終わりの始まり
週一で出すと言ったな。あれは嘘だ
出来次第出すようにしちゃおう…うん
目標が週一って事で……
かなり下手な挿絵があります
「だ、誰が来るのよ…!」
こいしの五メートル程先の地面に魔法の紋章が現れる。
「…?」
ドンッ!
「!?」
一瞬地面が揺れ、紋章が凄まじい光を放つ。
「……」
光が消えると、そこには赤紫色の装束を着た少女、霊夢、咲夜がいた。
「……」
霊夢が、こいしとその隣にいるパルスィ、そしてその後ろに居るさとり、そして自身の後ろにいる装束の少女と天子、そして正面にいる椛と大天狗の位置をそれぞれ確認した。
「…れ、霊夢?それに咲夜さんに………もう一人は……誰?」
「……」
少女が笑みを浮かべている。
「……?」
−何か……あの笑い方、どこかで見た事あるような……
「こ、こいし……!こいつは…!」
「黙らせなさい」
霊夢が冷たく言い放った。
「はいはーい」
天子が咲夜の前に立つ。
「なっ、何よ……そんなんで私が黙ると」
ズバァンッ!
「…がっ…!!」
「…なっ…!?咲夜さん!!」
「こいし」
「…!?」
霊夢が、重く冷たい声でこいしを呼んだ。
「な、何…?」(何だ…?雰囲気が違う?)
「パルスィから離れなさい」
「…え?」
「…!?」
「…?」
「…今、何て……」
こいしは驚いて、聞き返してしまう。
「可笑しいわね……聞こえなかった筈はないでしょう?」
霊夢が不気味な笑みを浮かべる。
「もう一度言う……二度は聞き返さないでよ」
「パルスィから、離れろと言ったのよ」
「…!?」(な、何で私なの…?一体何がどうなってるの…?それに……これが本当に霊夢!?まるで別人…!雰囲気も何もかも…!)
「……!?」(心が……読めない!?)
「……断る」
こいしが言った。
「…何?」
「断る…と言ったのよ。霊夢!」
こいしが霊夢を睨む。
「……」すっ…
赤紫色の装束を着た少女が刀に手を伸ばす。
「何もしなくていいよ……こいしは強情だからね」
霊夢が不気味な笑みを浮かべたまま、そう言った。
「どうしても嫌だと言うのなら、貴女の気持ちも組もう……体は離れなくていい」
「その命だけ、離れなさい」すー…
霊夢が刀を抜く。
「…!!」
−殺す気だ…!!こいつはもう、私の知る霊夢じゃない……!!
「……霊夢さん。殺すのは、やめませんか」
「……そう。貴女がそう言うのであればそれでいいわ……けど、理由はあるのね?」
「…霊夢さん、貴女自分で言ってたじゃないですか……こいしはいい実験台になりそうだ、って」
「……ああ……そうだったわね……忘れていたわ。……ていうか、遅かれ早かれバレるんだからそのフード取りなさいよ……”フラン”」
「……」
「…え?」
「…ま、確かにそうですねぇ……」
少女がフードを取った。
こいしは、少女の顔を見て驚愕した。
「フラ……ン……!?」
「やっほー、こいし」ニヤッ
赤紫色の装束の少女は、フランだったのだ。
「……何で…!!」
「理由なんてどうでもいいじゃない……」
「…どうでも、よくない…!!何で……!?何でよ!!」
「……認めたくなくとも、これが現実なのさ」
「…嫌だよ…!認めないから!絶対認めない!!」
「…霊夢さん」
「何かしら?」
「黙らせるくらいは、構わないですよね?」
フランが鞘に手を伸ばす。
「…!!?」
「ええ、いいわよ」
「う、嘘よね…?フラン……!」
ザッ ザッ ザッ ザッ
「や、やめてよ…!なんで……!!」
「……煩いなぁ……いい加減認めなよ……」
フランがフードを浅く被った。顔が影で少し隠れる程度で、顔は分かる。
「私は元々敵だった……そういう事よ」ニヤッ
「……!!」
その直後ーー
ドオオオオオオオンッ!!
