戦いに終止符を
これはあれだ。もはやパクリだ
著作権だ。
「どいて、正邪…!私はやらなきゃならないことが…!」
「大体わかる。だがそれは霊夢様の邪魔をする事と同義だ」
「…〜ッ!だったら力尽くで押し通るから!!」
「やってみろ。私を倒せるのならな」
「正邪…あの時私は本気を出せていなかった。だから貴女に完膚なきまでに倒されたんだ」
「…ほう」
「今なら倒せる」
自信に満ちた表情で、正邪を見つめる。
「行くよ…正邪!」
ゴオオッ!
「!!」(奴のあの目……)
「おおお!」
「中々鋭い目をするようになったな…」
こいしが正邪に突進していく。
しかし……
「待ちなさい、古明地こいし」
「「!?」」
突然、木の後ろから声が聞こえる。
「…え、閻魔様!?」
木の後ろから、映姫が現れる。
「…何故貴様が……」
正邪は完全に予想外だったらしく、驚いていた。
「…正邪は本来、ここに現れる筈のない人物。イレギュラーなのです。どうやら霊夢の能力のせいでこの世界の運命が狂いだしたようです」
「そ、そんな…!」
「…何を言っている?」
「貴女が知る必要はありませんよ」
映姫が、こいしの方を見ていった。
「一刻も早くフランドールのところへ向かいなさい。そこが、最後の戦いの場になるはずです」
「…わかった!ありがとう!閻魔様!」
「…こいし」
「!」
正邪がこいしを呼び止めた。
「…行く前に、お前に一つ言っておきたい事がある」
「…何?早く言ってよ」
「…私はフランと友人のような関係になった。あいつの方から関わってきたんだがな」
「…!」
「その時あいつが、私に零したちょっとした愚痴だ。聞け」
「……以上だ」
「……」
ダンッ
こいしが飛んでいった。
「……」
正邪は、それをじっと見つめていた。
「…先ほどのフランドールの愚痴、本当なのですか?」
「…本当だ。だからこそ私は話した」
「…追わないのですね」
「……興が削がれた。もういい」
正邪が大きな木の幹に凭れかかって、ポケットに手を突っ込んで、目を閉じた。
「…貴女、実は操られていないでしょう」
「…ああ。私の狙いは世界を征服した霊夢を影で支え、そして信頼を得て、油断したところを殺しこの世界の覇権を握る事だった」
正邪が小さく笑みを浮かべて言った。
「…何故そうしないのです?」
「言ったろう…興が削がれた。…私も感情がある。多分、こいしに同情してしまったんだろうな」
正邪の目は、何処か寂しげだった。
「一人になる事は…本当に怖いよ」
「…そうですか」
「…こいしの援護に行かないのか?」
「…ここから先の結末は、私にもわかりません」
映姫がこいしの飛んでいった方向を見て言った。
「不用意に立ち入り、もし最悪の結末を迎えようものなら……」
「…ふふ」くすっ
「?」
正邪が少し笑った。
「何だろうな、あいつらには人を魅きつける何かがあるんだろうな」
「…フランドールと、こいしですか?」
「ああ。私はあいつら二人は嫌いじゃないよ」
「…貴女は以前は封獣ぬえと中がよかったと思いますが」
「…そうだな…あいつには悪い事をした。…無事だと良いんだが……」
その時、空間に亀裂が入る。
「!」
そしてその亀裂が、大きなゲートのようなものになる。
「…これは…!」
「夢幻世界と幻想郷を行き来する時の為のゲートのようなものだ。……どうやら、向こうの戦いは終わったらしい」
バリィッ!!
