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東方人気投票の裏話(?)  作者: アブナ
並行世界篇
83/123

ある日の話2

この会から更新が一気に遅くなると思います

※ほぼ番外みたいなものです。












「『モテバンド』?」


こいしは今、地霊殿でぬえと遊んでいる。

ぬえが唐突にモテバンドというものの話をしてきた。


「そうそう!近頃人里で話題になってるリストバンド型のマジックアイテムなんだけどね!それ付けると近く一帯の人達から性別問わずモッテモテになるらしいんだ!」


「ふぅ〜ん…で、それがどうしたの?」


「えぇ〜…!付けてみたいと思わないの?こいし」


「思わないよ…!道具で、しかも男女問わずにモテても嬉しいとは思わないし……ぬえは思うの?」


「一時でも極上を味わってみたいとは思うよ」


「うわっ、ケダモノの目をしてる…!」


「こいしー、私ちょっとトイレ行きたいんだけど、地霊殿のトイレって何処にある?」


「前も言ったじゃんか……私の部屋出てから階段降りて一回の大広間に出るでしょ?そこの左の道を真っ直ぐ!」


「案内してよー!そしたら覚えられると思う」


「えぇー…!もう、わかったよ」


こいしが立ち上がって、部屋のドアを開けようとしたその時だった。


「隙あり!」


「え?


うわぁ!?」


ぬえがこいしを横から押し倒した。


「ちょっ…ぬえ!何するの!」


「まあまあ、おとなしくしてって!」


そして、こいしは何かを手首辺りにはめられた。


「よしっ!これでいいんだよね」


ぬえがこいしから離れる。


「もうっ、何なの…!……え、これってもしかして……」


こいしの手に赤いリストバンドがはめられていた。


「そう!モテバンドだよ!」


「……ぬえぇ〜…!!」


「ちょっ、ごめんごめん。悪かったってば。そんな怖い顔しなくても……!」


「…もうっ!これ外すよ」


「ちぇー、面白くないの」


「私も何も面白くないよ!!」


こいしが外そうとするが……。


「…?あ、あれっ…おっかしい、な…!このっ…!」


外そうとしても、全く外すことができない。

それどころか、つけている部分から全く動かすことすらできない。


「ぬ、ぬえ!このリストバンドって何か他に特殊な効果あるの!?」


「ご、ごめん私にもわからない」


「…嘘ぉ…!」


「ど、どうしよう……そ、そうだ!フランのところへ行こう!フランならきっと何とかしてくれるはず!」


「そ、そうだね……行こうか」





「急いで行こう!もう効力発動してるはずだから」


「う、うん」


こいしが玄関の扉を開けて外に出ようとしたその時だった。


「「こいし様ー!!」」


「うひゃあ!?」


空と燐が、こいしに飛び付いた。


「こ、こいしー!!」


「こいし様!!私と交尾してください!!」


「はあ!?何言ってんのお燐!」


「こいし様!お燐なんかより私と!合体しましょう!フュージョンしましょう!」


「それはどういう意味で!?○ラゴンボール的な!?それとも性的な!?」


「ちょっとお空!お燐なんかよりってどういうことよ!?お空は下がってなよ!」


「お燐こそ下がってなよ!こいし様は私の物なんだからね!」


「何をぉ!」


「…す、すっごいことになってるなぁ」


「ぬえはぼーっとしてないで助けてよー!!」


「い、いやその二人からこいしを取り戻せる自信は……」


「「こいし様!私達ならどっちを取りますか!?当然私ですよね!!」」


「ぬ、ぬえぇぇー!!」


「くっ…!仕方ない!一か八か!突っ込んでやっ…!」

「おやめなさい!二人共!」


「!?」


上から声がする。


「こいしから離れなさい。こいしが困っているでしょう」


「さとり様!…ちぇ、わかりました」


二人が少し残念気にこいしから離れる。


「ぷはぁー…!た、助かった……ありがとうお姉ちゃん」


「気にしなくていいわ、こいし」


さとりが二階から、階段を使わず飛び降りてきた。


スタッ


華麗に着地すると、こいしの方を向き、こいしの頬を右手で触りながら、こう言った。


「どこか怪我はしてない?あの二人に毒されたりしてない?大丈夫?」


「…お、お姉ちゃん?」


「大丈夫よ、貴女は私が守ってあげるからね。貴女は私だけを見ていればいいのよ」


「……」(こ、これはぁ…!まさかお姉ちゃんまでぇ…!?)


