってさ。マジみたいだぞ」

「すげえ」

「テロリストってどこのだ?」

「さあ。タイラさんの書き込みだ。ハイパーネットの規制はテロリストに対抗する為のものではないか……って、何だよそれ。俺らに役立ってこその市長だろ。ちょっとつかまったからって、迷惑かけんじゃねえよ。使えねえやつ」


 けっ、と吐き捨てるように言うと、少年たちはさらに情報を集めようとした。その時……、



「悪いは、いねが~」



 地をうような低音。

 響いてきたその声に、二人は顔を見合わせた。何だ?


「誰か来てるのか?」

「いやでも、なんだ今の……」


「いねが~」

「悪いはいねが~」

「いねが~~~」


「だ、だんだん近づいてくる……?」


 二人は顔を引きつらせ、周囲を見回した。


「いねがああああ~」


 不気味さに思わず、二人が互いに寄り添い合ってしまったその時。

 


 ばたーーんっ!



 突然、カフェの入り口が、派手な音を立てて開いた。驚きのあまり抱き合ってしまった二人の前に、白の長ランに身を固めた青年たちが駆け込んでくる。

 なぜか全員、頭に妙なカツラをかぶっていた。長くてぼうぼうの茶色の髪。振り乱されたそれは、見ただけで何やら怖い。そうして全員頭に蝋燭ろうそくを立てており、燃える火がてっぺんに輝いている。

 尋常な雰囲気ではなかった。


「悪いは、いねがああああっ!」

「ぎゃああああっ!」


 血走った目で叫ばれて、二人もまた絶叫した。 

 突入してきたジェネシスのメンバーは全員、少年たちを取り囲むと、「二名確保!」とか、「他にはいないか!」とか叫んで店内をサーチし始めた。


「ななな、なにっ? おまえら一体何なんだ……変なカッコしやがってっ!」


 あわあわしつつ少年が言うと、ぎろりと睨まれた。


「悪いが二人~~~!」

「ひええっ」


 耳元で叫ばれ、何が何だかわからない内に外へと連れ出される。そこには同じ格好をした青年たちと共に、やけにすっきりした格好の美少年と、ミラーグラスをつけた黒ずくめの青年、くたびれた風貌の中年男性が立っていた。


「参謀。店内にいた悪いは二名です」


 一人が報告し、参謀と呼ばれた美少年がちらりとこちらを見る。


「手間かけさせてくれるよね。危険を感知する能力も持ってないくせに、イキがって入り込む。放っておいても良いんだけれど、ぼくは慈悲深いから」


 反論しようとしたが、ずらりと並ぶ青年たちに恐れをなし、少年たちは何も言えない。

 と言うより、怖い。髪を振り乱し、蝋燭を頭に立てた白の長ラン男の集団は、何か言いたくても言えなくなるような迫力を持っていた。視覚的に。いろんな意味で。


「さて。きりきり吐いてもらおうか。時間がないから手短にね。入り込んだルートを提出!」

 


 びしいっ。



 美少年は一歩前に出ると、どこからともなく取り出した鞭で地面を打った。


「似合いすぎです、参謀……」


 青年の一人がぼそりと言った。


「お、脅かそうたって、そうはいかねえぞっ。V.S.ヴィスの痛覚は遮断しゃだんされてるっ」

「そうだ、そうだっ! 何されたって俺ら、負けねえからなっ」


 あわあわしつつも虚勢を張り、少年たちは叫んだ。すると美少年は、うっすらと笑った。


「反抗するんだ。へえ」


 周囲の青年たちが、一斉に青ざめた。


「遮断されてるって、みんな言うよね。V.S.ヴィスの痛覚は、リアルのものとは違うって。でもね。それって遮断じゃないんだ。痛覚レベルを下げているだけ。少~し、鈍くしているだけなんだよ」


 優しげと言える口調で少年は言った。


「だから、ないわけじゃないんだ」


 しゅっ、と風を切る音が聞こえた。と思った次の瞬間、少年たちは飛び上がった。



 ごがががががっ!