「おわぁっ!!」
中から、魔理沙達大勢が出てくる。
「いってて…ここ、何処だ?地底の近くの平原?」
「!!お前は正邪か!そ、それに、閻魔様?」
「…騒がしい連中だ……」
「何だとぉ!?」
「…夢幻世界があと少しで消滅してしまいそうですが…中にいる者達は大丈夫なのですか…?」
「…あいつらは……残ったんだ……私達を、逃がす為に……」
「…そうでしたか」
「…正邪…!」
「…ぬえか」
「…お前…何で霊夢なんかに付いてたんだよ…!」
「…私にだって考えはあったんだ。この世界の覇権を握るつもりだった」
「…なっ…!」
「…だが、こいしやフランを見ていると支配というものが馬鹿らしくなってきてな……もう、やめにしたんだ」
「…じゃあ…おかえりって事でいいんだよね…!?」
「…ああ。ただいま」
正邪が、笑顔でそう言った。
「…お、おかえり…」
ぬえは、赤面しながら言った。
「んん?何だ?自分で言っておきながらおかえりって言うのが恥ずかしいのか」
「う、うるさい!」
「ふふふ…」
二人が、とても楽しそうに話していた。
「……この幸せが続くように……」
−お願いします。…こいし……
「……」
−『私に零したちょっとした愚痴だ。聞け』
私の居場所はどこなのかな。こいしは私の事をどう思っているんだろうね
「……!!」
私が友達で、本当によかったのかな……こいしは
「……フランの馬鹿…!!」
今度また会えた時、目一杯謝ろう
−『この愚痴の意味がわかるか?』
「…〜…ッ!!」
−『お前を巻き込まない為に……
フランは動いていたんだよ』
「フラァァーーーンッ!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はぁっ…!はぁっ…!」
「んー、よく粘るわね。もうこれで十六人目よ」
周りには、大量の霊夢の死体が転がっていた。
「はぁっ…!はぁっ…!」
「しっかし、頑張ったわねぇフラン。私を相手にここまで持ったのは貴女が初めてなんじゃないかしら………ああ、この能力を得てから初めての相手が貴女だったわ。そりゃあ初めてなわけね」
「はぁっ…!けほっ…はぁっ…!」
「まあ、さすがにもう無理かー。じゃ、これでおしまいね」
「どジャアァぁぁぁ〜〜ん……」
また新しい霊夢が現れる。
「…はぁっ…!」
この時フランは、思い出していた。
あの日の事を。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「フランドール様ー!失礼します!」
バターンッ!
「うわぁっ!?び、びっくりするからそんな勢いよく開けないでよ…!」
「あ、ごめんなさい…!あはは」
「…もう、エレナったら……相変わらずなんだから…ふふ」
これは、数年前の話。まだエレナが生きていて、フランが地下にいた頃の話。
「朝ご飯です!今日は咲夜さんが頑張って初挑戦で作ったオムライスです!」
「…へえ、咲夜ってもう料理できるんだね」
「はい!凄いですよねー、まだ八歳なのに!憧れちゃいます」
「……そうだね」
「…?フランドール様?」
「ううん、何でも。それよりもエレナ、一つ頼みがあるの」
「はい?」
「お姉様に、”もう来なくてもいい”って伝えておいて」
「…何でですか?」
「…この頃ね。私の意識が奪われ始めたの。もう一人の私にね」
「……」
「だからエレナも、しばらくは来ない方がいいよ」
「…お断りします」
「……聞いてくれなかったらクビよ?」
「…それでも嫌です。フランドール様に何も得がない」
「…頑固な子だなぁ……私は心配して忠告して、あげてるのに…!」ガッ
「!フランドール様!」
「……大丈夫。…わかったよ、言わなくていい。その代わり……今日は、絶対遊びに来ちゃダメ。また昼ご飯の時に会いましょう」
「…わかりました」
「…仕事、頑張ってね」
「…はい」
エレナが、部屋から出て行った。
「……私の居場所は、どこだろう?」
−ここが私の居場所なら……こんな苦しい思いはしないはずだ
……大切な人に迷惑をかけるなんて、一番苦しい事なのに
フランは思い耽ってしまった。
−少し、寝よう。
そのまま、フランは瞼を閉じた。
コンコン
「…ん…?」
フランは、ドアをノックされた事で目を覚ました。
「失礼します!昼食のお時間ですよフランドール様!」
「…ああ、ありがとう」(そんなに寝てたのか、私)
「フランドール様!今日はお嬢様のお部屋でご一緒なさってはどうです?」
「え?」
「お嬢様から言われまして、命令なので私は逆らえません」
「………わかった、行くよ」
フランがゆっくりと立ち上がる。
「よかったー…もし断られてたら私にクビにされるところだったんです……」
「え、先にそう言ってよ!」
「フランドール様、先に言っちゃったら私の気を遣って絶対に行くでしょう?それじゃあフランドール様の真意を聞けないし、無理矢理連れて行くようなものだから嫌だったんです」
「…ありがとう」
「いえ!」
−お姉様と会うのは一週間前の夜以来か
「この階段を上ってすぐの部屋です!もう部屋にいらしてますよ!さ、どうぞ」
「うん。エレナももういいよ。ありがとう」
「いえいえ!では、また後で!」
「うん」
フランはレミリアの部屋に入るのは初めてだった。
普段レミリアは何をしているのだろう?
