フールーダ・パラダイン暗殺計画? ~無駄にスゴイぞフールーダ!~
需要がないのは分かり切ってはいる。
正直に言って、なんとなく考えてたら即興でこうなった。
マジで無駄にスゴクなってしまった・・・
魔導王国従属国バハルス帝国の三重魔法詠唱者フールーダ・パラダイン。
齢200を越え、なお旺盛な知識欲と、歴代皇帝に仕えてきた大魔道士。
長きに亘る帝国への貢献とその栄光は、いとも容易く裏返る。裏返されたそれは、多くの不平不満の捌け口でもある。
・・・ ・・・ ・・・
フールーダは魔法学園の門前で、ソワソワと普段とはらしからぬ様子ながら、何かを待ち望んでいる。
門番達が、居心地が悪そうに見詰めるのも意に返さず、ただひたすらに今か今かと遠くを伺っている。
「おじ~ちゃ~ん!」
「おぉ、おぉ。よう来た、よう来た。待っておったぞ」
幼子は、密命を受け、魔導王国の従属国となって久しい、バハルス帝国国立魔法学院の門を叩いた。フールーダ・パラダインの雲孫として。
両手を広げ、好々爺然としたフールーダを前に、ついに呆けた! とその場に居た誰しもがその姿を、己の目を、耳を疑った。
タタタと駆け寄り、思いっきり飛びついていくその子供を前に、「あ、死んだ(腰が)」と呟く者も。
それ程迄に多くの荷物を背負い、更に速度がついた駆け足で飛び付こうものなら、誰しもがそう勘違いするだろう。
「う、嘘だ!」
「そ、そんな!?」
「ば、馬鹿な!」
だが、老いたりとはいえ、三重魔法詠唱者。瞬時に《トランスロケーション・ダメージ/損傷移行》、《リヴァース・グラビティ/重力反転》、《パーフェクト・ウォリアー/完璧なる戦士》を行使。
幾つかの尊厳を犠牲に、石畳に二本の轍を輓きながら、フールーダは見事に受け止めきった。
「えへへぇ~!」
「ふぅ、重くなったのぅ。次に来た時は、もう少し優しく労って貰わんと、儂の腰が持たんな」
若干、痛そうに腰の辺りをさするフールーダ。
「え~? そうなの?」
「そうじゃよ、流石に歳じゃからな」
「ん~、わかった!」
あ、これって、何もわかってない返事だ。などと、その場に居た誰もが思った。
周囲を唖然とさせながら、何事もなかったかのように手をつないで歩き去る二人。
ガシャリ、と音を立て、崩れ落ちる全身甲冑の騎士達。
フールーダが轍を輓きながら後退る最中、ある密命を受けていた騎士達は、今がその機会とばかりに介護に託つけ迫ったものの、フールーダのヒップアタックによって吹き飛ばされ、後方の壁にクモの巣状のひびが入るほどに叩きつけられたのだった。
フールーダは歳のせいか気がついていなかったが、フールーダ暗殺を目論む騎士達の甲冑の角が、ちょうど尾骶骨の辺りにぶつかっていた為の痛み。
流石に、現状での暗殺は不可能と判断され、暗殺計画は順延となったのであった。
ちなみに、暗殺の命を受けていた騎士達だが、魔法によって命を取り留めたが、爺のケツに殺されかけた騎士として、不名誉を被ったのだった。
密命? 今度潜入する際の顔繋ぎと、将来に向けた学園見学。
ほぼ心の赴くままに書くだけなら、幾らでも。
オヤジ脳のなせる技? らしい。
次回の予定は未定です。