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二、アイデアと表現


レモン「なんだかさ、パクリって言葉、やじゃない?」

カボス「どうしてだ?」

レモン「他人ひとの著作権を侵害しているものがパクリなのか、それとも他人のアイデアを使っただけでパクリなのか、定義が曖昧じゃないか。そもそもそういう人は、アイデアと表現の区別がわからないから、あえて法的な意味を含まない『パクリ』って言葉でごまかしてるのかもしれないけどさ」

カボス「そうなのか?」

レモン「だとしたら、あれよりはマシか」

カボス「あれって?」

レモン「あれだよ、あれ。お金が絡まないのにだまされたってだけで『詐欺さぎ』って言葉を使ってみたり、『遺失物横領』のことを『窃盗』っていってみたりさ」

カボス「ああ……」


レモン「そもそも、著作権法で独占できるのは『表現』なんだ。だからたとえば、『レモンとカボス』っていう僕らとまったく同じキャラクターを絵郎以外が勝手に使って小説を書いたり、もしくは、


 フレデリック

 ショパンの食パンしょっぱい食パン

 主食用パン略して食パン

 ショパンの食パンしょっぱい食パン

 シャンパンかけてめしゃーがれって

 しゃーがれごえで言われても

 わたしゃーシャンパンかけにゃーよ

 主食用パン略して食パン

 か け て た べ よ う

 HACHIMITSU


 これを小説内に書いたりしちゃうと、絵郎に対してその著作権を侵害していることになるんだ」

カボス「ああ、なるほどな。それが『表現』ってやつか」

レモン「でも、いくらなんでも『アイデア』までは独占できないんだよ。例えば、絵郎の『佐吉のうた』を読んで、『天正19年、石田三成が妻と過ごすお話』を他の誰かが書いたとしても、それは別に問題ではないんだ。法的には許可を取る必要もない。明らかに『表現』を盗用しているのであれば、それは問題だけどね」

カボス「ふうん、なるほどな」

レモン「アイデアを盗むのは悪いことじゃないと思うんだ。そんなことを言ったら、いわゆるテンプレート的なお約束や形式も使えなくなっちゃうからね。だから、アイデアのことに対して『盗用』なんていう人聞きの悪い言葉を使っちゃ良くないんじゃないかな」

カボス「SFなんかもう、話の型だったりアイテム名だったりが一般化しちゃってるしな」

レモン「技術情報を独占したければ特許を取るべきだし、商標であれば商標権の出願をすべきだと思うよ。実際、過度な独占を防ぐために、これらは自然発生の権利じゃなくて、手続きによって取得する権利になっているんだ。ただ……」

カボス「ただ?」

レモン「日本には、たとえ法的に問題のない場合でも、『礼儀として』『暗黙の了解として』っていう曖昧文化がある。法治国家でありながら、ある意味で礼治主義的なところもあるんだね。(なのに絵郎のパソコンで『レイチ』と打ってすぐに変換できないのはどうしたことなんだろう……)」

カボス「まあでも、そういうのはうまくやっていくしかないな」

レモン「そうだね。その時々に、適切な対応を心がければいいんじゃないかな。人のアイデアを参考にするときには、その度合いにもよるけれど、一言ことわっておくことでトラブルを回避すればいいんだと思うよ」

カボス「そうだな」

レモン「曖昧文化が悪いわけじゃない。定義が正義とはかぎらない。僕はルドンの曖昧絵画が大好きだ」

カボス「それ、関係ある?」


レモン「……まあ、強引に話をまとめると……」

カボス「おう」

レモン「曖昧は嫌いじゃないけれど、だからといって『表現』と『アイデア』を区別できずに『パクリ』という曖昧な表現で人をおとしめようとするのは、ルドン好きのレモンも許さないぞ、ってお話でした」

カボス「……おう……」







「ショパンの……HACHIMITSU」

これは、檸檬 絵郎 作『朝ごはんを食べようよ』(詩)の一節です。


……というか、このエッセイ(のようなもの)……、朝ごはんのPV数をとっくに抜いている……(笑)

それどころか、『佐吉のうた』も抜いている……(笑)

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