表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方人気投票の裏話(?)  作者: アブナ
第三幕 開演、世界崩壊への導曲 第一章 再来のサバイバルゲーム
95/123

一心不乱に恋してる

「みーつけた!フラン…♪」


「こいし……久しぶりなのかな」


こいしとフランが、お互いを見つめ合っている。


「そうかな?まだ一日しか開いてないと思うけど」


「そうだっけ」


「そんなことよりさ……私ね、考えたんだよ!フランが誰にも奪われない方法をさ!」


「…へえ、どんなの?」


こいしは無邪気な笑みを浮かべて、意気揚々と言った。


「フランを殺して、私のものにするの!貴女を喰らえば私の中で永遠に一緒に生き続けられるの!いい考えでしょ!?」


「……そうだね。それはいい考えだ」


「でしょー!?それじゃあフラン!私に殺されてよ!」


「…けど、私はこいしにそんな事をしてほしくないな。それと、こう見えて私怒ってるんだ」


「え?」


「貴女さ、これまで…何人殺した…?」


「えーと…諏訪子でしょ?それからお燐にお空に……あと小町さん!」


「……!!」


燐と空を殺したという言葉を聞いた時、フランは初めてこいしに対して心の底から怒りを感じた。


「…家族を殺す事がどういう事か……わからないわけじゃないでしょ?」


「私はフランと一緒にいたいだけ。邪魔する奴らは片っ端から殺していく……そう決めたの」


「……」


「こんな思い通りにならない地獄の世界なんて、もういらない」


こいしは、おぞましい笑みを浮かべながら言った。


「だから私はこの世界を壊してやるって決めたんだ」ニヤァッ


「……」


フランは、怒りこそあったものの冷静さは失わなかった。


−こいしは体の再生はするんだな……殺人鬼だからだろう。あれだけ大事にしてた帽子も、今は被っていない。

そして何より、知性を取り戻している。どんな形とはいえ、ちゃんとした目的も持っているしいきなり襲いかかるような素振りもない。

これはこいし自身の心に深くまで干渉されているのだろう。…私のせいで一度空っぽになってしまった心に、支配者からのマインドコントロールを受けたせいでそれが自分の本心だと信じて止まなくなってしまったんだ。


「解放してあげるよ……けどその前に、貴女は少しやりすぎた」


「……フラン?何かいつもと雰囲気が……」


「貴女にも味わってもらわないとね……殺される事の恐怖を」


フランが殺意のこもった目でこいしを睨みつける。


「……どうしたの…?い、いつもの調子じゃないね」


こいしは動揺を隠しきれずにいた。


−ほ、本気だ……フランは本気で私を殺す気だ…!!


こいしは今まで、何処か安心しきっていたのだ。

フランは私の事を殺さない、本気で攻撃してこない、と。

しかし、それは違った。

フランは心優しい聖人のような人物だ。例え大親友であろうと悪に染まれば本気で攻撃する。

むしろ、フランの場合は大親友だからこそ本気で行くだろう。その友達を、救いたい一心で。


「覚悟はいい?こいし


今度の私は……ちょっと強いよ」


「…!!」ゾクッ


ビュンッ!!


「!?」


フランがこいしの真後ろに現れる。


「ぐっ…!」


こいしが急いで振り返るも、フランのスピードはこいしを圧倒的に上回っていた。


「…えっ…」


振り向いた時にはすでに後ろにフランはいなかった。


「レーヴァテイン」


「!!」


フランが刀状にしたレーヴァテインをこいしの右腕に振るった。


ズバァンッ


「ぎゃっ!!」


こいしの右腕が切断され、地面に落ちる。


「…!!」


「こんなものじゃないでしょう?もっと本気を出しなよ…」


「…ひっ…!」


「行くよ、こいし」


フランがレーヴァテインを構える。


「や、やめっ…!」


「そらっ!」


ビュンッ


「!?」


こいしの真後ろにフランが現れる。


「ひっ!?」


「ふんっ…!」


フランがレーヴァテインを振り下ろす。


「ぐぅ!!」


ガキィンッ!


こいしはすかさず魔力刀で防ぐ。


「……」


フランは一旦後方に下がった。


「はっ…!はっ…!」


こいしは焦りの表情を浮かべている。

フランが自分を殺そうとしている。この事実がこいしの胸に深く突き刺さっていた。


「…ど、どうしてこんな事するの…!?私はただ…フランの傍に居たいだけなのに!!」


「…!」


「私はフランが大好きなの!!だから…だから…!」


「そのために……」


「!?」


「そんな事の為に……諏訪子を……お空とお燐を…あんたの家族を殺したのか」


フランは本気で怒っていた。

これまでにないほど、こいしに対して大きな怒りを抱いていた。


「…そんな…こと…?」


「…一度失われた命は戻らない…!こいしは大切な人を失う悲しみをしっているはずでしょう?早苗さんを……閻魔様を…さとりを悲しませたいの?」


「……”そんなこと”?」


「…!?」


こいしの様子がおかしい。


「 そ ん な こ と ? 」


ドオオオオオオオッ


こいしから黒いオーラが発生する。


「…なっ…!?」


「そっか…そうだよね……フランにとって私はその程度の存在なんだね」


「……!!」


「いいよ……必ず振り向かせてあげるから……私以外の者の事を考えられないようにしてあげるからぁ……!!」


「……こいし…!」


−この感じ……!!


