血戦!六桜花 第二花弁 風見 幽香
更新ペースを週一にするようにしました。
月火水木のいずれかまたは金土日のどれかです。
即ち、全てです
「咲夜、貴女は下がってなさい!ここは私がやるわ」
「了解しました。ですが、危ないと判断したらすぐに援護します!」
「ええ!」
幽香が、椅子に座ってじっとレミリアと咲夜を見ている。
「……何よ。早く構えなさい」
「……本当にフランとよく似てるわね……面影が同じよ。貴女も髪伸ばしてサイドテールにしたら完璧に双子みたいになるわよ?」
「別にそうなりたいとは思わないわ。私は私、フランはフランよ!」
レミリアはそう言い張ると、グングニルを構える。
「初めから全開で行く……と言ってると見ていいのね?」
「ええ!」
レミリアが幽香に突撃していく。
「真正面からとは……面白いじゃない」
幽香が傘を構える。
「せい!」
「ははっ!」
ガキィンッ
傘とグングニルがぶつかり合う。
「ちっ……!」(何で傘で防げるのよ……!)
「力押しは、私には通じないわよ?」
幽香が余裕綽々でそう言った。
「そんな余裕で居られるのも今のうちよ……」
ザザザァ……
レミリアが後ろに下がった。
「しかし、姉妹揃って武器を使うのね……それもどちらも神の武器とは……」
フラン戦の事を思い出しながら、幽香がレミリアに向けて言った。
「……私達の、才能よ」
「あっそ……別に興味ないわ。さて、早くやりましょうか」
「ええ!」ドンッ!!
レミリアが幽香に突撃していく。
「さあ、どう来るのかしら?」
「ふんっ!」
「!」
レミリアが高速で移動する。
「……」
……
「もらった!」ブンッ
レミリアが幽香の背後に現れ、グングニルを薙刀のように振るう。
「槍で薙ぎ払いってどうなのよ……突きの方が強いに決まってるじゃない」
幽香が片手でそれを止める。
「!」
「止められないとでも思ったの?今、少し驚いたでしょう」
幽香がそう言うと、レミリアは妖しい笑みを見せる。
「いや?まさか、単調に掴んでくるとは思わなくて」
「?」
「どう掴ませようか必死に考えてた自分が、馬鹿らしくなっちゃってね」ニヤッ
ピリッ
「!?」
「くらえ!」バリバリバリバリ
グングニルに魔力による電撃を通す。
「ぐっ!?」バリバリバリバリバリバリ
−しまった……!
幽香は、雷撃により体が痺れて動かずその場に座り込んでしまう。
「くっ……!?」
上を見上げると、レミリアが腕を握りしめ幽香に殴り掛かっていた。
ドゴォッ
「うッ……!」
顔を思い切り殴られる幽香。
「さらにもう一発!」ブンッ
ドガッ
「ぐはっ」
今度は腹を殴られる。
「どうだ!」
ザザザァ……
幽香があとずさる。
「……いいわね……貴女達姉妹は本当に私の事を楽しませてくれるわ……ふふふ」
「……!?」
幽香が狂気の笑みを浮かべる。
「さぁて、やりますか……!」ニヤァッ
「くっ……!」(何だ……!?こいつ……!)
「ハハッ!」ヒュッ
「!?」
笑い声が聞こえたと同時に、幽香がレミリアの背後に回っていた。
「ぐっ!?」ブンッ
慌ててグングニルを右から後ろに振るうと……
「ふん……」ガッ
右手でそれを止められてしまう。
「この程度なのかしら?」
「こっちの台詞よ」ニヤッ
レミリアが魔力による電撃をグングニルに流す。
バリバリバリバリ
「……」
「……!?」
幽香は平然としていた。
「私に一度くらわせた技はもう通じないわよ」
「ぐっ!」ダンッ
バックステップで後ろに下がるレミリア。
「……この槍、返すわよ」ブンッ
「……」ガッ
幽香が力を入れずに投げ渡すようにグングニルを投げる。
「……どういうつもりよ」
「なに……楽しむためには相手にハンデでもつけてあげた方がいいでしょう?」
「……舐めやがって……!!」
レミリアがグングニルに魔力を込める。
「くらえ!!」ブンッ!!
