表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/20

10話 パワーレベリング・その2

 今日もアリスと一緒に街の外に出て魔物を倒す。

 平和な時代なので、たくさんの魔物と遭遇することはなくて……

 ほどよい具合にスキルの使用回数を回復させることができて、順調にステータスを盗むことができていた。

 アリスも俺が弱体化させた魔物を倒して、レベルアップを重ねていた。


 まだまだ求める域は遠いかもしれないが……

 それでも、着実に前に進んでいるという実感を得ることができた。


「グルァッ!」


 ハンターウルフが飛びかかってくるが……遅い。

 最初はこの魔物に恐怖したものだけど、今では慣れたものだ。

 恐怖を抱くことはなくて、スルリと攻撃を避ける。


 そしてスキルを使い、ステータスを盗んで……


「あっ」


 俺が避けたせいで、ハンターウルフは真正面から岩に突っ込んでしまう。

 打ちどころが悪かったらしく、そのまま倒れて、二度と起き上がらないという事態に。


「まいったな。俺が倒してどうするんだ」

「いいんじゃない? ユウキくんも、いつまでもレベル3っていうわけにはいかないでしょ? 少しは上げておかないと」

「まあ……そう言われてみると、その通りか」


 ちょうど、盗むの残り使用回数が減っていたところだ。

 使用回数の回復を待つ間、普通に魔物を狩ることにしよう。




――――――――――




「ふう……こんなところか?」


 アリスと一緒に、2時間ほど魔物を狩り続けた。

 スキルの使用回数も回復しただろうから、また、元のサイクルに戻しても構わないだろう。


「っと……その前にステータスをチェックしておくか。ステータス、オープン」



==============================

 名前:ユウキ・アストラス

 種族:人間

 職業:盗賊


 レベル:4

 HP :37/37

 MP :14/14


 攻撃力:69(補正値+30)

 防御力:47(補正値+30)

 魔力 :13

 精神 :3

 速度 :58(補正値+30)

 運  :21


<スキル>

『盗む:レベル2』『隠密:レベル1』『解錠:レベル1』

『分配:レベル1』

『剛力:レベル1』『敏捷:レベル1』

『跳躍:レベル1』

『魔力感知:レベル1』

==============================



==============================

 名前:アリス・スプリングガーデン

 種族:人間

 職業:鑑定士


 レベル:7

 HP :44/44

 MP :29/29


 攻撃力:16

 防御力:19

 魔力 :28

 精神 :23

 速度 :13

 運  :8


<スキル>

『鑑定:レベル3』

==============================



「おっ、盗むのスキルがレベルアップしてる」

「私は、鑑定がさらにレベルアップして3になったね」

「あとは……なんだ、これ?」


 知らないスキルが増えていた。


「『分配』? 聞いたことのないスキルだな……?」

「盗んだもの?」

「いや、ステータスしか盗んでいないぞ」

「ということは、盗賊の固定スキルかな? レベルが上がったことで、新たに習得したんじゃないかな?」

「そうかもしれないな。しかし……『分配』か。名前だけ見ても、どんな効果があるのかさっぱりわからないな」

「安心してね。そういう時のために、私がいるんだから」


 鑑定のスキルを持つアリスがいれば、こういう時は非常に助かる。


「視てくれないか?」

「うん。ちょっとの間、じっとしててね?」


 アリスがじーっとこちらを見た。


「なるほどなるほど……これはまた、なんというか……」


 効果がわかったのだろう。

 驚いたような顔をしているが……

 独り言はやめてほしい。

 使えるスキルなのか使えないスキルなのか、判断に困る。


「どういうスキルなんだ?」

「とてもおもしろいスキルだね。『分配』……己のステータスを特定の対象に一定時間、貸し出すことができるみたい」

「ステータスを……貸し出す?」

「百聞は一見にしかず。とりあえず、やってみよう?」

「わかった」


 スキル『分配:レベル1』発動。

 対象はアリス。

 貸し出すステータスは、攻撃力を10ポイント。


「ふぁ」


 俺の体が光、線が伸びて、アリスに接触する。

 次いで、アリスの体が光り……

 ほどなくして収まる。


「これで成功……なのか?」

「ステータスを確認してみよう。ステータス、オープン」



==============================

 名前:ユウキ・アストラス

 種族:人間

 職業:盗賊


 レベル:4

 HP :37/37

 MP :14/14


 攻撃力:59(補正値+30)(分配中-10)

