表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/13

ユートとアル

 心地よい揺れとまではいかないが、気遣いのある揺れにユーストマは目を覚まし、自分の置かれている状況に気づき小さな悲鳴を上げる。

 なにせ、目が覚めたら鋼鉄の腕に片手で横抱き、所謂お姫様抱っこをされているのだから。人に抱き上げられるなど、もっと幼いころに父親である国王に数度してもらったくらいもの。ユーストマが驚くのも無理なかった。


「ア、アル様これは」


 恥ずかしさから顔を赤らめながらユーストマが尋ねるとアルは特段気にした様子もなく軽く首を傾げながら


『ん?目が覚めたか。よく考えたら、俺は寝なくて済むからユートが寝ている間に抱いて俺が走れば早く着けるから良いと思ったんだが』


「それは……合理的なのですが、恥ずかしいものは恥ずかしいのです」


 徐々に小さくなるユーストマの声にアルは少しばかり申し訳なさげな声で


『非常事態だ。そこは我慢してくれ』


 と返した。「はい」と小さくユーストマは頷き、暫く顔を伏せていたが、何かを思い出したのかパッと顔をあげアルに尋ねる。


「アル様、先ほどユートと呼びませんでしたか?」


『あぁ、ユーストマは良い名だとは思が、少しばかり呼びずらかたんでな、勝手にユートと呼んだが嫌なら……』


 止めるとアルが言う前にユーストマは嬉し気ににっこり微笑んだ。


「嫌じゃありません。誰かに愛称で呼ばれるなんて、お友達が出来たみたいで嬉しいです」


『それなら良かった。友人だと思うなら俺のこともアル様じゃなくてアルって呼んでくれないか?』


 笑うようなアルの声にユートは少しばかり悩んだ末に


「分かりました、アル」


 と笑顔で返した。

 二人がそんな話をしているうちに木々の間から王城がその姿をのぞかせていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