 瓦礫や砂が宙に舞う。硬直している彼らが気づいた時、自分たちの周囲はぐるりと土が抉れ、ぼこぼこに穴の開いた状態になっていた。ふふ、と笑うと美少年は鞭をひゅっ、と振った。


「興味深いよね。単に小突いたぐらいじゃ、確かに遮断されてるように感じるだろうけど。あちこちへし折ったり、ちぎったりしちゃった場合はどうなのかな? 感じるのかなあ。痛み」


 にこやかに言われたのは恐ろしい内容の言葉で、青ざめた少年たちは硬直し、続いて大慌てで落ちログオフようとした。しかし。


「『拘束の輪』」


 飛んできた何かが体に絡みついたかと思うと、V.S.ヴィスの制御ができなくなる。意識はまだ同調しているのに。


「甘いんだよ、つくづくと。このぼくを相手にして反抗しようなんて。逃がすわけないでしょう、それに?」


 固定された視界の中、美少年は悪魔のように見えた。ぽっぽー、という声がどこからか聞こえてくるが、それが何なのかわからない。やたらきらきら、ひらひらしたものも視界の端に映っているが、恐怖に囚われた少年たちにはもはや、それが何なのか認識できなかった。


「さあて。何発目で言ってくれるのかなあ」


 うれしげに鞭を振るう彼に、涙が出そうになった。誰でも良いから助けてくれ!


「そこまでにしとけ、匠。拘束してるんだから、口がきけるわけがないだろう」


 そこで止める声がして、助かった! と少年たちは思った。


「ぼくに指図するんだ、栄?」

「銀狼の前だぞ」


 この言葉に美少年は黙った。ちっ、と舌打ちするとくるりと向きを変え、無表情に立っている黒ずくめの青年に駆け寄った。抱きつくと見上げる。


「ああ、ごめんね、銀狼。嫌わないで。ぼくはただ、ハイパーネットの平和を守ろうと思ってやったんだよ。それだけなんだ」


 切々と訴え始めた少年に、何なんだと思いつつびくとも動けずにいると、誰かが近寄ってきた。


「なんでも良いから白状しとけや。うちの参謀、容赦ないから。これでもまだ、手控えてんだぜ。身動きできないまま手足、切り飛ばされたくねえだろ。つらいぞ。あれは。痛覚は延々続くのに、意識がV.S.ヴィスから切り離せないんだ」


 妙に貫祿のある強面の青年が、頭に蝋燭を乗せたまま、どこか疲れた表情でそう言った。


「どこから入り込んだか、ルートを白状すりゃ良いんだ。他に入ってる奴がいりゃ、その情報と。そうすりゃ解放してくれるよ。俺らジェネシスは、ネットの平和を守る集団だからな」


 この言葉に少年たちは愕然となった。ジェネシスに銀狼!?


「良いか? 今から拘束を解くぞ。ただし、首から上だけだ。同調は解けないから、良く考えてしゃべれよ」


 そんな声がして、首が動かせるようになる。


「あ、あの」

「なんだ」


 少年たちは青ざめつつ、ごくりと唾を飲み込んだ。黒ずくめの青年と抱きつく美少年を凝視し、次に自分たちをかばってくれたらしい青年を見上げる。


「あれ、本当に銀狼……あんたら、ジェネシスって」

「俺らはジェネシスだ。あそこにいるのは参謀。一緒にいるのは……まあ、黙っといてくれや。いろいろ問題あるんで」


 疲れた顔で青年は言った。少年たちはミラーグラスで顔を隠した黒ずくめの青年を凝視した。

 弱みを握られて脅迫されているのか?

 匠の言動をみてきた少年たちには、そうとしか思えない。


「なんで銀狼が」

「まあ、共同戦線だな。言ってみれば」

「あの凶悪な人、銀狼脅してるんスか」

「そう見えるか? ……そう見えるよな。俺らもちょっと気の毒でな……」


 青年は遠い眼差しになった。


「ともかく、話してくれたらありがたい。放っておくとうちの参謀、とことん暴走するんで」

「い、いや。銀狼とジェネシスなら……おれたち、なあ?」

「ああ、話す。話すけど。何が起きてるんだ……?」

「好奇心、未だ旺盛ってか。穴蔵に入り込むだけあるな」


 小さく笑うと青年は言った。


「今ちょっと、非常事態でな。いろいろ噂は流れてるから、おまえらの方が詳しいかもな。ただこれだけは言える。俺たちは、この街を守る為に動いてる。脅して悪かったが、答えてほしい。どこのルートから入った?」