ガチャ
「入るよお姉さ…」「フラァーンッ!」
「うわぁっ!?」
ドンガラガッシャーン!!
「いっつつ……!何?今の面白い効果音……!」
レミリアがフランに飛びついたのだ。
「フランー!よかったわ、来ないんじゃないか、断られるんじゃないかと思って不安だったのよー!」
「…お姉様からの誘いを断るわけないじゃん。ふふ」
「あらそう?あ、それより昼食よ!さ、座りなさい」
「ん、わかった」
フランがレミリアが用意していた椅子に座る。
「おお、今日の昼食はステーキか」
「ええ、咲夜が初挑戦で完璧に仕上げてしまったからその毒味が私達ってわけ」
「…ど、毒味って…ふふ」
「まあ咲夜が作ったんだから、美味しいわよきっと」
「そりゃあそうだよ、あの咲夜だもの」
「ふふ、そうね」(……)
レミリアは、綺麗にステーキを切るフランをとても穏やかな目で見ていた。
「うわっ、熱そうだなぁ」
「……」
「…?お姉様食べないの?」
「ん?ああ、食べるわ」
「…んー、美味しい!」
「本当ね!さすがは咲夜」
「だねー!」
「いつか私達もこんな風に作れるようになりたいわね……」
「本当にね。ふふ」
「あ、そうだフラン。この後少しチェスでも……」
ガタンッ
「……!!」
「…ふ、フラン?」
「…はぁっ…!はぁっ…!」ガタガタガタガタ
フランが頭を抑え震えだした。
「フラン!?」
「…ッ…!」
「フラン!?大丈夫!?」
−……嫌だ…!誰も、殺したくない…!!
「フラン!」
『皆殺しだ…どいつもこいつも』
「…嫌だ…殺したくない、嫌だ…!」
「…フラン!?」
「殺したくない…殺したくない……!!」
「フラン!?しっかりしなさ」「うわぁぁあぁぁああぁぁあ!!」
ドスッ
「!!」
フランが自分の右の掌をテーブルに置いてあったナイフで突き刺した。
それは、普段はレミリアが使うナイフを今日は使わず、そこに放置された食事用のナイフだった。
「はぁっ!!はぁっ!!」
「…フラン…!」
「…お姉様……明日から、私の扉の結界を強くして」
「えっ…!」
「…お願い…」
「…わかったわ……」
「……」
フランはそのまま、無言でレミリアの部屋を後にした。
「……」
−駄目だ……このままじゃまた暴走する……
「……」
その後フランは、自室で眠りについたのだった。
「ええ、今ならみんな油断してるわ」
「……?」
誰かの話し声でフランは目を覚ました。
「ああ、できるだけ狙いを一人に絞って確実に一人一人潰していくのよ」
「…?」(誰だろう)
「さて、どうするか。私だけでも今の紅魔館なら充分潰せるんだけど」
「……!?」
「ん?……この扉……」
その時、フランは扉の結界が壊されたのを理解した
「!!」
ガチャ
部屋に入ってきた。その容姿は紅白の派手な装いをした巫女だった。
「……誰もいないか。フランの部屋かと思ったけど」
「……」
フランは蝙蝠化していた。
「あとどれくらいで着くかしら。あ、もう着くのか」
「……!」
フランはその何者かの話をずって聞いていた。
「さて、実験としてはかなりいい線いってるんじゃないかしら。二度目でしっかりと過去に飛ぶことができてるわ」
「……」
「あと数分後にハンター達がなだれ込んでくる……そうなれば紅魔館は破滅。あの時代にいることもなくなるわけだ」
「…!?」
「楽しみねー…ふふ」
何者かは階段を上っていった。
「……」
−嫌な予感しかしない。一応お姉様に言っておこう
「ほ、本当?」
「うん。私の部屋の前で……」
「…それよりもフラン、貴女さっきは……」
「…もう大丈夫。安定したよ」
「…なら、よかったわ」
「…ところで、私の話はどうするの?」
「とりあえず脱出ルートだけは確保しておくわ……あと数分後ってのがいつなのかわからないけど、念の為に……」
「わかった。…もしかしたらもう来てるかもしれないから、私も行くよ」
「え!?き、危険よ!私だけで…」
「お姉様だって危ないでしょ?私はお姉様を守りたいの」
「……わかった、行きましょう」
「…よし、脱出ルートはこれでいいわね」
「うん。なら急いでみんなに…」
その時、紅魔館から叫び声が聞こえる。
「うわぁあぁぁあ!!ヴァンパイアハンターだ!!」
「!?」
「お姉様!」
「ええ!急ぐわよ!」
「みんな落ち着いて!脱出ルートを確保してあるわ!そこから脱出を…!!」
