命令3 その2
今さらだけどいつのまにか一周年なんだよなぁ…
一話投稿された時から見てくれてる人とかいなさそう笑
見てくれてる人いたらありがとうございます
あとついでにこいフラはいいぞ
「まずはこの辺りの町で聞いてみようかしらね」
「何か当てはあるんですか?」
「ないから聞きに行くのよ」
「そ、それもそうでした」
咲夜と美鈴は、地底の町を歩き回っていた。
地霊殿の者達で出掛けたものはいないか、と町の者達に質問をするために。
咲夜は、地底の町で店を出している妖怪や人間に聞いて回っていた。
「さとり様んところの屋敷で出掛けた奴ぅ?知らねえなぁ」
「そう…ありがとう」
美鈴は、道を歩く人々や妖怪に聞いて回っていた。
「ん〜…出掛けるとしたらさとり様が何か用事ある時だけだしなぁ……」
「つまり、さとりさんはまだ出掛けてないってことですか?」
「ん、そうだな。力になれなくて悪いね、姉ちゃん」
「いえ、ありがとうございました」
数時間が経ち、結局何も手がかりを掴むことができなかった。一旦二人で宿に戻り、お互いの話を聞く。
「どうでした?咲夜さん」
「全く手がかりは掴めなかったわね」
「ですよねー…どうします?直接行ってみた方が早いんじゃないでしょうか」
「確かにそうね……けど、迂闊に行ってもし殺人鬼に待ち伏せさせられてたりなんかしたら危ないから……」
「それもそうか……どうします?」
「…まあでもそれしかすることはないし、地霊殿に行きましょう」
「わかりました!」
「念のために、警戒はしておくようにね」
「わかってます!咲夜さんも気を付けてくださいね?」
「誰に物を言っているのよ。全く」
「ははは、それもそうですね!」
「殺人鬼の正体は地底に住んでる人の誰か……!本当にそうなのか…!?」
燐が、空と別れた後に行く宛もなかったために地霊殿のロビーで待機していた。
「もし本当にそうだとしたら、きっと操られているんだろう……だれかに。あたいの知る中で殺人鬼なんかになり得る人はいない」
−けど、何だろう……嫌な予感がする……。
「…にしても、お空があんなに怯えるなんて……普段はもっと気が強いのに……」
−きっと、今まで仲良くしてた人から殺されるのが怖いんだろう。けど、そんな心配をする必要なんてないんだ。あたい達地霊殿の住人の中に殺人鬼がいるはずがないのだから。
「……そういえば、このロビーでよくこいし様とお空の三人で遊んだなー……」
「こいし様が鬼ごっこで全く捕まらなくてお空が拗ねちゃって……それで今度はこいし様が鬼になって、わざと捕まえないようにしていて……」
「さとり様に見つかって、怒られて……」
−『もう!お空ってば本気で逃げすぎだよー!』
−『仕返しですよ!仕返し!ふっふ〜んだ!』
−『あははは!さ、逃げるぞお空!あたいについてきて〜!』
−『こら〜!お空にお燐!仕事ちゃんとしなさーい!!』
−『げっ!お姉ちゃん!』
−『お、お空!急いで持ち場に戻るよ!ありがとうございましたこいし様!楽しかったです!』
−『じゃあねこいし様〜!また遊ぼ〜!』
−『おー!また遊ぼう!仕事頑張ってね〜!』
−懐かしいな……またやりたい。
さっさと殺人鬼見つけて、何とか倒してまた元どおりの生活に戻ろう!
