傾き始めた世界
「お姉ちゃん、朝だよ……起きて」
「ん……」
「どうしてこんなところで寝てたの?」
「…少し、調べ物をしていたの」
「…そっか」
お姉ちゃんは、図書館の机に突っ伏して寝ていた。
お姉ちゃんらしからぬところを久しぶりに見た。
お姉ちゃんは健康には人一倍気を使う。…まあ、妖怪なんだけど
「おはよーみんな。よく眠れたかしら?」
「…んな訳ねーだろ」
「…そうね」
「……暗い雰囲気なのも嫌ですし、朝食にしましょう!私が作っておいたので!」
「気が効くわね、咲夜」
「いえ、いつもことですので」
「じゃあみんな、食堂に来て貰える?」
「分かったー」
「ういっす」
「オナカスイタナー」
「何で棒読み?」
「……」
フランが昨日、ここへ来た事はみんなには話していない。話せばどうなるかなんて…大体想像はつく。
「てきとうに座りなさい。席を指定なんかしてないし」
「藍、橙、ちょっと来なさい。話したい事があるから一緒に食べるわよ」
「はっ」
「はーい」
「お空、お燐、こいし。私達も一緒に…」
「はーい」
「…ごめん、やめとく」
「!…分かったわ」
お姉ちゃんの誘いを断った後、空いた席にてきとうに座った。ぬえは命蓮寺の人達と一緒に食べているし、誰も来ないだろう。
昨日の事で少し一人で色々と考えたい事もある。
フランは何故私とぬえに霊夢の伝言を言ったのか。
霊夢からの伝言なら、普通今のリーダーである紫に言うはずだ。なのに私とぬえに言ってきた。
フランは何を思って私達に……
まさか、私達を誘っている?それとも、紫に伝えておけ、という意味なのか?
それとも……私とぬえに危険を知らせようと……
……いや、これは無いな。フランは私達を裏切ったんだ……。
……でも……
『ご免ね』
……
「…分かんないよ……フラン…」
ドンッ
「…!?」
何だ…急に凄い魔力が……二つ!?それにこの感じ……
「おい、分かったか!?」
「ええ!今の感じは、恐らく永遠亭の辺りだわ!」
「奴らか!?」
ダッ
「!!おい、こいし!待て!一人で行くなー!!」
待ってられるか…!この魔力の感じは絶対に奴らだ…!混玉と同じような力を感じる!
私が倒して…!奴らの事を色々と聞いてやる!!
…ん?何だ…?この二つの魔力……妙に懐かしいような気がする……
禍々しい二つの魔力ともう二つ……何か感じる?
「ッあ〜〜〜…眠いなぁ…何でこんな早くから行かなきゃいけないんだよ…」
「文句を垂れるな。霊夢様の命令だぞ、萃香」
「へいへい、すんませ〜ん」
永遠亭の入り口付近に、正邪と萃香がいる。
正邪はポケットに手を突っ込んで、無表情で辺りを見回した。
「…永遠亭か」
「な、何だこいつら…!」
「何者だぁ!!」
兎達が、正邪と萃香を取り囲む。
「……鬱陶しい奴らだなぁ……」スウゥー…
萃香が息を吸い込む。
「喝!!!」
ドオオオオオオオンッ!!
