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滅びの始まり

「さて、私はあれの準備に取り掛かるとしよう。時間稼ぎを頼んだぞ、ヒロト」


「ええ、私にお任せください」


「フラン!今の私ならきっと…あの力にも拒絶されないよね?」


「ええ、きっと大丈夫」


「よーし…!なら、行くよ!」


「うん…!」


フランとこいしが、同時に手に刀を持つ。


フランはレーヴァテイン、こいしは魔力刀だ。


看尾蛇ウロボロス


ラインから、蛇の頭が先についた鎖が飛ばされる。


「またそれか!当たらないぞ!」


「こいし、油断はしないようにね」


「うん!わかってる」


二人が飛び上がって、それを躱した。


「はぁっ!!」ドオオッ


こいしから黒いオーラが発生する。


「はあぁっ…!」ドオオッ


フランからは、紅いオーラが発生した。


「嫌われ者の…!」

「スターボウ…!」


「フィロソフィー!!」

「ブレイク!!」


二人が同時にスペルカードを放つ。


「いいですねぇ…!伸びろ!看尾蛇ウロボロス!」


その掛け声と同時に、鎖がこいし達の二メートル程手前の場所の空間を噛み付いた。


「鳳閃・弐!」


ラインが、弧を描くようにその噛み付いた場所に鎖を伝って飛んでいった。


「そのワイヤーアクションも前に見たから、もう対処はできる!」


こいし達はすでにラインに向けて弾幕を放っていた。


ドオッ


「!?」


その時、弾幕の間をすり抜けてこいしに鎖が飛んでくる。

ギリギリでそれを躱す。

鎖の先の蛇の頭のようなものが、こいしの後ろの空間を噛み付いた。


「捕捉…」


「…なっ…まさか…!」


「こいし!後ろよ!!」


「!!」


「鳳閃・参!」


ラインがこいしの背後に瞬間移動する。


「…なっ…!」


「そぉれ!」


ラインが、袖に隠し持っていたナイフを取り出してこいしに攻撃する。


「くっ!!」


ガキィンッ


こいしは、魔力刀でそれを防ぐ。


「まあ、防ぐでしょうね…」


「フラン!」


「!」


フランがラインに向けて弾幕を放った。


「おぉっと!逃げ逃げ!鳳閃・壱!」


ラインが鎖を伸ばし、それを避ける。


「ふーっ、危ないですねぇ」


「まだだ!」


こいしがラインの右側に現れる。


「!?」


「恋の埋火!」


ハート型の弾幕が四つ飛ばされる。


「…邪刹じゃせつ…」


ラインの右手に青色のオーラが纏われる。

さらに全身からも青色のオーラが発生する。


「…!?」


呀昇脚がしょうきゃく!」


青いオーラを纏った右足で、四つの弾幕を全て蹴り上げた。


「フラン!避けて!!」


その蹴り上げた弾幕がフランに向かっていく。


「禁忌……」


『レーヴァテイン』


「ん、これは…!」


ラインが焦りの表情を浮かべる。


「…!」


−そういえばフラン、私と戦った時は一度もレーヴァテインを解放しなかった……もしかして、手加減してたのかな?


ドオオオオオオオンッ!!


「うひゃあーぅッ!!」


ラインがギリギリでそれを躱す。


「…!!」


−やっぱりやばいなぁレーヴァテイン…!フランが全力で戦うところ、ちょっと見てみたいかも…!


「これはいけませんっ!シリウスさん!ちょっとどうにかなんないんですかぁ!?」


「頑張れヒロト。貴様ならやれる」


「んな無責任な!!」


「余所見してていいの!?」


「ちょっ…タイム!タイム!」


フランがラインに向かっていく。


「そぉーれぇ!!」


フランがレーヴァテインを横に振るおうとする。


「!」


その瞬間、ラインの表情が変わった。


「…!?」


ラインが少し身を屈める。

フランとこいしはその様子を見逃さなかった。


−何をする気だ…!?


「フラン!気を付けて!」


「わかってる!」


ブォンッ!!


レーヴァテインを振るう。


「行きますよ…!」


ザッ


ドギャァッ!!


