王国勇者編2
お盆前の繁忙期で12日まで更新は難しいくなると思います…
「俺はみんなの後ででいいよ」
剣を引き抜く順番は裕哉が最後
順に航→彩→葵→習となった。
習としては裕哉が引き抜ける唯一の候補だと思っていたので好都合だ。
だが、裕哉が最後に回ったことで自分に順番が回ってくる
他の三人には抜けないと思っていたし、自分にも抜けるかどうかは自信を持って言えなかったからだ。
挑戦できること自体がチャンスなので。無駄にはできない。
「じゃあ、俺からだな。先に抜いちまったら悪ぃな」
ニタニタしながら航が剣を抜きに向かった。
玉座の裏に剣があるのでこちらからは抜いている姿は確認出来なくなっている。
「ぐっ!うぉぉぉぉぉ!抜けろぉぉぉぉ!抜けろよおおおおおおお!」
かなり難航しているのは声だけで分かった
声が聞こえなくなると
「はっ、はっ、はっ、無理だわコレ」
剣を抜くという作業だけなのにかなり疲れている航が戻ってきた。
「航、間抜けな声がこっちまで聞こえてきたよ」
彩が煽り気味の口調で航に話しかけた。
「いや、マジで無理。次、彩だろ、行ってこいよ。」
息切れしながら煽ってきた彩を剣の方へ向かわせた。
内心情けないと笑っていた習だったが、声に出したら何されるか分かったもんじゃないし、顔にもだなさいようにしていた。
「わかったわ。私が抜いてきてあげる」
そういうと玉座の裏へ向かった
「あ、これ無理だわ。」
すると一言
航ほど強情じゃなかったのか。涼しい顔で戻ってきた。
「はい、次は葵ね。」
「うん。行ってくるよ」
葵もすぐに帰ってきた。
「私も無理みたい。はい紅月君。」
「・・・」
普段あまり女子と会話してないせいか、どういう受け答えをしていいのか分からない。習は言葉が詰まり、何も言えなかった。
「なんか言えよ紅月ィ!どうせテメェも無理だろうがよ!」
すかさず航の怒声。
「そういう航も抜けてないだろ? 紅月もあまり気張るなよ」
裕哉のフォローも早かった。
「う、うん。ダメ元で行ってくるよ…」
言葉とは裏腹に習は人生史上最大のチャンスをモノにしようとかなり気合を入れて向かった。