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バレンタインSP

フランの過去とかは並行世界篇の後にやる予定。

バレンタイン、自分にとって特別な人にチョコを送るというあれである。

そう、あれなのである。






「バレンタイン?」


「そうそう。どう?貴女にもいるでしょう?特別な人。フランにあげたら?」


「フラッ!?お…お、おね、お姉ちゃん!?な、何言ってんの!?」


「あらまあ、わかりやすい。ふふ」


これは、もしあの時こいしが並行世界へ飛ぶという願いを言わなかった場合の世界。






「レミリア、お前はバレンタイン誰にあげるんだ?」


「え!?そ、それは秘密よ」


「同性愛でも魔法でどうにかなるわ。何でもいいなさいレミィ」


「あんたは何なのよパチェ!!」


「まあ落ち着きなよお姉様。私はみんなに配ってまわりたいなー。日頃の感謝も込めて」


「日頃の感謝って?」


「私と遊んでくれたり世話をしてくれたり」


「ああ、紅魔館のみんな、ね」


「そ!せっかくだから今言うよ。いつもありがとう、お姉様」


「い、いいのよいいのよ!私は姉なんだから!」


「ふふふっ、お姉様可愛い♪」


「…〜ッ…」


レミリアが若干赤面している。


「…もしかしてあげる相手って……」


「言うなぁ!!言ったら殺す!!パチェであろうと殺すから!!」


「はいはい、わかりやすいわね」


「?」


「フラン、チョコ作りに行こうぜ」


「あ、うん」








「妹様」


「パチュリー?どうかした?」


「お前もチョコ作るか?」


「いや私はいいわ。……妖精メイドはいないわね……ねえ、フラン。ちょっと来てくれる?」


「ん?わかった!魔理沙、ちょっと待っててね。すぐに戻ってくるから!」


「おう!」


パチュリーがフランを連れて何処かにいった。









「何するの?パチュリー」


「ちょっとそこに立ってて」


「?」


コオオオ…


周りに魔法陣が展開される。


「!」


フランはそれに気がつく。しかし、パチュリーを信用しているため動こうとはしなかった。


「……もしかして私に何かの魔法かけるつもり?構わないけど……一応私も魔法使いだよ?」


フランが笑いながら言った。


「そうやって余裕ぶっていられるのも今のうちよ…」


ドオオッ


「…なっ…」







「……何が変わったの?」


「……成功」


「へ?」


「はい」


パチュリーが鏡を見せてくる。


「……」


いつもの顔だと思ったが、次の瞬間……

いつもより目が小さく見える。それに、胸元も絶壁である。さらに、下半身に違和感がある。


「……まさかぁ……!?」


「……」コクンッ


フランがパチュリーの方を苦笑いをしながら見た。

すると、パチュリーがうなづいた。


「性転換」


「……なっ…!!


なんじゃこりゃああ〜〜〜〜!!!」













「……何か、すっげーイケメンだな、フラン」


「……ありがとう」


「……もし妹様だって知らなかったら惚れそうなくらい美男子ね……」


「……身長は普段と変わらないけどね」


フランは男子用の服に着替えさせられていた。

帽子は外して、髪の毛はサイドテールではなく後ろで結んでいる。服装は宴会の際にフランがきていたあった和服である。男性用なので丁度いい。


「しっかし、こうしてみるとやっぱりフランって美形なんだなぁ…」


「男の子になった途端凄まじい美男子になったものね……」


「…正直、あんまり嬉しくない」


「…なあ、ちょっとレミリアとこいしに会わせたくないか?このフラン…」


「同感ね、行きましょう」


「え、ちょ、チョコは?」


「後で後で!行こうぜ」


「ええ〜…!」



挿絵(By みてみん)









