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激闘!六桜花 第四花弁 八雲 藍

「行くぞ、妖夢……!相手は藍だ、はじめっから全力でやるぞ!」


「はい!」


妹紅は、自身の力量では勝てないかもしれない、と考えていた。

妖夢も、私の力で、この人を倒せるのか?、と不安を抱いていた。


「……そうビクビクするな……私とてそんなに強いわけではないんだ。お前達なら、私なんて余裕だろう?」


「……よく言うよ……!」


藍が余裕の表情で口ずさんだのを見て、妹紅は若干苛立ちを覚えていた。


−挑発してるのか……?それとも私が単に短気なだけか……


「妹紅!挑発に乗っては駄目です!」


「……ああ、分かってる。それと、敬語は使わなくていいよ……普通に接してくれ」


「……わかった」


「……さて、と……お喋りはこの辺にしておこうか……お前達も、急いでるだろう?」


藍が座っていた椅子から立ち上がる。

その際に、辺りが地震のように揺れ動いた。


「……!!」


−なんて魔力だ…


「どうした?早く向かって来い。力の差を教えてやる」


「ああ……行くぞ!」


妹紅が走って藍へ向かっていく。

その後ろから妖夢が付いてきている。


−二人がかりでやれば、私を倒せると?甘いな……


妹紅が急停止する。


「!?」


「今だ、行けぇ!」


妹紅が飛び上がる。


「行きます!」


「!」


そして妖夢が藍へ突撃していく。


「せい!」ブンッ


妖夢が刀を振るう。

しかし、藍はその刀を右腕で掴む。


「な、何!?」


「甘い……」コオオオ…


手に魔力を溜める。


「あっ…!」


その時、藍の頭上に火の玉が飛んでくる。


「!」


ドオオオオオオオンッ!


藍がいた場所に、爆炎が上がる。


「ちっ、避けられたか」


「……二対一だったな、そういえば」


「卑怯だ、と言いたいのか?」


「いや……そうでもしないと楽しめないからな」


「……そうかい……!」


妹紅が左手の指で銃のような形を作る。


「くらえ!」バンッ!


妹紅が先ほどの火の玉を指先から放つ。


「同じ手が私に通じると思うか?」


バシィッ


藍が右腕だけでそれを弾く。


「どうかな?」


「!」


弾いた火の玉が、 爆散して小さな火の玉となり藍へ向かっていく。


「ほう……面白い」


藍が火の玉の方向に右手を翳す。


「破壊『王虚の虚閃』」


「!!」(やばい!!)


ドオオオオオオオンッ!


藍がスペルを唱えた瞬間、藍の手から巨大な青い光線が放たれた。


妹紅と妖夢はそれを飛び上がって躱す。


「な、何あれ!」


「私が知るか!今まで見たことのないスペルだ……でも威力は一目瞭然。絶対当たるなよ!」


「う、うん!」


「”当たるなよ”……か。即ちそれは警戒するってことだな?」


「!……それがどうした」


「別に……いい作戦を思い付いただけだ」


そう言うと、妹紅達の方に手を翳す。


「!!」


「王虚の虚閃」コオオオ…


「逃げろ!」


ダンッ


妹紅達が飛び上がる。


「ふっ、そう易々と飛び上がるものじゃないぞ」


藍が後ろに回っている。


「何!?」


「くらえ」コオオオ…


「!!」(避けられ…)


ドオオオオオオオンッ!


王虚の虚閃は、妹紅に直撃した。


「妹紅!!」


「次はお前だ、魂魄妖夢」


藍が妖夢を睨む。


「……!」ビクッ


その時だった。


ボボボォ……


「「!!」」


火柱が立ち上り、その火柱が不死鳥フェニックスの形を成す。


「これは……」


「どうして私が不死身と言われているか知ってるか?」


火柱の中から、妹紅の声が聞こえる。


「……そのままだろう?不死鳥」


「その通り!」ボォ


妹紅が炎の中から出てきて、素早く藍へ向かっていく。


−復活するか……少し厄介だな。

ならば魔封じの札がある。それで動きを止め、意識を失わせるか


「ふん!」


「シッ」


ガキィンッ


炎の剣と、札を魔力で固めて作った刀がぶつかる。

しかし……


ボボボォ……


「!」(札が……燃えている?)