 少年たちは真顔になった。彼らも『メイヴ』ウィルス騒ぎの事は耳にしていたのだ。


「ウィルスとかテロとか……ヤバイのか、この街」

「まあな」

「そっ……か。だから銀狼がジェネシスと協力してるんだ……」

「じゃなかったら、脅されたって言うこと聞いたりしないよなあ? 銀狼だもん」


 青年は苦笑いして何も言わない。


「なあ。だったら……俺たちに何かできる事ないか?」

「申し出はありがたいが、情報だけで充分だ。これからしばらく、ネットはヤバイ事になる。だからおまえらも、落ちたら入るな。他の仲間にもそう言っといてくれ。良いか。事情の良くわからん奴に入り込まれると、足手まといなんだ。俺たちは、自分の命を捨ててまで誰かを助ける気はない。そこまでの義理はないからな。だから危険には近づくな」


 青年の言葉には重みがあった。少年たちは思わず、こくこくとうなずいていた。

 青年は立ち上がると、まだ銀狼に張りついている美少年に向かって歩み寄った。


「匠。話すそうだ」


 背に、『不退転』の文字。カッコイイ、と少年たちは思った。

 頭になぜ蝋燭が乗ってるのかは謎だが。


「なんだ。もう白状するの」


 残念そうに、匠と呼ばれた美少年は言った。


「せっかく銀狼に、ぼくの華麗な鞭さばきを見せようと思ったのに。つまんないの。みんな二、三発でべらべらしゃべっちゃうから、実力の見せようがないよ」


 早めに白状するって決めて良かった。と、少年二人は思った。


「まあ良いか。じゃ、蝋燭頭につけて」

「なんでっ!」


 いきなりそう言われて少年たちは、目を剥いた。青年の一人が蝋燭を手にして彼らに歩み寄ってくるのを見て、後ずさろうとし、動けない事に気づいて首を振った。追い詰められたような顔で周囲を見回す。


「言うって言ったじゃないかっ! は、白状するって!」

「そうだっ! そっ……そんな変な格好はいやだっ」

「馬鹿な子たちだね。君たちに拒否権はないんだよ」


 見下すように言う匠。少年たちは叫んだ。


「嫌だよっ! 大体、なんなんだよ、そのカッコ! ダサすぎ!」

「何を言うんだい。われわれジェネシスは、総長の意向を受けて日本文化の研究と追求、そして再現に力を尽くす集団でもある。この姿は、正しい日本文化の現れだよ」


 にこやかに美少年は言った。


「そうなのか、匠」


 どこか精彩の欠けた顔で、『不退転』を背負う青年がつぶやく。


「そうだとも。何だ、栄。そんな顔をして。おまえたちにさせたその格好は、『ママハゲ』という日本版サンタクロースの姿だぞ。現れる時の合い言葉は『悪い子はいねがー』。失われたその文化をぼくは、再現してみせたのさ!」

「ままはげ……」


 栄は虚ろな眼差しで繰り返し、頭の上でじりじりいっている蝋燭を意識した。V.S.ヴィスだから別に熱さは感じない。そのように匠はプログラムしてくれた。しかし。


「なあ、どうしてママがハゲなんだ?」

「パパがハゲだと、リアルすぎて気の毒だからじゃないのか?」

「ママだって嫌だろう。はげるのは」


 ぼそぼそと言い合う配下の青年たち。いやおまえたち、問題はそこじゃないだろう、と栄は思った。


「ハゲるほど、子を案じる母の愛を現しているのさ。その証がこの蝋燭。頭に蝋燭を立てて祈念するのは、日本古来の正しい祈りの姿! 母が素行の悪い子を案じ、少しでも良い子になってほしいとの願いが、この『ママハゲ』の姿には込められている!」


 胸を張る匠。横でくたびれた中年男性、高波が首をかしげた。


「そうだったかなあ……ぼくが勉強した、二十世紀民俗学ではちょっと違っていたけどなあ……」

「気にするな。ぼくが法律だ」


 ばっさり切り捨てると匠は微笑んだ。


「それに規制されているのにも関わらず、アクセスしてうろつき回っていた悪い子諸君には、罰が必要じゃないか。だってぼくに、手間をかけてくれたんだからねえ。でも大丈夫。ぼくは優しいからね? その蝋燭、一ヶ月で取れるようにプログラムしてあるから」


 一ヶ月もこんなもの、頭につけたままの状態なのか!?


