7 初めての仕事。
素人の描いている小説なので急展開やチート登場があっても驚かないでください。
私は、今ギルドに来ている。
え?なんでかって?そりゃぁ仕事を探すためですよはい。
今のところお金には困ってはいないが、いつなくなるかはわからないのでためておくに越したことはない。それに孤児院に仕送りもしたいしね。
というわけで仕事内容の書いてある掲示板のところに来たのだが…
「うーん、オリーブの葉300gm8セル…アロエ250gm10セル…。やっぱり採取系はダメか…」
採取系ではなかなか稼げないのだ。物価はすごく安いのでこれでも生活はできるのだがそれ以上のことはできない。
ということでお手伝い系のものに行く。
そこには「愛犬のポンを探して!」とか、「財布を無くしました。探すのを手伝ってください。」や「一緒に鍛えませんか?」などいろいろなクエストがあった。
…いや、突っ込まないからね!?最後のとか。
そんな中で「お父さんを少しでも助けるために、お昼までにバジリスクの抜け殻を一緒に採取してくれる人募集。」というのに目が止まった。
バジリスク…ってあの?蛇みたいなやつだよね?
少し迷ったが興味が湧いたので、これを受けることにした。
「すみません。これを受けたいのですが。」
私は受付嬢に掲示板から持ってきた伝票を渡す。
「かしこまりました。受注金は5セルです。」
クエストには受注金というものがある。いわゆる保険金だ。そのクエストを受ける前に渡して、クエスト中にもしものことがあれば保険が下りる。
まぁ、今回はお手伝い系だし、討伐系よりは少ない。とはいえ森のほうに行くので相場よりは高めだ。
私は5セルを払い、依頼者への地図をもらいギルドを出ることにした。
ギルドを出て南に5分ほど歩いていると目的の場所が見えてきた。
私は目的の家の前で立ち止まると呼び鈴を鳴らした。
奥のほうから返事が聞こえたのでしばらく待っていると。
「はい、どなたでしょうか…?」
出てきたのは30を少し超えてるであろう女の人だった。
「こちらにトム君は居られますでしょうか?私は冒険者でトムという方の依頼を受けてきたのですが…」
「まぁ、あの子がそんなことを…。少し待ってくださいね。呼んできますので」
しばらく待っていると、奥からおとなしそうな男の子が出てきた。
「君…冒険者?」
「そうですよ。あなたからの依頼を受けてきました。」
というと私は冒険者カードを取り出し見せた。
「すごいね…その年で冒険者なんて…。あ、僕はトム。今日は来てくれてありがとう。早速なんだけど町はずれの森に行きたいからちょっと準備してくるね。」
別にこの世界では私くらいの年齢の冒険者はそれなりにいるはずなのに…やっぱり成長してないのかな(どこがとは言わないが)私…
と、少し落ち込んでいると奥から準備の終わったトムが出てきた。軍手に長靴、長袖にかかとくらいまであるズボン。まさしくこれから森に行くという恰好だった。(※草や枝などでけがをしないために森に入るときは大抵こういった格好をします。)
「君は…そんな恰好で大丈夫なの?」
「あー、まぁ私なら問題ありません。後私のことは…ティアと呼んでください。」
「わっかた!じゃぁ行こうか。ティア。」
元気な声とともに、トムは駆け出して行ってしまった。
私は置いて行かれないように後を追うことにした。
―――――――――――
私はいま、森の中にいます。
…別に遭難しているわけでも採取に困難しているわけでもないです。
採取自体は、トムの父親が森で木を切って生活していて、バジリスクの巣の位置は仲間たちの間で危険だからということで共有されていたため直ぐに終わりました。
そんなことより、もっと重大なことがあります。…それは虫です。それもカブトムシのようなものではなく、蚊や蜂などです。…あーー!さっきからうるさい!私の周り飛び回るな!
あまりにも気になったので創造魔法を使って虫よけを作ってみました。
それからしばらくはお互い喋ることもなく黙々と作業をしていたのですが…
「単純で暇ね…」
そう、バジリスクの抜け殻を切ってカバンに入れるという作業だけなので暇なのだ。しかし採取の量は多いので時間はかかるのだ。
というわけで、私はほかのことを考えながら作業をしていた。
…これから、どうしよう。毎回こんな報酬のいいクエストが転がってるとも思えないし、となると街の外に出て採取クエストなどをして稼がないといけないか…でも、町から出るっていうことは当然モンスターもいるしもしかすると盗賊とかもいるかもしれない。
せめて防壁とか作れたら逃げるときの時間稼ぎにはなる…?
思い立ったが吉日。早速防壁魔法をやってみる。
やってみるといっても防壁魔法なんてものは存在しない。土魔法で壁を作るくらいだ。でも、土では強度が物足りない気がする。
ということで創造魔法で作ってみることにした。創造するのはエ〇ァンゲ〇オンなどに出てくるような障壁だ。
思い浮かべる…できた。
そこには光の壁のようなものができていた。
トムもこちらに気が付いたのか。
「お姉ちゃん魔法使えるの…?」
と聞いてくる。
「えぇ…」
私は適当に流しておく。そろそろ採取を再開しないと依頼の量に届かないからだ。届かなかったらまたお昼からもやらねばならない。が、お昼からはタントに鍛冶を見せてもらうのでそうならないように採取を再開した。
――――――――――
「ふぅ、終わったわね。」
「ティア。ありがとうね。はい、これ終了書。」
といって、トムは私に依頼クエストの終わった証の終了書をくれた。
私は軽く挨拶を済ませギルドに戻ることにした。
帰りにふと自分のステータスをのぞいてみると防壁魔法というのが増えていて、たいそう驚いた。光の壁を作ったときに新しい魔法を取得していたらしい。創造魔法…恐ろしや。