Fantasy Heroes
今回も下手な挿絵があります。
不快な方は申し訳ありません。
見たいけど見れないって方も申し訳ありません。
「……」
「…魔理沙か霊夢が、大切な友人を殺せって……」
追伸・辿り着くまでに従わなければ惨殺の刑とする。
この追伸、本当なのか…?辿り着くまでにって事は、殺人鬼にやらせる…?
「こいし、私が寝てからどれくらい時間が経った…?」
「え?大体一夜あけるくらい」
「…そんなに…!無理させちゃってごめん。…魔理沙達を助けないと」
「ど、どうするの…!?」
「……!」
フランが一瞬、しまった、というような表情をした。
その後、こう続けた。
「…辿り着くまでにって事は、多分惨殺の刑ってのは殺人鬼にやらせるってことなんだ。だから魔理沙達のところに駆け付けて助けるの」
「なるほど…それがいいね」
「ただ、こいしは町に残って」
「!?な、何でよ!!」
「悪いけどこればっかりは譲れない」
私は、フランに苛立ちを覚えた。
いつもいつも、私を邪魔者扱いして……貴女にとって私は何なの?二人で行動しようとか言い出したのは貴女でしょう?
「…またフランはそうやってかっこつけるんだね。私の気を引かせて言いなりにしやすくするってわけね!」
「…なっ…!別にそういうわけじゃ…!」
「じゃあ私が邪魔なんだね!!正直に言ってよ!!」
「貴女は今の自分の体の状況を把握できてない!無理しすぎなの!私の心配ばかりじゃなくて少しは自分の心配も…!」
「…!何よ!人が心配してあげてるのにその言い草なの!?しかもそれ、あんたが言えたことじゃないから!!」
「……」
フランがこちらを見つめている。
「な、何よ」
「……わかった。私とこいしは一緒にいちゃいけないみたいだね」
「…!」
「…今日で、友達って関係は終わりにしよう」
「…えっ」
「絶交、だね」
フランから発せられた言葉が、信じられなかった。
「い、今…何て…?」
「今まで、悪かったよ。たくさん迷惑をかけてきたね。こいし」
「…ちょ、ちょっと待ってよ。何もそんなにまで…!」
フランが話を勝手に進める。後ろを向いて何処かへ歩き出した。
「大丈夫、別に私は貴女に何を言われても気にしないから」
「フ、フラン!私の話…!」
「今の会話ではっきりわかった。私は貴女のことを邪魔者扱いしていた」
「…!!」
「…そんな奴が、貴女の友達でいる資格はないよ」
そう言うと、フランは飛び立とうとする。
「ま、待って!ごめん、私が悪かった!言いすぎた!だからそんな……絶交だなんて言わないで!!」
「別に貴女は何も悪くないよ。私の方に非がある」
フランは聞かずに行こうとする。
「待ってってば!!フラン!ごめん!!私が一番わかってたんだよ!自分が足手まといだなんて、初めからわかってた!!けど…貴女が優しくしてくれるから…!一緒にいていいんだって…!対等なんだってかってに勘違いしてた!!」
フランは止まることはない。
「お願い行かないで!!私達はずっと友達でいるって約束だったでしょ!?」
「……こいし」
「!!」
フランが立ち止まり、こちらをゆっくりと向いた。
「…鬱陶しいよ」
「…!!」
「別に私は貴女の事が好きだったわけじゃない。貴女が一方的に押し付けてきていただけの事」
「そ、そんな…こといわないで……」
「…そうやってすぐに泣いて、私の気持ちを引こうとするところも正直嫌いだった」
「……!」
「貴女と私は、相性最悪だったってことよ」
「……!!」
「楽しかったよ、こいし……
今まで、私の友達でいてくれてありがとう」
フランはそのまま飛び去っていった。
最後の言葉の意味する事は、何なのだろう?
本心?皮肉?それともその場凌ぎの嘘?
私は生きる希望を失った気がした。
もう、何も考えたくない。誰とも関わりたくない。
ああ、そうか
私からフランを奪う奴らを
全部壊しちゃえばいいんだ
「……アハッ♪」
「待っててフラン……私が邪魔者を殺してあげるよ♪」
「……」
こいしに酷い事をしてしまった。だけど、こうしなければならなかったんだ。霊夢と魔理沙を助けるために。
「…ごめんね、こいし。後で絶対仲直りしよう」
とりあえず、魔理沙と霊夢とお姉様を探そう。
きっとあの二人なら、二人とも殺す事を躊躇うだろう。
大切な友人……明らかに霊夢か魔理沙を殺すための命令……。
あの二人なら、お互いを犠牲にしようとしあう。
だからすぐには殺してしまう心配はないはずだ。
しかし、一体どういう事なのだろう。
何故突然こんなゲームが始まったのか。誰の仕業なんだ?