「こ、こいし……さとりも……」


「…どうやらそうみたいだね……」


「…こいし?ぬえとどういう関係なのかしら?」


「え?」


「まさか私以外の者とただならぬ関係になっていたりしないわよね?」


「お、お姉、ちゃん?」


「貴女は私だけを見ていればいいの……貴女を幸せにできるのは私だけなのよ…こいし」


「ちょ、ちょっと待ってさとり。私は別に…!」


「貴女は黙っていなさい。こいしに付きまとう女狐…!」


「お、女狐ェ!?」


「お姉ちゃん!ぬえに何てこと言うの!?」


「こ、こいし?どうして怒るの?私は貴女のことを思って……」


「お姉ちゃんが何を思ってるか知らないけど、ぬえは私の大事な友達なんだよ!それを女狐なんて……酷いよ!」


「こいし…!ああ、なんてこと…!私のこいしが女狐に毒されてしまっているわ…!」


「お、お姉ちゃん?」


「今すぐ排除して消毒しなくちゃ…待っててこいし、すぐに治してあげるからね!」


さとりがポケットから出刃庖丁を取り出し、ぬえを睨みつける。


「ちょっ、何でそんなもん持ってんだよ!?」


「ぬ、ぬえ!逃げるよ!!」


「う、うん!」


二人が玄関の扉を開け、全速力で飛んで行った。


「逃がさないわよ、女狐!!」


さとりが後を追おうとするが……。


「待ってくださいさとり様!さとり様はこいし様とどういう関係なのですか!?」


「詳しく話してください!」


「邪魔よ貴女達…!そこを退きなさい!」








地底の町


「ふー…危なかったね」


「お姉ちゃんが…ヤンデレ化してた…!」


「あれはさすがに怖いよねぇ…!」


「あんなお姉ちゃん初めて見たよ…!怖かったなぁ」


「早く行こう!地底を抜けるまで安心できないし」


「うん!それにここには勇儀さんや土蜘蛛さん達もいるし……もしかしたらって場合もあるから、急がないとやばいね!」


しかし、その時。


「ねえ、古明地こいし」


背後から声が聞こえる。


「……」


−いやいやいや、まさかそんなまるで漫画のような展開あるわけないない。そうだよ。きっと勇儀さん以外の誰かに決まってる。それに掛かってるとは限らないし……。


「……あっ……」


−ぬえ、その顔は何ぃ…!?もしかして本当に勇儀さんなの…!?まっさかぁ…!


こいしが恐る恐る振り返ると……


「私と付き合いな!」


案の定勇儀がいたのだった。


「お断り申し上げます!!」


ぬえとこいしは、全速力で逃げた。


「何でこう都合良く現れるわけえぇ!?」


「知らないよそんなのぉ!!とりあえず逃げろぉ!!」


「あちゃー逃げられたか…!だが逃がしゃしないよ!」


勇儀が後を追おうとするも、パルスィが立ちはだかる。


「待ちなさい勇儀……私を差し置いてこいしに手を出す気?」


「パルスィ……今はそこをどいてくれるか?」


「断るわ。通りたいなら私を殺してからになさい……こいしは私のものよ」


「……」(どうしようかねぇ……)











