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動き出した支配者

「…ちっ、使えねえな……やっぱこんなもんか。古明地こいしなんざ……」


「ヒロト、口調が戻っているぞ」


「おっと、これは失礼……ですが、こうも簡単に落とされるようじゃちょろすぎませんかねぇ?古明地”ちょろいし”に改名した方がいいんじゃないでしょうか」


「くだらない事を言ってないで、始めるぞ」


「おや、完成したんですか?その装置」


「ああ、八雲紫が目覚める事はなかったがな」


「ところでお聞きしたかった事とは?」


「気にするな、大した事ではない」


「ええー、せっかくなら教えてくださいよ〜」


「…この装置に入れて一番厄介な事になる奴は、幻想郷の中で誰だと思う?と聞こうと思っていた」


「……おそらくですが……


フランドール・スカーレットと、お答えになるでしょうねぇ」


「だろうな……私もそう思う」


「私達の計画にも、彼女に入ってもらう予定ですし」


「ああ……さあ、始めるか」


「ええ…博麗大結界の破壊の準備ですねぇ……さあ、あの二人をここへご招待しましょうか」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「…ふぇ…くしゅんっ!はぁー…落ち着いた…グスッ」


「うえぇ…フラン…ごめんねぇ…」


「…もうっ…気にしなくていいってば!」


「…うん…!グスッ…お、落ち着いたよ。これから、どこに?」


「地霊殿に行こう。そこでお姉様達と落ち合う予定になってるから」


「わかった。…ありがとう、フラン……」


「ううん、いいんだよ。さ、行こう!」


「うん!」







「……」


レミリアは、フランが来るのを悶々と待っていた。


「…お嬢様、そんなに思い詰めると余計に…」


「美鈴……わかってるんだけど…心配なのよ」


「だ、大丈夫ですよ!何たってフラン様なんですから!」


「…そう、よね」


レミリアの周りには、魔理沙、早苗、美鈴、咲夜の四人がいた。


咲夜は、レミリアの様子を心配しつつも辺りを散策していた。

ここは、地霊殿のロビーである。


「……」(ここにある血痕……そんなに時間が経っていない……)