 防御力:47(補正値+30)

 魔力 :13

 精神 :3

 速度 :58(補正値+30)

 運  :21


<スキル>

『盗む:レベル2』『隠密:レベル1』『解錠:レベル1』

『分配:レベル1』

『剛力:レベル1』『敏捷:レベル1』

『跳躍:レベル1』

『魔力感知:レベル1』

==============================



==============================

 名前:アリス・スプリングガーデン

 種族:人間

 職業:鑑定士


 レベル:7

 HP :44/44

 MP :29/29


 攻撃力:26(加算中+10)

 防御力:19

 魔力 :28

 精神 :23

 速度 :13

 運  :8


<スキル>

『鑑定:レベル3』

==============================



「おっ、成功しているな」


 俺の攻撃力が10ポイントマイナスされて、アリスの攻撃力が10ポイントプラスされていた。


「盗賊……義賊であるユウキくんならではのスキルかな? 得た富を民に分け与える……そんなところから、『分配』というスキルを得たんじゃないかな?」

「なるほどな」


 納得の説明だった。


「このスキルを使えば、さらに効率の良いレベル上げができるな」


 まずは敵のステータスを盗み、己のものとする。

 そして、それをアリスに貸し出す。

 敵は弱体化されて、アリスは強化される。


 今まで以上のペースで魔物を狩ることができるだろう。

 『分配』の効果はすぐに切れることはないから、一度発動すれば、長い間戦うことができる。

 その間にスキルの使用回数も回復して……


 うん。

 良いことずくめじゃないか?

 これならいつまでもレベル上げをすることができそうだ。


「よし、がんばるとするか!」

「うん、そうだね。私もがんばるよ」

「おっ、やる気だな?」

「ここまで色々としてくれているのに、やる気を出さないわけにはいかないよ。ユウキくんに完全におんぶっていうのは心苦しいんだけど……その分、がんばって期待に応えないと!」

「その意気だ」

「わっ」


 アリスの頭をわしゃわしゃと撫でた。


「私のこと、小動物扱いしていない?」

「いや、そんなつもりは……悪い。気に触ったか?」

「ううん……ご主人さまが私に触れたいのなら、いくらでもいいよ? 私はご主人さまのものなんだから」

「……ご主人さまはやめてくれ」

「ふふっ」


 くすくすと笑うアリス。

 この穏やかな時間が、なんだかとても愛しい。


「それじゃあ、やるとするか」

「はい」


 二人、気合を入れてレベル上げに挑む。

 街に帰るのも忘れて、自給自足のサバイバルをしつつ……

 一週間、がんばってレベルを上げて上げまくった。


 その結果……



==============================

 名前:ユウキ・アストラス

 種族:人間

 職業:盗賊


 レベル:14

 HP :89/89

 MP :32/32


 攻撃力:133(補正値+50)

 防御力:125(補正値+50)

 魔力 :26

 精神 :15

 速度 :123(補正値+50)

 運  :45


<スキル>

『盗む:レベル3』『隠密:レベル3』『解錠:レベル2』

『分配:レベル2』

『剛力:レベル3』『敏捷:レベル3』

『跳躍:レベル2』

『魔力感知:レベル2』

==============================



==============================

 名前:アリス・スプリングガーデン

 種族:人間

 職業:鑑定士


 レベル:42

 HP :186/186

 MP :124/124


 攻撃力:78

 防御力:68

 魔力 :108

 精神 :117

 速度 :59

 運  :34


<スキル>

『鑑定:レベル5』『解析:レベル3』『空間分析:レベル2』

『天眼:レベル4』『心眼:レベル2』

==============================



 ……こんな形になった。

 ベテランの冒険者は、基本、レベル30でステータスが50前後と聞く。


 そのことを考えると、俺はレベル14なのにベテラン冒険者の3倍近いステータスを有することになり……

 アリスはアリスで、レベル30を遥かに越えて42に到達していた。


 ……ちょっと鍛えすぎたかもしれない。

『よかった』『続きが気になる』など思っていただけたら、

評価やブックマークをしていただけると、すごくうれしいです。

よろしくおねがいします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