「駄目!今の貴女がその力を使っちゃ駄目だよ!今すぐにやめっ…!」


「アハハハハハハハハハハハハハ!!!さあ!!殺しあおうよ!!フラン!!」


「…!!」


こいしの右腕が再生した。


「…殺人鬼の特権かな…!再生なんてずるいや」


「アッハハハハ!!」


「!」


こいしがフランの目の前に現れる。


「ヤァッ!!」


こいしが魔力刀を振るう。


「こいし!その力を使うのをやめて!」


フランはそう言いながら、飛び上がって躱す。


「クヒッ…♪」


しかし聞く耳を持たず、こいしがスペルカードを構える。


「!」


フランも、それにあわせてスペルカードを構える。


「恋の…」

「カタディオプ…」


「埋火!!」


「トリック!」


二人のスペルカードが同時に繰り出された。


ドオオオオオオオンッ!


「まだまだ行くよ!!」


「望むところ…!」


「弾幕パラノイア!!」


「クランベリートラップ!」


ドオオオオオオオンッ!


「夢枕にご先祖総立ち!!」


「過去を刻む時計!」


ドドドドドドドドドドドド


「イドの解放!!」


「フォービドゥンフルーツ!」


ドオオオオオオオンッ!


「弾幕のロールシャッハ!!」


「スターボウブレイク!」


ドオオオオオオオンッ!


弾幕がぶつかり合い、あたりに煙が充満する。


「ふっ…!」ビュンッ


「ひひっ…!」ビュンッ


ガキィンッ! キィンッガキィンッガキィッガガッガキィンッ!


煙の中からは、金属が激しくぶつかり合う音が絶えず聞こえてくる。


「でぃっ…!」


「フンッ!」


ガキィンッ キィンッ!ガキィンッガガガッガキィッ!


フランは真剣な表情を、こいしは対照的にとても楽しそうな表情を浮かべていた。


「せいっ!」


「ハハァッ!」


ガキィンッ!!


「スピード上げてくよぉフラン!!」


「!」


ビュンッ ビュンッ


ガキィンキィンッガキィンッガガガガッガキィッ


ズバッ


「ぐっ…!」


「遅い!遅いよフラァン!!ハハハハ!!」


フランの右腕に、こいしの刀が掠った。


「くっ…!」


−思ったより、強い…!


「デェイッ!!」


ガキィンッ!!


「どうしたのフラン!?そんなものじゃないでしょ!?」


「……!!」


「それともそれが限界かな!?」


ビュンッ


こいしが素早く移動し、フランの視界から消える。


「…!?」


−速っ…!


ビュンッ


こいしがフランの後ろに現れる。


「こっちだよ!!」


「ぐっ!」


ガキィンッ!


攻撃を防ぐが、こいしがまた姿を消した。


ビュンッ


「こっちこっち!」


「なっ…!?」


ズバァンッ


「…ッ…!!」


フランの羽の片方が、切り落とされる。


フランはそのまま地面に降りていく。


「ぐっ…!」


−まずい…!予想以上に侵食が…このままじゃ…!