天井が爆発して、空が降りてくる。
「フランドォォォルゥゥゥ!!!」
「随分久しぶりね……貴女と会うのは……姿がだいぶ変わってるけど……」
既に八咫烏モードになっており、フランに踵落としで攻撃している。
フランはそれを、指一本で押さえている。
「くっ…!」
空が後ろに下がった。
「何で…!そうして笑っていられるんだ!!フランドール!!」
「……」
「フランー、何でそいつ生きてんの?」
天子が、不思議そうに聞いた。
「……さあね」
「お前だけは…お前だけは許さないぞ!!フランドール!!こいし様を裏切りやがって…!!」
「…こいしが……一度裏切られただけでそこまでなるのか?」
「…!?」
「……こいしは、一度の裏切りでそんなに傷付くの?」
「何だ…!何が言いたい!」
「こいしはもっと強い子だと……そう言いたいのよ」
「…!?」
「…フラン…!?」
「……そうでしょう?こいし」
フランがこいしを見る。
「!……」
こいしは何も言わず、フランをじっと見ていた。
「……まあ、その話はこのくらいにして……」
フランが空の方へと向き直す。
「さあ、かかってきなよ。私を殺したいんでしょ?」
「ああ…お前を殺す!!」
空が殺意をむき出しにして、フランを睨んでいる。
「ま、待ってお空!」
「こいし様!!こいつは許してはなりません!!私がここで殺します!!」
「…!!」
「…そうしなさい。そうでもしなきゃ貴女の腹の虫は治らないでしょう」
「さっさと終わらせなさい、フラン」
「…分かりました、霊夢さん」
「まるで勝つ事が分かってるみたいだな!!霊夢!!」
「貴女がフランを殺れる訳ないでしょう……」
「舐められたもんだね!!」
空が右手をフランに翳す。
「点…」
「……」ニヤァッ
「…なっ…!?」
−馬鹿な……!!まだフランドールは…霊夢の隣に……!!
いつの間にか、空の目の前に立っているフラン。
「禁忌……」すっ
フランが空の顔に右手を翳す。
「カタディオプトリック」
ドオオオオオオオオオオオンッ!!
「かっ……!!」
ドサッ
「……」
ザッ ザッ ザッ ザッ
フランが霊夢の方へ戻っていく。
「やるじゃない」
「……まだ二割も出していませんよ」
「……!!」
−そんな……今の状態のお空は…かなり強いはずなのに……!
一撃で倒すなんて……なんて強さなの…!?
「さて、そろそろ……」
霊夢がパルスィに近付いていく。
「ひっ…!」
「…!パ、パルスィには近付かせないぞ…!」
「こいし……そこ、退いてくれない?」
フランがこいしに呼びかけた。
「……!!」
「パルスィを悪いようにはしないから……安心して」
「……」
こいしが俯いた。
「こ、こいし……!」
「……嫌だ…!退かないよ……!」
「…何?」
こいしが、フランを睨んだ。
「私は……パルスィを守る……!」
「……ああそう……」すっ…
霊夢が刀に手を伸ばす。
「…その仕事は私がやります」
「いいよフラン……実験台が居なくなるのは残念だけど、私がここで斬ればそれで済むはな……」
ビュンッ!!
