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姉妹対決 レミリアvsフラン

「……」


「…れ、レミリア。フランがずっとレミリアを見てるけど…」


「…ええ」


「……ふふふ」


フランが、少し嬉しそうに笑った。


「…?」


「いや、お姉様がこんな風にみんなと仲良く出来てるのを見たら、安心しちゃって。裏切ったとはいえ家族だし、心配くらいするよ」


「…それは、どうも」


「…昔は家族以外はみんな敵、ってくらいだったのに……嬉しいよ」


「……フラン…?」(こんな時に何を…)


「……フラン、さっきはあんなこと言って悪かった。お前、本当に裏切って…」


「…貴女にはどう見える?」クスッ


「え…!」


フランが笑いながら、首を少し右に傾げて尋ねた。


「…フラン!悪いけど…ゆっくりと話している時間はないの!」


「せっかちなのは相変わらずなんだね……私はそういうところも好きだった」


フランが玉座の背凭れから降りた。


「変わらないままであり続けてくれるって約束は、本当だったようね……さあ、悔いが残らないように全力でぶつかり合おうじゃない」


「…悪いけど、みんな。私とフランを一対一で戦わせてくれない?」


「…わかった。負けないでよ?レミリア」


「…意外と素直なのね、お空?」


「ふ、ふん!お前の気持ちを組んでやったんだ……感謝してよ!」


「ありがとう、貴女も頑張ってね」


「…ああ!」


「……」(レミリアさんの心の内……)


私がこの子を助ける。絶対に


「……無茶、しないでくださいね…」


「…ええ」


「…お嬢様!」


「!」


美鈴が叫んだ。


「…お待ちしています…!フラン様と一緒に、帰ってきてくださいね…?」


「…ええ、もちろんよ」


「私からも、お願いします!!」


「私も美鈴と同じですわ、お嬢様。……貴女方のいない紅魔館など……あってはなりません!」


「…ええ!」


「親友として……フランの事をお願いよ、レミィ。ただ無理だけはしないでね。やばくなったら逃げなさい」


「ええ、もちろんよ」




咲夜達が行った。


「……」


「…貴女だって、少しは感情が動くわよね。目の前でこんなことされちゃあ」


「…ああ……すっごく動いた」


フランは玉座の方へ歩いていく。


「…場所を、変えようか。一対一で戦うのなら、もっといい場所がある」


「…ええ」


フランが玉座の目の前で立ち止まり、振り向きながら空中をなぞった。その時


バリィッ!!


「…ッ!?うわぁぁぁ!!」


空間に亀裂が入り、レミリアはそこにすいこまれていった。


「……」


フランも、その亀裂に入っていった。










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「…はっ…!こ、ここは……」


レミリアは気がつくと、見覚えがある場所に出てきた。


「…ここは…!!」


「覚えてる?」


「!!」


後ろの方から、フランの声と足音が聞こえてくる。


ザッ ザッ ザッ ザッ


「かつては紅魔館で隠れ家として使われていた場所………”あの”決戦の日まで修行場として使っていた場所……そして……


私とお姉様が……よく弾幕ごっこをしていた場所だよ」


そこは、紅魔館の遊戯場だった。


「…!!」(夢幻館から一瞬でここまで…!?)


「…久しぶりだね、こうして”二人だけ”でここに来るのは」


「……」


「ここなら存分に戦える」


「…ええ、そうね」


「……」


スー…


フランがレーヴァテインを鞘から引き抜いていく。


「……」


ヴゥン…


レミリアが、グングニルを出現させる。


「フラン……貴女を倒して私は貴女を救い出す!」


「…悪いけど、私にもやらなきゃならない事がある。負けるつもりはないからね」


「…?」(やらなきゃならないこと…?)


「さあ、行くよ…お姉様…!」ニィィ…


「…!」


「まずは様子見…」


ドッ


フランがレーヴァテインを右手で回しながら、刃を地面に突き刺した。


「!?」


すると、地響きが起き出した。


ドドドドドドドドドド


「禁忌……」


『地獄の火遊び』


ドオオオオッ


地面から、凄まじい大きさの火柱が上がる。


「うわぁぁぁ!!」


レミリアは、ギリギリのところでそれを避けた。

しかし……


「!!?」


「禁弾……」


フランが凄まじいスピードで移動し、レミリアの真後ろに現れた。そして既に、レミリアに右手を翳してスペルを唱え始めていた。


「スターボウブレイク」


「ぐっ!!」


ドオオオオオオオンッ


大爆発が起きた。


「ぐぅっ!」


−あ、危ない…!!ギリギリ避けられた!けど……!