「おーいレミリアー!」


「ん?どうかしたの?チョコ作りは?」


「一旦おやすみだ。それよりもみろよ!この絶世の美男子!」


「うわっ!」


といってフランを前に押し出した。


「……!?」ドキーンッ


レミリア、一目惚れである。


「あ、ああ、ど、どうも。私、ここの館の、主のレ、レレ、ミリア・スカーレットです」


「…お姉様、私だよ」


「…へ?その声は…」


「フラン」


「……」


ボンッ


レミリアの顔が真っ赤になった。


「お姉様!?」


ガッ


レミリアが倒れそうになったので、フランが支えた。


「大丈夫?」


「…はい…」


恋する乙女のような声で言った。


「……お姉様……」


「……ふ、フラン。忘れなさい」


「……うん」


「…ぷふはははっ……!!レ、レェミリア……お、おまっ…!!ははっ……!!」バンバンッ


魔理沙が爆笑しすぎて腹を抱えて地面に蹲って地面を拳で叩いている。


「魔理沙ァ!!」


「…あら?妹様は?」


「何!?逃げられたか!!」


「魔理沙ァ!まさかあんたフランを見世物にしようと…!」


「別にそういうわけじゃないぜ。でもさ……普通にかっこいいじゃん?男フラン」


「…うん」


「だろ?だから色んな奴に見せて回りたくてよ…」


「…けどそんなの……」


「美男子の姉って威張れるぜ?」








「フラーン!どこー!?」


「この切り替えの早さ」


「潔すぎて逆にかっこいいと思うわ」


「フランどこに行ったのかしら……」(実際は私がまたあのフランを見たいだけ……だって本当にかっこいいんだもん)