「……とりあえず動かないと始まらない……!でも、何処へ行こうか……」
その時……。
「あの世ってのはどうかな?」
突然背後から声が聞こえる。
「……え?」
「ねえ?お燐?」
グシャァッ
血飛沫が舞った。
「……あれ?何の音だろう……」
同時刻、お空はさとりの部屋に居た。
しかし、部屋にさとりはいない。
「……ちょっと、見てこようかな……」
この時空がこのままさとりの部屋にいれば、運命は変わっていたかもしれない。
「確かロビーの方から……」
その時、何かの音が聞こえてくる。
グチュッ…グチュッ…ブシュッ…
「…!?……!?」
まるで、肉の中の骨を取り出すかのような、生々しい音が聞こえてくる。
「……な、何…!?何なの…!?」
空は、その音に恐怖した。強い恐怖に襲われた。
「……」
おそるおそる、ロビーに続く廊下を歩いていく。
その音は、だんだん大きくなっていく。
やはり、ロビーから聞こえているようだった。
「……怖い…!怖いよ…!さとり様…こいし様……お燐…!」
空が、ロビーの扉を開けた。
ロビーで見た光景は、空にとって最悪のものだった。
「……えっ……?」
「あれぇ?お空じゃん。いたんだぁ」
こいしが、ロビーの真ん中でバラバラの肉塊のような何かを食べている。
空は、そのバラバラの肉塊のような何かの正体に気付いた。
「……お燐…?」
見覚えのある服、尻尾。
血まみれな上にこいしが馬乗り状態だったためよく見えなかったが、燐だということだけはわかった。
「お燐!?」
「あーお燐はね?何処に行こうか迷ってたから私が一番楽になれるところに招待してあげたんだぁ♪私ったらやっさしい!」
「えっ……嘘、でしょ?ねえこいし様…?それはお燐じゃないよね…?お燐みたいな人形で……」
「人形が血を噴き出すのー?面白いこと言うねお空は!キャハハハッ♪」
「……こいし様が……殺人鬼だったの…?」
「そうだよー!」
「…何で…!?何でお燐を殺したんですか!?」
「何でって……気分?」
その時、空の何かが切れた。
「ウアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
空の周りから、赤色のオーラが現れる。
「ワオ!凄いねお空!」
「よくもお燐を…!!お燐をォォォ!!」
ドオオオッ
空がこいしに突撃していく。
ドゴォォォンッ!!
「うひゃあーっ!!」
空はそのまま地面に激突した。
こいしはそれを楽しそうに躱す。
「逃がすかァ!!」
「いいよいいよぉ〜!そうやって来る人の方が殺しがいがあるもん!アハハハ!」
「ウアアアアアア!!」コオオオ…
「!」
ドオオオオオオオンッ!!
空が第三の足から破壊光線を放つ。
「遅い遅い。もっと早く撃たないと」
「!?」
こいしが真後ろに現れる。
「ぐっ!!」コオオオ…
振り向きざまに破壊光線を放とうとするが……。
「だから遅いんだってば」
「!?」
こいしに後ろから抱き付かれた。
「それ♪」
こいしの背中から三本ほど触手が生えてくる。
「ひっ!?」
その触手が空を刺そうとしたが、空は無理矢理こいしの手を払いのけて躱した。
「くっ!!」
「あらら、逃げられちゃった」
「……!!」
「さあ、お空。もっともっと遊ぼう?キャハハハッ」
血まみれのこいしの姿を見て、空はこいし達との思い出を思い出していた。
−『お空、仕事捗ってるー?』
−『こいし様!多分捗ってるんじゃないかな?』
−『ぱっとしないなー…ふふっ!空いた時間とかないかな?また遊ばない?お燐も誘ってさ!』
−『おおー!遊びたい!』
−『よし!それじゃあ行っちゃおう!』
−『はい!』
血まみれのこいしの姿と、優しい笑顔でこちらを見ているこいしの姿が重なる。
「……もう…!あんな風には誘ってくれないんですか…?こいし様…!」
「んー?何の話?あ、そうだわ。お空は遊ぶのが大好きだもんね!いくらでも遊んで暮らせる夢の世界に永遠に招待してあげるよ!」
「……」
ドスッ
「……あれっ」
空の手が、こいしの腹部を貫いていた。
「…何だ、やればできんじゃっ!!」
こいしが言葉を言い終える前に第三の足で思いっきり頭を殴りつけた。
そしてそのまま、こいしを地面に叩き落とす。
コオオオ…
ドオオオオオオオンッ!!
