激戦!地底の八咫烏 霊烏路 空
「アリス、下がってろ。ここは私がやる」
「!…了解」
「お燐!下がってて!私が魔理沙を倒す!」
「うん!」
魔理沙と空が対峙している。
「くらえ…マスタースパーク!」
魔理沙が八卦炉を構える。
「私だって!」
空が、第三の足を魔理沙に向けて構える。
「くらえ!」
マスタースパークと、空の手から出された破壊光線が激しくぶつかり合う。
ドオオオオオオオンッ!!
そして爆発した。
「くっ……!やっぱり駄目か……火力で押し切るのはちと辛いぜ」
魔理沙が帽子の位置を整えながら言った。
−さーて、どうすっかな……
「見つけた!」
「!」
煙の中から空の声が聞こえる。
「見つけたってか、元々隠れてたつもりはないぜ」
魔理沙が素早く箒に跨る。
「くらえ!」コオオオ…
空が第三の足を魔理沙に向けて構える。
「!」
ドオオオオオオオンッ!!
「遅いぜ」
「うにゅ!?」
魔理沙が後ろに回っている。
「ブレイジング……」
「!!」
「スター!!」ドンッ!!
箒の先からマスタースパークが放出され、その勢いで空へと突進していく。
「そんな攻撃当たるか!」
空がそれを躱した。
「へっ、別に当てるつもりはなかったぜ」
魔理沙が通った跡から星型の弾幕が現れ、空に向かって飛んでいく。
「うにゅ!?」
「お空!撃て!!第三の足だ!」
「!了解!」ガチャ
「!」
ドオオオオオオオンッ!!
「ヒュー!危ねぇぜ……」
−燐の奴が助言して、空が力を発揮するって感じか……確かに空に冷静さが加わればかなり強くなるな
「アリス!燐を頼む!」
「……ごめんなさい魔理沙、そのつもりだったのだけど……」
「ん?」
燐の周りを死霊が漂っていた。
「……そういう事か……アリス、警戒しとけよ!」
「ええ」
「お燐!逃げてもいいよ!?」
「大丈夫さ!あたいだって紫様から力を貰って強くなったんだ!」
「……」
−こいつらまで”紫様”か……あいつ、一体どんな洗脳を……
「ぼやぼやするなよ!魔理沙!」
「!」
「これでもくらえ!!」コオオオ…
第三の足を魔理沙に向けて構える。
「得意の攻撃一点張りで攻める……単純明快な攻撃方法だがそれは考え無しって事でいいのか?」
「違う!これが私の戦い方だ!!」
ドオオオオオオオンッ!!
破壊光線を放つ。
「そうか……そりゃ悪かった」
「なっ!?」
魔理沙がまた、空の後ろに回っていた。
「くっ!!」(い、いつの間に!?)
「スピードなら、妖夢と張れるくらいには速いぜ!」クルクルクル
魔理沙が箒を回している。
「ほ、箒無しで飛べるのか!?」
「白黒の魔法使い、霧雨魔理沙をなめるなよ!」
空に突撃していく魔理沙。
「くっ!」
第三の足を盾にする空。
「おいおい、自分より素早い奴に対して先に構える事は致命的だぜ?」
ビュンッ
「!?」
空が箒で腹部を思い切り殴られ、そして吹き飛ばされていた。
「うわぁあぁぁあ!!」(な、何だ今の!)