「で、ですがお嬢様!もうすぐ近くに来ています!誰かが足止めしないと確実に追いつかれて…!」
「私がやるよ」
フランが言った。
「…な、何を言ってるのよ!全速力で逃げればきっとみんなで…!」
「お姉様、世の中そう上手くはいかないものだよ。…大丈夫、私だって強いんだから」
「で、でも……!」
「フランドール様」
「…?どうかしたの?エレナ」
「…私にやらせてください」
「…駄目」
「そうですか。わかりました、なら私の勝手な判断でそうします」
「え、エレナ!私怒るよ!?」
「それはこちらの台詞です!」
「!」
「貴女はこの館の姫君ですよ?そんな方が易々と命を捨てていいわけがありません」
「…でも、あいつらは私とお姉様が目的なんでしょう?なら私が囮になればみんなは助かるよ」
「そこが問題なのです。貴女以外のみんなが助かって、一体何人の人が悲しむと思っているのです?」
「……!」
「…私が囮になります」
「…だったら…!」
「!」
「貴女が死んで悲しむ人が…いないと思うの…!?」
フランが涙目で言った。
「…フランドール様…」
「…私にとって貴女はただのメイド?…違う。私にとって貴女は……はじめてできた友達のように思ってる…!」
「…!」
「私は貴女が大好きなの!だから…死んでほしく、ないの…!」
「……」
「もう……大切な人を失いたくないの……!」
「……」
「私なら分身だって出せる!分身をいかせればいいじゃん!ね?だからエレナ…!」
「……フランドール様……」
「大丈夫、私は死なないから!だからエレナは逃げっ……」
その時、レミリアがフランの腹を殴って気絶させた。
「…ありがとうございます、お嬢様」
「…頼んだわ」
「はい」
「エレナ…!」
「エレナ……」
周りの妖精メイド達も、エレナを心配していた。
「…後のことはお願いね、みんな」
そして、フラン達は紅魔館を脱出した。
いつになっても、ヴァンパイアハンター達が追ってくることはなかった。
そして……エレナがやってくることも、なかった。
「エレナァァァァ…!!うわぁぁぁぁ……!」
フランは号泣していた。
ここまで大声を出して泣いたのは数百年ぶりだろう。
それほどフランにとってエレナは掛け替えのない存在だったという事だ。
「うぅ……ぐっ……ふぅっ……」
「……フラン…」
「……ろしてやる……」
「…?」
「殺してやる…!!」
「…!!」
フランが、恐ろしい形相で、凄まじい速さで飛んでいった。
「フランドール様ぁ!一人で…!援護に…!」
「行かなくていいわ!」
「え!?」
レミリアが、援護に行こうとした妖精メイド達を止めた。
「…フランが本気を出せば……一人で私達紅魔館の住人全員を殺す事もできるわ」
「…えっ…!」
「…巻き込まれない保証はないから、紅魔館の近くで様子を見ましょう」
「は、はい!」
「な、何だこいつ!!撃っても撃っても…!!」
「ひ、怯むな!!銀で加工された銃弾なんだ!効いていないはずがない!!」
「撃て撃て撃てーーッ!!」
ドドドドドドドドドド
フランに銃を撃ち続けるヴァンパイアハンター達。
しかし……
「……」ゴフッ
ザッ……ザッ……ザッ……ザッ……
血こそは吐くものの全く怯む様子はなく、フランはゆっくりと歩きながら近付いていく。
「な、何なんだよこいつ!!」
「だから怯むなと言ったろうが!!気をつけ……」
ボンッ
「…え?」
フランの能力により、一人のハンターの頭が爆裂した。
「ひ、ひぃっ!!」
「逃げろーーッ!!」
「逃がすか……」
バンッ ボンッ
「……」
フランは、一人のハンターの首を持っていた。
「……」
そして、目の前にエレナが血塗れになって倒れていた。
「……」
しかしそこにあるものは生きていない。死体の感覚だった。
「……」
フランはただただ無言で見続けた。
「……!」
そんな様子を、駆け付けたレミリアはじっと見つめていた。
「……お姉様…私…何を信じればいいのかな…」
虚ろな表情で、レミリアを見ながら言った。
「…フラン…!」
レミリアがフランに抱き付いた。
「……」
「絶対……絶対貴女を幸せにしてみせるから…!!」
「……」
「……」
フランには一つ疑問が残っていた。
−あの紅白の巫女はどこへ行ったんだ……。
「!?」ズキッ
その時、フランの頭に激痛が走る。
「……何だ……一体…!?」
フランの脳裏に次々と現れてくるのは、何かの記憶だった?