第三の足の破壊光線を連続でこいしに向かって放つ。
ドオオオオオオオンッ!!
「消えろ!消えろ!!消えろッ!!消えろォォォ!!」
ドオオオオオオオンッ!!ドオオオオオオオンッ!!
ドオオオオオオオンッ!!ドオオオオオオオンッ!!
「はぁっ…!!はぁっ…!!はぁっ…!!はぁっ…!!」
爆発の煙が晴れた時、こいしは消えていた。
「…うぅ…!!うぅああぁ…!!」
−こいし様…!お燐…!!
「うわぁぁぁぁぁん…!!」
空は大泣きしていた。今までずっと苦楽を共にしてきた家族二人を、同時に二人も失ったからだ。
「…さとり様…!さとり様…何処にいるの…?会いたいよ…さとり様……」
「お燐にならすぐに会えるよ♪」
「…え?」
ブシャアァッ
「うぎゃあぁ!?」
空の腹部を、三本の触手が貫いた。
「いやーびっくりしたよ。お空はやっぱり強いね!でも私には敵わないみたい」
「…!?な、何で…!!」
「一発目からもう避けてたんだけど、無我夢中だったみたいでねー。後ろにいることに全く気が付いてなかったよお空!」
「……!!」
「んじゃ、いっただっきまーす♪」
ブチブチッ グシャァッ
「ひぎゃあぁあ!!」
こいしが空の腹を手で無理矢理こじ開けた。
内臓が飛び出し、空の血がこいしの顔にかかる。
「んー、美味しそう!」
ブチィッ
「あぎゃあ!!」
こいしが肝臓と思われる物を無理矢理引きちぎり、口に頬張る。
「や、やめて!!やめてください!!こいし様!!」
「あ、次はこれー♪」
ブチィッ
「ぎぃやあぁ!!」
今度は腸を引きちぎり、少しずつ食べていく。
「次はこれ!」
ブチュッ
「ひぎっ!?」
次に腎臓を引きちぎられる。
「んー♪やっぱり鶏肉はいいねぇ♪」
「……やめ…て……」
空はすでに、痛みで意識が飛びかけていた。
「さっすが八咫烏、これぐらいじゃ死なないか!お燐はすぐに死んだんだけどね♪」
「……あ……ああ…」
今度は空の右の眼球を取り出した。
「んーきれいな目!」
その時、空の脳裏に浮かんでいたのは優しい笑顔で空にちょっかいをかけるこいしの姿だった。
−……こいし様……。
−『これでもくらえ!こちょこちょこちょこちょ!』
−『ひゃー!!あひゃひゃひゃ!や、やめて!やめてこいし様!あははは!!』
−『お、おおお…!!な、何というか…!私的に飯うま…!!ありがとうございますこいし様!』
−『あれ、お燐ってそっち系なの…!?…警戒しとこ…!』
−『こいし様…!ふひひひっ…!!とりあえず…!あふふひ…!!こちょこ…あひひっ…!!やめっ…やめてぇ…!!あひゃははっ…!!』
−『だーめ!核爆発でちょこっと地霊殿焼いちゃったバツ!にしし〜』
「んー、そろそろメインディッシュをいただこうかなー!」
こいしがお空の心臓に手を掛ける。
−……もう一度……
あの優しい笑顔が……見たかったなぁ……
「バイバイ、お空」
空が最後に見た光景は……
嘲笑うような笑顔でこちらを見る、こいしの姿だった。
「ごちそうさまぁ♪さて、次はどうしよっかなー♪咲夜さん達が来てるって聞いたからここに来たけど会わなかったし……そーだ!彼岸に行こう!閻魔様はきっと美味しいぞ〜!」
こいしは、二人の死骸をそのままに地霊殿を飛び去っていった。
二人の死骸はどちらも涙を流していたのだった……。
To be continue…
一周年だからといって話の内容が明るくなるわけでもなく…




