表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

人と共に生きるドラゴン

ドラゴン。それは世界最強クラスの力を持つ魔物。高い知能を持ち人と言葉を交わすことのできる魔物の一つ。そんなドラゴンに生まれた主人公と彼を使い魔の契約の儀式で呼び出してしまった伯爵令嬢との日々を綴った物語。

 人が決して近づくことができない強者達がひしめく魔の領域の奥深く、そこにある泉の近くで日の光を浴びながら昼寝を楽しんでいる存在がいた。ドラゴン。強力な魔物が多数いる魔の森でも上位に君臨する種族である。

 高い知能を持ち、成竜にもなれば20メートルを超し、大きいもので50メートルにもなる。しかし、このドラゴンは5メートルを少し超えた程度。所謂、幼竜という子供のドラゴンであることが一目見てわかるだろう。

 ドラゴンはわずかに生じた魔力の異変を敏感に感じ取り、大きな口を開け欠伸をしながら起き上がった。そして起き上がった直後、足元に魔法陣が出現した。


(これは魔法陣?でも、魔法が一般的でなくなってからかなりの時間がたってるって知識にはあるけど)


 ドラゴンは子孫を残すとき、二体の竜が肉体的につながり卵を産む場合と力ある竜同士が己の魔力と知識を注ぎ込み子を作る2種類の方法がある。前者では複数の子が得られ、親竜が弱るようなことはないが子育てに手間がかかり、生まれてて数十年は面倒を見る必要があるが、成竜までの期間は比較的短い。後者の場合、前提として親が強い力を持っている必要があり、力が足りないと親竜への大きな負担にしかならず、子も産まれない。前提をクリアすれば子を作ることは容易だが、力を注いでしまうため親に負担が生まれてしまうのは変わらない。産まれた子は最初から高い知能と魔力を持ちすぐにでも巣立ちできる。成長は緩やかで成竜まで200年近くかかる。

 このドラゴンは後者の方法で生まれたサラブレットといえるドラゴンだった。


(どんな魔法陣かな?ちょっと待機させてっと。召喚と防護障壁に契約に送還かぁ、これは僕を呼んで契約したいってことかな。行ってみて悪そうなら帰ってくればいいし、襲われたりしたら暴れて逃げてくればいいよね!よし!魔法陣待機解除!)


 足元に広がった魔法陣はさらに大きくなり強い光を放ち、ドラゴンを飲み込んだ。光が収まった時には何の姿も残っていなかった。ドラゴンの下敷きになって癖のついた草を残して。



 ヴァルハイム皇国。豊かな緑と肥沃な大地を持ち、水の精霊が住むといわれる湖から流れる川の水を使って作られたワインが有名あり、高級ワインとして皇国ではもちろん他国でも人気がある。バージニア大陸の西側に存在する国の中で1、2を争う大国である。

 皇国の首都から南に20kmほどにある都市ヴェルサーチ。ここには皇国の未来を担う魔術師たちを教育する機関がある。その名はエインデル魔術学園。ここでは魔術の実技と筆記による入学試験が行われており、身分に関係なくより優秀な人材のみが入学できる、エリート学園であった。身分に関係なくとは言っても事前に学ぶ余裕があるのは貴族ぐらいなため平民の入学者は少ない。


召喚儀式場。今ここでは一年Fクラスの生徒たちが使い魔を召喚する魔法陣を使った儀式を行っていた。


最後の一人ミルファ・エル・アルザレノン。アルザレノン伯爵家の次女。魔力量は一人前の魔術師に匹敵する量を持っているが一度の魔術として扱える魔力の最大量が少なく初級程度の魔術しか使用できない体質だった。周りからは落ちこぼれとして認識されている。


ミルファの詠唱は終わり魔法陣が輝いた。しかし何も出てくることなく魔法陣が光り続け、前代未聞の召喚失敗かとまわりが騒ぎ始めたとき魔法陣の中に光が集まり目を開けていられなくなった。


 『君が僕を呼んだのかい?』

 目を塞いでいたミルファが頭に響いた声に反応して顔をあげた。そこには体長6メートルほど、瞳は蒼や碧に輝く縦に長い瞳孔、四翼二対の羽、ちょうど中間で二つに分かれた尾、大地を踏みしめる鋭い爪を持つ四肢、体中に生半可な武器では傷をつけることも出来ないであろう堅固な鱗を纏い、唯一のチャームポイントといえるかもしれない首周りのふわふわとした毛を持つ、強大な魔力と生物としての圧倒的強者ゆえの威圧感を放つ存在がいた。ドラゴン。それがこの生き物の種族だ。

 ミルファの召喚をやじっていたクラスメイト達は恐怖にかられ、我先にと儀式場から逃げ出した。そこに残ったのは生徒を残して逃げ出すわけにはいかないと目に涙を浮かべ、及び腰になりながら踏みとどまったFクラス担任ナイア。ドラゴンを呆然と見上げるミルファのみだった。

王族ラ・エス 公爵家:デュー 侯爵家:フル 伯爵家:エル 子爵家:ヴィ 男爵家:バン


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