ある日の話
・これはほぼ番外に近いです。一旦本編の話を止めて、本編の過去の物語としてご覧ください。
紅魔館 フランの部屋
「ふぁあ〜…!眠い」
「大丈夫?何ならちょっと寝ててもいいよ」
「あ、ごめん気を使わせちゃったかな。いーよいーよ、大丈夫。あくびした後ってさ、何となく眠いって癖で言っちゃう時ない?」
「ん〜どうだろ。私はあんまりないかな」
「そう?私しょっちゅうあるんだけどなー」
「私はあくびしたらその後何も考えずに『寝よう』って思うからね」
「フランは自由だね……」
「こいしもでしょ?ふふふっ」
「まあね!ふふふっ。あ、そーだフラン!この前の話覚えてる?」
「なあに?」
「服を交換しよう!って話!」
「ああ…あったね」
「今日やろ!今日!」
「そう言うと思って、ちゃんと洗っておいたよ。服」
「おお、それは助かる!私も持ってきたよー♪」
「それじゃあ着替えよっか」
「うん!あ、羽通す穴開けてきたからね!」
「えっ…!ご、ごめん、ありがとう」
「気にしないで!私が自分で開けたんだし、実はこの服十着はあるから!」
「じゅっ…!お、多いね」
「私もそう思うんだけどね…お姉ちゃんが念の為って事でさ」
「ふーん……さとりさんって編み物できるの?」
「できるよー!フランに負けないくらい上手だよ」
「一応言うけど私も咲夜に教えてもらったおかげであそこまでできるようになったからね……多分、才能はさとりさんの方があると思うけど」
「どうなんだろ?けど教えてもらっただけでそこまでできるなんて、フランも凄いよ」
「…ありがと。はい、これ私の服」
「お、ありがとー。サイズはちょうどよさそうだな」
「少し大きめに編んでみたの。私よりもちょっと身長高いからねこいしは。ちょうどいいといいんだけど」
「えっ、これフラン自分で編んだの!?」
「そうだよ」
「す、すっごいなぁ……プロじゃん。私がこの話したの三日前くらいだよ?」
「私の服の構成は意外と簡単だからね。ある程度把握できていればそれほど難しくないよ」
「へ、へぇ〜…」
「ま、とりあえず着替えよっか」
「あ、うん!んしょっ…」
「あれ、こいし心なしか少し痩せた?」
「いやー実はこれが普通なの。前が少し太っちゃってただけなんだ」
「ふーん…でもあんまり変わってないね。ふふっ」
「それに気がつくなんて、フランは凄いね」
「そうかな?多分他の人でも気付けると思うよ」
「え、私の体の変化そんなに著しい!?」
「い、いやそういう事じゃないよ!こいしのスタイルがさらによくなってるからわかりやすいと思ったの!」
「そ、そう?…ていうか、フランは胸大きくなった?」
「うん?そうかな?ここまで来て成長するかな?」
「何か、大きくなってるような気がする……前見た時よりもブラジャー膨らんでるもん」
「んー、ならそうなのかもね」
「私は相変わらずブラジャーの膨らみは普通…」
「その歳の並の人よりはこいしも大きい方だよ」
「ならフランはどうなるのかな?かなり大きい方?私とあんまり変わらないよ」
「さあ、どうかな。まあそれはいいとして……入る?」
「うん、少し余裕あるくらい」
「それならよかった。…私もそんな感じだ」
「んしょっと……ふぃー、着替え完了」
「私も終わったよ」
「……!」
「?こいし、どうかした?……」キラキラ……
その時のフランは、輝きを放つほど綺麗だった。
元々綺麗だけど、長袖着てると清楚で綺麗だ……髪も解いてるからすっごく綺麗だ……金髪ロングって可愛いよね……。
「…こいし、似合ってる」
「え?」
フランも結構私をうっとりと見てる。
「そ、そうかな…私半袖あんまり似合わないと思ったんだけど……」