「フラァン!!」


「!?」


ドスッ


「…ごふっ…!」


「つーかまーえた♪ふふふ…♪」


こいしがフランの腹部を右手で貫いていた。


「終わりだよフラン…♪これで私と貴女は永遠の繋がりとなるの…♪」


「…やめ……て…!こいし…」


「やめなーい♪」


「違う…!それ以上、私の力を使うのをやめっ…げほっ」


フランが口から血を吐き出した。


しかし、それと同時にこいしも血を吐いていた。


「…!?」ごふっ


「…こいし…!」


「…何、これ……」


ずぼっ


「うぁっ…ッ…」


「…フ、フラン…!せっかく捕まえたのに…!!」


こいしの腕が引き抜かれる。


「けほっ…はぁっ…はぁっ…!こい、し…!早く、その力を使うのをやめて…!」


フランは治癒魔法を自分の体にかける。


「…ははっ…!とうとう命乞いかな…!?この力を抑えてって言うのは…これありきの私だと勝てないからかな…!?うっ…ゲボォッ」


こいしが大量の血を口から吐いた。


「こいし!!」


フランは自分にかけていた治癒魔法をやめ、こいしの方へ走って駆け寄る。


「なん、だこれ…?何で、こんなぁ゛…」


「早く私の破壊の力を使うのをやめて!!その力は、今の貴女を拒絶してるの!!だから早く抑えないと体が破壊されちゃうの!!」


「…!」


フランがこいしに治癒魔法をかける。


「何で…私を助けるの?フラン」


「……まるでかつての自分を見てるみたいで、ほっとけないの」


ズキンッ


「ゔっ…!?がっは…!」


「!!こいし!!大丈夫!?」


「……」


こいしから、黒いオーラが消えた。


「……」


「…どうして、みんなを殺したりなんかしたの?」


「…私が殺したいと思ったから」


「それはこいしの本心じゃない…!こいしだって本当はわかってるんでしょ…!?」


「うるさい!!」


「!?」


こいしが魔力刀を出し、フランに振るった。


「っと…!」


フランはそれをギリギリで躱した。


「さっきから何なの…!?私を殺したいの!?助けたいの!?どっちなの!?」


「…!」


「貴女は私の事がどうでもいいんでしょう!?フランは私より大事な人がいっぱいいるんでしょ!?」


こいしは目に涙を浮かべていた。


「もう誰も信じれない!!いつかまた裏切るに決まってる!!あの時みたいに!!帽子をくれた人みたいに!!」


「…!帽子を、くれた人…」


「帰ってくるって信じてたのに…!!あの人は私の心を裏切ったんだ!!約束したのに…!!信じてたのに!!」


「……」


「もう誰にも関わりたくない!!全部全部私がぶっ壊してやる!!」


フランが、ゆっくりとこいしの方へと歩み寄っていく。


「うアァアアア!!」


こいしは、大量の弾幕を飛ばす。


ドドドドドドドドドドドド


フランに全て命中した。しかし…


ザッ ザッ ザッ ザッ


「…!?」


フランは、全く動揺していなかった。


「…こ、来ないで!!」


ドドドドドドドドドドドド


また大量の弾幕を飛ばす。

フランに当たるが、まだ歩み寄っていく。


「な、何なのよォ!!どうして貴女はいつもいつも私の前に現れるの!?どうして消えてくれないの!?」


「……」


「どうして私の決心を…!折ってくるの…!!」


「…こいし」


「どうして貴女は…私の事を見捨ててくれないのよぉ…!!」


こいしは大泣きしていた。涙で顔はぐしゃぐしゃだった。


「いつもいつも、頼んでもないのに私の事を助けてくれて…!!迷惑ばっかりかけてるのに、いつもいつも私を救ってくれて…!!


何でなの!?何で私を見捨てないの!?」




こいしに、フランが抱きついた。


「……どうしてこいしを見捨てないか?そんなの決まってるよ……


貴女の事が、”大好き”だからだよ」


「……!!」


「前にも言ったよね?私は貴女の事を迷惑だなんて思ったことはないし、私の事を救ってくれた大切な人だから、貴女を守りたいんだって。…それだけだったら確かに、私はいつか見捨ててたかもしれない…けどね?」


フランはこいしに、優しく語りかけた。


「こいしの事が大好きだから……他の誰でもない、貴女という人が大好きだから、たとえ幻想郷が敵に回るとしても私が貴女を見捨てる事はない」


「…うん…」


「どんな事があろうと、どんな事をしようと……私がこいしを見捨てるなんてありえないよ。親友なんだから」


「…うん…!」


「私達はずっと、友達でいるって約束だもんね。こいし」


「…うん…!!うん…!!」


フランは、こいしから一歩離れて、満面の笑みでこう言った。


「また一緒に遊ぼう!こいし!」


「……フラァァン!!」


こいしはフランに飛び付いた。


「うわぁあぁああぁあぁぁあん……!!ごめん…!本当にごめん…!!私は…私は…何て事をぉ…!!」


「…いいの。貴女は何も気にしなくていい。一番の被害者は、貴女なんだから」


−そして一番の加害者が、この私……。


「…私が全部、何とかしてみせる。だから、安心して」


「…うわぁぁぁぁぁぁん…!!あぁああぁあああぁあぁぁあっ…!!フラァァァン……!!」


「……よかった…こいし…!元のこいしに戻ってくれて…!ほんとにっ…ほんとによかった…!!」


「フラァァン…!!大好きっ…大好きだよ…!!もう絶対、離れないでね…!?」


「うん…!!ごめんね…!…うぅっ…あぁ…!!…うわぁぁぁぁんっ…よかったぁぁ…!!こいし…こいしぃぃ…!」


二人は、しばらくそのまま泣いていた。

お互い、強く強く抱き合った。

二人の繋がりの強さを、感じるために。

もう二度と、この二人のきずなが切れる事はないだろう。

二人の少女の絆が今、永遠の繋がりとなったのだった。








To be continue…








こいフラ回を書けて凄くテンションが上がっているぞい!笑

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