「はーっ!はーっ!あっぶねぇ!!」


「鬼に絡まれるのだけは避けたかったのにね…!」


「ギリギリセーフ…?いや、アウトか……早く地底から出よう!」


「うん!」


すると、背後から声が聞こえる。


「待ちなさい古明地こいし!」


「……」


今度は後ろを見ようともせず、こいしは帽子の位置を戻していた。


「私と一緒に暮らさない!?」


ちなみに後ろにいるのはヤマメである。


「ぬえ…行くよ」


「イエッサー」


二人が同時にヤマメの方を向き……。


「…?」


「せーの…!」


「「お断りしまァァァす!!」」


二人が全速力で逃げ出した。


「あ、こら待てぇ!」















「道行く人達みんなこいしに釘付けだったね…」


「まさか勇儀さんや土蜘蛛さんまでだとは思わなかったけどね……何とか地底を出られてよかった」


「そうだね…とりあえずは一安心」


「…ところでさ、何でぬえはかかってないんだろ」


「私が付けたからじゃない?」


「あーなるほどね。…!紅魔館が見えてきたよ」


「…美鈴さんは…寝てる!よし、行けるよ」


と、思ったが……。


「こいしちゃん…」


背後にチルノ、大妖精、ルーミアの三人がいる。


「ぬえ!!逃げるよ!!」


押忍おす!!」


「逃がさないのだ!!チルノ!」


「OK!!」


辺りが氷の壁に包まれた。


「な、何ぃ…!?」


「これでゆっくり話ができる」


大妖精が一歩前に踏み出して、頬を赤らめてこう言った。


「…こいしちゃん…あ、あのね…!私、貴女のことが…!」


「おっと大ちゃん!抜け駆けはさせないのだ!こいしちゃん!私を見て!私だけを求めて!!」


「ルーミアは引っ込んでろよ!こいしちゃん!あたいがこいしちゃんを幸せにしてあげる!だからあたいを見て!」


「…あーもうめんどくさい…!!ぬえ!!」


「…や、やるしかないか」


ぬえとこいしがスペルカードを構える。


「「「え?」」」


「弾幕パラノイア!」


「弾幕キメラ!」


ドオオオオオオオンッ













「何とか紅魔館には侵入できたね……何故か今は私は無意識能力を使えない。使えたらもっと楽なんだろうけどな…」


「そうだね。…これからどうする?フランが部屋にいるとは限らないし…」


「そうなんだよねぇ…とりあえずフランの部屋に行こう。いなかったらいなかったでまた探せばいいし」


「そうだね。それじゃあ行こう」


その時だった。


ドオォーーンッ


「こいし」


「うひゃっ!?」


突然背後から声が聞こえる。


「ああ、こいし…!妹様やお嬢様と同等に愛おしい…!」


咲夜がいた。


「…そうだ…忘れてた…!咲夜さんがいたんだぁ…!!」


「こいし!私能力封じのマジックアイテム持ってるからさ!ここは私に任せて!」


「…!わかった!お願い!」


「任せて!」


「待ちなさいこいしー!!」


「行かせるかぁぁ!!」


「…ぬえ……!お願いだよ…!?頼りにしてるからね…!」








「咲夜さん、追ってこないな……ぬえが頑張ってくれてるんだ」


「…フランの部屋、だけど……」


−フランまで掛かってたら……ど、どうしよう……けど知的で冷静なフランならきっと……大丈夫だよね…?………いや、ちょっと待てよ。フランが掛かってたら私はフランとキャッキャッウフフ出来るわけで……。

……まんざらでもない…ってかむしろ……!!


「…うへへへ…!」


−はっ…!待て、落ち着け…!私はこのリストバンドを外してもらうためにフランに会うんだ!


「…開けるぞ…!」


ガチャ




「…!!」


フランの部屋にいたのは何と……。


「やっぱりここへ来たわね…こいし!」


「レ、レミリアァァァ!!」


何とレミリアがいたのだ。しかも、フランはいない。


「くっ!!」(ドア閉めて全速力で逃げっ…!)