「ぐだぐだ言うなら、一生取れないようにしちゃうよ。うれしいだろう? 一ヶ月で」


 ぽっぽー。


 鳩が鳴いた。二人の全身を彩る花やリボンがきらきらした。無理やり頭に乗せられた蝋燭が、じりじりと音を立てる。少年二人は無言で涙を流した。自分たちが、逆らってはならない相手に逆らってしまったのだと、ようやく理解して。

 この日を境に、銀狼が美少年と付き合っているとの噂が流れ、一部で阿鼻叫喚あびきょうかんの騒ぎになるのだが、それはまた別の話である。またその後ハイパーネットには、日本版サンタクロースの噂が流れる。鞭と蝋燭を持って徘徊するそのサンタクロースに出会った者が違法アクセスをしたり、ネチケットに違反していると、『ママはハゲ』とか『悪い子ー』とか叫ばれた挙げ句、問答無用で頭に蝋燭を乗せられ、鞭でしばかれるのだと言う。

 嘘か本当かはわからないが、頭に蝋燭をつけた人々がしばらくうろついていたのは確かであったので、この噂は長く、都市伝説として語り伝えられる事となった。




「じゃ、このルート、閉鎖して」


 匠に言われて高波がうなずく。宙に現れたスクリーンで操作を始める。


「いやあ、さくさく進みますねえ。さすがジェネシスです」

「あそこまでやる必要があったのか?」


 疲れた顔で栄が言う。


「素直に答えてくれたでしょ」


 匠はにやりとした。手には鞭と共に、蝋燭を持っていた。

 異様に似合っている。

 匠が脅し、栄がなだめる。飴と鞭。大抵の不心得者はそれで陥落した。


「ただ、なあ。この蝋燭、乗せる意味あるのか」

「何のかの言って、また入り込まれたら困るじゃない。一応、マークしとかないと」

「だからって俺たちまで、なんで蝋燭……」

「憂さ晴らしだよ、単に。だって銀狼とラブラブしたかったのに、人形なんだもん、これ。でもやってみたらそれほど面白くなかったから、次は別の事するね」


 早く帰って来てくれ、隆也さん!

