第4話 ある空間での一幕
パラレル異世界に来てから1日が経過した。
西暦1600年10月2日
太陽は東から昇っていた。やはり、ここは地球なのだろうか。
目覚めはそこまで悪くなく、ただ灰色の壁が目に入った。
しかし、昨日のことを思い出せない。
えーと確か、クロムが持っていた半分くらいのお金で家具をある程度揃えて、
ベッドでそのまま疲れて寝てしまったのか。
背伸びをしながら隣を見てみると、
「えっ」
誰だ。
髪は短髪で、横になりながら寝ている。
上の服の色は黄色と緑っぽく、で、下は薄い青色のようなズボンだ。
まさか、女性?
あたふたしていると、
「ふぁぁ...」
「おはよぉー。...あれ、どうしたの。具合でも悪いのぉ?」
「なあ、クロムって女?」
クロムは目を丸くして
「そうだけど。何か?」
「えぇーーーーーーーーーーーー!!」
おかしいだろ。丸一日過ごしてクロムが女だと気づいたのがさっきなのか。
いや、まさか少年に見えたのも魔法なのか?
いやいや、それよりも、こんな小さい少女と同じ家で寝てたのか!
うわぁ、最悪、社会的に死んだ。
ソータが慌てて家中を歩いていると、
「あれ、僕が女だって気づかなかったのぉ?」
「いやいや。気づくわけないだろ。まず、一人称を僕と言ってるじゃないか。」
「それはぁ、昔からなんだから仕方ないじゃないかぁ。」
ソータが慌てて、
「クロム、お前何歳だ?」
「えーとぉもう、15歳になったね」
嘘だろ、こんなに身長が低いのに。俺よりも20cmくらいはしただと思ってた。
こんなにチビで一歳差かよ。
「ちょっと、お兄さん。チビって言った?」
「あ、えーと、うん。言ってないよ」
クロムは左手をしっかり握って何か唱えた。
「?、あれ。........痛っ!痛たい!!痛ってぇ!!!」
まるで身体中にまち針が1cmづつ刺さった感じがした。
しかし、体に損傷はない。だが、数秒だったが相当痛かった。
「クロム、何をしたんだ...」
「これがねぇー。攻撃魔法だよぉ。感覚を一瞬だけ変えるんだ。中魔法の基礎だね。どう?痛かったでしょ」
「痛いも何も断りもなく勝手に魔法をかけるな。」
「はーい。多分ねぇ。」
絶対分かってない。またやるつもりだこいつ。
「さて、まあ、同居することにもなったし、呼び方を考えよぉ」
「俺はクロムと呼んでるけどそれでいいのか?」
クロムが大きくうなずいて、
「全然おーけぇぃ」
「僕は、お兄さんのとこを、えーと...」
「ソータだ」
クロムが手を叩いて、
「そうそう。『ソータ』って呼ぶね」
まあ、普通な感じで呼び方を決めた。
まあ、クロムの方が一応年下だが、まあいいだろう。
さあ、これからどうするのか。俺はまず、この世界について知りたい。クロムは多分記憶を消すために魔法使い探しをしたいだろう。
突然クロムが、
「あ、ソータ。ソータはこれからどうしたいの?」
「もちろん元いた場所に帰りたい。その前に、この世界について知りたい」
クロムがニコッと笑ってまるで思って通りだと言わんばかりに
「なるほどぉ。知りたいのかぁ。それならねぇ。強い魔法使いに聞くといいよ。」
「強い魔法使いだと?」
「そうだよぉ。大抵強い魔法使いはいろいろな情報を知っていると言われている。特にその中でも有名なのが『アルミナ』と言う魔女だ。」
『魔女』この言葉は日本でも世界でも知らない人はいない。いいイメージもつくだろうが、やはり、悪いイメージの方が多いだろう。
「まぁ、僕もそのアルミナ目当てなんだけどねぇ。」
ソータはあぐらをかきはじめて、
「その『アルミナ』って言うやつはどんな人なんだ?」
「アルミナは小魔法、中魔法は言うまでもなく、大魔法の25%も使えるすごい人だよぉ。大魔法の数って、小魔法の四倍、中魔法の二倍なんだよぉ。」
さすがに全部は使えないのかと思ったが、使えたらチート級になるのでまずいないと思う。絶対に。
「アルミナの得意とする魔法はぁ、火だ。高温をだすが、自身は燃えないし融けない。しかし、水には弱いんだよぉ。大魔法の記憶消去も可能だと言う噂なんだよぉ。」
「でもぉ、問題なのがアルミナがどこにいるかと、性格だよぉ。ただでさえクロロ街は規格外に広いから見つけるのも大変だと思うしぃ、まずクロロ街にいるのは噂だからぁ、いない可能性もあるんだよぉ。そして、アルミナを怒らせたらぁ、死ぬとも言われてるんだぁ。噂だけどねぇ。」
なるほど。アルミナというやつは火が得意で水が苦手。
厄介なのが怒らせてはいけないということか。
人を殺しても捕まらないのは記憶消去でも使っているのだろう。多分。
「じゃあ、そのアルミナを探しに行くか。」
ソータは立ち上がり、それの続いてクロムも立ち上がった。
「よし、行こぉ!」
ここにソータとクロム(実は女の子だった)のアルミナ探しが始まる。