−『フレア〜!一緒に帰ろうよ!』
−『さすがはフレアだ、私たちの自慢の娘だよ!』
−『フレア、貴女はよく頑張ってるわ。無理しなくていいのよ?』
−『私はレミリア。貴女は?』
−『貴女が今見たことは全て夢。わかったかしら?』
「……お姉……ちゃん……?」
「……そうだ……私はフレアだ……」
「…私は……レイス・ランドルと……ルイス・ランドルの娘……フレア・ランドルだ……」
「……フランドールという名は……お姉ちゃんが付けてくれた名前だ……」
「…何で私の方が発育がいいのかも……わかった……私は……お姉ちゃんと同い年なんだ……」
「けど……吸血鬼としての年月はお姉ちゃんの方が二歳上だったから……私はお姉ちゃんの事をお姉ちゃんと呼んでいたんだ……」
「…何らかの理由で……私は忘れていたんだ……きっとお姉ちゃんも忘れてる……」
「…実の姉妹じゃないんだ……私達は……」
「……」
−隠し通そう。”お姉様”には。
いつか”お姉ちゃん”に戻ってくれると……信じよう。
「…それに、またあの紅白の巫女がいた」
−……全て夢……じゃあつまり、あいつがわたしの記憶を置き換えた…?過去に飛ぶことができたとか言っていた。…なら今の時代の人間じゃない。
「……いつか見つけ出して……聞いてやる……そして……わたしの手で……殺してやる……!!」
その時フランは復讐を誓ったのだった。
そして、月日は流れ……紅霧異変。
そこで、運命なのかそれとも偶然なのか……フランの宿敵は現れた。
「…あいつだ……」
「あの時の……紅白の巫女……!!」
しかし、こいしとの出会いが、その意思を削いでいったのはまた別の話。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……」
−負けられない……エレナの為にも、お姉ちゃんの為にも……この世界の為にも
ビュンッ
−私が……私が倒すんだ!!
フランが立ち上がり、高速で移動する。
「何…!」
「WRYYYYY!!!」
ズバァンッ!
「ぐはっ!?」
霊夢の首を、爪の攻撃で切り裂いた。
「…まだ動けたの。本当たまげたわ」
「…はぁっ…!はぁっ…!」
「この能力じゃなければ確実に負けてたわねぇ……貴女なら混玉も破壊出来ただろうし」
−今だ!!
ビュンッ
「おっと」
ガシィッ
「!?」
フランの高速移動での攻撃を、霊夢は腕を掴んで防いだ。
「その動きはもう覚えたわ」
「…ぐっ…!」
「さて、このまま殺しましょう……か…?」
霊夢が、突然目を丸くする。
「……こ……これだ……!!私が今求めている紅魔館の装飾品…!!」
「…!?」
「…そうだこれよ…!!ははっ…これで最終進化を遂げられるわ…くくっ」
「……この、ネックレス…?」
「そうよそれよ!さあ貰うわよそのネックレスを!!」
「…!」
ドパァンッ!!
「!?」
フランの腕が爆裂した。
「ぐっ…!」
その衝撃でフランは後ろに吹き飛ばされた。
「…ちぃ…!」(そうか。逃げる為に自身の腕を破壊したか…!)
「…げほっけほっ…はぁっ……はぁっ…!」
「…もう死にそうじゃない。諦めなさいよ」
「…誰が、あきらめるか…!!」
「…あーそう。なら、私の手で殺してやるわ」
「……ぐっ…!」
−駄目だ…意識が朦朧と、してきた……
「…?そのネックレス、何で十字架の縦の部分しかないの?」
「……!」
−そうか……そういう事か!
