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スキルってものは案外メジャーなものなのか
アンリ君でもアイテムボックスというスキルを持ってる。
よく異世界転生ものの小説で見るやつだ。
俺らの能力はスキルなのか…
「あースキルを鑑定できる人いないかなー」
特に意味もない呟きだったが、それを聞いていたアンリの心拍数はかなりあがった
「鑑定スキルを持った人なら 誰がどういうスキルを持っているのかを把握できるかもしれません。 ただ、効力はまちまちなので…」
「まちまち、とは?」
気になる単語が出てきたので質問した
「例えば、僕のアイテムボックスこれは、人によって収納できる規模が違います。
剣のみ収納できる人もいれば、馬車、果ては家をまるごと収納できる人もいます,。
鑑定スキルを持っている人なら鑑定したスキルの詳細も分かる人もいるかもしれませんし、スキルの名前しかわからないかもしれません。」
なるほどな、魔法の練度と似ているものか…
その後もスキル等の話をしているうちに森の入口が見えてきた
「あっ、森が見えたよ!」
ずっと無言だったシャルが口にした
目を凝らすと人らしき点がポツポツ見える
恐らく村の人々だろう
「ところでシャル……今回は……」
「うん、大丈夫。なにも『発動』してないよ。」
この距離なら聞かれないと思ったのか、かなりの小声で二人は会話していたが、アンリは
スキル:盗聴を使用していたため難なく聞き取ることが出来た。
そして、引っかかることもあった。
『なにも』というワードだった
"何も発動していない"というのはおかしい…
では、あの剣の禍々しさはなんなんだ…
ずっと禍々しさを感じていたので、『なにも』発動していないと言う発言はおかしい
もしかしたら、あの剣自体の発動は"俺が目を覚ます前に終わっていて" スキルの内容自体は全く別物なんじゃないか?
それにあの剣よく見たら どこかで見たことあるような……
剣に見とれているのがバレたのかシャルが話しかけてきた
「ん?アンリ君どうしたの? この剣が気になるの?」
「い、いや… 珍しい剣だと思って…」
「まぁ、身の丈に合わないのは承知なんだけどね…」
シャルは苦笑した
「いえ、そんなつもりで言ったわけでは…」
「ところでアンリくん、この剣見覚えないの?」
??? 言っている意味が分からなかった
「ないですよ?」
するとシャルは笑いながら
「そっか…
成功だったみたいだね」
アンリ君の新しいスキル
盗聴
500m程なら雑音も聞こえる
対象を絞るなら1km先の小声も聞こえる能力です