「助かったよこいし。無意識って便利だね」


「う、うん」


「…こいし?」


「い、いや!な、何でもななないいよ!」


「……」はぁ…


フランは大体悟った。まさかこいしでさえこうなるとは思わなかったようだが。


「…こいし、何で一瞬で私が男になったってわかったの?」


「え!?そ、そりゃあ……か、か……かっこよかった……から……」


「……」


こいしに言われると少し嬉しいようで、フランが少し赤面した。


「……気まずいね」


「…そ、そうかな…?私は、とってもいい気分…」


「…え?」


「……フラン…!こ、これ!!」


そう言ってこいしが差し出したのは、ハート型の箱だった。


「……ありがとう」


フランはそれ以外何も言わずに、笑顔でそれを受け取った。


「……」


こいしの顔は真っ赤である。


「……ふふ」クスッ


フランはそんなこいしを見て思わず笑ってしまった。

そして……


「こいし、私からも」


「え?」


「……ハッピーバレンタイン、こいし」


そう言って、小包をこいしに渡した。


「……!!あ、ありがとう!!」


「うん」


「……フラン」


「ん?」


「…きょ、今日だけ……あの……えっと……」


「……いいよ、言わなくても。どこに行きたい?」


「……街」


「……了解。行こうか、デート」


「…!!うん!」







「…MESIUMAだな、MESIUMA」


「そうね、飯馬ね」


「何が飯うまじゃあ…!!私のフランがこいしに取られっ……」


そこでレミリアは我に返った。


「…レェミリアァッ……!!っはっはっ…っ!!…っ!!…おお、お前っ…はっはっ…っ!…っ!」


笑いすぎて声にならない笑いをあげる魔理沙。


「魔理沙貴様ァ!!」


「おおお!!落ち着け!悪かった悪かった!グングニルまで出すもんじゃねえぜ!!」


「遠くから見てたからよかったけど近くだったら今のでバレてるわね」









「……今思ったんだけど、さ」


「…多分同じこと考えてる」


「……これってただの同性愛行動だよね?」


「やっぱり同じこと考えてた」


「…ぷっ」


「…ふっ」


「「あははははは!」」


「いつも通りのノリだねやっぱり!」


「やっぱりこうでないとね!」


「あ、フラン!焼き鳥食べたい!行こう!」


「お、いいね!」









「いつも通りに戻ったわね」


「あの方が私は好きね」


パチュリーが言った。


「同感だぜ」


魔理沙は、それに続くように言った。


「…ええ、私もよ」


レミリアも、とても穏やかな目で二人を見ながら言った。


「ずっと後をつけてくるのはよくないんじゃないかな?」


「「「!?」」」ビクッ


「ねぇ…三人とも?」


フランがいた。分身である。


「……終わったわね」


「諦めるしかないのか…!?」


「いや、たったひとつだけ策はある!」


「な、何!?その策とは…!!(裏声)」


「いいか!!動けなくなるまでとことんやるぜ!!」


三人が同時に後ろを向いて……


「「「逃げるんだよォ〜〜!!」」」


全速力で走り出した。

しかし……


「……」ニヤァッ


「!?何だフランの奴!すっげぇ怖い笑い浮かべてるぜ!?」


「何かしてくるかも!?」


「振り返るな!!逃げるのよ!!」


次の瞬間……


「カーゴメカゴメ♪」


ドドドドドドドドドドドドドドド……


「「「ファッ!?」」」


辺りから緑色の弾幕が現れる。


「かーごのなーかのとーりはー♪」


ザッ……ザッ……ザッ……ザッ……


「「「!!」」」ゾクッ


後ろからゆっくりと近づいてくる音がする。


「いーついーつ出ーやーるー♪」


フランの声が三人の真後ろから聞こえる。


「「「……!!」」」


「後ろの正面……


だぁーれぇ……」



「「「ヒギャアアアアア!!!」」」








「……何か今叫び声聞こえなかった?」


「気の所為じゃない?」ケラケラ


こうして、バレンタインの日は、いつもと同じように、当たり前に過ぎていった……。








しばらく時間が経った頃。


「…っ…!」


「?フラン?どうかした?」


「…む、胸が……苦し…うぅ…」


「フ、フラン!?大丈夫!?」


「…んぐっ…!」


ボオオォン……


「ひゃあ!?」




フランが、いつもの姿に戻っていた。


「…あ…」


「…戻った」


「……」


途端、フランが赤面し出した。


「……私って、割と恥ずかしいことしてたんだね……」


「……ふふっ、あははは!」


こいしはそんなフランの様子を見て笑っていた。


「も、もう!こいしっ!笑わないでよ!」


「あはは!フランかーわいい♪」


その後、二人は自分の家族や友達にチョコを渡して回った。

みんなに渡し終えた後、名前の彫ってある大きな木に来た。


「いやー、疲れたね」


「ねぇー………私は精神的にも疲れたわ……」


「フラン、男の子になってたもんね……はは」


「でも、なんだかんだ言って楽しかったな、今日は」


「ね!やっぱりこういう行事はいいよね!」


「あーあ…毎日何か行事でもあればいいのになー」


「それはそれで辛そうだね…ふふ」


その木の下から、ずっと二人の少女の笑い声が聞こえたという。

朝日が昇る、その一刻前まで。









「ただいまー。遅くなってごめんね」


「……?」


フランは、何故か真っ暗な紅魔館に不信感を抱いた。


「……」


一つ明かりのついた部屋があった為、そこに向かった。


「……」


中の様子を伺うべく、扉をそっと少しだけ開けた。

中は、どうやらレミリアの部屋のようである。


「……!?」


そこには、一人の妖精メイド。

そしてその妖精メイドの手に持たれていたのは……


「お姉様!!」


バンッ!!


レミリアが首を掴まれて持ち上げられている。


「あっれぇ〜?妹様。何で帰ってくるんですか」


「お姉様を放せ!!一体何者だ!?妖精じゃないな!!」


「妖精ですよぉ〜。けど、あまりに貴女方二人が弱いのでもう仕えるのがバカらしくなってしまいまして……」


「何だと…!?妖精が吸血鬼を倒せるわけがない!一体どんな手を使ったんだ!」


「だから言ったじゃないですか。貴女方が弱すぎるんですよ」


「……あまり馬鹿にされると私は結構根に持つタイプでね……悪いけど貴女を壊させてもらうよ」


「できるものなら」


「行くぞ!」(お姉様…ごめん、部屋壊れちゃうかも…!)


「レーヴァテイン!!」ブンッ


「…やっぱりそんなものか…」


ガッ


「…なっ…?」


妖精メイドが片手でレーヴァテインを掴んでいる。


「やっぱり弱すぎですね、あんたら」


ブンッ


ドゴォッ


「ゲオッ!?」


フランの腹部に、思い切りパンチを入れる妖精メイド。


「ほらほらほら!」


ドゴォッ ドゴォッ ドゴォッ


「げぼっ!!がふっ!!あぁぐっ!!」


「はっはっはっ!やっぱり弱すぎるんだよぉ!!姉妹共々!!」ドゴォッ


「ゲアッ!?」


「こんな雑魚に仕える価値はないねぇ!!」ドゴォッ


「がはぁっ!!」


「はっはっはっ!いい気味だ!!」ドゴォッ


「ぐっ…!!」ゴフッ


フランが血を吐いた。


「ふんっ!!」ドゴォッ


「げほっ……」ゴホッ


「そぉら!!」ドゴォッ


「うぅっ……」ガフッ


「ははは!!」ドゴォッ


「あぁっ……」ゲボォ…


「ソォォラァア!!」


ドゴオォッ!!