「逃がさないわよ」


こいしが部屋の中に一瞬で移動した。


「へ!?い、今何が起こった!?」


「私の転移魔法よ」


声のする方を見ると、パチュリーが椅子に座っていた。


「うぐっ!!」


急いでドアの方に逃げようとするが、魔法によりドアは開かなくなっていた。


「…なっ…!!」


「さあて、これでもう逃げられないわよ……」


レミリアがじりじりとこいしに近付いていく。


「ひ、ひえぇ…!!」(や、やばい…)


こいしは、少しずつ後ろへ後退していく。


「こいし……私は貴女を見た時、フランと同じくらい可愛いと思ったのよ……是非とも私の物にしたいってね」


レミリアの目が、紅く光っている。


どんっ


「……あっ…!」


こいしの背中が、部屋の壁に当たった。


「さあこいし…!私と共に深い快楽へと堕ちましょう…!私と共に溶け合いましょう…!」


「こ、来ないで…!い、嫌だ…!!」


「フフフフフ……」


「嫌ぁ…!」


「さあ、こいしぃ…!!」


「嫌ぁぁ!!助けて!!助けてぇ!!フラァーン!!」


その時だった。



パリィーーンッ!!


「「「!?」」」


フランが窓を割って部屋に入り込んできた。


「よいしょっ」


バキッ


「うごぉ!?」


日傘を即座に畳んで、パチュリーを日傘で殴った。


「なっ!?」


「えっ…」


そして、こいしを抱き抱えて日傘を開いて窓の外に飛び出した。


「フ、フラン!!貴女…!!」


「それ以上は危ないよ、お姉様」


「待ちなさいフラァーン!!」


「……フ、フラン!!」


「お待たせこいし。助けにきたよ」


フランがそのまま屋上へと向かった。

屋上には、ぬえもいた。


「ぬえ!」


「おお〜こいし!無事でよかったぁ!!」


スタッ


フランが屋上に降り立った。


「…ふうっ」


こいしを降ろした。ちなみにお姫様だっこをしていた。


「うえぇぇ〜ん!怖かったよフラァ〜ン!」


こいしが泣いてフランの胸に顔を埋めて拳でポカポカと叩いている。


「ご、ごめんごめん。ぬえを助けてたから助けるの遅れちゃって……」


「ううん、いいよ…!助けてくれてありがとう」


「…ええ」


フランが微笑んだ。


「……」


−や、やっぱり私……フランの事大好きだ……かっこいい……♡


こいしがフランを見てうっとりしている。


「…こいし?」


「…はっ!い、いや何でもないよ!」


「こいし、フランはいつも通りだね……!掛かってないよ」


「!そ、そういえば……」


「それ、『モテバンド』でしょ?文お姉ちゃんの新聞で見たけど」


「う、うん」


「どうやらそれ、元々思いの強い人は掛からないみたいだよ」


「へ、へえ…そうなんだ……」(え?…って、…って事はっ…!?)


こいしの顔が急に赤くなる。


「私はこいしの事を友達として凄く大事に思ってるから、それのおかげなのかもね」


「…そ、そっか……」(…ざんねん……)


「?こいし?」


「う、ううん!何でもない!」


「?そう?」


「まあ何にせよ、助かってよかった……助けてくれて本当にありがとう、フラン」


「礼には及ばないよ。友達として当然だからね」


グッ


フランがリストバンドを破壊した。


「おっ、ありがとう!」


「これで一件落着っと……さて、それじゃあ私は戻るよ。今日はちょっと魔法の勉強してて遊べないんだ……ごめんね」


「いいよいいよ!それじゃあまたね!」


「うん。またね」


フランが紅魔館に戻っていった。


「……ぬえ。今回の件の仕返し、覚悟しておいてよ」


こいしが不敵な笑みを浮かべてそう言った。


「は、はいっ」










図書館にて


「……」


−モテバンドに掛かっていた魔法は、”恋の芽”と呼ばれる人の心に魔法をかける類の魔法……か。


「一定距離とはいえ、よく数人を同時に魔法に掛けられるな……よほど魔力を仕込んでいたか、あるいは……」


フランが図書館でとある本を読ん読んでいた。

その本には”Move the heart”と書かれている。

その本の”love relation”と書かれているページを読み進めている。


”この魔法は、使用者又は使用物の周りに人の心に恋心を芽生えさせる魔法である”