 ジェネシスの構成員はことごとく、そう願った。


*  *  *


『人質を殺されたくなかったら、入り込んでる貴様らの中間を全員退かせろ』


 聞こえてきた声に、宮はオペレーターにつなげ、と命じた。


「こちら特殊警備班、コマンダーの宮だ。銃声が聞こえたぞ。誰を撃った」

『ミハイルだ。お偉いさんは無事だぜ? ボーイに化けてたあんたらの仲間をちょっとな。今、可愛いメイドさんもつかまえた所だ』

「高瀬と麻宮です」


 オペレーターの一人が宮にささやく。


「殺したのか」

『生きてはいるぜ。健気だよなあ。撃たれそうになった市長夫人をかばって飛び出してきた』

「市長夫人はどうされた」

『ちょっと見かけがボロっちくはなったが、まだ美人だ』


 それではどんな状態なのかわからない。何か乱暴をされたのか。


「全員、無事なんだな?」

『今の所はな』

「わかった。警備班の者を退去させよう。他に要求は」

『あるっちゃーあるが』


 ミハイルの声が、ノイズ混じりになってぶれた。


『市長が声明を発表するから、全世界に向けて発信できるよう、手配してくれよ。それとヘリを二台準備しな』

「わかった。他には」

『今んとこは別にねえな。妙な真似するなよ? 人質はまだたくさんいる。二、三人減っても俺たちは困らないぜ』


 くぐもった笑いと共に、通信が切れる。


「なめやがって」


 舌打ちをして宮は言った。横にいる自分の参謀に目を向ける。


「どう思う」

「普通のテロリストとはどこか違いますね。最新式の装備と言い……やっている事は普通なんですが」

「そうだな。どう考えてもこいつら、捨て駒だろ。他に何か目的あるとしか……」

「コマンダー。都市情報統括部より連絡です」


 眉を上げた宮は、つなげ、と言った。


『やあ、宮。コンタクトがあったみたいだね』


 にこやかに言う男をうさん臭げに見やると、宮は口の端を曲げた。


「河南。あんたが出てきたって事は、『藍王』が本腰入れたって事かい」


*  *  *


『サイオンだあ?』


 宮が顔を歪めたのを見て、河南は目を細めた。


「そうだ。五年前の意趣いしゅ返しかもしれないね」

『冗談じゃねえぞ、エコな人たちだけだと思ってたってのに。あんなとことまともにぶつかって、……ああ、クソ。管理官も市長も死んだな、どうすんだ!』

「落ち着けよ。目的は都市の殲滅せんめつじゃなさそうだ。『藍王』がそう言ってる」

『おまえみたいな『藍王』信者が言ったってな!』

「彼らは、まだ生きてる」


 その一言に、宮が黙る。


『悪い』

「いや。ともかく対策を練りたい。今も都市のネット全体に攻撃が続いている。それはどうにかしているが、相手がサイオンなら、そのうち別な花火を上げてくるぞ」

『勘弁してくれ……』


 泣きそうな顔をしてから、宮はぐしゃぐしゃと頭をかきむしった。


『って事は、あいつら捨て駒だな。徹底して』

「そうだろう。本人たちがどこまで知っているかは知らないが」

『気の毒に。で? 俺たちはどう動けば良い』


 宮の言葉に河南は微笑んだ。この男は有能だ。切り替えが早い。自分の役目がどこまでなのかを良く知っているし、その分を超えた状況になった場合、即座に指揮権と判断を適切な誰かに委ねるだけの頭の良さも持っている。妙なプライドや縄張り意識で状況を混乱させる指揮官とは違う。


「向こうの要求は?」

『ヘリ二台と全世界規模の回線。市長に声明出させたいんだと』

「ヘリは用意しよう。そう言ってやれ。回線も準備中だと言うと良い。突入部隊の選定は終わってるか?」

『させて良いのか』

「人質の中に気になる人物がいる。妙な動きをする前に、とっとと叩きたい。長引くと面倒だ。市長のシークレット・サービスは……」

『表立って動いてた奴は、やられたか、つかまったかしたようだ。潜り込ませたのも二人つかまった』

「生きて動ける者は一人もいないのか」

『一人はいる』

「少ないな」

『後手に回った』

「全員を無傷でというのは難しいか」

『まず、何人いるのか確認せにゃならん。情報が欲しい。俺らの装備じゃ詳しい事がわかるまで、時間がかかる』

「そっちに送る。こちらは新しい花火を警戒せねばならん」

『ありがたい。実動部隊については任せろ』


 小さく笑うと河南はデータを送信した。受け取った宮が小さくうなる。


『こういう情報持ってるんなら、とっとと寄越してくれや』

「こちらも確認が遅れた。色々とあってね。……宮」

『なんだよ』

「くりかえすが、市長も管理官も生きている。『藍王』もな」

『ああ』


 にやりと笑うと宮は『選定が終わったら連絡する』と言った。



 通信が切れると、河南はふうと息をついた。


「これでよろしかったのですか、藍王」

『うん、とりあえずは』


 空間がきらめいた。ふわり、と少年のホログラムが現れる。


『ヤな感じだよ。何が目的なんだか』

「サイオンも、AIによる都市制御に反対する主張を出していました。あなたへの攻撃ではないのですか」

『悪意は感じる。ぼくへのね。でもそれだけじゃなくて、遊んでる感じ』


 眉をしかめる表情を作ってみせると、和樹は瞳を光らせた。ネオ・アンゲロス・シティを制御するハイパーAI『藍王』、ハイパーネットでの仮想人格ペルソナを霧島和樹という彼は、腕組みをしてみせた。


『代替わりしてるんだよね、サイオン』

「そうですか」

『五年前とは感触が違う。前より容赦なくなって、でも妙な所でのこだわりが多くなった。一見、何のつながりもないように見えるけど、ぼくにはわかる。計画立てるのが楽しいんだ。自分は頭が良いって、思ってる人間の動きだよ。実際、良いんだろうけど』


 ふ、と息をつく仕種を和樹はみせた。


『ネオ・アンゲロスはアジア地区第一級の都市として知られている。ハイパーAIに制御された、未来型都市の代表でもある。どんな形であれ、テロに屈したという姿をさらしたなら、ネオ・アンゲロスの名誉は失墜しっつい……この形の都市は建設を見送るのが良いとの議論が、あちこちで起こるだろう。プログラムに制御されるということに生理的嫌悪感を抱く人間は、意外と多い』

「はい」

『道具だと割り切ってしまえば問題はないのに。人間は、道具に感情や人格を投影してしまう生き物だからね』


 自分の愛用の道具に名前をつけたり、友人のように呼びかけたりする人間は、はるか昔から多かった。コンピューター全盛時代がくる以前から、人間は人間以外の存在に、己の抱く感情を投影してきたのだ。