グングニルを全力で幽香に投げる。
「へぇ……!」
ガキィィィ……
ザザザザ……
幽香が傘でそれを防御する。しかし勢いは止まらず幽香は後ろへ押されていく。
「……!」(思ったより効いてる……勝てるかもしれない)
「貴女が今考えてたいた事を言ってあげようか?」
「!?」
幽香が、グングニルを止め切っていた。
「勝てるかもしれない……でしょ?」
グングニルを左手で持ち、投げる構えを見せる。
「!!」
「残念ながら、それは叶わない!」ニヤァッ
ブンッ
グングニルを軽く投げる。
「……!!」(またか……!!)
−どこまで舐めやがっーー
ダンッ!!
「!?」
次の瞬間、幽香がジャンプした勢いでグングニルを蹴り飛ばした。
−なっ!?
「うわっ!」
レミリアは、しゃがんでそれを躱す。
「しゃがんだままでいいの?」
「え!?」
上を見ると、幽香が傘をレミリアに向けて振るっていた。
「うわっ……!」ガキィッ
レミリアは、両腕でそれを受け止める。
「よく防いだわね……けど、そのままじゃ腕、無くなるわよ」
ベキベキと音を立て、レミリアの腕の骨が砕けていく。
「うがっ……あぁぁあ……!!」
「まあ、吸血鬼だしね……無くなっても再生するか」
「ふん!!」
ドゴォッ
「ッ……」
レミリアが幽香の腹部に蹴りを入れた。
「……ちっ……」ダンッ
幽香が、腹部を抑えて後ろに下がる。
「あら?さっきまであんなに調子に乗ってたのに……一発腹に蹴り入れられただけでそんな苦しむのね」
「……あんたこそ大分ビビってたけどね……」
「……お嬢様……」
少し離れた場所から、咲夜がじっと戦いを見守っていた。
「さあ、本気出しなさいよ……まだまだ本気じゃないんでしょう?」
レミリアがニヤリと笑ってそういった。
「……お見通しなのねぇ……それなのによくもまああんな挑発をしたものだわ」
その時ーー
「きゃあああああああああああああああああ!!!」
「「「!?」」」
「な、何だ!?」
「今の声……妖夢……!?」
「……お仲間が危ないご様子よ……助けに行かなくていいのかしら?」
「……あんたを見過ごすわけにはいかないもの」
「……」
「ここであんたから目を離せば、あんたは私の仲間を殺しに行くわ。そんなことはさせない」
「……ふふ、なるほど……どうやら馬鹿じゃないらしいわね」
「……」
「なら、私も全力で行くとするわ……仲間を守りたい気持ちは同じなのだからね」
「……」
幽香が目を閉じる。
「……」
−さて、ここから問題……おそらくだけど、全力のこいつは私より強いはず
それをどう倒すか……。
挙げられる策は……敵の弾幕を敵自身に当てさせる。
他にもあるだろうが……一番やりやすいのは……
ある程度弱らせてから、私の全魔力を集中させたグングニルを直撃させる。
ザッ
レミリアが身構える。
「さあて、行きましょうか……」
ドドドドドドドドドド……
「……!!」
幽香が目を開けると、周りの地面が揺れ動く。
「あまりの魔力に地面が悲鳴をあげているのか……!?」
「そこの解説役メイドさん。もっと下がってなさい」
「か、解説役メイド!?」
「咲夜、貴女はあの分かれ道に戻りなさい」
「!?な、何故ですか!?」
「妖夢も心配だし、彼処には霊夢だって戦ってるのよ……貴女が援護に行ってあげなさい」
「……分かり、ました。けど、絶対負けないでくださいね!?お嬢様!」
「ええ!」
咲夜が去っていった。
「……逃しちゃったわね」
「外見に目立った変化はないわね……」
「見かけで判断するなってもののいい例よ」バリバリバリバリ
幽香が傘に凄まじい量の魔力を送ったため、その衝撃からか傘に稲妻が走る。
バリバリバリバリバリバリ
「……!?」
傘が変形して、薙刀のような形状になる。
「言っておくけど、ちゃんと刃はあるからね?鉄ではないけど……私の魔力を通してるから切断能力はかなり高いわよ」
「……それが、どうした」
−薙刀か……リーチが長いからそれだけは注意しなきゃな……。
まだあいつとは距離がある……冷静に立ち回って相手の出方を見るか
「分からない奴ね……つまり……こういう事よ」
瞬間、幽香が足を開き、右足を後ろに引き、薙刀を持った右手を横腹の辺りまで引く。
その時、風が巻き起こり、地面が揺れ動く。
ドドドドドドドドドドドドドドド……
「くっ……!?」
「隙ありよ……」
薙刀をレミリアに向けて突き出す。
ドッ
「!!」
すると、薙刀が凄まじいスピードで伸びる。
「ぎっ!!」
ガキィンッ!!