「!?」


邪翼崩天刃じゃよくほうてんじん!!」


レーヴァテインの火柱が、ラインの放った回し蹴りのようなハイキックに蹴り飛ばされた。


「…!」


「油断してましたね!」


「!?」


ラインがフランの後ろに現れる。


邪冥刃じゃめいじん!!」


ラインがかかと落としを繰り出す。


「甘い!」


ガッ


フランはラインの右足を掴み、かかと落としを止める。


「ほお?やりますね…」


こいしがラインの横に現れる。


「くらえ!」


ラインの腹に向かって、魔力刀を振るう。


「看尾蛇」


ガキィンッ!


「なっ!?」


鎖が現れ、こいしに噛み付こうとする。

しかし、それを魔力刀で防いだ。

鎖は、こいしを噛み付いたまま伸びていく。


「ぐっ…!」


「こいし!」


「私は大丈夫だから!戦いに集中して!」


「!」


ラインがフランの下に移動していた。


邪咬じゃこう!」


フランの足に鎖が噛み付こうとする。


「いよっ」ビュンッ


フランは高速で移動し、ラインの背後に回った。


「くらえ…!」


「こういうのはどうです…!?」


「「邪翼…」」


「「崩天刃!!」」


ドギャァッ!!


二人の足技が、同時に繰り出される。


ドォォォォォッ


辺りに、凄まじい衝撃波が起きる。

その衝撃波で、こいしを捕まえていた鎖が吹き飛んだ。


「…!」


「せやっ!」


「ほいなっ!」


ガキィンッ!


ラインはナイフに青色のオーラを纏わせて攻撃を、フランはレーヴァテインを刀状に戻して攻撃をしていた。


「よっ」


ラインがナイフを逆手持ちにして、フランの顔に向けて振るう。


ガキィンッ


フランはそれを、レーヴァテインで受け止める。

そして、レーヴァテインで反撃をする。


ガキィンッ


ブンッ


ラインが不意に蹴りで攻撃をする。

しかしフランはそれを飛び上がって躱し、さらにそのまま回し蹴りを繰り出す。


ガッ バシッ ガキィンッ ガキィッ ガキィンッ ドガッ ガンッ


「…ひょえ〜…!」


二人が凄まじい攻防を繰り広げている。

フランがラインのナイフを受け流し、レーヴァテインで攻撃。しかしラインはもう一方の手でそれを防ぎ、蹴り技で攻撃。しかしそれをフランが躱し、レーヴァテインを別の手に持ち替え振るう。それをラインが防ぐ…と、流れるように激しい攻防が繰り広げてられていた。


こいしはその動きを追うのが精一杯だった。下手に援護をすると、フランの邪魔になりかねない。


ダンッ!!


「!」


ラインが飛び上がった。

フランがそれを追う。


「鳳閃・壱!」


ラインは短く鎖を伸ばし、すぐに鳳閃を発動させ、その勢いのまま空中を飛ぶように移動する。


バサッ


フランは羽で空を飛びそれを追う。


ガキィンッ


ガキィンッ!ガンッ ドガッ ガキィンッガキィッ


弧を描くように飛んだり、正面からぶつかりあったり、後ろを取り合ったり、平行に移動しながら激しい攻防を繰り広げていたりと、凄まじい戦いになっていた。


「…さて、ヒロト。準備が整ったぞ」


「!待ってましたぁ!」


「!」


ラインが回転しながら急上昇し、鎖を伸ばしてシリウスのもとまで行った。


「よっと…さて、シリウスさん?やっちゃってください」


「ああ。…起動後の事はお前に任せる。私はここの空間の遮断を解いてくる」


「了解です」


カチッ


シリウスが何かのボタンを押した。


「…?何だ?」


「こいし、気を付けてね」


「うん、わかってる。フランもね?」


「ええ」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


「…?」


大きな実のような装置が、突然動き出す。


「……嫌な予感しかしないね」


「もしかして吸い込んでくるとか…?」


「かもね。警戒は解かないようにね」


「ええ」


バリィッ


「「!?」」


その時、実が中心を境に開いた。

その中から、無数の触手のようなものが現れる。


「さあ!!狂気果実インセニティフルーツよ!!そこにいる”破壊神”の素質を持つ者を滅びの道へと導け!!」


ラインがそう叫んだ。

目は開かれているが、帽子は取っていない。


「破壊神…!?」


「フラン!!貴女が狙われてる!!逃げて!!」


「…!こいしを置いて逃げるなんてできない!」


「でもそれじゃあ…!」


「大丈夫……あの触手、あまり速いようには見えない。だから、急いでこの場から逃げれば私達は逃げられるんだ!」


「で、でもどうやって!?」


「今私の分身が魔理沙に頼んで転移魔法をしてもらってる!あと数分間耐えれば何とか…!!」


その時……。


ドゴォンッ!!