「ん〜、惜しい。あと少しだったんだけど……」


フランは、全く本気を出していないようだった。


「…くっ…!」


「…お姉様、少しスピード上がった?」


「ええ、まあ少しはね……」


「今のスピードで行けば、以前のお姉様なら倒せたんだけどね」


「…私が成長しないとでも?」


「変わらないでいるって約束は、嘘だったようね」


「…!!そ、それとこれとは別でしょ!?」


「ははは!冗談だってば!」


「…!!全く……!」

「…次の台詞は……」



「『調子狂うわね…!』という!」

「調子狂うわね…!」


「……ハッ!?」


「ふふん……こいしにコツを教えてもらった十八番!お姉様に披露してみたかったんだよね〜!」


「こ、こんな時に何を言ってるのよ!!今は戦いの途中なのよ!?」


「……相変わらず、戦いの時は超が付くほど真面目だね」


「…!」


「ここから先は、姉妹の絆なんて初めからなかったと思おう」


フランが黒いローブのような装束のフードを被った。影で目がよく見えなくなった。


「…仕切り直し。行くよ」


「…ええ!」











「……」


「はあっ…!はあっ…!」


「…私を相手によくもここまで粘るものだね。お姉様」


「……いつから、そんなに偉そうになってしまったのかしら…!?フラン…!」


「……ふん」


息を切らして、地面に膝をつけ、レミリアは全身がボロボロの状態だった。

レーヴァテインによる、再生封じによって再生ができないのだ。


「…ずっと、気になっていた…!」


「…?」


「貴女の目的は何なの…!?」


「……」


フランが少し俯いた。その後、またレミリアの方を向き直しこう言った。


「…今、紅魔館の近くでこの世界の覇権争いが起きてる。”霊夢”と紫の戦いだ」


「…!」(今…呼び捨てをしたわ……まさか…この子の目的は…!)


「その戦いの勝者が……これからの幻想郷の覇権を握るだろうね」


「…貴女は…霊夢を一人で始末するつもりね…!?フラン!!」


「……どうしてそう思ったの?」


「貴女の性格よ…!」


「…あっそ。…まあそんなことはどうでもいい」


「!」


「……最後に”総取り”するのは……この私だ」


「…貴女は…いつもいつも一人で背負いこんで……いつも一人で苦しんで……」


「…!」


「…もういいのよ……貴女はもう充分やったわ……もう、幸せになっていいのよ…!」


「……」


「だから……お願いよ…!もうこれ以上、背負いこまないで……!」


トンッ


「…はっ…」


レミリアは、意識を失った。

フランに後頭部を手刀で叩かれたからだった。


「……」


フランが、帽子を取ってレミリアの隣に置いた。


「…ありがとう」


ザッ


フランはレミリアにとどめをさすことなく、部屋の出口へと向かっていった。














「……んー、思ったより大したことないのね。紫」


「はーっ…!!はっ…!」


紫が、霊夢に首を掴まれて持ち上げられていた。


「けほっ…!!」


「…まあ今の私には混玉があるしね……仕方ないのかもしれないけど」


「…今日は、お喋り……なのね…!」


「……もうしゃべらないで。耳障りなのよ」


「…ふ、ふふ…!何…?随分焦ってる、わね…!やっぱりあんたは、小物の、ようね…!」


ボキッ


「うっ」


霊夢が、紫の首の骨を折った。

そしてそのまま手を離し、紫を地面に下ろした。


「減らず口を叩くババアね」


混玉の力を使っている為、紫が回復することはない。

だが、妖怪なのでこの程度では死なない。つまり、しばらく失神しているということだ。


「さてと、貴女のそのスキマの力……その能力を”貰う”わよ」


霊夢が右手を紫の頭に乗せると、紫色の光が霊夢の右手から発生する。


「…さてと……これで私一人でも結界を管理できるわね。…しかし、本当によくこんな物質を作れたもんだわ……感謝しないとねぇ、にとりに。くくく」


霊夢がスキマを開き、何処かに消えていった。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ここは……どこだ?