「それが人の弱さであり、愛すべき部分だと思います」

『否定はしない。それがプラスに働く事もあるから。マイナスに働く事もあるけれど』


 和樹は言った。ごく穏やかに。


『だからおまえたちはぼくに、息子や友人のように呼びかける。そうだろう? そうして彼らはぼくが人間に敵対し、奴隷のように支配しようとしているという幻想を抱く。人間の尊厳を犯すものだと。ぼくはただ、ぼくであるだけ。ただのプログラムに過ぎないと言うのに』


 一瞬、河南は何か言いたげな顔になった。しかし発言を控えた。和樹は続けた。


『おまえたちがぼくに親愛の情を抱くのも、テロリストがぼくに憎悪を抱くのも……根は同じだよ。投影だ。ただの』

「藍王」

『ぼくは人間じゃない。場合によっては、廃棄が必要なプログラムだ』

「藍王。いえ。和樹さん」

『違うとは言わせない。河南。もっと進化したプログラムが開発されれば、ぼくの存在意義は消える。ぼくは上書きされて消される。そうだろう?』

「私たちも霧島管理官も、あなたの事を家族だと思っています」


 河南の目はどこかつらそうだった。和樹は微笑んだ。


『それでもぼくが人間の為に働くプログラムである限り、ぼく自身が発展の邪魔になるのなら。ぼくはぼくを削除するよう、人間に要請するよ。だがそれは良い。まだ先の話だ。今は、サイオンと彼らの目的だ』

「……はい」

『五年前の件、洗い直しできた?』

「シルヴァングループが関わっているのは確かです。現総帥であるアンドレアス・グリューネワルトが、どこまで関わっていたのかは不明ですが」

『前総帥、あの頃に意識不明になったんだっけ』

「カール老は今も意識が戻りません」

『メイヴにやられたって噂もあるよね。何かあったんだろうねえ。内部でさ?』


 権力争いって、ヤだね。小さく和樹はつぶやいた。


『シルヴァングループが、サイオンの後援者だって事は確かだもんね。で、会場にも今、いるんだよ。関係者。どっちだと思う?』

「巻き込まれただけか、テロを装っての暗殺か?」

『シルヴァングループ内部での暗殺騒ぎっていうんなら、一応説明つくんだよね。この座りの悪さも。でもなんか、違うんだよなあ……』


 和樹は眉をしかめた。


『柚香ちゃんの事、調べてる人もいるしさあ』

「城島嬢を? なぜ」

『霧人さんの事も調べてる。ぼくの内部をちょろちょろ動き回ってるハッカーがいるよ。何なのかな? ぼくへの挑戦?』

「都市の電脳空間に攻撃を仕掛けている時点で、充分挑戦していると思いますが」

『うん。でも腹が立つ。さくっと解決しちゃおうよ、河南』


 この言葉に河南は小さく笑った。あれこれ言っているが、藍王は本気のようだ。本気でサイオンとやり合うつもりでいる。

 こうでなくては。


「ご指示を」

『オペレーターにはガードの強化。とりあえずは。あと、……ジェネシスの匠くんほどじゃないけど、目をつけてた人たちいたよね。ハッカーの』


 和樹はにやりとした。


『協力要請してみよう』



*  *  *



 宮は河南から渡された情報を元に、突入部隊の選定に入った。


「入り込んだテロリストは十一人。うち二人は銃撃戦で死亡している。残り九人の内、二人が制御室にいた。チャーリーチームがこれを確保している。で、ホールにいるのが残りの七人……っと」

「コマンダー。コマンダーに個人的に連絡を取りたいと、通信が来ています」

「誰だこのクソ忙しい時に」

「エコーチームの成島です」

「なるしまぁ?」


 妙な顔をしたが宮は、つなげ、と言った。


「よう成島。寝てないで良いのか」

『突入部隊に俺も入れて下さい』

「ああ? なに言ってんだ」

『エコーは実質、活動停止しています。俺もリーダー外された。入れて下さい。駄目なら勝手に入ります』

「ちょい待て。なに熱血してやがるん……」


 そこで宮は、ふと黙った。


「まさかおまえ、アレか? お嬢さまか?」

『そうじゃありません……っ、俺は。ただ、責任を感じて!』


 なぜか成島の声は焦って聞こえた。宮はふーん、と含みのある相槌を打った。


「責任ね。一度護衛しただけの、清純で可愛らしいお嬢さま。ロマンだよなロマン。可哀相だよなあ、女の子がテロリストの中にいるんだものな?」

『違いますっ!』

「ユズカちゃんだっけ。うん可愛かったよなあ。でもな。向こうはおまえの事、ただの護衛としか思ってねえぞ? 上流の人間ってのはそういうもんだ。俺たちはただの道具。わかってんのかその辺?」


