Fantasy Heroes II
「フラン、お前はいつ頃からこいしが殺人鬼だって気がついた?」
「別れて紅魔館の近くを見て回っていた時、私がこいしの所に駆け付けたら……あんな感じになってたの」
フランがこいしの方を見ながら言った。
「アハハハハハ!!」
「…なーるほどね」
「ねえねえフラン!わたしね、いいことおもいついたんだよ!」
「…!」
こいしの背中から、触手のようなものが生えてくる。
「わたしからフランをうばっていくやつらをかたっぱしからころしていくの!そしたらわたしもうフランとはなれることもないよ!」
その触手が、羽のような形を成した。
「……」
フランは、その様子を無言でじっと見ていた。
「……どうしたフラン」
「覚悟は決まった。もう大丈夫」
フランが帽子を取りそれを魔法で別空間に転移させた後、一歩前に出る。
「私が最初に突っ込む。みんなはそれに続いて」
「いや、私と貴女で行くわよ。フラン」
レミリアも一歩前に出る。
「!…わかった」
「魔理沙、あんたは旋回しながら打ちなさい。私は二人の後ろから援護するから」
「了解」
「お姉様、行ける?」
「勿論よ、フラン!」
二人がこいしに突っ込んでいく。
「アハッ♪」
こいしが背中の無数の触手を伸ばし、二人を攻撃する。
「フラン!あの触手先っぽがかなり鋭利になってるから気を付けなさい!」
その時、レミリアの背後に二本ほど触手が伸びていく。
「!!」
「そういうのは…」
ズバァンッ!
フランがレーヴァテインで触手を切り裂いた。
「自分の身を守ってから言ってよね」
「…悪いわね」
「気にしないで。行くよ!」
「ええ!」
「じゃましないでよみんなー!わたしはフランといっしょにいたいだけなのー!」
「…こいし、私が貴女の傍にずっといてあげる。だから、もうやめて」
「あとでぜったいレミリアのところいくでしょ!だからわたしはレミリアを壊したいの!」
「…!」
「大丈夫よ、フラン。心配しなくてもこいしを相手に死にはしないわ」
触手がレミリアに向かっていく。
「スピア・ザ……!」
レミリアが手にグングニルを出現させる。
「グングニル!!」
それを思い切りこいしに向けて投げた。
「!!」
ガッ
こいしはいきなりの攻撃に驚いたのか、グングニルをギリギリで触手で持ち手の部分に高速で巻きつけて止めた。
「フヒッ…♪」
こいしがスカートの中から三本ほど触手を伸ばす。
「ちょっ、何てところから出してんのよ!!」
「お姉様!そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
触手の攻撃を全て躱している。
「めんどくさいなぁー」
こいしが全身から無数の触手を出し、それを凄まじいスピードで二人に向けて伸ばした。
「…!」
フランが何故か動きを止める。
「!フラン!!何をして…!」
「動かないでお姉様!」
「え!?」
フランの後ろで、魔理沙が八卦炉を構えていた。
「マスタースパーク!!」
「クランベリートラップ!」
クランベリートラップの弾幕にレミリアとフランが囲まれる。
マスタースパークを防いでいるのだ。
「…なるほどね」
「お姉様、聞こえる?」
「!ええ」
「マスタースパークが消えたらすぐにスペルカード撃ってくれない?」
「了解。何か策でも?」
「ちょっとね……」
「…わかったわ。貴女に合わせる」
「それじゃあお願い」
マスタースパークが消える。
それと同時に、二人が瞬時に移動する。
「あーびっくりした。フランたちごとうってくるなんてさ。大丈夫?フラン」
「スカーレット…!」
「!」
レミリアがこいしの頭上に現れる。
「シュート!!」
凄まじいスピードで、巨大な弾幕がこいしに向かって飛んでいく。
「♪」
こいしはそれを触手で刺して止める。
「んなっ…!?私のスペルカードを…!」
「かえしてあげるね♪」
こいしが一瞬俯く。
「…!?」
顔を上げた時、その表情を見てレミリアは驚いた。
「レミリアァ!!」
とても不気味な笑みを浮かべていた。
触手を大きく振り翳し、刺さった弾幕をレミリアに向けて飛ばす。
「ちぃ…!」
「夢想封印!」
「!」
虹色の弾幕が、全ての弾幕を相殺した。
「行けぇフラン!!」
「!」
「禁忌…」
フランがこいしの真後ろに現れる。
「レーヴァテイン!!」
ズバァァンッ!!
