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咆哮とは違う。脳内に直接語りかける特級の陽魔法 精神感応だ。
『地竜が2人の転生者に倒されるって未来視で見えたんだけど、1人その未来視に出てきてない人が居てね。その能力を調べるために一個大隊をそちらへ向けたんだけど、かなりの収穫だね。』
要するにシャルが倒した地竜は俺達が倒したという未来が見えたが、実際にはシャルが倒した事でターゲットを変えたという事か。
コイツ精神感応だけではなく、転移と遠視、いや千里眼か?も使えるな
しかも転移は1000人規模を易々とこなせるレベルか。
いや、だったらわざわざ門の近くではなく俺達の目の前に転移させるはず…。
何かしらの制約があるな。
『へぇ、兄貴の方もなかなか頭が回って厄介だね。兄妹二人で僕の下に付かない?』
「あんたアホでしょ?なんで私より弱い人の下につかなきゃ行けないの?名前的に日本人のキモオタが自称してるんでしょ?取り敢えず雑魚の小物って事は分かったからさ。ぶん殴りたいから面見せなよ。それか死ぬか消えるか」
怒っているのか煽っているのか分からないがキングスレイと言う男の言葉がかなり癪に障ったようだ。
『これは手厳しい…。だって顔を見せたり、本名を明かしたりしたら君の能力で殺されちゃうじゃないか。明かせる情報は僕が元日本人って事だけかな。その返答が来たって事は敵対を選ぶんだね』
相手もシャルの能力をこの短時間で見破ったそうだ。
見せてはいないのにデ〇ノートの能力で自分を殺せると断言している
厄介だ
「敵対?笑わせないで。あんたが私にかなうはずないでしょ?」
『それもそうだね。でも彼ならどうかな? 他人の人形遊び』
何のスキル名だ?少なくとも魔法ではない。
考えていると
「や、やだっ…!」
アンリがこう呟いた。
そのアンリがナイフをシャルに突き立てようとしていた。