「うわっ!?」
フランが高速で移動し、こいしを抱えてパルスィから離した。
「……面白い子ね……全く」
霊夢が薄ら笑いを浮かべながら言った。
「は、放して……!」
「……全く、何で退かないの……そんなに死にたかったの?」
「……本当に……裏切ったの…?フラン……!」
「……どう捉えるかは貴女次第……少なくとも私は裏切ったつもりでいるよ」
「……あの時の約束は……嘘だったの……?」
「……本当だった……本当に私もそう思っていたよ。けど思い出しちゃってね……私にはやらなきゃならない事があったんだ」ニヤッ
「……それが……こんな事だって言うの!?」
「そうさ……」
「…だったら……私はフランを止める!フランは間違ってるよ!」
「…間違ってる…か……そうなのかもね」
「…!?」
その時のフランの顔は、何処か寂しげだった。まるで全てを察しているかのような…寂しい顔
「……まあ、いいや……ここで見てなさい。パルスィがどうして狙われたか分かるよ」
「……」
こいしは動こうとしなかった。何故なら、ここに向かってくる魔力や霊力を感じたからだ。
−みんなが、ここに向かってる
「…さて、と……」
「ひっ……!!」
パルスィが、霊夢に詰め寄られて怯えている。
「…何故私が貴女を狙うか……分かる?」
「…!?」
大天狗も椛もさとりも、動こうとしなかった。
天子が立ちはだかっていたからである。
「貴女の体の中に埋め込まれたある物質の回収をしに来たのよ」
「…え…」
「本当は決戦前日に回収するつもりだったのだけど、どうやらパチュリーだけ私の狙いに気付いていたらしくてね」
「ど、どういう事よ…!?」
「分からないかしら?私は貴女を上位十位側に入れさせたって事よ。計画的にね」
「…え…!?」
「貴女を説得したのは誰だったか、覚えてる?」
「…フラン……!?嘘でしょ!?じゃあフランは私を……」
「そう、救った訳じゃないわ、フランには二つ命令をしていたの。一つはパルスィをこちら側に引き込むこと。二つ目は……貴女を奪われないようにすること」
「……!!」
「貴女はフランに救ってもらったんじゃない……フランに監視されていたのよ」
「…そんな…じゃあ、フランは私の事なんて……」
「何とも思ってないでしょうね」
「……」
「……パチュリーは何としてでも私の企みを止め、フランやレミリアの事を助けようと考えていたらしいけど……フランに取っては邪魔でしかなかったわね」
「…いつから……貴女達は仲間だったのですか…?」
さとりが聞いた。
「最初からさ……私達が妖怪の山の麓に呼び出されたあの時からよ」
「…!?」
「気付かなかった?まあ、途中少し計画にミスが生じてしまったけど……フラン、私、天子には其々の勢力に居てもらったのよ」
「……!!」
「本当はフランにはチルノと大妖精戦の時点で抜けて、天狗達の下へ行ってもらう予定だったのだけど……どうやらフランはこいしを守りたかったらしくてね……」
「……」
「ま、結果として上手くいってよかったわ……そして途中でフランが合流し、パルスィを引き込む……筈だったんだけど」
「完全に操ったつもりでいた紫が意外としぶとくてね……記憶までは戻らなかったけど上位十位軍を潰さなければならないという事だけは覚えていたらしく、勇儀やら幽香やらを向かわせたという情報が天子から入った時は焦ったわ」
「……」
「そこはフランがどうにかしてくれたけど……少し危なかったわね……それがパルスィが紅魔館に向かうきっかけになってくれたのは好都合だったけど」
「…じゃあ、全て計画通りだという事ですか…貴女の……!」
「その通り。私はフランと天子以外を真の意味で仲間だと思っていなかったわ」
「何故……このような事を…!!」
「もう面倒だからこれ以上は話さないわよ」
ザッ
ドスッ
「うっ…!?」
パルスィの胸部に腕を突き刺す霊夢。
「パルスィ!!」
ズボッ
「あっ……」
ドサッ
パルスィが倒れた。
腕を引き抜くと、その掌に紫色の小さな球体を手にしていた。
「…これの名は''混玉”。作成者は私が操ったにとりよ。だからにとりはこんなものを作った記憶も使い方も覚えていないわ」
「…!?」
「この混玉の能力は保持者の願う事を具現化する程度の能力を持っていてね……よくもまあこんなものを作れたものだわ……流石はにとり」
「…願いを……具現化する…!?」
さとりが驚きのあまり目を見開いている。
「…ああ……保持者って言っても一番最初の…よ。もうそろそろ察してもらった方が早いのだけど、一番最初の保持者は私よ。つまり……」
霊夢が不気味な笑みを浮かべながら言った。
「今まで起こった事柄全て……私がこうなって欲しいと思った事よ」ニヤァッ
「……そんな……!!じゃあ……私が能力を使えなくなったのも……!」
「ご名答!レミリアの能力は、運命干渉で先の事を見られでもしたら大変だからね……咲夜のは厄介すぎるし……ああ、それとこいしの能力が消えていなかったのは、あの子の事を色々と試してみたくてね……」
霊夢がさとり達の方を向く。
「ついでに言うと、幽々子戦の時に妖夢が覚醒したのも混玉の能力。そしてこいしの中のもう一つの精神が呼び覚まされたのも混玉の能力よ」
「……!!」
「まあ、混玉があれば何でも可能なのよ。さて、説明はこのくらいでいいかしらね」
パルスィの方に向き直した。
「貴女はもう用済みね……殺しなさい、フラン」
そう言うと、さとり達の方へと歩き出した。
「…仕方ないなぁ……」ザッ ザッ ザッ
フランがパルスィの方へと歩いていく。
「フ……ラン……」
パルスィが苦しそうにフランの名を呼んだ。
「……」
その時だった。
ヒュンッ!!