「相性が悪いようだね、あんたの剣!」


「……刀に拘らずとも、色々な戦い方がある」


ヒュッ


藍が消える。


「……」


「こっちだ」


妹紅の右側に藍が現れる。


「読み通り」ボォ…


妹紅が、左手の人差し指を右に向けている。


「!!」


「もらった!」バンッ




「……?」


しかし、放った火の玉が藍にぶつかることはなかった。


「どこを見てる?」


「なっ!?」


「お前が見たのは、私のスペルによって生み出された鏡の虚像だ」


藍が妹紅の左側にいた。


−やばい!!


その時、妖夢が藍と妹紅の間に一瞬で移動する。


「!!」


「せぃ!」ブンッ


「ちっ……!」ズバッ


妖夢の剣が、藍の右腕の肘あたりを掠める。


「助かったよ……妖夢」


「ええ……無事でよかった」


「……ちょこまかと……面倒な奴らだ」


藍が、少し不機嫌そうな顔で二人を睨む。


「どうしたよ……さっきまでの冷静さがなくなってきてるんじゃないか?」


「私達の力を見くびってもらっては困ります」


「……そうだな。どうやら、私はお前達の事を見くびっていたらしい」


「へっ、今更だな」


「ここからは、全力で叩き潰す。お前達には随分と楽しませてもらった礼だ……手加減無しで行こう」


「……最初から手加減無しで行けよなぁ……せっかく勝てると思ったのに手加減されてたとなるとちょっと悲しい」


「……」


藍が帽子を掴む。


「私の力の全てを解放しよう」バサッ


帽子を取ると同時に、藍から霊力の爆発が起こる。


「!?」


ドオオオオオオオ


「光栄に思え……私をこの姿にさせたのは……


お前達が二人目と三人目だ』


ドドドドドドドドドドドドドドド


「な、何……!?」








『さあ、行くぞ。構えろ、妹紅に妖夢』


「……!!」


「お、大……きい……」


藍が、全長三百メートル程ある、巨大な九尾の妖狐のような姿になっている。


「……こ、こんなの見かけ倒しよ!何とか……!」


『そう見えるか?』


藍が腕を払うと……


「!!妖夢!!危なっ…」


ドドドドドドドドドドドドドォォ!!