「ううぅぅっ!?」ゴバッ


「あー雑魚だなぁ。こんなのに今まで仕えてたなんてね……」


「うっ……あぅっ…ぐぅ……」


ドサッ


フランが倒れた。


「そぉらそら!どうだ?妖精如きにやられる気分は?え?」


「…この……私が…!!吸血鬼のこの私が……お前、なんかに……!!」


「はっはっはっ!惨めにも程があるなぁ妹様!!おぉら!!」ドゴォッ


今度は、倒れたフランの横腹に蹴りを入れる妖精メイド。


「がはぁっ!」


ガッ


「あぁっ…!」


蹴り飛ばしたところをフランの頭を掴んで止め、妖精メイドは自分の顔の前にフランの顔を持ってきた。


「お前らは咲夜さんに守られてるただのお子ちゃまってわけだ!雑魚吸血鬼共!」


「……妖精…如きが……調子に乗るなぁ……!!」


フランが言った。


「その妖精に負けてるんですよぉ妹様ァ!!はっ!口だけはお達者なのですねぇ!!」


「……この…私が……こんな奴に……」


「はっ!さっさと死ねよ雑魚が!!」


フランの首を踏みつけた。そしてどんどん体重をかけていく。


ミシミシと音を立て始めた。


「あ……あぁああぁあああ……!!」


「そらそら抵抗しろよ…!!本当に死ぬぞ…!?」


「ああぁあああぁ……」


ブチィッ


フランの首を切れた。

フランの顔だけが転がる。


「……呆気ないものだ。こんなカス共にどうして咲夜さんは仕えてる?」


「さあて、次は他の全ての紅魔館の住人を…」


その時だった。


ドスッ


「……がっ…?」


腹部にレーヴァテインが刺さっている。


「束の間の優越感は楽しめたかしら?」


「…なにぃ…!?」


レミリアとフランが扉から現れた。


「あら?もしかして本気で私達に勝ったと思っちゃったのかしら?」


「どういう、ことだ!!何なんだこの死体はぁ!!」


「私のはフォーオブアカインドの分身。お姉様のは片手分の蝙蝠で作った偽物さ」


「つまり、わかる?あんたは全く力を出せない私達を相手に調子に乗ってたってことよ」


「……何で……何で私がこの時間に攻めてくるとわかったぁ…!?」


「貴女はちょっと周りを見なさすぎたんだよ。何も妖精メイド全員が私達に仕えていることをよく思ってないわけじゃない」


「…!?」


「むしろ、貴女以外の者はみんな私達に仕えていることを誇りに思ってくれているわ」


「…なっ…!!」


「だって見てよこれ!私の為にチョコをこの館全員が用意してくれてたんだから!貴女を除いて」


「…なっ…!?」


「私も貰ったよ。みんな渡してくれる時顔が少し恥ずかし気だったけど何でだろうね?」


「……フラン。あんたモテすぎよ」


「え?」


「……何なんだ…何なんだよお前ら…!!なんでそんなに人を引きつけられるんだ!?」


「いや、人間は一人しか引きつけれてないわよ私は」


「そういう問題じゃないよお姉様……」


「…くそぉっ…!!」


「……どうしてこんなことしたの?」


「……私は自分が強くなったと勘違いしていたようですね。貴女を倒し、そしてレミリア様を倒し、この館を支配するつもりだった…」


「……」


「しかしそんな力は私にはなかったようです」


「嘘つかなくていいよ」


「…!!」


「…あんた、大馬鹿ね。フランに嘘が通じると思わないことよ」


「自分を見てほしかったんでしょ?妖精メイドという多く存在する群衆の中で、光りたかったんでしょ?」


「……フラン…様…」


「……私は貴女の事をちゃんと見てるよ、トレア」


そう言うと、フランがトレアという名の妖精メイドにハート型の箱を差し出した。


「…これ…!」


「ハッピーバレンタイン!トレア」


「フラン様……!」


「……」(おちたわね)


「私!貴女に一生ついて行きます!」


「そう。ありがとう!」


「…おーいトレアー……私は?」


「フラン様の姉なので、忠誠は貴女にもあります!


