異世界での戦い その参
色々と忙しくなってきた…投稿ペース遅くなりやす
「……フラン、なの?本当に?」
「本当に私よ」
フランが私の体を起こしてくれた。
力が入らないためフランにもたれかかってしまっている。
「…どうして、ここに…?」
「混玉が教えてくれたの。これまでの出来事を」
「……フラン…!」
「遅くなって、ごめんね。大丈夫だった?こいし」
「…うん…!貴女が来てくれたことが……私は嬉しくて嬉しくて……!ごめん、こんな時なのに……!涙が自然と…!」
「いいよ、全然」
フランは、いつでも私を優しく迎えてくれる。
私の苦しみを吹き飛ばしてくれる。
フランがいてくれるだけで、私は救われる。
「無理をしたんだね…身体中傷だらけよ」
「…ううん、無理はしてないの……ただ、あいつが圧倒的に強かったってだけ……」
「そう……貴女でも勝てない奴がいるのね」
「ちょっと油断しちゃっただけなんだけどね……ごめん」
「…私の前だとすぐ謝る癖、直しなよ。こいし」
「ご、ごめん…あっ」
「ふふっ、いつも通りだね」
そう言ってフランは微笑んだ。
この感じ、やっぱりフランだ……本物のフランなんだ……。
私が惚けていると、フランが真剣な表情で前に向き直った。
奴がフランを凝視していた。
「おいおいおいおい!!…お前、何でここにいるんだよ…!?」
「時空の壁壊してきた。それだけよ」
「ちょい待ち…!お前澄ました顔で言うけどよぉ…それって、元の世界の管理者敵に回しちまってるよなぁ…!?帰ってきた時、どんな仕打ち受けるかわかんねぇぞ…!?」
「えっ…!」
「……確かにね」
「フ、フラン!」
「…気にしないで。私の意思なんだから」
フランは、あの世界の時空を壊したの…!?何か幻想郷に影響がある……のかな?その辺のことはわかんない…。
「確かに時空を壊すことは博麗大結界を歪ませかねない。けど、ちゃんとその辺のことは計算してある」
「それは結構なこった……だが俺が言ってるのはそんなことじゃねえ……わかってんだろ?」
「…フラン…?」
「……」
「さっき言ったしなぁ……その世界の管理者、敵に回しちまってるんだよその行為は……要するに八雲紫と博麗霊夢だ……お前、そいつら二人が幻想郷でどんな立ち位置にいるかぐらいわかってんだろ?」
「……」
「幻想郷の人脈の始まり…いわば幻想郷の中心だ!そんな奴ら敵に回しちまってたら最後……どうなるかぐらいわかんだろ?」
「……その通りだよ。私は幻想郷そのものを敵に回した」
「…フラン…!」
それじゃあ、この戦いに勝って戻ってきたとしても……フランは…!
「けど、それが何?」
「…え?」
「……お、おぉ?お前今何つった?え?」
「幻想郷の中心人物が敵に回るだとか、私がどうなるだとか、そんなこと知ったこっちゃない
友達が苦しんでいるのに……じっとしてられるわけないでしょ?」
フランは、私の顔を見つめながら、笑顔でそう言った。
「……フラン……」
「…ね?」
「……フラン…大好き」
「私もよ、こいし」
「……」(マジか?頭のネジ数本ぶっ飛んでんじゃねえのか?)
「…ところで貴女、何者?」
「…俺か?」
「……」
「……お前は昔っからそうだ。いつも俺のことを動揺させやがる……なあ?”フレア”」
「……!?今なんて言った!?」
フレアって……?
奴の手から鎖が現れフランに向かって伸びていく。
「!」
鎖の先についている蛇の頭のようなものがフランに噛みつこうとする。
フランはそれを後ろに下がって躱す。蛇の頭のようなものは空中を噛み付いた。
「鳳閃!」
奴がそう叫んだ瞬間、奴が鎖の先の蛇の頭のようなものに向かって高速移動する。
その勢いのまま、フランに突進していく。
「ヒャッハーッ!!」
手にナイフを持っている。その手のナイフには、紅色のオーラが纏われていた。
「レーヴァテイン」
フランがレーヴァテインを構えて迎え撃つ。
けど、いくらフランでもそいつの攻撃は……!
「気をつけて!フラン!」
ブオンッ
奴がナイフをフランに向けて振るう。
「…!」
ガキィンッ!
フランはそれを真正面から受け止めた。
「…す、凄い…あいつの攻撃を……真正面から…!」
「ちぃ!!」
「甘いね…!」
フランは手にスペルカードを持っていた。
「解放…禁忌『レーヴァテイン』!」
爆発音のような音がなり、フランのレーヴァテインから凄まじい光が放たれる。
ズバァンッ!!
「おわぁっと!!」
フランが、切り上げで攻撃した。
ずっと先の地底の壁まで切れ込みが入った。
「……!!」
−な、何て威力なの…?
「…おぉいおい冗談じゃねえ……」(あんなもん当たったら…!)