 成島はふと黙った。


『彼女は……そういう人ではありません』


 生真面目に答える。


『忘れられないんです。あの目』

「ああ?」

『彼女の目。決して諦めないと言っている、あの目。あの目を俺は、曇らせたくないのだと思います』


 沈黙が落ちた。


『彼女は強い。ひょっとしたら、俺の手助けは必要ないのかもしれない。けれど。彼女は俺の事を、一人の人間として見てくれました。俺は彼女に何か期待しているわけじゃない。そんな関係じゃない。ただ……俺は。彼女のあの目が忘れられない。あの輝きを曇らせたくない。その為にも、手助けがしたい。……見返りが欲しいわけじゃない。それだけなんです』


 成島はごく真面目に答えた。ごく普通に、真っ正直に。

 しかし聞いている者にとってそれは、告白以外の何物でもないように聞こえた。


 あの目が忘れられない。 → 恋心がトキメイてるんです。

 あの輝きを曇らせたくない。 → 彼女は俺の天使なんです。

 見返りが欲しいわけじゃない。 → 片思いでも、止められない。

 それだけなんです。 → どうかわかって、この恋心。

 

 人々の脳裏で、彼の言葉はこのように変換された。


「あまじょっぺー」


 オペレーターの誰かがつぶやいた。


「あー、……成島? おまえから、ンな情熱的なセリフ聞くとは思わんかったよ俺は……悪かった」


 宮は咳払いをしてから言った。まさかこんな話題になるとは思わなかったのだ。オペレーターは全員聞いている状態だった。さらし者状態にしてしまった事で、さすがに相手に対してすまない気持ちになった。


『何がですか』

「いや、ホント悪かった。スマン。言わせちまって。そこまで真剣に思ってるとはその」

『だから、何がですか』


 成島の方は自分の発言がどう受け取られたのか、わかっていない。彼としてはごく真面目に、自分の心境を語っただけだったからだ。柚香もそうだが、成島も恋愛関係については疎かった。


『突然ですが、アルファリーダー、大島です。男だ。男だな、成島!おまえの気持ちは良くわかるぞっ!』


 いきなり別の所から通信が入る。


「ちょっと待て、なんで向こうに話が行ってるんだ」


 そう言った宮の前で、オペレーターが一人、すみませんと頭を下げた。慌てたせいかどうか知らないが、通信がオンの状態になっていたらしい。


『大島? え? なんで……何が』

『ベータリーダー、シュミットだ。純愛も良いが、頭を春にしてると足元すくわれるぞ』

「おい。なんでそっちもつながってるんだ」

「すみませんっ。ななな、なんか手がすべって」

『純愛……っ!? いやそうでなく』

『違うのか』

『いやただ、気になると言うか! 知り合いだぞ、そういうものだろうっ?』

『日本人は妙な所でシャイだな。決めるべき時に決めないでどうする』

『言ってる事がさっきと違うぞ、シュミット。チャーリーリーダー、佐竹です。制御室の制圧、完了しました。現在はホール内のテロリストに、味方だと思わせる芝居打ってます。負傷者二名。状況は黄色。……シュミット。ユズカちゃんは乱暴者をも諭す、清純なお嬢さまだ』

