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生きたい姫ユーストマ

『そう言えばお前、何で俺を呼び出した?』


 座った状態で頭2つ分ほど高いくらいの少女を見上げながら鎧が尋ねると少女は頬を膨らませ、


「お前じゃありません。わたくしにはユーストマという名があります」


『じゃあ、ユーストマ。何で俺を呼び出した?』


「それは……」


 再度問われた問いに少女、ユーストマは唇を震わせた。

 真紅の鎧の蒼と紫の双眸がユーストマの新緑のように鮮やかな緑の瞳を見つめる。じっと静かにユーストマの言葉を鎧は待った。

 しかし、待てど、ユーストマの口から次の言葉は発せられなかった。


『俺にどうしてほしい?』


 真紅の鎧が質問を変えるとやっとユーストマは口を開いた。


「魔術師ロベリアを討ってほしいのです」


 魔術師ロベリア。その名に反応したのか真紅の鎧から殺気が漏れる。


『しっかり息の根止めたと思ったんだがな。生きてやがったか』


 呟かれた言葉にも殺意が籠る。


 悪名高き魔術師ロベリア。かの魔術師は勇者アルレッキーノを勇者たらしめた張本人でもあった。ロベリアの魔術は人々に災いと悲しみを振りまいた。

 その悪行にとうとう国が動き、当時凄腕の冒険者として名の上がっていたアルレッキーノが討伐を任されその首を打ち取り、その功績で彼は勇者となった。

 そのはずであった。


『あいつが生きてるなら世の中、碌なことになってないんだろうな。それで、あいつはどこにいる?』


 腰に差した剣を握りしめながら、真紅の鎧が尋ねると、ユーストマは己が願いが叶ったことに頬を緩ませる。そのまま微笑みを浮かべたままユーストマは真紅の鎧に向かって倒れこんだ。

 咄嗟に鎧が抱き留めユーストマに怪我はない。


『おい、しかっりしろ』


 駆けられた声に反応はない。鎧の腕の中でユーストマは意識を失っていた。

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