「…さあね……!」
「…いいわ。貴女を殺すのはやめよ。ネックレスの秘密を喋って貰いましょうかね」
「……」
−…まだ何とかなる。こいつは完全に油断してる。
私に触れた瞬間破壊してやる。
霊夢は完全に油断していた。もうフランには能力をつかう魔力など残ってないと思っていた。
これが霊夢の唯一の欠点だった。詰めの甘さ、それが霊夢の敗因。
…に、なるはずだった。
「フラーーーンッ!!」
「!?」
その声は、フランはとても聞き覚えがあった。
そう、以前は毎日のように聞いていた声。
今までずっと大切に想い続けてきた者の声。
「フラァァーーーンッ!!」
こいしがこちらに、向かってきていた。
「…こい…し……何で…!!」
「…?」(フランのこの焦りよう……)
「来ちゃ駄目こいし!!逃げて!!お願い!!」
フランが大声で叫んだ。
「…大丈夫…!私だって強くなったんだ!」
「駄目!!奴に近付かないで!!」
その時、霊夢が気付いてしまった。
「…なるほど、あの首のネックレス…ふふっ」
「!!やめろ!!こいしに手を出すな!!」
「安心なさい、すぐに貴女も同じあの世へ送ってやるから…!!」
「やめろぉ!!」
霊夢が凄まじいスピードでこいしに突っ込んでいく。
「なっ…!?」
あまりのスピードに反応しきれず、こいしはギリギリ突進を躱すのがやっとだった。
「うわぁっ!!」
「ちっ…惜しい…!フフフ…!!」
霊夢は、既に勝ち誇った顔をしていた。
「くそぉ…!」(無意識能力で反撃を…)
「駄目!!こいし!!止まらないで!!」
「え!?」
「その通りよ。自分よりも格上の相手に対して、一瞬でも隙を見せれば殺される。それが弱肉強食のセオリー」
霊夢がこいしの真後ろに移動する。
「ぐっ!!」
こいしが高速で移動して躱すが、霊夢はそれをさらに追う。
「無駄よ!!」
バキィッ
「うぎゃあっ!!」
「こいし!!」
こいしは、頭に踵落としを受けてしまった。
そしてそのまま、地面に落ちる。
「うぅっ…!」
「…フラン。よーく見ておきなさい。貴女の大切な者が命を鎖す瞬間よ」
霊夢が札を手に纏い、それを硬化した。
腕を突き刺すつもりなのだ。
「!!」
ビュンッ
「うぐっ……うっ!?」
「死ねィ!!こいしぃ!!」
ポタッ
「…え…」
「…!」
「……かはっ……!」
「……フ……ラン…?」
フランが、こいしを庇って霊夢の左腕に突き刺されていた。
「…順番が逆になったけど、まあいいわ」
ズボッ
「…ゔっ…」
こいしに力なく凭れかかるフラン。
「フラン!!」
「……ごめん……血で、服が…汚れちゃうよね……」
「そんなことどうでもいい!!フラン…!血がこんなに…!!と、止めなきゃ…!!あの札で攻撃されたから再生はできないし…!!何か、何か方法は…!!」
「……いいよ……もう……」
「よくない!!そ、そうだ!フランには蘇生魔法が…!」
「……魔力……使い果たしちゃった、から……蘇生はちょっと、無理……かな……」
「そ、そんな…!!」
「……ありがとう…私のこと、本当に……大切に思って…くれてたんだね……」
フランの魔力が少しずつ小さくなっていっている。
「…嫌…!!嫌だ……!!フラン!!しっかりしてよ!!らしくないじゃん!!いつもみたいに笑ってよ……!!」
「……ごめん……ごめんね……本当に……げほっ」
フランが血を吐いた。
「フラァン!!」
「……私、ね……こいしが……私の話を聞いてくれた時……貴女が真剣に……私の事を考えて……くれてるってわかって……本当に、嬉しくて……」
「…フラン…?」
「……その時にね……貴女と、友達になりたいって……そう思ったの……」
「…!」
「……私、友達なんて……できたことなかったからさぁ……だから……どう接したらいいか、わかんなくて…ね……だから……色々と、迷惑掛けちゃったかも…しれないけど……」
フランはか細い声で言った。
「……そんなことない…!そんなことないよ…!」
こいしは首を振りながら、そう言った。
「……貴女を見てると……エレナを思い出すの……」
「…え…?」
「健気で……可愛くて……けどやる時はやれる子で………私の、掛け替えのない存在……」
