虐め、出会いへ
2020,9/25 添削
「よし……。 行こう……!」
覚悟を決めて家を出る。 眩しい太陽に照らされた町の姿はいつもと変わらない。 川が流れ、自然豊かなどこにでもあるような町。 決して大きいとは言えないが、そこそこ賑やかな町である。 何度も見た光景。 ただいつもとは違う。
ーまた地獄が始まるー
そんな気持ちはもうなかった。 辛い思いをしなくて済む。 新しい世界へと行ける。 こんな嬉しいことは無い。 そう思うことが出来た。
家から一歩出る。 爽やかな風が頬をなぞる。 高まる気持ちを抑え、町の外へと向かう。
案の定出会ってしまった。 一番会いたくなかった人に。
「やぁやぁやぁやぁハイドくん。 ご機嫌いかがァ?」
「……っ」
目の前に現れたその人物は、狂気じみた笑顔を浮かべている。
「今日は最高な日になるねぇ? だって俺から離れる事ができるもんねぇ? ひゃっはっ」
「リバール=タワー……っ!」
ハイドの生活に地獄を与えた張本人である、リバール=タワー。 下級魔導師ではあるが、かなりの才能を持っている。 魔力に長けていて、得意な魔術は『エクスフラム』。 炎系統術の一つで、最低ランクの『フラム』の一つ上のランクである。 下級魔導師で、次ランクの魔術を使える人はなかなかいない。 虐めのリーダーになるのも頷けてしまう。
「なんだいハイドくん? 嬉しくて言葉も出ないかい? またいつもの、やってあげようかァ?」
いつものとは、魔術で痛めつける事である。 何千回何万回とやられてきた事だ。
「そんなに怖がらなくてもいいよォ? なんたって今日は旅立ちの日、だもんねぇ。 どこの世界に行っちゃうのかなァ! だから遊ばないであげるよォ。 感謝感謝。」
舐められたものである。 いや、其れが普通なのかもしれない。 魔術も使えない奴が旅に出るのだ。
「……ほっといてくれ。」
か細い声でようやく出た言葉だった。 其れを聞いたリバールは高笑いをしながらどこかへ消えて行った。
高まっていた気持ちが台無しだ。 だが、もう会うことはない。 そう思うと気が楽になった。 本当に何もしてこなかった。 其れだけが気掛かりだったが、考えても辛くなるだけなので諦めた。
漸く町の入り口迄辿り着いた。 いつも通っている道なのに長く感じた。 リバールの所為だけではないだろう。
もう一度深呼吸をする。 そしてこれまでのことを振り返る。 が、止めた。 辛いことしかなかった。 首を大きく降ってなかった事に……した。
町を出るのは、家を出るのとは全然違った。 もっと楽に行けると思ったが、足が重かった。これから旅に出るのだ。 大好きな戦闘が出来るのだ。 そう言い聞かせた。
もう一度深呼吸をする。 そして一歩を踏み出した。 新しい世界。これから先どんな事があるだろう。 不安と期待が入り混じった複雑な気持ち。
「なんとかなるよね……。」
ハイドは歩き始める。 取り敢えず近くの町に行く事にした。 目指すは出会いの町、『ファインド』
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またまた登場、神様でございます。 いぇい。
ハイドと言う青年の事を見てみたが……。 覚悟は決まっていたようだ。 戦う事だけを考えていらと思っていたが、町に行くとな。 ファインドを選択した事は素晴らしいと思う。 流石である。 ……。 思った事はこれだけ。 以上。 ただ、これからどのようにしていくかは気になるところだな。
ところで、どのような最低ランクの魔術があるか気になるだろう? そうだろう。教えてやらんこともないぞ? 要らないとな。 困ったものだな。教えておかなければならないのに(教えたいだけ)。
しょうがない。 次話は魔術の説明にしてやろう。 楽しみだ。はっはっは。
じゃあまたどこかで会おう。 さらば。
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とうとう旅立って行ったなァ、ハイドくん。 本当に何もしないと思ったかぁい? ひゃっはっ。 これからどうやって遊んであげようかなぁ。 あぁ、良い事思いついちゃったァ。 待っててねぇ。 ハイドクゥン!?
お久しぶりです。
赤水捺南です。
約2週間経ちましたが、今回の『虐め、出会いへ』は如何でしたか? 少し短いですけど、読んでやってください。
今回はストーリーを書くのが少し難しかったです。
(ここからはネタバレになるかも?)
今回で町を後にします。 途中、虐めのリーダーが出てきます。 一応主人公ハイドと同じくらいの年齢なのですが、その年で次ランクの魔術を使うのはかなり凄いことです。 そういう設定です。 はい。(因みに年齢は17歳くらいと見ておいてください)
リーバル=タワーが使う炎系統術、『エクスフラム』はどのような効果なのか。 それは次話で話したいと思います。 ちゃんとストーリーも書きます。 安心してください。
感想等もお待ちしております。
これからも頑張って書いていくので宜しくお願いします。
それでは、また次話でお会いしましょう。
赤水捺南