「…えっ…」ごふっ


地面から触手が生えてきて、フランの腹部を貫いた。


「…がぁっ…」


−何、これ…?


フランの脳裏に浮かんだ物は、こいしを殺そうとする自分の姿だった。

すでにこいしはボロボロの状態となっている。


「……まさか…そんな……」


フランは先ほどのヒロトの発言を思い返した。


狂気果実ーーー


「…!!」


その時、こいしがフランを助けようと触手に攻撃を加える。


「フラン!!」


「ヒャーハハハァ!!いいぞ!!そのまま入れちまえ!!」


「こいし…逃げっ…」


「馬鹿なこと言わないで!!自分の心配をして!!」


「私…こいしを傷付けたくない…!!」


「…え!?」


「嫌だ…やめ、てぇ…!!いやっ…」


フランは、狂気果実に幻覚を見せられていた。

自身がこいしを殺していくという幻覚を。


「いやぁあ…!!」


フランが涙を浮かべて、その場に蹲る。

その時、触手がフランの周りにまとわりついていく。


「!!フラン!気をしっかり持って!!」


「…!!」


フランが、正気に返った。


「…こいし…!」


「よかった…!今助けるから!」


こいしが触手を切り裂きながら、フランのもとへ向かっていく。


その時ーー。


「おぉっと邪魔すんじゃねえよ……せっかくいいところなのによォォォ!!」


ラインがこいしの前に立ちはだかる。


「なっ…!どけ!!」


「誰がどくかァ!!ヒャーーッハハハハァ!!」


「…い、いや…!」


フランはこれまでにない恐怖を感じていた。

触手に刺されただけでこうなったのだ。もしあの実の中に入れられでもしたら、先ほどの比ではない。

正気を失ってしまう程、精神が崩壊してしまう程幻覚を見せ続けられる。フランはそう考えていた。


「いやぁあ…!助けて…!助けてこいし!!」


触手に腹部を刺されてしまっている事により、体に力が入らない。


「フラン!フラァン!!くっそ…!!どけ!!どいてよ!!」


「ヒャーーッハッハッハ!!いいぜえその表情!!それにフレアも最高だなおい!!いつものクールなフラン様はどこへいかれたんだぁ!?」


「嫌だよ…!いやだ…!!このっ…!放して!!放してよっ…!!いやぁ…!」


フランのこれまで見た事のない姿に、こいしは驚いていた。あのフランが、ここまで怖がっているのだ。


−私が助けなくて、誰が助けられるんだ…!!


「どけって…」


「!?」


「言ってるだろ!!」


ドゴォッ!!


こいしがラインに回し蹴りを入れていた。


「うごぁ!?」


ラインは吹き飛ばされた。


「フラン!!捕まって!!」


「こいし…!」


フランが安堵の表情を浮かべた。

しかし……。


「…げぉっ……あ゛……」


こいしの腹部が、触手に貫かれていた。


「こいし!!」


「…フラン…!!」


−必ず助ける!助けてみせる!!


「うおおおおおおああ!!」


こいしが触手を全て切り裂き、フランにまとわりつき、実の方へと運んでいく触手に攻撃しだした。


「こ、こいし…!」


「必ず助けるから!!フラン!」


「…うん…!ありがとう…」


ズバァンッ!


こいしが、最後の触手を切り落とした。


「よかった…!逃げるよフラン!」


「うん…!」


フランを抱きかかえ、すぐさまその場を離れようとする。




しかし……


「ウロボロス!!」


「!?」


ラインが帽子を取っていた。

髪の毛は逆立ち、辺りから青色のオーラが発生している。

そして、フランが鎖に掴まれていたのだ。


「…まさか……」


「……!!」


「オラァッ!!」


ラインが鎖を思い切り引っ張る。


「ぐぅっ!!」


こいしはフランを渡すまいと必死にフランを抱きしめた。

そして、全力でその場で踏ん張った。


「んぎぎぎぎぃ…!!っ…んっ…!!」


バキィッ


その時、足元の地面が崩れた。


「え!?」


こいしとフランが、一緒に実の方へと引き寄せられていく。


「丁度いいぜ!!こいし!!てめえも入っとけ!!たぶんお前はあの実から気に入られる事はないだろうから、取り込まれるだけだがなぁ!!ヒャーーッハハハハーー!!」


「ぐっ…!!」


−やばい…!!ほんとにやばい!!