レミリアは、グングニルでそれを防ぐ。
ズザザザザザザ……
「ぐぐっ……!!」
しかし、抑えきれず後ろへ押されていく。
「ぐ……ぐぐっ……!!」
「どうしたの?こんなの早く弾いてみなさい」
「……い、言われ……なくても……!!」
弾こうとするも、力が強く弾こうにも弾けなかった。
−くそッ……!!な、何だこの力は……!!
「ぐぅっ!!」ガキィンッ!
レミリアは、横に逸れる形でその薙刀を避けた。
「!」
「伸ばしている間、その傘は使えないはずよ!!」
−弱らせてはいないが、仕方ない……!
「私の全ての力を……この一撃に込める!!」
レミリアは、自身の全魔力をグングニルに集中させる。
「……!?」
グングニルから、凄まじい稲妻が走る。
バリバリバリバリバリバリバリバリ
「くらえ!!」
ブオンッ!!
グングニルは、まっすぐ幽香へと向かっていく。
「くっ!!」
伸ばした薙刀を放し、両腕でグングニルを抑え込もうとする。
パァンッ
「!!?」
しかし、抑えようとした腕が一瞬で消し飛んだ。
「行けぇぇぇ!!」
「くそ…!!こ、こんな馬鹿な……!!」
「があぁあぁぁあああぁあああああああああああああ!!!」
グングニルは、幽香に直撃した。
ドオオオオオオオンッ!!
そして、大爆発が起こる。
「ハアッ……ハアッ……」
−これで倒せないのであれば……もう私に手立てはない……けど、反応を見る限りかなり焦っていた。
効いているはず……!
「ハッ…!ゼェッ…!」
煙が晴れ、幽香の姿が見えてくる。
「……よ、よく……もぉ……!!」
幽香の腹部に、大きな穴が空いている。
両腕は消し飛び、目は片方潰れ、満身創痍だった。
「……はぁっ……はぁっ……ふふ……わ、私の、勝ちね……幽香」
「…カッ………何……ハァッ…ゲホッ……アッ……だとぉ……?」
「貴女の腹の穴…少し肺も削ってくれているわ。それと一つ言い忘れていたけど……今の私のグングニルは再生とかそういったものを受け付けないわよ」
「……!?」
幽香は、自分の体が再生しない事に気が付いた。
「……くくくっ……ゲホッ……私をここまで追い込んだのは……あんたが初めてよ……」
「……それは、どうも……貴女は時期に息絶えるわよ……いつまでそんな余裕でいられるかしらね」
ブンッ!!
「!?」
ブシャアッ
「ガァッ!!」
幽香が薙刀を口に咥えてレミリアに振るった。
「何……終わった気でいるのよ……!!はっは……楽しいのはここからでしょ!?」
幽香が、狂気の笑みを浮かべている。
「……!!貴女……どうかしてるわ!!死ぬのが怖くないの!?」
「死!?それが何よ……そんなの戦いを楽しむ為の犠牲の一つじゃない!!」
「……なっ……!?」
「あんたはそうとう強いんだ……!!それだけ強くて、何故戦いを好きにならないのかしら!?」
「……!!」
「さぁあ!!もっともっと楽しみましょう!!」
「ぐっ!?」
レミリアに向けて薙刀を振るう。
−よ、避け……!!
しかし、レミリアは体が限界に達していた為避けられなかった。
ズバァンッ!
「がはぁっ!」
「はっはっはっは!!どうしたの!?随分鈍くなったわね!!」
−やばい……体が……!!
「それとももう限界なのかしら!?」
幽香が飛び上がった。
「なら、これで楽にしてあげるわ!!」
薙刀の先に、虹色の光球が出来る。
「マスター……!!」
「!!」
−……だめだ……マスタースパークを避ける体力も、受ける体力も残っていない……
死んだ……な……私……
私は諦め、目を閉じた。
その時、あの子の声が聞こえた気がしたんだ。
−『頑張って……お姉様』
−そうだ……まだ……私は……!!