「そんなことないよ?とっても似合ってる。じゃあ、髪の毛セットしようか。私風に♪」
「う、うん」
フラン、楽しそう。こういうのフランも好きなんだね。
「……」
「んー、こいしの髪の毛ちょっと癖が強いね。私みたいにしたら痛いかも」
「いや実はね?癖が強いように見えてどんな風な髪型にしても痛くないんだこれが」
「へえ、そうなんだ。ならできるかな……ちょっと無理矢理やるよ?」
「いいよ!」
フランに髪の毛をセットしてもらってる時、嬉しいことがあった。
「痛くない?こいし」
「うん、大丈夫」
「……最近こいし、疲れ気味じゃない?」
「!…そ、そんなことないよ」
「隠さなくていいよ……私のところに毎日遊びにきてるんだから……そりゃあ疲れるだろうね」
「……正直言うと、疲れてる。けどフランはなにも悪くないからね?私が自分できてるんだから」
「……私ね、こいしに言いたいことがあったんだ」
「え?」
「いつも私のところに遊びにきてくれてありがとう。貴女がここに来てくれたおかげで私は変われた」
「…うん」
「私ね、こいしと遊んでいると心がとても安らぐの」
「!」
「お姉様とはまた違う……こいしと居るととっても幸せな気分になるの」
「……」
「私は貴女と会えて、本当によかった。これからもずっとずっと、友達でいようね。こいし」
フランはとても穏やかな声で言う。私は、それを無言で聞いていた。どちらかと言うと、嬉しくて言葉がでなかった。
「うん……うん…!」
「……こいし、泣いてる?」
「……そんなこと、言われたの、初めて、なんだ……嬉しくて……つい……」
「そっか……ふふ」
「…私にも言わせて……」
「うん」
「…私の世界を変えてくれたのは、他でもない貴女なんだ…フラン」
「!」
「私と友達になってくれてありがとう。これからもよろしくね」
「…うん」
その時、私はフランの顔を見ながら言った。
フランが返事した時の顔が、とにかくカッコよく見えた。
この時から私はフランに特別な感情を抱くようになったんだ。
「…よし!いいよー」
フランが私から離れる。
その時、この幸せな時間も終わりか…と思った。
…何だこれ、と自分で思った。恋する乙女ですか?と自分でツッコミを入れそうになる。
「こんな感じになったよ」
「…わぁ…これ、私?」
後ろからフランが鏡を見せてくれた。
「ふふっ、こいし可愛い♪」
「あ、ありがとう」
「それじゃあ、これからどうする?」
「今日はお姉ちゃんも遊びにきてるんだ。ちょっと見せに行かない?」
「いいよ。それじゃあ行こうか」
「でね、私がフランにチェスで勝ったのよ!約束でフランのプリンを一つもらうっていうのがあったんだけど、妖精メイドのトレアがそれをめっちゃ咎めてきてね……結局自分の分のプリンしか食べられなかったのよね」
「それは、レミリアさん。貴女の人望負けですね」
「それなのよ!プリンよりも人望負けしたのが悔しくてもう…!」
「ふふふっ、フランさんは凄いですね」
「姉としては嬉しいことなのだけどね……」
お姉ちゃん達の会話が聞こえた。
「ねえフラン。今の話本当?」ヒソヒソ
「うん。お姉様が提案してきてね。とりあえず私は受けて立ったんだけど負けちゃって」ヒソヒソ
「ふーん…ま、いいや。いこう」
「うん」
コンコン
「お姉ちゃーん?ちょっといいー?」
「はいはい?どうかしたの?」
「よーし、行くよフラン!」
「はしゃいじゃってもう……」
ガチャ
「やっほーお姉ちゃんにレミリア!」
「こんにちはさとりさん。お姉様はさっきぶり」
「……!」
「……!」
「…お姉様?」
「な、何て可愛いのかしら!ねえさとり!?」
「は、はい!最高ですね!!」
お姉ちゃんとレミリアが凄い興奮しだした。