「全回線オープンにしてたのか、おまえら。初心者のミスじゃねえか」

「すみませんっ!」

『ほう……』

『心優しいお嬢さまに憧れる警備員。光の当たる世界にいる君を、ぼくは影から見守ろう。ロマンだよな』

『佐竹っ! 何の話だ、何のっ!』

『そのロマンチストぶりをどうにかしろ、佐竹』

『いや、シュミット。男ならそうでなければ』

『おまえもか、大島。萌えというやつか?』

『男には、やらねばならない時があるのさ。お嬢さまの為に戦いに飛び込む! この萌え心は誰にも止められない。男だ。男だな、成島!』

『いや、そうでなく! 聞いてるのか、おまえら!』

「あー、おまえら? ちょっと静かにしようね」


 ミスをおかしたオペレーターを容赦なくごんごん殴った後、宮が無理やり割り込んだ。


「成島の熱い心は良くわかったから。こっちで突入班編成するからちょっと待ってね?」

『宮……』

「勝手に入られても困るし、メンバーには入れとくよ。怪我はもう良いんだな?」

『ひびが入った程度だ。問題はない』

「わかった。まあアレだ。火事場の馬鹿力みたいなことわざもある。萌えが世界を救う可能性もあるよな」

『……頼む』


 何か言いたげな沈黙があったが、成島は宮にそう言った。


『萌えるロマンだな』


 シュミットがぼそりと言った。


「あー、成島? 騒ぐんじゃねえよ、男だろ。どーんとしてろ、どーんと。ここにいるオペレーターもみんな、なまぬるーい目で見守ってるぜ」


 何か叫びだしそうになった成島を抑えてにこやかに言うと、宮はてきぱきと指示を出し始めた。



《会場内 ダンスホール》



「ちっ。まだか」


 ミハイルは先ほどから、通信装置のようなものをいじっている。護衛から取り上げたものではなく、彼らが持ち込んだ装備の一つだ。どこかと連絡を取っているのか、と柚香は思った。

 ヘリを要求し、市長に声明を出させると言ってから、少したった。すぐにでも何かする気なのかと思ったが、意外とのんびりした風に、料理をつまんだり、酒を味見したりしている。その際には覆面をずらしているが、こちらに顔を向けないようにしている。

 まあ、ここで顔を晒したりするようなら、生かして帰すつもりはないという意味になってしまうのだが。

 どこと連絡を取っている……?

 霧島の特殊護衛班の二人は、壁際で大人しくしている。市長の護衛の姿は一人もない。見るからにたくましい彼らは、最初に標的になってしまった。撃たれ、外には放り出された。

 全てが後手に回った。

 数名いた護衛が撃たれた事で、人々の間で一度、恐慌が起きかけた。そのままミハイルが恐怖で人々を威圧し続けたなら、追い込まれた人の間で、何かの動きが起きたかもしれない。けれどミハイルは二人を殺さなかった。この事で、人々の間の緊張が少しゆるんだ。

 結果、今ではできるだけ従順でいようとする空気が人々の間にある。それが良かったのか、悪かったのか……。

 ちらりと間宮の方を見る。彼は顔をしかめていた。彼のカフリンクスが和樹とつながっている事は知っていた。柚香の視線に気づいた間宮が小さく首を振る。通信が妨害されているらしい。ついでに隆也を見やると、彼は大人しく座っていた。少し意外に思う。

 クラウスが目に入る。彼も落ち着いた風に座っている。


(体の悪い人もいるから、長引くとまずい)


 でも自分が目立つのも困る。


(和樹はどうするつもりなんだ?)


 せめてテロリストが何人いるのか、人数がわかれば良いのだが。

 そう思っていると、みどりが震えている事に気がついた。


「みどりさま? どうしました」


 ささやくと、泣きそうな顔を向けられる。


「あの……、どうしましょう」

「みどりさま?」

「わたくし……あの、……」


 汗を流している少女に、どこか具合が悪いのかと問いかけようとし、体をもぞもぞと動かす様子に思い当たる。


「化粧室ですわね?」


 ささやくと、真っ赤になりつつうなずいた。緊張のあまり、尿意を催してしまったらしい。

 男たちを見やる。ここで化粧室に行きたいと言って、果たして許してもらえるだろうか。それに。


(内気なみどりさまでは、言い出せない)


 目立つな、とは言われていたが。

 まあ、仕方がない。

 一瞬で気持ちを切り換えると柚香は、みどりの手をそっと握った。


「少し我慢していらして」


 ささやいて、バッグを確かめる。頭につけた花の飾りがずれていないか確かめて、ピンを刺しなおす。

 さて。


「あ、あの……」


 うつむき加減に。怯えた少女のふりをして。おろおろとした風に立ち上がり、近くにいる若い男に。


「なんだ、座ってろ!」

「あの、……お願いが」


 あまり演技はうまくないのだが、クラスメートが飾ってくれたドレスと小物がある。これで騙されてくれる……と良いな。と、柚香は思った。



東北カルチャー。北欧じゃなくて。●まはげ。ええ。な●はげです。サンタと似てますよね、何となく。

ちなみに私は、秋田のローカルヒーロー、ネイガーがわりと好きです。

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