辺りに凄まじい衝撃波が発生した。
「…場所を考えろ……お前は私を殺す気か」
正邪は衝撃波を軽く受け流していた。
「あ、ごめんごめん。けど、お前なら大丈夫だろ?」
「…ふん」
「ん?」
一人だけ、衝撃波に耐えた兎がいた。
「な、何だよ……今の…!」
「…何だぁ?私の衝撃波に耐えられる奴が兎如きにいたとは……正邪!こいつ?」
「そんな訳あるか。兎な訳がないだろう……幻想郷には、私達と渡り合える連中とゴミの差が激しい。そいつは因幡てゐ…私達にとってはゴミの方だ」
「…なら殺さなくていいか」
「…好きにしろ」
「…ぐっ…」ドサッ
てゐが倒れた。
「で?今回は何をするの?」
「…ある人物を始末することだ」
「ふーん、そいつ強いの?」
「さあな」
正邪が歩いていく。
「とにかく行くぞ。お前も面倒なら早く終わらせる方がいいだろう」
「それもそうだ!」
その時だった。
「!」
萃香の頭上に、氷の塊が落ちてくる。
「ふん!」バキィンッ
萃香は、それを殴り壊す。しかし…
「…!」
萃香の手に、切り傷が出来ていた。
「何だぁ!?」
「大ちゃん!下がってて!あたいが!」
「う、うん!気をつけてね!」
チルノと大妖精が林の中から現れる。
「!」(こいつらは…確か死んだはずだが……)
「んん?何だ……お前ら妖精?」
「そうだ!あたいは最強の妖精だ!」
「へぇ、最強の、ねえ……しかし、妖精如きが私に傷を負わせたか……正邪ー!!こいつー!?」
「…萃香。お前もうちょっと感知能力を鍛えて自分で判断出来るようにしろ……
そいつもゴミだ」
「そうかい!!」ニヤァッ
萃香は、妖精如きに自分が傷付けられた事に少し苛立っていた。
「お前らは殺すとするかなぁ!」
萃香が右腕を振りかぶる。
「ふん!その距離でパンチして…何するつもりだ!」
ブンッ!
「…え?」
チルノの腹部に、大きな穴が開いていた。
「チルノちゃん!!」
「ぐはっ」
ドサッ
「な、何…!?何が起こったの…!?チルノちゃん!!」
「わざわざ滅打まで使う必要があったか?」
「面倒だったから、とっとと殺しちゃったよ。まあ、妖精だししばらくすれば生き返るだろ」
「……ああ、そうか。こいつらは生き返るんだったな」
「くっ…!」
「さーて、後はお前か」
萃香が再度右腕の拳を握り締め、振りかぶる。
「終わりだ!」ブンッ!
「…ッ…!」
ガキィンッ!
「…え?」
「ごめん、大丈夫だった?」
こいしが現れ、片手で衝撃波を弾き飛ばした。
「…こ、こいしちゃん!」
「久しぶり。…チルノちゃん、助けられなくてごめん」
「…仕方ないよ……大丈夫、二日くらいすれば生き返る」
「…私の滅打を……正邪!!こいつかな!?」
「…ああ……お前の無駄な戦いのおかげで、燻り出す事が出来たな……黄色いリボンの黒帽子、閉じた青いサードアイ、少し緑味のかかった銀髪……間違いない
今回のターゲットはそいつ…古明地こいしだ、萃香」
「へえ、自分から来てくれるとは!探す手間が省けたって訳だ!」
「下がってて…私がこいつらを倒して終わりだよ」
「う、うん」
こいしが、魔力刀を出して構えを取った。
「そらっ!」ブンッ
萃香が滅打を放つ。
「……」
ザンッ
「…あ?」
萃香の右腕が、切り落とされていた。
「ぐあぁああ!!」
「……」
「す、凄い…!」
「どうしたの?そんなものなのかな?」
「こ、この…!」
「……」(馬鹿が……相手の力量を計らずに突っ込むからだ………しかし、萃香の腕を軽く落とすか……それなりにはやるようだな)
「くらえぇ!!」ブンッ!
ザンッ
「がっ…!!」
今度は、腹部を斬られていた。
「ぐっ…がぁあ!!」
「…やっぱり、大した事ないね」
「ち、畜生…!!舐めやがって!」
「随分苦戦してるじゃないか。手伝ってやろうか?」
「うるさい!!正邪はそこで黙って見てろ!」
萃香が腰に差していた刀に手を伸ばす。
「おいおい、そんなゴミを相手に霊斬刀まで使うのか?」
「うるさいって言っただろ!!」
「…霊斬刀……?」
−また混玉の力か?
その時…
「!?」ガクンッ
「…あ?」
こいしが地面に膝をついた。
「…なっ……!?」(な、何だ…!?)
『変われ』
「!!?」(様子がおかしい……私の知ってるもう一人の私じゃない…!!)
「…何だか知らないけど!隙だらけだぞ!!」
「ミッシングパワー!!」
萃香が、こいしの二倍ほどの大きさに巨大化する。
ドガァッ!!