まあ、三分の一くらいですけど」

「一言余計なんだよ!!」


「ふふ、あははははは!」


「……ったくもう…ふふ」









「……」


私、フランドール・スカーレットは困惑していた。


「……」


我が親愛なる友、古明地こいしがくれた小包。私はチョコだと言うことはすぐにわかったため何も言わなかった。


「……」


見た目はいいのだ。そう、見た目は。

大事なのは中身だ。

人は見かけで判断してはいけない、というようにチョコにも味というものがある。

私は、気付いてはならないことに気付いてしまっていたのだ。


「……血、ついてる」


小包に血が付いていた。おそらく、少しの血を出すつもりが思いがけず多く血が出てしまったのだろう。

昔話に聞いたことがある。

バレンタインには本命のチョコに血を混ぜる者もいるらしい。私はそれは理解しかねた。しかし血が入っているのは正直嬉しい。特にO型の血は格別だし。


「…って、私は何を考えてるんだ」


何故私が困惑しているのかというと、私に渡すチョコに血を混ぜた意味を理解して、困惑している。


「……私は女だよ?こいし……」


と言いつつも私の顔は真っ赤である。


「ホワイトデー、お返ししなきゃな……」














「……」


私、古明地こいしは興奮している。


「……〜ッ!」


何で興奮しているかって?そんなの決まってんじゃん。


「フランからチョコ貰っちゃった…!!」


嬉しい!嬉しい、嬉しい嬉しい!フランからだよ?あのフランから!やばい嬉しいぃ!


「…落ち着こう。これじゃあただの同性愛だ」


私が嬉しいと言った理由としては、あの男フランの時に渡されたということもある。

まるで彼氏からホワイトデーにチョコを返してもらった時のような……


「あぁああ〜…!!」


興奮が冷めないぃ……!


「た、食べるの勿体無いなぁ…せっかくのフランからの贈り物なのに……」


でも食べねば腐ってしまう!女としても!


「…わあっ、美味しそう」


ハート型のチョコに、ホワイトチョコで英語でこう書かれている。


「”We regard the future!”…これからもよろしくね、かぁ……ふふっ」


私はそのチョコを食べ終わる間に、色んなことを考えた。

あの戦いでフランが私を助けてくれたこと。

私を救ってくれたこと。

そして、死んでしまった時のこと。

どれも思い出しただけで涙が出そうになって、でもどうしてもあの戦いのことは忘れられなくて。

私はずっと悩んでいた。みんなが必死に戦って……それで私とレミリアと咲夜だけが生かされた。

色んな人を犠牲にしてきた。その犠牲の上で私達は生きているのだ。

それを、蔑ろにしてしまってよかったのだろうか、と。


しかし、その悩みは今日で全て消えた。

フランや…お姉ちゃんやお燐、お空。

そしてこの幻想郷に住まう全ての人達と……これから明るい未来を拓いていく。それが、あの世界を乗り越えた私にできる最善の道。

もう、迷いはない。私は、世界の幸せを守るんだ。


「こいしー、貴女のチョコ絶賛よ!凄いじゃない。私も食べたけどとっても美味しかったわ」


「お姉ちゃん!それはよかった……チョコ作りはフランが教えてくれたんだ!」


「へえ、ならフランのチョコもとっても美味しかったんでしょうね」


「…うん!とっっても美味しかった!」


だからといって、あの世界のことを忘れるわけじゃない。あの世界の戦いで学んだことはたくさんある。

それに、私の中にフランの能力はまだ残っている。

…今度、しっかりと礼を言おう。フランが何のことかわからなくていい。

私を救ってくれてありがとう、私の大親友、フラン。






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