「……きゅ、急にどうしたの?」
「……お姉ちゃん……目が……」
ケダモノだ。あれはケダモノの目だ。
「咲夜!カメラよ!!」
「はいお嬢様!!」
「さ、咲夜!いつの間に…!」
「こいし、貴女よくやってくれたわ」
「……」
私はゴミでも見るような目でお姉ちゃん達を見た。
フランは呆れてものも言えないと言った感じに溜息をついた。仕方ない、無視していくか。
「…お姉様…さとりさん…」
「フラン、後でぶちのめせばいいよ。今はこの服を楽しもう♪」
「物騒だね、全く……」
「フラン!その格好でちょっと私のことお姉ちゃんって呼んでみて!」
「!……それは、どういう意味で?」
「え?いや別に意味はないけど……」
「…そっか」
「…フラン?」
「何でもないよこいし。気にしないで」
「う、うん」
「フラン、駄目かしら…?」
「……そ、そんな風に言っても駄目だからね」
「残念……」
「…あーもう、わかった!わかったよ…だから落ち込まないで」
「さすがフラン!優しいわ!」
「…こ、このっ……後で覚えてなよお姉様…!」
「さ、早く早く!」
「……」(正直私もちょっとフランのお姉ちゃん呼びみてみたい)
「……」(フランさんのお姉ちゃん呼びか。見ものですね)
「……あー、コホン!」
「…お姉ちゃん」キラキラ……
「グハァッ!!」
「グオォッ!!」
「…はわわっ…!」
「…!!…!!」
「……」
私含めその場にいたものほぼ全員が萌えていた。
「さ、咲夜…ティッシュ」
「お、お嬢様申し訳ございません……私一人分しか調達していません……」
「分けなさいよ!!」
「…いい…!実にいいわ…!」
「…フ、フラン…超可愛いよ」
「……みんなして何よっ…!て、照れるじゃない…」
パシャッ
「…ん?」
「よし、これでフラン成分がいつでも補給できるわ」
「……写真、撮った?」
「ええ」
フランが凄まじい殺気を放ちながらレミリアを見ている。
「……」ドドドドドドドドドド……
「…ごめんなさい。写真は削除しま……」
「邪翼!!」
「すっ!?」
「崩天刃!!」
「レ、レミリアさァァァンッ!!」
(わあっ…フランかっこいい……♡)
はっ…!私はレズか!?
……ていうか、ほぼ蛇翼○天刃じゃんか。ポーズ同じだし。
「し、白……」ガクッ ガクッ
「お嬢様ァァァ!!ありがとうございます!!」
「吹き飛ばされながらもフランさんの下着を見ていたとは…!」
「もう一発行っとく?」
「勘弁してあげてください妹様…!」
平和(?)だなぁ。
「フラン、外に遊びに行こう!」
「うん?わかった。行こう」
「咲夜…もしまたフランの機嫌悪くしたらあれ以上○ィストーションドライブ出してきそうで怖いわ……」
「大丈夫です。多分自重してくれます」
「邪竜裂華斬とかやってきそうですね」
「なんて読むのかしら……」
「ジャヅチ?」
「あ、なるほど」
「いつもならあんな風にならないのに急にどうしたんだろ」
「実は耐えててそれが爆発した?」
「ええ……」
「ま、とりあえず遊ぼうよ!」
「…うん。何して遊ぶ?」
「んー……じゃあ鬼ごっこ!」
「…二人で…?寂しくない?」
「いいの!とりあえずやろう!私鬼ね!いーち!にーぃ!さーん!」
「わわっ、ちょっと待って!」
その日は、遊び疲れて二人で並んであの木の下で寝ちゃった。
けど、朝になった時フランは私の隣にはいなかった。
木の枝の間で眠っていた。私の帽子を手を持って。
その日はとても楽しい日だった。
私は、この日を一生忘れないであろう。
これは、あのサバイバルゲームが始まる数ヶ月前の出来事ーー……
ある日の話 fin
To be continue…
そう、これがやりたかっただけ……