「!」
「動くな。指一つでも動かしてみろ」
「即座に首をはねる」
突然妖夢と藍が現れ、霊夢の首元に妖夢は楼観剣を、藍は札を固めて作った剣を突き立てる。
「……」
「……」
フランが刀に手を伸ばそうとした時
「動かないで」
こいしがフランの首に魔力刀を突き立てる。
「…あー……ごめんなさい霊夢さん。捕まっちゃった」
フランが緊張感のない声で言った。
「……」
「衣玖……何で私の首に剣突き立ててるの?」
「私が貴女を敵だと判断したからですよ。総領娘様」
天子も、衣玖に緋想の剣を首に突き立てられている。
「…それ、私の剣じゃない?」
「スペアです」
「あーそう」
周りには、魔理沙、アリス、文、はたて、勇儀、幽香、パチュリー、レミリアが駆け付けていた。
「……ふふっ…」
霊夢が、不気味に笑った。
「…何が可笑しい?」
「……まず、何で貴女達が生きているのか……それが気になって仕方ないわ」
「……誰かから生き返らせてもらった……この魔力の感じは人工的によるものよ」
「……あーそう……それで謎は解けたわ。そんな事できる奴は私は一人しか知らないわ……」
「…私の質問は、何かを可笑しいかだぞ?」
「ああ、悪かったわね……
時間よ」
「!!離れろ妖夢!!」
「!!」
ドンッ!!
天井を突き破って、空から光が差し込んでくる。
霊夢、天子、フランの周りを光が包んだ。
「…な、何だ…!?」
「この光……凄い魔力を感じるわ……」
「……!」
「あの光に包まれたら最後、もう何も出来ないんだぜ……」
「……!」
「霊夢……お前……」
「……ふん」
「……」
「…じゃあね衣玖。それなりにお世話になったわ」
「……」
「まあ、しみったれた別れも嫌だしね……ま、その内また会いに行くわよ……それまで元気でね」
「……敵になるというのにですか?」
「貴女と私はいつでも味方でしょ?」
「……」
「…またね」
「……フラン……!」
「……もう時間か……」
「……」
−フランもこの光に入ってるって事は……本当に裏切ったのか……フラン……
こいしが絶望にくれていたその時だった。
「……ちょっと……残念だな……もうちょっと捕まっててもよかったのに……」
フランが寂しげに言った。
「…え…」
「さよならこいし」
「……ご免ね」
「……!」
「……お前だけの魔力じゃないな……それ…!」
魔理沙が霊夢に問いかけている。
「…夢幻館の連中よ…」
「…夢幻館と手を組んでまで…!何が目的なんだ!」
「高みを求めて」
霊夢が冷静に言った。
「……地に堕ちたか……霊夢!」
「……奢りが過ぎるわ、魔理沙」
「最初から誰も天に立ってなどいない」
「貴女も私も……神達も」
霊夢が後ろで結んでいる大きなリボンに手をまわす。
「だが……その耐え難い天の座の空白も終わる」
「これからはーー」
「……!!」
霊夢が髪の毛の後ろで結んでいたリボンを解いた。
バサッ
「私 が 天 に 立 つ」
「さようなら……貴女達はとても面白かったわ」
霊夢、天子、フランが空へと消えていく。
バァァンッ
激しい光が辺りを照らした。
BL○ACHすぎてもうただのBL○ACHでしかねぇ……
ぶっちゃけ東方でBL○ACHをやってみたいなぁと思って書き始めたのが事実だしなぁ〜
あ、因みにこの小説の世界では夢幻館は裏切り者の集まりっていう設定でございます