「……あれっ…」
こいしを胴体を境に切り裂いた。
「もう一発…!」
フランがそのままもう一撃入れようとしたその時。
「がぁあぁぁあ!!」
「!?」
こいしが突然叫び声をあげる。
それと同時に、下半身から凄まじい数の触手が生えてくる。
「くっ…!?」
「フラン!!」
「いたいよフラァンッ!!」
上半身からも、凄まじい数の触手が生えてくる。
その触手で、フランを包み込んでいく。
「フラン!早く脱出しなさい!!」
「……!」
しかし、フランは脱出しようとしなかった。
「フラン!?何をしているの!!」
「魔理沙!急いでマスタースパークを撃ちなさい!!」
「駄目だ!まだ再装填出来てない!」
触手がフランを完全に包み込んだ。
「つかまえたよフラン!!アハハッ♪」
「…ねえ、こいし。貴女は今どんな事を考えてる?」
「…え?」
フランがこいしに優しくそう語りかける。
「私に絶交って言われた事、そんなに悲しかった?」
「もちろんだよ!ひどいなぁフランったら!わたしはこんなにフランをもとめてるのに!」
「…そっか、ごめんね」
「あやまらなくていいよー!フランは少しここでじっとしててよ!今からそこにいるじゃまものどもを……」
「私があんな事を言ったばかりに、こんな事になってしまった」
「あんな事言って、ごめんね」
「私が貴女を信じようとしなかったから……貴女から殺されるのが怖くて怖くて仕方なかったから」
「私は貴女の事を信じるよ……こいし」
フランは笑顔でそう言った。
「なにをいってるのかわからないなー」
こいしがそのまま、レミリア達の下に行こうとする。しかし……
「あ、あれ?おかしいなぁ…体が……それに……
何でこんなに涙が出るんだろう……」
こいしの目には、自然と涙が浮かんでいた。
「……今からやる事を許してほしい」
「え?」
ドオオオオオオオンッ!!
「!?」
フランがこいしの触手を全て吹き飛ばしていた。
「貴女を信じているからこそ……一度貴女を殺すんだ!!」
フランが一瞬でこいしの目の前に現れる。
「邪翼…!」
「!?」
「崩天刃!!」
ドゴォッ!
「ぐぎゃあッ!!」
「おお…!」
「魔理沙、再装填もうできたわよね?」
「ああ、霊夢。…やるか?」
「…五秒後こいしに向けて発射」
霊夢がこいしに向かっていく。
「了解!」
魔理沙が八卦炉を構える。
「レミリア!」
「ええ!」
レミリアがこいしに向けてグングニルを投げる。
「よっと!」
霊夢がその投げたグングニルの上に乗り、こいしに向かっていく。
1.0
「!!」
こいしがそれに気付き、無数の触手を生やし、霊夢とグングニルに向けて伸ばす。
「ちぃ…!」
霊夢がスペルカードを構えるが……。
「私達に!」
「任せて!」
「!」
ズバァンッ!
フランとレミリアが現れ、触手を全て切り落とす。
2.0
「霊夢、使って!」
「!」
フランから刀状に変化しているレーヴァテインを受け取る。
3.0
「そぉれ!!」
フランがグングニルの穂とけら首の間に左足を引っ掛け、思い切り蹴り飛ばす。
「行けぇ!!」
霊夢が抜刀術の構えを取る。
ザンッ!
4.0
「…居合切り」ブンッ
霊夢が刀を振り下ろす。
ズバァンッ!!
「がぁっ!?」
「魔理沙!!」
「最大出力で行くぜ!離れてろ!!」
コオオオ…
5.0
「ファイナルマスター……!!
スパアァァーークッ!!」
ドオオオオオオオオオオオオオオオンッ
「どうだ!?」
「ふぅ」スタッ
空からフランが降りてくる。
「!レミリアと霊夢は?」
「ここよ」
二人は魔理沙達の頭上にいた。
「まだわからないから、警戒は解かないようにね」
「…いや……」
フランが煙の方を見ながら魔法で帽子を手に出し、それを被る。
煙が晴れた時、そこにこいしはいなかった。
「逃げられた」
「……いつのまに…!」
「多分無意識能力を使ったんだと思う」
「…なるほどね。フラン、お前確か能力の干渉を破壊してるんじゃ……」
「あの煙の中じゃ見つけられなかったみたい……ごめん」
「…そりゃあそうだ。いくら吸血鬼とはいえ、あの光と煙の中じゃ見つけろって言う方が難しい」
「急いで探しましょう。見つけ次第すぐに倒してこいしを止めるわよ」
「ええ!」
「あー…もういいやめんどくさい……また後で殺しに行こう。…何であんなにいっぱいいるんだよー」
私はただフランと一緒にいたいだけなのに……!
「……しかし……」
殺人鬼が自分だったなんて、今でも信じられない。けどこうなってくると都合がいい。
「待っててねフラン……すぐに私が……邪魔者共を皆殺しにしてあげるからぁ……!!」
「ふっ、ふふふふ…!アハッ!アハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」
To be continue…
今までのこいしは自覚のない殺人鬼。
これからのこいしは自覚のある殺人鬼。
さあ、どっちが怖いでしょう笑