ここにいる全員、ここであった惨劇の事を知らない。

当然だ。何故なら、空と燐の死体が、消えているのだから。


「…一体何があったんだ。ここで」


「さあね……魔理沙、あんたは知らないの?」


「私が知ってるわけないぜ。先に着いたのはお前達だろ?咲夜」


「そうだけど……私達が来た時には誰もいなかったのよ」


「……んー…」


「…さ、咲夜さん……ちょっと…」


「…?どうしたの美鈴」


「い、いいからいいから」


「…?」


咲夜と美鈴の二人が、ロビーから別の部屋に入っていく。


「何なのよ」


「…咲夜さん、急いでここから逃げましょう」


「…は?」


「私達ははめられています!おかしいとは思わないんですか!?」


「な、何がよ!」


「魔理沙達が来るタイミングがよすぎるんですよ!第一この命令が下された時にはお嬢様達は地底に入ってなかったはずです!」


「そ、それが何なのよ?」


「お嬢様達だからって油断しすぎじゃありませんか…!?フラン様と霊夢が見当たらないんですよ!!……つまり私が言いたいのは殺人鬼がここに来るって事です!」


「…あんたまさか……お嬢様達が支配者だって言いたいのかしら?」


「今の状況からそうとしか考えられないんです!!」


「…一歩でも動いてみなさい。殺すわよ」


「……!!話は最後まで聞いてくださいよ!」


美鈴がトビラに向かって走っていこうとする。


「美鈴!迂闊に動き回らないで!今の状況がわかっているの!?私は本気よ!」


「殺人鬼が誰なのかわかったんです!!」


「…え!?」


「殺人鬼の正体は古明地こいし…!お嬢様達支配者は今フラン様と霊夢を囮にここまで逃げてきた!そしてフラン様達がやられた後、古明地こいしは必ずここに来る!」


「…!!」


「だから逃げましょう!!咲夜さん!」


「おーい、勝手な憶測で話を進めるなー」


「「!?」」


魔理沙が部屋の中に入ってくる。


「くっ!」


美鈴が身構える。


「おぉいだからよ…!…美鈴、お前どうしたんだ?前はそんな疑心暗鬼じゃなかったはずだぜ」


「こんな状況でそうならない方がおかしいんです!!」


「…咲夜やフランを思う気持ちはわかる。だが一つ言わせてくれ」


「…?」


「霊夢は死んだ。私の代わりに罰を受けてな」


「…!?」


「…なっ…」


「…私は決めたんだ。必ず支配者を探し出してぶっ殺してやるってな…!」


「……!」


「信じられないのであればここから出て行けばいい。…ただ、お前の殺人鬼の予想は当たってる」


「……やっぱり…」


「今フランは、こいしと戦っている。救おうとしている。このゲームを終わらせようとしている。


だから私達はフランを信じてここで待つ。信じられないなら勝手に消えろ!」


魔理沙が威圧するように言った。


「……」


「…美鈴、私にその考えを打ち明けてくれてありがとう。本気で心配してくれていたのね」


「さ、咲夜さん…」


「けど大丈夫よ。お嬢様達を信じなさい。さあ、戻るわよ」


「……わかりました。ごめんなさい魔理沙…疑ってしまい……」


そう言った途端、魔理沙の雰囲気が変わった。


「へへ、気にすんな!誰にだってそういう事はあるもんだぜ!」


とても明るい笑顔を浮かべ、部屋のドアを開ける。


「さあ、行こうぜ我が友達よ。みんなのところへ」


魔理沙がふざけ気味にそう言った。


「…ふふっ、相変わらずね、魔理沙は」


「だろ?」


「さっきまで疑ってた自分がバカらしくなってきました……はは」




ギィー…


地霊殿の入り口の扉が開かれる。


「みんな、いる?」


「「!!」」


フランが顔を覗かせる。


「フラン!よかったわ…心配したんだから!」


レミリアがフランの方へ走って寄っていく。


「ありがとうお姉様。けどそんな事より聞いてよ!こいしが元に戻ったんだ!」


フランはとても嬉しそうに言った。


「ほ、本当!?」


「…あー…えと…い、色々と、ごめんなさい…みんな」


こいしがフランの後ろから顔を覗かせる。


「こいしー!よかったぜ!元に戻ったんだな!」


「ま、魔理沙…!」


魔理沙がこいしの方に駆け寄る。


「ったくよー!心配かけんじゃねえぜ!このっこの〜!」


「痛い!痛いから!魔理沙!」


指でこいしの額を突く魔理沙。


「全く…もうあんな事になるんじゃないわよ?こいし」


「う、うん…ごめんね、レミリア……私、貴女に酷いことを……」


「いいのよ!あれはこいしの本心じゃないんだからね」


「うん…」


その時、こいしの目尻に涙が浮かぶ。


「ど、どうしたんだこいし?」


「…ごめん、少し一人にさせて…!」


そういってこいしは、ロビーを抜けて何処かへ行った。


「ど、どうしたんだ?こいしの奴」


「……こいしは、自分の家族を自分の手で殺めてしまったんだ。お燐と、お空を……」


フランがそう言うと、辺りは静かになった。

少しの静寂の後、魔理沙が口を開いた。


「…どうにか、してやりたいな」


「……私に考えがある。だから心配しないで」


「…?考えって……」


その時、悲鳴が聞こえる。


「きゃあぁ!!」


「!?こいしか!?」


ドォンッ


誰よりも早く、フランが動いていた。

すでに魔理沙達の視界から消えている。




バターンッ!


「こいし!!」


「フ、フラン…!来ちゃ駄目!」


「自分から叫んどいて何です?その言い草は…」


「…!」


青髪の長身の男が、こいしを捕まえていた。

青いロングコート、黒いカマーベスト、茶色いベルトに、手には穴開きのグローブ、下は黒のスラックスを身につけている。頭には青い帽子を被っており、柔和な表情を浮かべている。


「これはこれは、本当に友達想いなのですねえフランドールさん」


「…お前が、支配者だな」


「ご名答!さすがですね。お初にお目にかかります。わたくし、ラインと言うものです」


「……嘘だね」


「……と、言いますと?」


「もう会いたくなかったよ。ヒロト君」


「……ッヒヒヒ…!」


ラインが被っていた帽子を取った。

それと同時に、閉じていた目が開き、髪の毛が逆立った。

ラインの周りから、青黒いオーラが発生する。


「よぉくわかってんじゃねえの……フレアちゃん…!」


「…やっぱりそうだったのか…!」


「フ、フラン…!逃げて!」


「こいしを放せ」


「放すかよ。…この部屋に入った時点でてめーの負けだ、フレア」


「…何?」


「シリウス!!」


ヒロトが大声で叫んだ。


「…!?」


すると、三人に転移魔法がかけられる。


「…くっ…!」


−しまった…!この事をお姉様達にどうにか伝えないと…!


「フォーオブアカインド!!」


フランがギリギリでスペルカードを発動させた。


「あぁん!?」


ヒロトはその行動が予想外だったため、驚いた。

三人が、その場から消えた。


部屋には、分身のフランが二人残っていた。


「一人出し損ねちゃったか…!急ごう、私!」


「ええ!」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ちっ、面倒な事をしていきやがったな…!」


「見ていたぞ。あれは仕方がない。フランドールの機転が早すぎる」


「フ、フラン…!ごめん、また迷惑を…!」


「気にしないでこいし。これは私のせいだから」


−完全に油断していた…!これは私のミスだ…!


「…さてと、シリウスさん?早速始めましょ…」


がぶっ


「いっ!?」


こいしがラインの腕に噛み付いた。

そして、その腕から抜け出す。


ビュンッ


「!?」


「ふぅ…」ザザァッ


その一瞬の隙をついて、フランがラインからこいしを連れて離れた。


「ナイスだよ、こいし」


「これくらいはしないと…!」


「…やっちゃいました…!どうしましょう?」


「こいしを囮に入れさせるつもりだったが……まあいい。これから無理矢理ぶち込めばいいだろう」


「…!?」


フランがある一点を凝視していた。


「…?フラン?何が見え…」


こいしは、フランと同じ方向を見た時、言葉を失った。


「……!?」


「見ちゃいましたかー…なら仕方ありませんね……今からフランドールさんをこの装置の中にぶち込みます。覚悟しておいてくださいねぇ!」


二人が見た物とは、巨大な何かの実のようなものだった。所々に血管のようなものが浮き出て、鼓動している。まるで生き物のように。


「…何だ……あれ…」


「こいし……隙をついて無意識能力を使って…!貴女にはこのゲームのルールは適用されてないはず…!」


「無駄だ。この場所そのものが能力封じの空間だからな」


「…!!」


「フラン、こいつらを倒そう…!そうするしかない!」


「…そう、だね…!わかった!」


フランとこいしが身構える。


「ヒロト、任せていいな」


「お任せあれ、シリウスさん」


「必ず倒して、ここから逃げよう…!こいし」


「うん!」









To be continue…




ちなみにラインって名前は偽名であって、体の持ち主の名前ではありません

体の持ち主はシリウスが作り出したヒロトが入るためだけに作られた器です

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