ど、どうすれば…!!




ドンッ


「…え?」


「……こいしは……逃げて」


「フラっ…!!」


フランがこいしを突き飛ばした。


「フラァァーーーンッ!!」


フランが、こいしからどんどん遠ざかっていく。


ドゴォンッ!!


「あうっ…!」


フランが実の中に叩き入れられた。


「…あ、あぁああぁ……」


少しずつ閉まっていく実の間から、フランが泣きながらこいしを見つめていた。


「…やっぱり、怖い…怖いよ…!助けて…こいーー」


バターーンッ


実が、閉じられた。


「あ……あぁ……!!」


「……くくくくっ…!」


ヒロトは帽子を被り、ラインの状態に戻っていた。実の前まで歩いて行き、こいしの数メートル先の場所に立った。


「残念でしたねぇこいしさん…?貴女を入れられなかったのはちょっと残念でしたが……まあ計画通りだ」


「今すぐフランをそこから出せ!!」


「そう言って出すと思います…!?」


「この実は一体何なのよ!!何をしようとしてるの!!」


「これは狂気果実と言いましてねぇ……この中に入れられたものはこの果実の中で地獄のような苦しみを味わいます。その苦しみを味わっている間に、実はこの果実がその人を次の段階……言わば進化させてくれるんですよ!…もっとも、この実に気に入られる事が前提ですが」


「……!!このクズ野郎…!!今すぐに止めろ!!」


「…あ〜…」


ラインが帽子を取った。


「キャンキャンうるせえぞクソガキ!!言葉遣いに気ィ付けろや殺すぞ…?」


「許さない…!!あんただけは絶対ぶっ殺す!!」


ドオオオッ


こいしから、黒いオーラが発生する。


「ヒャーハッハァ!破壊の力かよォ!面白いねこいしちゃん!…けどまあ、もう遅いんだよなぁ…!ひっひひひ…!!」


「…!?」


『あぁああぁああああぁああぁあああぁあぁぁあ!!!!』


「!!?フラン!?」


実の中から、フランの絶叫が聞こえてきた。


「ヒャーハッハハッハッハァーーッ!!覚醒の儀式が済んだみてえだなぁ!!」


「…覚醒の、儀式…!?」


「そう、覚醒だ。フレアの中に眠る真の力を解放させ、それを常に解放状態にする事ができる状態にする……それが覚醒だ」


「…!?そんな力が…本当にあるの…!?」


「お前、何か忘れてない?吸血鬼は満月の夜になると内なる力が解放されるって前に言われた事があるはずだぜ?」


「……!!」


「つまりだ。今から出てくる奴は俺達とは別の領域に達してる規格外ノンスタンダード化物モンスターってわけだよ」


「…!!」


「さあ!!紅悪魔スカーレットの覚醒だ!!」


ヒロトが両腕を大きく広げて、狂気果実を見ながら言った。


「今!!この世界は全てが嘘だ!!幻想うそ理想うそ夢想うそ虚実うそ、嘘だらけだ!!」


「だからよ、この俺様が真実って奴を見せてやるよ!!絶望って名の真実をなァ!!」


吸血鬼族王ヴァンパイアロードの名で命ずる…!!起き上がれスカーレット!!否……幻想の破壊者、須佐能乎すさのおよ!!」



狂気果実が、開かれる。


「……!?」






挿絵(By みてみん)






「フ、フラ……ン……?」


「ヒャーーッハハハハァ!!須佐能乎を手に入れたぞ!!」


「さあ、俺を止めてみろ…!!幻想ファンタジー資格者共ヒーローズ!!!ヒィャァーーッハッハッハッハッハッハァァーー!!」




To be continue…

我ながら、患ってると思うよ…(^p^)

あととある台詞のモロパクだしなぁ…

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