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出会いの町、些細な問題

2020,9/25 添削

 遠くに見える大きな影。 こんなに離れているのに町1つ見えなくなる程の大きな影。


「そ、相当な大きさだな……っ。」


 間違いなくそこら辺の魔物とは違う。 更によく観察してみると此方(こちら)に向かって歩いているではないか。

 次の瞬間、急にその影が大きくなった。


 ーーバレた……!


 向こうが此方に気づいて走ってきたのだ。 明らかに強い魔物だ。 持っているのはなんの役にも立たない書物と、なけなしのお金で買った石でできた短剣のみだ。 太刀打ち出来るわけがない。


「あぁ…… 終わった…….。」


 勝てない。 負ける。 殺される。 怖い。


 恐怖で足が(すく)む。 ぐちゃぐちゃに引き千切られる未来しか見えない。 まずい、頭がボーっとして視界が(ゆが)む。 泣いているのか? それすらも分からない。


 気付いた時には目の前に大きな塊..…… 中級に当たる魔物、ビーツボアーが居た。 猪の様な見た目で、真紅の鎧を(まと)い、背中には鋭い(とげ)が並んでいる。 口元を見るに血がびっしり。 食事をしていたようだ。


「フゥー…… ハァー……」


 ビーツボアーは、今にも飛び掛かろうとしている。


 すると、なんの前触れも無くビーツボアーが倒れた。 音も立てずに倒れたのだ。


「そこの君! 大丈夫かい?」


 棒立ち中のハイドの隣にスタッと着地する。


「うわあああああああ……あ? お、女……の子?」


「な、なんだい、びっくりするね。 そうだよ、あたしゃ女の子だよ。 文句あんのかい? ビビり君?」


「な、ないです!」


 チェリーカラーのポニーテールに褐色肌(かっしょくはだ)、胸を強調させる赤の短いタンクトップにデニムホットパンツ。 身長は180cm無いくらいだろうか。 アレンと比べればとても高い。 姉御肌(あねごはだ)といったところだろうか。 そんな感じがする。


「あ、あの…… ありがとうございます。 助かりました。」


「礼なんていいよ。 困っていたら助ける、だろ?」


 なんて優しい人なんだ。 こんなにも優しさが心地よいものだなんて……。


「ところで君、こんな所で何をしていたんだい? っと、そういや名前を言ってなかったね。 (あたし)はカレン、カレン=リーラン。」


「ハイド=エイズです。 よ、よろしくお願いします。 えと、ファインドを目指していたんですけど、急に人影が見えて……。」


「人影? いやいや、今のはビーツボアーだよ? 人影なんか出るわけないじゃないか。」


「いや、でも……」


「さては冒険初心者だな? まぁ初心者ならビーツボアーが分からなくても仕方ないね。」


 なんか勝手に話を進められている気がする。 カレンさんは少々話を聞かない(ふし)があるようだ。


「取り()えず、ファインド(まで)は送ってあげるよ。 私もそこに用があるしね。」


「い、いいんですか? それじゃぁお言葉に甘えて……。」


「いいも何もまた襲われたら大変だからねぇ。」


「お恥ずかしい……。」


 カレンさんが優しい人で助かったよ。 本当に。


 〓

「お、大きい……。 大きすぎる……。」


 町の門を前にしてそんな気の抜けた声が()れた。

『出会いの町 ファインド』

 その名の通り、様々な人々が行き交っている。 中には、ハイドと同じように旅をしているのだろう人も沢山いた。


「あはは、随分(ずいぶん)気の抜けた声だねぇ。 ま、この町も言うほど大きくはないんだけどねぇ。」


 これで大きくないのなら自分が居たところは... と考えたが目眩(めまい)がしてきたので考えるのを辞めることにした。


 道中、色々なことを聞かれた。 今までのこと、何故(なぜ)旅を始めたのか、何を目的にしているのか。 詳しくでは無いが、多少噛み砕いて教えた。

 魔導書の話になった時、自虐(じぎゃく)のつもりで見せた自分の物を見た瞬間、カレンは顔色を変えた。 この世の終わりのような、地獄を見たような顔だった。 この魔導書について聞いてみたりしたが、はぐらかされてしまった。 もしかしたら何かを知っているのかもしれない。 ハイドにとって殴る事しか出来ない物なのでそこまで気にしなかった。 これが()()()()()だったのかもしれない。


 〓

 ファインドには、色々なお店があった。 (ほとん)どが出店だが何処も賑わっていた。


「気になるのは分かるけどまずは宿屋だろう? 案内してあげるから先に行きな。」


 そう言うとさっさと歩き始めてしまった。 先に見たかったのに。


 宿屋は分かりやすいところにあった。 入口から真っ直ぐ歩いた所だった。 助かる。


「さぁ着いたよ。 ここが宿屋 《拠り所(よりどころ)》だよ」


 扉の上にでかでかとそう書いてあった。 かなり新しめな建物。 外観がとても綺麗だ。4階建てのとても大きな宿屋である。


「拠り所…… ですか……。 こ、個性的な名前ですね。 それにしても何か騒がしいような...?」


 宿屋内からは何やら複数人の怒声(どせい)が聞こえてくる。


ドンッ!


 大きな音と共に勢いよく扉が開かれた。


「ふげぇ」


「は、ハイド!?」


 思いっ切り後方に飛ばされ、間抜けな声だけがその場に残った。

どうもどうも、赤水捺南です。

お久しぶりですね。


皆様お待たせ致しました(待ってない)。 第4話の投稿であります。 約7ヶ月ぶりでしょうか。 遅いって言わないでくださいね。


と言う事で。 今回のお話では新たにキャラクターが登場した事にお気付きでしょうか。 そうです、カレン=リーランお姉さんです。 最高。

個人的に姉御肌であったり気が強い方だったりが好みのようなので真っ先に登場してもらいました。 最高。

さらにさらに、ハイドが町に到着しました。 のも束の間、何かが起こりそうな予感。 吹き飛ばされてましたね。可哀想。


今回は神様の登場が無くてごめんなさい。 次回は登場するかも??


と言う事で、ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

感想等、お待ちしております。


それではまた、なるべく早くに会えますように。



赤水捺南

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