”この魔法を心が持つ者が使用した場合、その者の最も気持ちが強い者とその者に対して最も強い思い入れがある者以外の全員が魔法に掛けられる。尚、一度掛けられた者はしばらくその魔法は解けない”

”この魔法は、魔法では自身の望み全てを叶えることはできないという戒めであり、恋を叶える魔法では~~~”

”この魔法を解く方法は、最も気持ちが強い者からキスを受けることである”


「……ふーん……」


−”最も気持ちが強い者と、その者に対して最も強い思い入れがある者、ねぇ……。


「……ふふっ…ありがと、こいし。…ぬえはもっと素直になればいいのに」


−一部塗り潰されていて見れなかったけど……何なんだろうか。


そういうとフランは本を元あった場所に戻した。

そして、別の本を取り出して、またそれを読み始めるのであった。

それには、”fusion magic”と書かれていた。


「治癒魔法と魂還こんかん魔法を組み合わせて……」


−これなら人を生き返らせられる魔法、作れるかもしれないな。


「……あれ、ちょっと待ってよ…」


先ほどの本を取り出し、もう一度そのページを確認する。


”尚、一度掛けられた者はしばらくその魔法は解けない”


「……おいおい…!」ガタッ


フランが急いで図書館を出た。









「……ぬえ。どうして紅魔館に勇儀さんや土蜘蛛さん、それにお姉ちゃんやお空達がいると思う?」


「……モテバンドの効果?」


「もしかして、モテバンド自体を壊しただけじゃ駄目なのかな…?」


「と、とりあえず、逃げるよこいし」


「う、うん…!」


「待ちなさい、こいし」


「「!?」」


後ろから、レミリアが現れる。

日傘はちゃんとしてある。


「逃がさないわよ…貴女は私のものとなるの」


「うっ…!」


「こ、こいし!後ろに逃げよう!」


「無駄よ」


ドオォーーンッ


「「!?」」


咲夜が現れる。


「はぁはぁ…こいし……」


「あ、やばい…!あの目はやばい奴だよ」


「ど、どうする!?」


「ど、どうしようもないよ…!フランだって今は図書館にいるんだし……!」


「で、でもこのままじゃ…!……わかった、こいし……ここは私が囮になるから、急いで逃げて」


「そ、そんな!それじゃあぬえが…!」


「大丈夫!別に死ぬわけじゃないんだから」


「で、でも…そ、その……初めてが失われるんじゃ……」


「…嫌だけどさ……!こいしが失っちゃ絶対にだめだよ…!」


「…ぬえ…!」


その時だった。


「!?な、何よこれ!!パチェなの!?私はこんなこと頼んでーー」


フッ


レミリアと咲夜が消えた。


「…えぇ!?な、何今の!?」


「…転移魔法…?」


フッ


「ちょっと待ちなよ、落ち着いてってば。何をそんな悲観的になってるの」


「…えっ!?フラン!?」


いつの間にかフランが目の前に立っていた。


「ぬえ、初めてがどうとか言ってたけど貴女がそっち系の被害を受ける事はないよ……こいしだけだね」


「…だよねぇ〜…」


「この魔法の解除の仕方がわかったよ」


「ほ、本当!?よかったぁ〜…!」


「…あと、どうやら魔法が効かない理由は相手側がどう思ってるかじゃないって事がわかったよ」


「え?」


「使用者にとって最も気持ちの強い者と、使用者に対して強い思い入れがある者には効かないんだってさ」


「……!!」


途端、こいしの顔が真っ赤になる。


「……!!」


ぬえは、少し期待の念を寄せていた。

もしかすると自分なんじゃないのか……と。


「……ふふっ」


フランは、クスッと笑った。二人の様子がとても可愛らしかったからだ。


「……こいし。貴女はこの魔法を解除したい?」


「…?もちろんだよ!」


「そっか。なら……」


フランが、微笑みを浮かべながらこいしの目の前まで近付いた。


「フ、フラン?」


「この魔法を解く方法は……」









「…!?…!?!?……〜ッ!!?」


