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ごめんなさい。
体調を崩してしまい
次の更新は月曜か火曜日になります。
同日2話更新しますのでご容赦ください…
二人でも面倒なのに勇者が五人組だったとは…
冒険者の男に不審に思われないように顔には出さなかった。
「へぇ、たしかに変な名前ですね。その人達も田舎からやって来たんですか?」
ついでに居場所も聞ければ儲けものだと思い尋ねた。
「いや、噂の域に過ぎないが王様が召喚した勇者じゃねぇかって噂があるんだ。なんせ名前も珍しいが容姿もかなり珍しくてな…」
ほぼ勇者で確定だろう。
「召喚?おとぎ話の勇者様なんですか?」
数百年から数千年に一度は行われるという勇者召喚。
誰しもが子供の頃読み聞かされた話だ。
「噂の域を出ないがな。でも、本当に勇者様ならこんな庶民的な店にこないだろう。基本は王城に住んでるって噂もあるしな」
王城か…いいことを聞いたな
「本当に勇者様なら私も会いたいな〜」
「お、嬢ちゃんもかい?俺も小さい頃は憧れたな〜。憧れるのはいいことだぞ!」
子供なら誰でも勇者に憧れを持っていると思われてるのだろう。
だが俺達は別だ…
戦力を測り、障害になりそうなら能力を奪う。向こうからちょっかいを出さない限りは基本不介入だからな。
「うん!私も勇者様に憧れてるの!おにぃちゃんとアンリ君とでいい世の中にするんだ〜」
迫真の演技だな…
蹂躙やら支配だのあの口か出たとは誰も思わないだろう。
完全に年相応の女の子だ。
「じゃあ、オジサン達ありがとうございました。もう夜遅いので寮に戻ります。」
アンリがそう言って俺が金を払うと店を出た。
「一件目からかなりの収穫があったな」
寮の部屋に着き先程の話を切り出した。
「ええ。大収穫ですよ。王国の勇者が五人組。王城に住んでいる。街にも顔を出す。これ以上にない情報ですね。」
一日目の一件目で情報収集が終わった出来すぎかもしれないが。偶然とはこういう事なんだな。
もしかしたらシャルが超高校〇の幸運を発動させていたのかもしれないけどな。
「にしても、シャルさんの演技凄かったですね」
笑いを堪えながらアンリが言った
「ああ。あの無垢な少女の口からあんな事やこんな事を言うなんて他人だったら想像出来ないな」
俺も笑いを堪えながらアンリの意見に同意した。
「僕の詐称を使うまでもなくあそこまでの情報をと思うと僕のスキルの存在意義に疑問を持ちますがね…」
いや、お前門番を口先とアイテムボックスのスキルだけで騙しただろ…
お前もよっぽど厄介だぞ…
口には出さなかったが、ディーはアンリの事をかなり高く評価している。
今の俺が他人を評価する程役に立ったり強いとは思わないがな…
役に立つ為にも魔法をどんどん習得していかなければな…。
「そうは思わないけどな…。頼りにしてるぞアンリ。」
そう言って部屋を照らしていたランプの火を消した。