幻想郷の住民にこんな悪趣味なゲームをするような者はいない。
「……今はそんなことはどうでもいい」
急いで探さないと。……殺人鬼が来る。
守矢神社
「…これは、一体…?」
守矢神社のそこら一帯が、焼け野原となっていた。
「か、神奈子様…?諏訪子様…?」
燃え盛る社の少し手前に、黒いローブを身に付けた少女がいた。
「……貴女の、仕業ですか…!?これは…!」
「……そう思います?」
少女がローブのフードを取る。
「……あ、貴女は…妖夢さん!?」
「……」
少女の正体は、妖夢だった。
「……何で……どうして……!?」
「自分で考えなさい」
そういうと妖夢は火がついていない場所を指差し、こう続けた。
「あそこに一人神様がいる。もう一人は知らないです。これから探しに行きます」
そう言って、飛び去っていった。
「……今の言い方からして、妖夢さんがやったわけではないようだ……」
−じゃあ、一体誰が……!?
「……魔理沙、私を殺しなさい」
「ふざけんな、そんな事できるわけないだろ!」
「そうしないと貴女は助からないのよ!他の誰かを殺そうだなんて考えてないでしょうね!?」
「考えてねえ!私が考えてんのは殺人鬼をさっさと探してぶっ殺す事だ!!」
「他の誰かを殺す事考えてんじゃない…!…けど、その意見には同意ね」
「あんたら勝手に話進めてるけど、私の意見は聞かないわけ?」
霊夢と魔理沙とレミリアが話している。
「何よ」
「貴女達の命令に書いてあった惨殺の刑……あれは多分殺人鬼の手によってされる事だと思うの」
「…それが?」
「殺人鬼をわざとここに来させて、私達で返り討ちにするのよ」
「……なるほどね」
「それで行こうぜ。それが一番いい!」
「ええ」
「よかった、同じ考えだったみたい」
「「「!」」」
その時、空からフランが降りてくる。
「フラン!何処に行ってたの…!心配したんだから!……その傷は何?」
「…これは……」
「殺人鬼にやられたのね」
「…うん」
「…よく生きててくれたわ……フラン」
「……そういう事かよ、フラン」
「…うん」
「だから、こいしと一緒に…」
「……」
「フラン、貴女はよく頑張ったわ……本当はこんな事信じたくなかったでしょうね」
「……私…どうすればいいかわからなくて……!」
「きっと大丈夫。あの子はそんな弱い子じゃないからね。何かに操られている事だけは確かよ」
「……うん」
「フラン、お前はいつも一人で背負いすぎだぜ。たまには私達を頼りな」
「……うん…!ありがとう」
その時、後ろから足音がする。
ザッ ザッ ザッ ザッ
「…来たわね、殺人鬼」
四人が振り返った時、全員が驚愕した。
殺人鬼の正体ではない、正体は大体予想がついていたのだ。
驚愕したのは、その殺人鬼が手に持っている物だった。
「…諏訪子…!?」
「…なっ……!!」
「……!!」
「てめえ…よくも!!こいし!!」
「アッハハッ、見つけたぁ…フラン♪」
諏訪子の亡骸を持った、こいしが現れた。
「…やっぱり貴女が殺人鬼だったのね…!見たところ今は意識はあるようね……」
「…私の、せいだ…!私があんな事言ったから……殺人鬼として覚醒しちゃったんだ……!!」
「お前のせいじゃない……こいしの心にこんな魔物の心を植え付けた支配者ってのが悪いんだ」
「いい?必ず救うわよ。殺さない程度に痛めつけて、どうにか解放する方法を探すの」
「了解!フラン、下がってろ!ここは私達が…」
「…私もやる!こいしを助けたいの!」
「!そうか、わかった。なら、行くぞ!」
「うん!」
「フラーン、私と貴女の邪魔をする奴らを片っ端から殺していくよー♪どう?私足手まといじゃないでしょー?」
「……ッ!!」ズキンッ
フランは、その言葉に酷く心を痛めた。
「……ごめん、なさい…ごめんなさい…こいし…」
しかし、こいしにその声は届いていない。
「アハッ!!アハハハハハハハ!!!殺す!!コロス!!」
「フラン、諦めろ。とりあえず大人しくさせてから話をするんだ」
「……わかった…!」
「行くぞお前らぁ!!」
「「「おお!!」」」
「アッハハハハ!!」
To be continue…
あれ、何かこいしの性格が某○キドキ大冒険に似てる気が……。
あの作品でフランちゃんが報われなさすぎて悲しくなったよ。