「……!!」
「……私、貴女と友達になれて……本当によかった……」
「…うん…!…うん…!……私もだよ……!」
「……ありがとう……外に連れてって、くれて……世界を教えてくれて……人の温もりを、教えてくれて……」
フランは、泣きながら笑顔で言った。
「……うっ……うぅ……!!」
こいしは、涙が顔がぐしゃぐしゃだった。
「……泣かないでよ……こいし……」
「…うぅっ…フラァン…!!お願い……お願いだから…死なないでぇ……嫌だよ……嫌ぁ…!!」
「……あの時の、約束……結局守れなかったね……ごめん……」
「…!!」
−『なら今度一緒に作ろうよ!』
−『いいよ。この戦いが終わったら、二人で作ってお姉様達にプレゼントしよう!』
−『うん!』
「…!!」
「……一緒にお菓子、作りたかったなぁ……」
「……私も作りたい…!!だから、生きて!!お願いだよ……!!」
「……ごめん、ね……こいし……」
「…どうして、こうなるの……どうして……!!」
「……ひとつ、お願いがあるの……」
「……え…?」
「……前に話したよね……紅魔館が、ヴァンパイアハンターに襲撃されたって……」
「…うん」
「……あいつが……霊夢がその、黒幕なんだ……!」
「…!!」
「……全部あいつが……!あいつが……仕向けた罠だった……!」
「…!!」
フランは、涙を流して歯を食いしばり、とても悔しそうな表情だった。
「……お願い……こいし……!」
フランがこいしの左手を握った。
「……霊夢を……霊夢を倒して……!!」
ドオオオォ……
こいしのなかに、何かが伝わった。
「……!!」
「……私の力の、全てを託すよ……きっと貴女なら……使いこなせる……」
「……!!」
「…ねえ、こいし……私の事……好き……?」
「……もちろん……もちろんだよ……!好き…大好き!この世界の誰よりも大好きだよ…!!」
「……ありがとう……嬉しい……!」
「……フラァァン……!死なないでよぉ……」
「こいし…」
「!」
フランがこいしの名前を呼んで、こいしの目から流れる涙を指で拭いた。
「…………今迄、こんな私の………狂気を持ってる……この私の………
友達で……いてくれて……ありが……とう……」
「…フラァン…!!」ギュゥッ
フランの手を握り締める。
「………」(…そうか……)
フランは、薄れゆく意識の中である事に気が付いた。
−私は……居場所を求めていたんじゃない……
…誰かに必要とされたかったんだ……
私は……自分の存在を認めてくれる誰かが欲しかったんだ……
ありがとう、紅魔館のみんな……ありがとう、お姉ちゃん……本当に、ありがとう……
……ありがとう、こいし……貴女と一緒にいられて……私……本当に……
幸せだった
「!!」
フランの手が、こいしの手から滑り落ちた。
「……フラン…?」
「…………」
「…フラン…!?」
「…………」
「ねえ!!フランってば!!」
「…………」
フランは、笑っていた。
「…うわぁぁ……」
まるで自分の生に、悔いは無いと言うかのように。
「うわぁァアァァアぁあぁァアァァアぁあぁぁあぁああ!!!!」
霊夢は、それをじっと見ていた。退屈そうに。
「……泣ける場面をありがとう」
霊夢がそのまま、こいしも殺そうとする。
「……貴女を殺してお終いよ、こいし。私は何が何でも生き残る」
「……」
「さようなら」ブンッ
霊夢が封魔針で攻撃する。
バキィッ
「…!?」
霊夢が持っていた封魔針が突然バラバラに砕け散った。
「な、何ぃ!?」(こ、この能力は…!!)
「……」
こいしの左手から、紅いオーラが放たれている。
その左手には、フランが髪を留めていたリボンと手につけていたフリル付きのリストバンドがあった。そして、首につけていたネックレスも。
「霊夢」パチッ
こいしがネックレスを一つに組み立てた。
「!!」
こいしが左手にリストバンドをつける。
「フランの魂は、私の中に共に在り続ける」
そして、髪をフランと同じようにリボンで結んでいく。
「フランの為にも、これまで犠牲になった人の為にも……そして私自身の未来の為にも……」
ギュッ
「お前を倒す!!」
ドオオオオオオオンッ!!