私は……あれ?何をしていたんだっけ……

確か最終決戦が今日で……!


「正邪!!」


こいしは、何処か見覚えのある場所で目覚めた。


「…誰もいない……私は、死んだのか?」


「いいえ、生きていますよ」


「!誰だ!」


後ろから声を掛けられた。


「…ここは地霊殿です。私がいる理由は、この幻想郷の異変を鎮めようと試みて地霊殿の主であり、一応灼熱地獄を管理してくれているさとりを頼ろうと思っていたのですが、どうやらもう出陣しているようですね」


私と同じくらいの背丈の少女で、緑色の髪、頭の帽子には紅白のリボンを付けている。右側が少しだけ長い特徴的な髪型をしている。そして、左手に何かの棒を持っている。


「…何者なの?何でお姉ちゃんを知ってるの?」


「ああ、そうでしたね。貴女とは初対面でした」


そう言うと、その少女は左手に持つ棒を口の前に持っていき、こう言った。


「私の名は四季映姫。四季映姫・ヤマザナドゥ。ヤマザナドゥは役職の名前だと思ってください」


「…四季、映姫…?」


何処かで聞いたことがあると思った時と同時に、私は思い出した。


「…あ、ああああ!!閻魔様!?」


「あら、ご存知でしたか。それは光栄ですね」


「や、いやいやいや!知らない方がおかしいじゃんか!」


「そうなのでしょうか?まあ、それはいいとして」


閻魔様がこちらに歩いてくる。


「…?」


「貴女は、鬼人正邪に敗れてここに来たということは覚えているようですね」


「…うん」


「その後どうなったかをお話しします」


「!」


「まず、あの後正邪はすぐに遠くへと行きました。正確に言えば、霊夢の下に戻ったのです」


「…!」


「その隙に準じて私は貴女をここまでワープさせました」


「わ、ワープ!?そんなことどうやって…」


「あら、閻魔の力を見縊らないで下さいよ?」


「…そして、戦況報告です」


「…!」


「…八雲紫が、博麗霊夢に敗れました」


「…!!う、嘘でしょ…!あの紫が…!」


「さらに博麗霊夢は、八雲紫のスキマの能力を奪ってしまいました」


「…能力を、奪う…!?」


「はい。そして、フランドール・スカーレット、そしてレミリア・スカーレットがこの幻想郷へ、洩矢諏訪子、秦こころが夢幻館へ戻りました」


「…!」


「…そして、八雲藍と橙が今、夢月と幻月を相手に苦戦中です。さらに、聖白蓮と豊聡耳神子、そして永江衣玖と比那名居天子が互角の攻防を繰り広げています」


「…!!」


「…一言で状況を表すとすれば…


”最悪”です」


「…そんな…」


「…そう気を落とされずに……まだ何とかなります」


すると、閻魔様は何かの鏡を出現させた。


「…それは?」


「”浄玻璃の鏡”。真実を映し出す鏡です」


「…真実を映し出す?」


「はい。すみませんが、貴女の心の内を見せて頂きたいのです」


「……」



バチィ


「…ッ…!」


心は読めない、か…さすがは閻魔様だ。


こいしのサードアイが開いていた。

こいしは心を読もうとしたが、何かの力で弾かれてしまった。


「…貴女は確か…その眼を閉じたのでは?」


「…最近、また開いたの」


「へえ、そうでしたか。…では…見させて頂きますね」


「…うん」






「なるほど、ずっと戦い続けたのですね」


「…うん」


「…貴女とフランドール・スカーレットがそのような関係だったとは思わなかったですよ」


「……」


「……大体分かりました。貴女は正しい事の『白』の中にいますね」


「…?」


「…忠告しておきますね」


「!」


「ここから先の物語は……貴女がどう行動するかで決まります」


「……」


「…私はいざという時に援護をさせていただきます」


「…うん、それでいいよ。回復させてくれてありがとう」


「…いえ、貴女はまだ死ぬべきではなかったので」


「…?どういう…」


「これから貴女には、”三つ”激しい戦いをすることになります」


「…!?」


「…三人とも貴女のよく知る人物です。その激戦の後は……そこから先は私にも見えていません」