「まだ本気じゃないよ」
わかったことは、混玉に記憶を教えてもらった人はあの戦いの時の力に戻るってこと……。
もし霊夢に混玉が渡ったらやばいな……。
そんなことより、心なしかフラン前より強くなってない?何で?
「……」
禁忌『フォーオブアカインド』
「!」
分身が一人出てきた。
分身の数も制御できるようになったんだ……。
その分身が、ぬえの吹き飛ばされた家に入っていく。
「……何する気だ」
「止めたいなら、止めてもいいよ。私が居るけどね」
フランが笑みを浮かべて、奴にそう言った。
「…ちぃ…!」
「う、うぅ……」
「ぬえ、大丈夫?」
「…その声は…フラン…?もう、傷は……」
「私は貴女のよく知るフランじゃない。これだけ言えばわかるよね」
「……どうやって…?」
「それは後で話す。とりあえず、その傷を治さなきゃね……じっとしてて」
「…助かる……」
「…しょうがねぇ。こんなところで使う気はなかったんだがな」
「…?」
「俺はこの世界のフランドールが来たら使うつもりだったんだ」
「……こいし、気を付けて」
「…うん」
フランが魔法で傷は回復してくれた。何をしてこようがすぐに動ける……。
「気を付けようが気を付けまいが、もう遅い。俺以外の奴は絶対に逃げられない」
「……何?」
「行くぞぉ…!!幽霊魔法!!」
すると、周りに大量の怨霊が現れる。
囲まれてしまっていた。
「なっ…!?」
「こいし、下手に動かないで」
「う、うん!」
「……」(何だ…?これが魔法とでも……)
「”Initialization(初期化)”」
「「!?」」
ドォォォォォォォォッ
辺りの怨霊が、一斉に回りだした。
「……」
しばらくすると、辺りの怨霊はいなくなり、静まり返った。
「…何が起きたの…?」
何か、違和感がする……何だ…?
その時、フランが自身を見て驚いていた。
そして、私もフランを見て驚いた。
「……まさか…」
「?フラン…?な、何で……
目の色が……碧色なの…?」
フランの目の色が変わっていたのだ。
「……こいし……これから攻撃は絶対に一撃たりとも受けちゃ駄目……」
「え…」
「今の私達は……
”人間”よ……!」
「……えっ……!?」
その言葉を言われて気が付いた。
サードアイが無いのだ。
「そ、そんな…ありえないよこんなの!?な、何がっ……!!」
フランは元々が人間だったからなのかもしれないけど、私は違う!!い、一体何が…!?
「ヒャァーーッハハァァーーッ!!成功だぜぇ!!これが幽霊魔法だ!!どうだ!?驚いたか!?恐怖したか!?」
「……!!」
フランは冷静なのかそれとも絶望しているのか、奴をじっと見つめていた。
「さあここからは俺のターンだ……お前らのターンは無しだがな!!ヒャァッハァーーッ!!」
奴が私を攻撃しようとする。
「くっ…!」
とりあえずどうにかしないと……!でもどうする…!?
「こいし!どうやら魔力は引き継がれてるみたい!飛んで!」
「!了解!!」
ダンッ
「!」
本当だ!飛べる!
「逃がすかぁ!!」
「逃げるしか、ないよね…!」
奴が真下から私に迫ってくる。
私は奴と同じ方向に急降下した。
「!?」(なっ…こいつ…!)
「へん!どうだ!」
奴は急降下に反応できず私とすれ違った。
「…ちょこちょこと面倒なやつだ」
奴がゆっくりと降りてきた。
「フラン…どうする…?」
「……」
フランから返事がない。つまり、どうしようもないってことだね。
「…さすがに、フランでもこの状況はどうしようもないか……!」
こうなったら、奴の手に持ってるナイフを奪って反撃を……。
「よっと!」
「!?」
奴が突然凄まじいスピードで私に迫ってきた。
急すぎて、体が動かなかった。
やられた。私はそう思った。けど……
ドンッ
ドスッ
「…あっ…?」
「…なっ、にぃ…?」
フランが私を押しのけて、ナイフを奴の胸に突き刺していた。
「……」ニヤッ
フランが笑みを浮かべている。
「……て、てめえ…!」
「フ、フラン!」
「こいし、下がってて!」
「えっ…で、でも!」
「大丈夫、任せておいて」
フランがナイフを抜いた。
その瞬間、奴がフランに向けて攻撃を繰り出す。
「このくそガキッ!!」
ガキィンッ!
フランがナイフを逆手持ちにして、顔に向けて振るってきていた奴のナイフを防いだ。
クルクルとナイフを回しながら、フランは色んな持ち方に持ち替えナイフで攻撃していた。
「なっ…!!」(なんっだこいつはァ…!!人間の体でこんな動きが…!!)
「…!」
凄い……今はフランも人間の体のはずなのに…!
