悪魔との戦い、染められた黒幕
2021,2/1 添削
赤い空の下、黒い煙が上がる場所では、町を破壊していく魔物が居た。 2m無いくらいだろうか。 そこまで大きいわけでは無いが、悪魔としか言いようが無い見た目の魔物だ。 燃え盛る炎を吐き散らかしている。
「さぁ見つけたよ。 お前達っ、戦闘準備だよ!」
「「お、おう!」」
少し怯み気味だが下っ端達もカレンに続いている。
「お前ら! 相手が何であろうと怯むなよっ!」
そんな中、ダロットさんが喝を入れる。 流石リーダーと言ったところ。 一気に士気をあげている。
「さぁ来るよっ。」
「ク゛ワ゛ア゛ァ ァ ァ」
魔物はこちらに向けて徐に炎を吐く。
「《フラマウアー》」
右手を前に突き出したカレンの詠唱と同時に深紅の光を放つ。 すると、迫りくる炎の前に巨大な火柱のようなものが出現する。 炎は火柱に吸い込まれていった。
「今だよっ!」
掛け声と同時に下っ端達が仕掛ける。
「「《フラム》」」
「「《ヴァーム》」」
全ての攻撃がヒットする。
「ク゛オ゛ォ ォ ォ」
下級と云えど数が有れば流石に効くようだ。
「まだまだっ! 《レームドン》」
ダロットの檸檬色の魔導書が光る。 魔物は電撃のようなものに囲まれ動きが封じられている。
「ク゛ク゛ウ゛ゥ」
「これで終わりだよっ 《フォルボルリヒト》」
カレンが目を瞑り詠唱すると、なんの前触れも無く魔物が爆発した。
「流石姐さん!」
「流石だなぁ」
「やったか!」
下っ端達が次々と称賛の声を上げている。 ダロットさんも満足そうだ。 しかし、カレンだけは未だに身構えていた。
「ハ ァ ァ ァ……」
「「んなっ!?」」
「「嘘だろ……。」」
「やっぱりねぇ。」
下っ端達は驚き戸惑い、カレンは苦悶の表情を見せる。 魔物の表情が邪悪な笑みに変わっていく。
こちらに向き直り大きく息を吸う。 強力なブレス攻撃をする時の初動だ。
「もう魔力は殆ど残ってない……。 それでも、全て使い果たせば何とか……。」
「それはさせねぇぜ姐さんよぉ。 これでも俺もリーダーやってんでね。」
カレンの隣に檸檬色に包まれたダロットが並ぶ。
「ダロット…… あんた……。」
2人の光が混ざり合い、蜜柑色に輝く。
「ク゛ワ゛ア ア ア ア」
胸を大きく膨らました魔物は、その体から出ているとは思えない程大きく、迫力のある炎を吐き出す。 体長の倍は優に超えている。 その場にいるほぼ全ての人が立ち尽くす中、2人だけが皆の前で迎え撃つ。 吐き出された炎は近づくにつれ大きさを増していく。
「これで止め……
「наманюрюи」
何かの言葉が聞こえた瞬間、轟音と共に大きな斬撃が後方から飛んできた。 斬撃が通ったあとは強い風が吹き荒れる。 そしてその斬撃は炎をいとも簡単に切り裂き、更には魔物さえも切り裂いていった。
ここに居る全員が本当に何が起こったのか分からず、辺りは森閑としている。 風の音でさえ、音を立てることが出来ない。
いち早く我に返ったカレンが恐る恐る後ろを見る。 そこには葡萄染(赤味がかった薄い紫色)の光に包まれたハイド…… の様な人が立っていた。 その淡い光は彼の魔導書から出ている様だった。
ハイドと思われる人物は徐に魔導書を取り出す。 それを見たある2人が両者両様の反応を示した。 1人は顔を真っ青にしているカレン。 そしてもう1人は……
「な,なんなんだ…… それは……。お前、魔術は使えないんじゃ……?」
冷や汗をかきながら路地裏から出てきた、黒い法衣に身を包んだリーバルだった。
どうもどうも、赤水捺南です。
1ヶ月半ぶりくらいでしょうか。
第6話を読んで下さりありがとうございます。
今回は待ちに待った戦闘回となっています。 唯、正直な所相手が弱かったというのもありますがシーン自体は少なめになっています。 すみません。 敵の詳細等は次回のネタバレとなってしまうので控えておきます。 楽しみにしておいてください。 頑張るので。
さて、今回は戦闘シーンがあったわけですが、気になっていることがあることでしょう。 そうですその通り。 新しい魔術の登場です。 やりました。 ということで、作中で出た3つの魔術を簡単に紹介していきたいと思います。
まず最初に『レームドン』から。
レームドンは、ダロットさんが使った雷系の魔術になります。ランクはⅡで『シードン』の1つ上。フライアーテでは使用することが出来ません。 攻撃に加え、軽く動きを封じる事が出来ます。 これもレベル差によって効果時間が変わります。
『フラマウアー』
フラマウアーは炎系の魔術でカレンが使いました。 ランクはⅣで下っ端達が使ったフラムの3つ上。 当然フライアーテで使用は出来ません。 効果としては、火の玉が火柱に変わった事により、魔術を防ぐ事が出来るようになりました。 直接相手に当てる事も可能。
『フォルボルリヒト』
この術は固有魔術となっています。 炎系という事と相手を一瞬にして倒す、という情報しかわかっていません。
長々と失礼しました。 このことから、ダロットとカレンは下級魔導士では無いことがわかります。 そしてカレンは選ばれた存在という事も……。
さらにさらに、最後はハイド(?)の登場です。 美味しいところだけ持って行きましたね……。 魔術が使えないのに斬撃が!? 本当に彼が放ったのか!? お楽しみに!
ということで、長くなってしまいましたがここら辺で失礼したいと思います。
感想、評価等お待ちしています。
次がいつになるかは分かりませんが、ストーブが活躍する頃にでも、またお会いしましょう。
赤水捺南