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ーーーーーーーーーーー神だ
そう俺は言い切った
口に出すとなかなか馬鹿馬鹿しいものだった。
神なんて殆どの日本人には信仰の欠片もない。
その上、二次元の描写では美男美女としてオタク達に弄ばれてる。
だが、今は逆に俺達がそんな存在に弄ばれてる。
滑稽だな
「フッ…」
つい笑ってしまった
「何がおかしいのおにぃ?」
「いや、俺達が今まで創作世界の中で神だの、天使だの、偉人だので戦わせてたのに立場が逆になるとは思ってなかったからさ…」
「そうですね。性別を逆にしたりいろいろやった罰当たりでしょうか。」
「あはははははっ!何それ!」
「い、いえ僕はただ…」
アンリが場を和ませようとしてくれたのは分かっている。
それに便乗してシャルもやってくれたのだろう。
「わかってるから大丈夫だアンリ。でもまだこの戦争に巻き込まれると決まったわけじゃないだろう?」
そう、シャルが持ち帰った情報に俺達が完璧には捉えられていないことが分かっている。
「そうだね。アイツは私の事は認識出来ないって言ってたし、おにぃとアンリ君も勇者並としか言ってなかったしね。仮に共和国の王様が事前に啓示か何かで私たちの事を知っていたら。1000人と言わず1万人、それ以上は用意するはずだと思うから」
「そ、そうですね。そもそも王国 共和国 帝国の三国がどの女神の啓示を受けたかは分からないままですし。もしかしたら共和国がガブリエルさんかミカエルさんの担当かもしれませんしね。ただ、啓示は受けているけど、この戦争には関係なく、僕達を倒しても国益にならないという場合もありますが…」
確かにアンリの言う通り後者の場合も有り得なくはない。
「でもさ、アンリ君。国益にならないなら私達にちょっかい出さないんじゃない?力だけなら勇者が王様の上だろうし、権力なら王様が勇者の上。なら対等の立場として王様は勇者に兵を貸したんじゃない?」
そうだな。それで恐らく合っている。
向こうの世界の知識だが、基本王族や皇室は世襲君主制だ。
武力で成り上がるなんてクーデターでも起こさない限りない。
「それが、1カ国だけ武力で成り上がった王がいるんですよ…」
俺の心を見空かせたようにアンリが言った
「バルド帝国か… あそこだけは何をしてくるか分からないって事か。」
武力で成り上がった王
腕試しとか何とか言って挑んで来そうだな…
俺達の存在を知っていたら…
厄介ではないけど面倒だ。
「まあ、今のところ明確な敵意はないはずだ
とりあえずドラン王国を目指そうか」
こうして当初の予定であったドラン王国の王立学校を目指す事にした
1話〜最新話までのルビを全部直していきます