王国勇者編3
「はーっ………ふっ……」
何度目になるか、神剣の前で深呼吸する習
「よし。」
一言、自分に喝をいれた
目の前の神剣に手をかけ、全体重を乗せ上へ抜く。
「ぐッ!!」
まるで、大樹を根っこから引っ張るような感覚。
数秒引っ張っただけでもかなりの疲労が全身を襲う
「諦めるもんか、諦めてたまるか…」
向こうにいる4人には聞こえないほどの声量だったが、自分を奮い立たせるには充分だった。
更に十数秒後、握力が無くなるほど習の全身は疲労していた。
「もうダメなのか…?」
諦めかけていたその時。
今までビクともしなかった神剣が、僅かに動いた。
「ハハハハハっ……殆どの体力を使ってあんだけか…」
動いたことにより習の心は折れてしまった。
なぜなら、習は選定の剣とは抜ける時は抜ける。
惜しいなど無いと思っていたからだ。
なので、動いた時には抜けると確信したが、動いただけであったために、心が折れてしまった。
「僕にもダメ、だった。不知火、僕が言うことじゃないと思うけど、頑張って。」
4人の元に戻った習が、裕哉にエールを送った。
5人とも神剣を抜けなかったら他国の勇者とやらに勝つ確率が低くなると思ったからだ。
「うん、ありがとう。紅月。」
ここまでは皆に聞こえる声
「紅月も頑張ったんだから、ゆっくり休んでおきなよ」
これは習にしか聞こえない声で言った。
恐らく航の事を懸念してだろう。
裕哉と航は仲が良いが、習は航に苛められていた。
裕哉は友人との仲より周りを気にする事が多々あった。
そういう所が裕哉が周りから好かれる理由だった。
恐らく、裕哉は抜くだろう。
それと同時に裕哉の性格上、不特定多数の人間をその力で救うと思う。
自分を捨ててでも。
火水木と終電近くまで残業…
昨日は休日出勤…
疲れで今日は夕方まで寝ていました…
来週は落ち着いて更新できると思います