「ぐはっ…!」
萃香に蹴りを入れられる。
「そらそらそらそら!!」
ドガガガガ
「が…ぐっ…うぐっ…!!」
萃香がこいしを連続で殴りつける。
「オラァッ!!」
ドゴォッ
「ッハァッ…!」
腹部を、思い切り殴りつけられる。
ドサッ
「…何だぁ?途中から動きが止まりやがった…」
「……」(おかしい…)
−あのこいしとか言う奴、魔力の振り幅が尋常じゃない。
低い時のはゴミみたいなもんだが……高い時は私よりも上だ
どうなってる…?
「とどめだ!!」ブンッ!
ガッ
「…なっ…!?」
萃香のパンチを、何者かに止められた。
「どーもー♡」
「…なっ…!」
紫と藍が現れ、萃香のパンチを紫が扇子で、止めていた。
「遅れちゃったわね、こいし」
「ゆ、紫」
「何だぁ…!?何で紫が……!」
「何だも何も……こいしの仲間だし?」
「くそっ!!」ブンッ!
「はっ!」ドゴッ
「うぐぅっ!?」
藍が萃香の足の脛に蹴りを入れていた。
「いって…ッ…!」ガクッ
萃香が片膝を地面についた。
「ふん!」
ドゴォッ!
「ガッ!!」
さらに藍が、萃香の顔に思いっきり蹴りを入れた。
「ぐおわぁっ…ッ…!」
ドスゥンッ
「…ッ…」
「…お疲れ、藍」
「はい」
「…この……」
「ゴミがぁあ!!」
萃香が起き上がり、藍に滅打を撃とうとする。
「!!」(ゼロ距離!!)
ドオオオオオオオンッ!!
「…はっは…!ざまぁみろ…!
調子に乗るから……だ……?」
「ざーんねーん♪」
紫が藍の前に立ち、滅打を防御していた。
「な、何だと…!?何をしたぁ!!」
「なぁにって……弾くと永遠亭が危ないから、同じようなものぶつけて相殺させただけよ」
「同じようなもの……!?」
「信じられないなら、お一つ見せてあげましょうか?」パチンッ
紫が指を鳴らすと同時に、扇子を萃香に翳す。
ドンッ!!
扇子から滅打と同じような衝撃波が放たれる。
「!!」
バシィンッ!!
しかし、正邪がそれを右手で弾いた。
「!!」(片手で…!)
「……」
「正邪…!ありが……」
ドゴッ
正邪が萃香の腹部を殴った。
「ごはっ!?な、何すんの…!!」
「落ち着け、頭に血を昇らせすぎだ。こいつらは幻想郷の長のようなものだぞ」
「…ご、ごめん……」
「分かったならいい……潮時だ、
退くぞ」ブウゥンッ
正邪が何も無いところを指でなぞると、歪な形のゲートのようなものが現れる。
「…!?」(何だ、あれは…)
「逃げるのかしら?」
「らしくない挑発だな。そこのゴミ二人を守りながら私と戦ってどちらが部があるか分からんわけではあるまい」
「……」
「目的は果たしてはいないが……一応霊夢様には報告はしておく。貴女が目を付けた古明地こいしは
殺すに足らぬ”塵”でしたとな」
ブウゥンッ
「……」
「…紫……正邪は…どれくらい強いの?」
「…恐らく…力を抑えた状態で貴女と互角程でしょうね」
「…なら……私じゃ勝てないのか……」
「…まだ時間はあるはずよ。霊夢が様子見で敵を送り込んできたんだから……もう少し時間があるわ」
「その間に、強くなればいいのよ」
「……」
「…しかし、紫様……あの天邪鬼、かなり強くなっていましたが……」
「ええ……もしあれ程の強さの者が十人ほど夢幻館側にいたら……私達は、勝てないかもしれないわね」
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夢幻館
「只今戻りました、霊夢様」
「おかえり、正邪。さあ、報告を聞かせてちょうだい 。我々と十人の同胞に」
BLE○CHで言えばウル○オラの役目は正邪にやってもらいました
自分、クレイジーカルテット好きです笑
フラン、こいし、ぬえ、正邪かな?ぬえは比較的まともな方だと思うけど
あの狂気っぷりがたまんねぇ
人を殺すのを何とも思ってないのだとか
実は狂気に悩んでんじゃないかとか妄想するのが楽しい。駄目だ、自分末期だこりゃ