「遅いね!」
「ちぃ…!」
「……」
私はただ見ることしかできなかった。
下手に手を出せば、フランの邪魔になると思ったから。
「……めんどくせえなぁ…!」
奴から赤紫色のオーラが放たれる。
「……」
フランは奴の少し手前にいる。奴とフランの距離は、約二メートル程だ。
「フラン!気を付けて!」
「ええ」
「スピードで翻弄して、力押しをさせないつもりだったらしいが……もうその作戦も通用しねえぞ」
「…こいし。ここからは本当に奴の言うように……こっちのターンが来なくなる」
「…!」
「だから、こいしは一旦逃げて。それで、お空やお燐を倒してきてほしいの」
「…その間フランはどうするつもり?」
「こいつと戦う」
「だと思った」
「…!」
いつもいつも、私を守るために自分が犠牲になろうとする……。
「…フラン。私はもう……貴女に守られるだけの存在じゃない」
「……」
「さっきは助けてくれてありがとう。奴と戦う役目は私がする」
「……こいし……」
「大丈夫。死にはしないよ」
「……ごめん、こいし。悪いけど私じゃないとダメなんだ」
「…何で」
「さっきあいつが言ってたよね。私は向こうの世界に帰っても、追われる身になるって」
「……ここで功績を残しておかないと、本当に殺されるかもしれないってこと?」
「うん。これは私のためなんだ……だからこいし、お願い」
「……わかった。けど一つ約束して」
「?」
「絶対に、一緒にあの世界に帰るって」
「……うん。約束する」
私には、その時のフランの目はまるでこの先の未来がわかっているかのような目に見えた。
とにかく、急いで魔理沙達の援護に行かないと!
「……お前、その人間の体で勝つつもりか?」
「勝つつもりかと問われると、そうじゃないって答えるかな」
「……何だと?」
「貴方と”心中”するつもりだよ。『ヒロト君』」
「……何でわかった?」
「今の時代、私の本名を知っているのはお姉様以外に誰もいない。つまり、貴方の正体は過去の人物に絞られる。怨霊の気配がしたから、まさかとはおもったけどね……本当にそうだったとは」
「……心中か。本当にお前にその覚悟があるのか?」
「あるから、言ってるんじゃないか」
「……ふん」
「その前に……貴方には色々と聞きたいことがあったんだ」
「何だ?」
「どうして基本世界の貴方がここにいて、どうしてこの世界のこいしに取り憑いたのか」
「取り憑いた理由は、偶然だ。この世界にいる理由は、レミリアのグングニルだ。あの時のグングニルには時空を捻じ曲げるほどの力が込められていたんだ」
「…それでこの世界へと飛び、この世界で怨霊化したって事?」
「その通りだ」
「…この世界の私が基本世界に現れたのは、偶然?」
「……お前……どこまで考えてる」
「貴方が霊夢を裏で操っていたってところまで」
「……正解だ」ニヤァッ
「…!!」
「俺はこの世界で古明地こいしに取り憑いた後……グングニルによって開けられた時空の穴から基本世界へと度々飛んでいたんだよ…!霊夢に怨霊の力を大量に注ぎ込み、奴の精神を捻じ曲げ…!お前の大切なエレナを殺させ!さらに過去に飛びお前達の記憶をすり替えさせた!!」
「……」
「そして混玉を作らせるよう促し!!混玉があれば全てを支配できると唆して!!奴を暴帝に仕立て上げた!!あたかも奴の意思でやっていたかのようにな!!」
「……」
「まあ半分は霊夢の意思だろうな……やめようと思えばいつでもやめられたはずだぜ」
「……つまり……こいしに取り憑いた時から……貴方の計画は始まっていたと」
「その通りだぜぇ!!俺様の目的はお前達スカーレット姉妹への復讐!!そして世界征服だ!!」
「……」
「あの時お前達という障害さえ現れなければ俺はあの街を壊滅させられた!!さらなる力を手に入れられたはずだった!!お前達のせいで俺の野望は果てたのだ!!」
「……」
「てめえらだけはぶっ殺す!!この世界のレミリアのようになぁ!!ヒィャァーーッハッハッハッハッハーーーッ!!!」
「……」
フランには、混玉による情報共有で全ての記憶が入っている。
一度混玉に気に入られた者達は、記憶を共有できる。
並行こいしの過去は、全て知っていた。
だからこそ、さらに怒りが湧き上がってきたのだ。
「さぁあ!!とっとと殺してやんよぉ!!」
「やってみろ」
フランの心は怒りに支配されていた。
−こいつを…殺す。こいつを…殺す。
殺 す 。
ドオオオオオオオンッ!!
普通の人間が持っているはずのない量の魔力が、フランから出てきた。
「……何だ…!?」
「お前は……私を本気で怒らせた」
「…こりゃ、やばそうだな…!!」
「フラン…すぐに戻るから…!」
「急いで倒すんだ!フラン達の援護に行くために!」
「ああ!」
「てゐ達からの増援もあった!それに後は空だけ!いけるぞ!!」
「やられてたまるかぁ!!」
「傷、癒えた?」
「うん。いつでも行ける……私はもう行くよ。こいしは後から来てもいいからね」
「いいや、一緒にいく……」
「…わかった。行こう……決着を着けに」
「うん…!」
To be continue…