閻魔様が地霊殿の方に歩いていく。


「…絶望の結末になろうと……受け止める覚悟はありますか?」


「……覆してみせるさ、絶望の結末なんて」


私はそう言って、地上の入り口へと急いだ。








「……」


−古明地こいし……彼女の中に二人…誰かいたな

浄玻璃の鏡によると、彼女は三重人格らしい

ここから先の物語、どうなるのかしらね


「…小町もまーた寝坊したらしいし…!この戦いが終わったら説教ですね」


「……無事に、帰ってきなさいよ。小町」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「せい!!」


「ふん!!」


白蓮と神子が、紅魔館の門前で戦っている。


「…はあっ…はあっ…」


「はぁ…はぁ…なかなか、やりますね…ふふ」


「…神子。貴女はどうして霊夢なんぞに従っているのです?」


「…霊夢様は、私を蘇らせてくれたのです……その霊夢様を侮辱するような真似は許さないですよ」


「…え?霊夢が、蘇らせてくれた……?」


「ええ」


「…何を言って……貴女を蘇らせてくれたのは…!」


「これ以上のお喋りは無駄ですよ。さあ、続けましょう」


「…!!」








「霊夢様、只今戻りました」


「お帰り正邪。よくやったわ……こいしを倒したのは大きいわよ」


「はい。…ところで、これからどうするのですか?」


「そうねぇ……なら、夢月と幻月の援護に行きましょうか。あと、天子を呼んでおいたから。藍達の始末を終えた後、紅魔館を吹き飛ばしに行くわよ」


「わかりました」


「…それと正邪。貴女の力を信用して一つ頼みがあるの」


「…はい?」











「…衣玖。悪いけど私少し用ができちゃってね」


「…!」


「また後で遊んでよ」


天子が消えた。


「…逃してしまった……他の皆さんは………紫さんとこいしさんが…やられてしまったのか…!?」


「…急いで藍さん達の援護に行かなければ…!」


「待て」


「…!?」


正邪が衣玖の後ろに現れた。


「お前の相手は…私がしよう」


「…鬼人…正邪…!」


「ふん…」


「…貴女を倒し、こいしさんの仇を取らせて頂きますからね…!そして、この戦いも私達が勝ちます!」


「…お前達に勝ち目があると思うか?」


「…何ですって…!?」


「お前達の最高戦力の一角である紫とこいしはやられた。こうも呆気なくな


仮に私を倒したとして…その後どうする?お前は霊夢様に…フランに勝てるのか?」


「それが何だと言うのですか」


「…何?」


衣玖が笑いを浮かべて言った。


「私達は勝たなきゃいけないから勝つのです」


「…戯言だ」












「急がなきゃ…!みんなやられちゃう…!」




「みんなー!急ぐぞー!」


「おー!」




「夢月達、どれくらい追い込んでくれたかしらね」


「さあね」




「……やれやれ、私も彼岸でのんびり帰りを待っている場合ではないようですね」




「みんなもう戦ってる…!どこの援護に行く!?」


「藍さん達のところへ行きましょう!」




「……色々あったな、今年は。


楽しいこと、悲しいこと……色々あったな。


……ありがとう、紅魔館のみんな……”お姉ちゃん”」









戦闘可能者

幻想郷[さとり 燐 空 レミリア 咲夜 美鈴 パチュリー 小悪魔 チルノ 大妖精 ルーミア ミスティア リグル リリー サニー ルナ スター 妖夢 橙 藍 てゐ 鈴仙 輝夜 永琳 妹紅 椛 文 早苗 神奈子 勇儀 幽香 小町 白蓮 ぬえ 村紗 はたて 大天狗 衣玖]


夢幻館 [霊夢 フランドール 神子 天子 こころ 正邪 幻月 夢月 諏訪子 萃香 寅丸 一輪 響子 芳香 屠自古 メディスン レティ ??? ???]




幻想郷ーーーーーーー||ーーーーーーーーー夢幻館


紫が嫌いとか、そんなんじゃないんだよ。

紫は犠牲になったのだ……霊夢の強さを引き立てる為の…その犠牲にな……

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