レミリアが立ち上がる。
「死ぬわけにはいかない!!」
ドオオオオオオオンッ!!
「!?」(ここに来て……まだ魔力が上がるのか!?)
「行くぞ!!」
「……はっは!!やっぱりあんた、最高だわ!!」
「スカーレットシュート!!!」
「マスタースパーク!!!」
ドオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
二人が、スペルを同時に放った。
「ああああああああああああ!!!」
「はっははぁあああーーーー!!!」
−『…お姉様……大丈夫、だった?』
−『平気よ!暴走した貴女には負けないわ』
−『……そっか……』
−『……?フラン?』
−『…よかった……!』
−『!?フ、フラン?まだ何処か痛むの?』
−『ありがとう……生き抜いてくれて、ありがとう……もしお姉様まで死んじゃったら……私……!』
−『……約束するわ』
−『…え?』
−『私はもう、貴女を巻き込んだ戦いでは絶対に負けない。約束するわ』
−『……それ、かなり条件限られてない?』
−『えぇい!細かい事はいいんだよ!』
−『う、うん?』
−『とにかく、私は貴女を置いて死んだりなんかしないわよ。だから安心なさい』
−『……うん』にこっ
−『いい子ね』にこっ
あの時の約束……こいしに負けた時破っちゃったわね……でも、今度こそ……
絶対勝つから……私は絶対負けない。
約束したもんね……フラン。
−『お姉様、宴会だってよ。行こう!』
−『ええ、もちろんよ!』
−『フラン様ー!私も連れて行ってください!』
−『お、美鈴ー!行こ行こ!』
−『門番業をサボって行くつもり?』
−『どわぁっ!さ、咲夜さん……!』
−『さ、咲夜……』
−『……ご、ごめんなさい。ただでさえ怠け者なのに宴会なんて図々しかったです』
−『……宴会に行くなら、許可を取ってからにしなさい』
−『……!ありがとうございます!!』
−『……ふふ』
−『フラン、みんな。早く行くわよ』
−『はい!』
−『パチュリー様達は?』
−『魔理沙に誘われて先に行ったよ』
−『あら、そうでしたか』
−『さーて、目一杯楽しむわよ!』
何故……今こんな事を思い出す?
何故……体が言う事を利かない?
−……負けたのか?私は……
「ぐっ……!」
−体は動いた。まだ死ぬような傷じゃない……私は……勝ったのか?
「……!」
幽香が倒れているのを見た。
「……勝った……?」
「……勝ったぞ……!!
私の勝ちだァッ!!!」
分かれ道
「……霊夢……!」
「うぅっ……!霊夢さん……!どうして……!」
「……妖夢。悲しんでる暇はない……霊夢の仇を討つんだ!行くぞ!」
「……うん!」
「おっと……待ちなよ」
「「!?」」
上から声が聞こえる。
上を見ると、赤紫色の装束を身につけ、フードを深く被った少女が妹紅達を見ている。
「行かせないよ」
「……お前……誰だ……?」
「……?」
「私が誰かなんてのはどうでもいい事よ……」
不敵に笑い、そう言う。
「……それもそうだ!」ボボボォ
妹紅が炎の玉を飛ばす。
「……」
バァァンッ!!
しかし、少女に当たる前に弾け散った。
「なっ!?」
次の瞬間ーー
ザンッ
「……あっ……」
「……えっ……」
「……妖……夢……?」
妖夢の上半身が、ずるっと落ちていく。
ドシャァッ
「妖夢!!」
「終わりよ」ブンッ
ズバァンッ
「……あっ……」
ドシャァッ
妹紅の首を切り落とした。そして……
「この札、再生を停止させる程度の能力持っててね……つけられた奴は再生が出来なくなるんだ」
妹紅に札を貼り付けた。
「……まあ、誰かに剥がして貰えば生き返るんでしょ……妖怪と違って、長い間生命機関を失ってもしばらくは生きてるらしいし」
「さて、とッ……!」
少女が伸びをする。
「……あまり、斬りたくないんだけどな……」
「……次は、咲夜……か」
ザッ ザッ ザッ ザッ
上位十位軍
生存者 9名
死者 4名(仮死状態含む)
物語構成って難しいっすね……