「…く、くくくふふふははは!!!」
「……」
「…はははは…!あんたが?私を?」
霊夢はこいしが自分を倒す気になっている事に腹を立てていた。
「自惚れるな!!このちっぽけなクソカスがッ!!」
霊夢が紫色の輝きを放った。
「……」
「ははははは!!さあ絶望しなさい!!これが私の進化よ!!貴女ではどうにもならない力の差というものがわかっ……」
ズバァンッ
「…た…?」
霊夢の左手が切り落とされていた。
「何ぃ!?」
「……自惚れているのはそちらだよ。霊夢」
「…ば、馬鹿な……その、刀は……!!」
「禁忌……」すっ…
こいしが構えを取る。
「その刀は…まさかぁ!!」
「『レーヴァテイン』」
ズバァァンッ!!
「はぁっ…!!はぁっ…!!」(ま、まさか……!!)
−そんな馬鹿な…!!何故こいしが…!!しかもこれほどまでの威力……!!
「くそ……くそっ!くそッ!!」
−絶対に殺してやる!!
「こいしぃ!!必ず殺してくれる!!覚悟し……」
霊夢が起き上がってこいしに突撃しようとした。
……が……
「……ろ……?」
目の前にこいしがいる。左手の指を銃のような形にしている。
「…『破壊の弾丸』」
ドンッ!!
「…あがっ…!!」
こいしの指先から銃弾のようなものが飛び、霊夢の頭を捉えた。
「……」
「おのれぇぇ……!このクソがァッ!!ぶっ殺してやる!!」
ガクンッ
「!?」
その時、霊夢が体勢を崩した。
「…な、何だ……か、体の動きが…!!」
「…破壊の弾丸の効力を教えようか」
「…!?」
「…壊したいという明確な意思を持って相手に放つ事で、相手が破壊されるまでどこまでも追尾していく弾丸だと思っていいよ」
「…!!」
「そして、被弾した者は……体のあらゆる細胞を原子レベルで破壊していく。再生もできないし、効力を消すこともできない」
「…は…?」
霊夢の右足が、消滅していた。
「…う、うわぁあぁぁあ!!?な、何だぁあこれはぁあぁぁあ!!!」
死への恐怖が、霊夢の判断力と行動力を削いでいった。
「う、うわぁあぁぁあ!!い、痛い!!体の中が壊されていく!!」
「……もっと苦しむといいよ。撃ち込まれた数だけ痛みは増していくんだ」
こいしがもう一発撃とうと構える。
「い、嫌ぁぁ!!」
霊夢がスキマに逃げ込んだ。
「……」
ドンッ
しかしこいしは、構わず撃った。
「そ、そうだ!!並行世界の私と入れ替わるんだ!!」
「ここまではさすがにこれまい!!はははは!!」
その時
バキィッ
「ははは…は?」
バキバキバキバキ
バキィンッ
「…ひっ…!!」
破壊の弾丸が、スキマの空間を撃ち破って、無理矢理入り込んできた。
「うわぁあぁぁあ!!並行世界へ!!飛ぶんだ!!」
ブウゥンッ
「はぁっ!!はぁっ!!」
「ここまではくれば…きっとこれまい…!!」
「何か…!何か策を考えねば…!!このままじゃ確実にやられる…!!そ、その前にはやくこの世界の私を乗っ取らねば…!!」
「う、ううあぁああぁあ…!!だ、駄目だ間に合わないぃ…!!」
「こ、ここは…紅魔館か!?」
バキィンッ
「…なっ…!!」
ドンッ
「ウギャアぁあぁぁあ!!!痛い痛いぃいぃいい!!」
「ああああああああああああああああ!!!」
絶叫と共に、どんどん体が消滅していく霊夢。
「…最後に、来る。必ずやつは……霊夢は、必ず……」
霊夢が必ずやってくると、こいしは確信していた。
霊夢は執念深い奴だと、こいしは思っているからだ。
「……今度は六発叩き込んでやる……フランと私の力で奴を……」
−嬲り殺しだ……フランの復讐だ……!!
「……」
その時だった。
バサッ バサッ バサッ バサッ
背後から羽ばたきの音が聞こえる。
−あの背中の羽を出した状態で来たか!!
ドンッ!!
そして、振り向きざまにこいしは破壊の弾丸を放った。
「…!?」
しかし、こいしが目にしたのは霊夢ではなかった。
「『The World』私だけの時間だよ」
「フラン!?」
そこには、死んだはずのフランがいたのだった。
To be continue…
この○ョジョ七部の丸パクリ感。
自分○ィエゴ大好きなのだよ……
ディ○ゴは恐竜の時もWorldの時もかっこいい笑