「……最も気持ちの強い者に、キスしてもらうこと」


「………」


ぬえは、ぽかーんとしていた。


「フ、フラ、フラン…!?い、いい、い…!今…そ、その……私のほっぺたに……き、きき、キス……!!」


「それがこの魔法の解除方法なの。突然しちゃってごめんね。口にするのはさすがに嫌だろうと思ったから、頬にしたけど…それでも嫌だったか」


「そ、そんなことない!!全然そんなことないからね!!」


−むしろ口にしてくれた方が嬉しかったのに〜ッ…!

……で、でも……でも……!!私……あのフランに……!!


「は、はわわわ……」


こいしが地面にへたり込んだ。


「こ、こいし!大丈夫?そ、そんなに嫌だった…?」


「違う……違うのフラン……嬉しいんだよ……」


「……それは、よかった」ニッ


「……」(こいしの最も気持ちの強い人って……フランだったんだ……)


−私は、ただの友達としか見ていないんだよね……そりゃあそうだよ。こんな感情持ってる私の方がおかしいんだ!……でもこいしはフランの事を……。


「……まあ、魔法は解除できたみたいだし……私はまた魔法の勉強に戻るよ。また今度遊びに来てね」


「う、うん…!い、行くよ!」


こいしはまだ動揺していた。


「……」


その時、フランがぬえの隣に一瞬で移動した。

そして、耳元でこう囁いた。


「…ぬえ、素直になっていいんだよ」


「……!!」


そう言った直後に、フランはその場から消えた。


「……ぬえ、フランに何て言われたの…?」


「……こいし!」


「ん?」


「……あのね……私ね、今までずっと黙ってたんだけどね」


「う、うん」


「……こいしを見てると、何でかわからないけど胸がドキドキするんだ……落ち着かないっていうか……」


「……!」


「……多分、これはさ……恋心、だと思うんだ」


ぬえはこいしを真っ直ぐに見つめて言った。


「…こいし……貴女の事が、好きです……その……友達としてじゃなくて、恋愛的に……」


「……」


「……こういう時って、なんて言えばいいのかな……!つ、付き合ってって言っても……嫌、だよね……」


「ぬえ」


「!」


こいしがぬえをとても穏やかな目で見つめていた。


「……ごめん、ぬえ。その気持ちはすっごく嬉しいよ……けど、私には……好きな人がいるんだ。……ぬえも多分、気付いてると思うけど……」


「……うん……」


「……恋愛での付き合うは駄目だけど……これからもずっとずっとそばにいるって約束する。ずっとずっと、友達でいるって約束する」


「……うん…!」


「…私の答えは……




ごめんなさい、好きな人がいるの」


「…うん、わかった。これからもずっと友達として、そばにいてくれるんだよね?」


「もっちろん!」


「……それじゃあ、今の話は忘れて!」


「…わかった!それじゃあぬえ、これから遊ぶ?」


「うん!遊ぶ遊ぶ!」


二人がとても楽しそうに会話している。

紅魔館の時計台の裏から、フランがその様子をずっと見守っていた。


「……」ふっ


微笑みを浮かべ、フランは紅魔館へ戻っていった。


「さーて、蘇生魔法も完成間近だし、私も頑張らないとね」


−私も、今日の事は忘れることにしようかな。










ある日、ぬえが突然持ってきた『モテバンド』。

それは、幻想郷を騒がせる事件へと発展する程の代物だった。

私はこの日から、人からモテるのも程々にしたいと思った。

大事な家族や友達を道具で虜にしたって、何も嬉しくないしね。

……フランにキスされた興奮は、その日の内に冷める事はなかった。

ぬえには悪いけど、私は本当にフランの事が大好きみたいだ。


この平和な毎日が続くと、当たり前に思っていた。

けど、現実は非情だったんだ。

これは、あの決戦の数週間前の話ーーー。





ある日の話2 ~fin~



To be continue…


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