「遅い遅い♪」クルクルクル
「お空!!」
「いいぞ魔理沙ー!その調子よ!」
遠くから二人が観戦している。
「……いや、お前ら戦えよ……!」
「くっ……こうなったらあたいも行く!お空!手伝うよー!」
「なら私も行こうかしらね……」
「お、来るかアリス?」
二人が魔理沙の下へ向かおうとした時だった
「待ってお燐!!」
「!」
燐の動きが止まる。
アリスはそのまま魔理沙の下へ向かう。
「……”あれ”を使う。下がってて」
「!!で、でも、あれは……!」
燐の表情が焦りの色に染まる。
「大丈夫……私が勝てばいいんでしょ?」
「……!」
「心配しないでよお燐!私が強いのは知ってるでしょ?」
「……」
空が燐に笑顔でそう言った。
「…うん!」
燐が空から離れていく。
「何だ?何が始まる?」
「さあね……」
その時
「きゃあああああああああああああああ!!!!」
「「「「!!?」」」」
叫び声が聞こえる。
「今の…妖夢か!?何があった!?」
「わからない……とにかく早く決着をつけましょう」
「ああ……!」
「……何やら仲間が大変なことになってるみたいだね」
「ああ……悪いけどもうお前を早く倒すしかなさそうだ」
「……私はお前には負けないぞ。魔理沙」
「へぇ、よく言うよ」
「今から見せる力は、二人組の神様が私にくれた神様の真の力だ……紫様が、解放してくれたんだ」
「へえ、それで?」
「……この力を使うと、一時的に私は仮死状態になる。しばらくすれば生き返るけどね」
「……へえ」
「……私は、お前を倒す。魔理沙」
「……」すっ
空が手を胸の前に翳す。
「……ッい…」ガシュッ
「!?」
自身の胸に埋め込まれた目を潰す空。
「飛び立て!『八咫烏』!!」
「!!」
空が腕を引き抜くと同時に、潰した胸の目から膨大な魔力が溢れ出てくる。
「な、何だ……こりゃあ……!!」
「ふー……」
空の背中の羽が巨大化し、六つになっていた。
右腕は第三の足がなくなり、代わりに手首辺りに囲うように黒い太陽が三つ並んでいる。
胸に埋め込まれた目は、どす黒い血が滲んでいるようになっていた。
「……お前……一体……!」
「私がこの姿になって戦うのはお前が初めてだよ、魔理沙」
「……それがお前の真の力…か……?」
「もうお前に勝ち目はない……」
そう言い右手を魔理沙に向けて翳す。
「!!」
−何か仕掛けてくるのか!?
「点火」
「!!」
空がそう言った次の瞬間ーー
ドドドンッ
「……?」
−何が起きた?
魔理沙は、全身の感覚が消えるのを感じた。
脱力とも違う、何か別の感覚。
「……」
−あれ?おかしいな……頭がぼーっとしてきた……何だこれ?
何も聞こえないし……頭も回らないし……体の感覚もない……。
アリス?何で泣いてんだ?私が何かしたか?
泣くなよアリス……見てるこっちまで……
悲しくなるじゃないか……
「魔理沙ァアァァア!!!」
魔理沙の心臓部と頭、そして八卦炉を空の右手首に浮かんでいた黒い太陽によって射抜かれていた。
「さよなら、魔理沙……」
ドサッ
地面に倒れる魔理沙。
「魔理沙!!」
アリスが魔理沙に駆け寄った。
駆け寄ったアリスは、魔理沙の顔を見て驚いた。
「魔理…沙……」
全く生気がなかった。
そして、体も徐々に冷たくなっていく。
「嘘よ……魔理沙……!!死なないで魔理沙!!」
「終わりだよ……アリス。お前もね」
「……!!」
ドドドンッ
「…か……ッ」
ドサッ
「……」
アリスも、魔理沙同様に射抜かれてしまう。
「…はっ…!!はぁっ……!!」
空が荒い息を整えながら、燐の方へ向かっていく。
「お空!よかった……勝てたね!」
「う、うん……この状態のまま、あいつらのところに行く……!私が全員倒してやる!」
「その意気だ!行こう!」
その時だった。
ドンッ
「…か…?」
「…え?」
ドサッ
「…お空?」
空の胸部に穴が開き、そして次の瞬間血が噴水のように吹き出す。
「ああ……ぁあぁ……!!」
「ご苦労様、お燐、お空」
何処からか声が聞こえる。
「え……紫様……?」
「紫?違うわよ」
「だ、誰でもいい!お空を……お空を助けて!!何か……誰かから胸を……!!」
そこでお燐は気付いた。撃ってきたのは今話しているこいつだ、と。
「お前か!!何処にいーー」
ドンッ
「…る……?」
燐の胸部に、穴が開いていた。
「……ゔっ」
ドサッ
ザッ ザッ ザッ ザッ
何者かが、空と燐の亡骸に近付いていく。
「ゆっくり休むといいわ……」
そこには、天子が立っていた。
「さて、こっちは終わった……後厄介なのは……”あいつら”か」
「向こうは上手く行ってるのかしらねぇ……」
上位十位
生存者 9名
死者 4名
今回は天子の強さを表現したかったけど、不意打ちで倒したみたいになってしまった笑