「……妹紅……!」


「いっつつ……大丈夫か?」


「あ、う、うん……でも、妹紅……腕が……!」


妹紅の左腕が無くなっていた。


「ははっ、いいんだ。どうせ再生出来る。……そんな事より……!やばいぞ、彼奴……!腕の一振りで……あの部屋崩壊しやがった……」


『おかげで私は動きやすくなったというものだがな』


藍が妹紅達を見つけながら言った。


「外に逃げよう。これじゃあまともに戦えない!」


「う、うん!」


『逃がさん!』


ブンッ


ドドドドドドドドドドドドドドドォォ


「くっそ……!」


外に行こうとすると、藍が腕を振るって壁を壊し、その瓦礫で道を塞ぐ。


「妹紅……どうする?」


妹紅が少し考える素振りを見せ、藍を一瞥して言った。


「やるしかない。私達であの化け物を倒すぞ!」


「……うん!」


『ふん、何をしようと無駄なことだ。お前達如きの力では私は倒せない』


ズシィィンッ


藍が歩く度に地震のように地面が揺れる。


『何故この部屋がここまで広く作られているか、その理由が分かったろう。この姿の為だ……お前達なら分かるだろう……この姿は見掛け倒しじゃない』


「それがどうした……私達には関係ない!」


『分からないのか?どう足掻こうがお前達では私には勝てないと言っているんだ』


「そんなこと、やってみなきゃ分からないだろう!」


妹紅の両手が炎に包まれ、鳥の羽のような形を成す。


『左腕からは腕の付け根から炎が沸いてきているな……つまり、腕の付け根の部分に炎の発生源があるということか』


「さあ、どうだろうな?」


妹紅が藍に向けて、火の玉を放った。


『何度も言わせるな……!同じ手は通じん!まずこの姿でそんな攻撃が効くと!?』


藍が右腕で搔き消した。


「どうかなぁ?意外と効くかもよ……!」


『……そうか……お前は冷静なタイプだと思っていたが……まだ力の差が分からんらしい』


藍が右腕を振りあげる。


『潰れろ!!』ブンッ!


「らぁ!!」ドドドドド!


妹紅は、腕から出していた炎の全てを火の玉に変え、それを藍に全て飛ばした。


ドオオオオオンッ


『ぐっ…!?』


ズシィィンッ


火の玉の爆発で藍が体勢を崩した。


『くっ……!』ズシィィンッ


「妖夢!」


「うん!」ダンッ


妖夢が飛び上がる。


『!!そこか!!』ブンッ


藍が妖夢に向けて、右腕を振るう。


「……」すっ…


妖夢が、楼観剣に手を伸ばす。


ズババババッ


『何!?』


妖夢が一瞬で藍の右腕を五回斬りつける。

そして、藍の右肩の上に立っていた。


『!?』(は、速……)


「でぃっ!!」ダンッ!


ブシャアッ!!


『ぎっ!?』


妖夢が、藍の右目に楼観剣を突き刺していた。

そしてそのまま左側に思い切り切り裂いた。


『ぎゃあぁあ!!』


「あの動き……」


−そういえば、妖夢と魔理沙が……幽々子戦と同じ力をいつでも出せるように修行していたな!


「魔理沙……ありがとう」


『おのれ……!』


藍が起き上がろうとした瞬間ーー


ズババババッ


一瞬で妖夢が藍の全身を切り刻む。


『ぐぉおおぉおお!!』


藍が体勢を崩して、地面に倒れこむ。


「よし、このまま突っ切って……!」


妖夢がさらに追撃をしようと顔めがけて高速移動すると……


『調子に……乗るなぁ!!』


藍が大きく口を開け、丸飲みしようとする。


「ぎっ!?」


急ストップを掛けようとするも既に遅く、藍が口を閉じようとする。


「ひっ……!」


『ははははは!!』グオオッ……


その時


ボボボォ…


「え?」






妖夢が口の外に投げ出されていた。


「……死ぬなよ。妖夢」


「……妹…紅?」


ガチィンッ


ブシャアッ!!


藍が口を閉じた。それと同時に、口から血が飛び散る。


「……も……!!」


「妹紅ーーー!!」


−嘘だ…!!何で!?何で私を庇って……!!


『命を救われたな……妖夢』


「妹紅…どうして私を……どうして……」


妖夢が、地面に力なく崩れ落ちる。


『戦意喪失……お前も終わりか。残念だ』


「……」すっ


妖夢が刀に手を伸ばす。


「……妹紅の……仇だ!」


妖夢が立ち上がった。


『傷心状態のお前一人で何が出来る?』


事実、妖夢の精神状態は最悪だった。

妹紅が食べられてしまった事で、死への恐怖、仲間を失った悲しみ、仲間を守らなかった事からの自己嫌悪が同時に襲ってきたのだ。


「……」ガクガク……


妖夢の全身が震えていた。


『そんな状態で何が出来ると聞いたんだ』


「……くぅ……!」


『……終わりだ……お前には随分と痛めつけられたが、それもここまで……私の勝ちでこの戦いは終わりだ』


藍が右腕を上げる。


『せめて痛みの無いよう、一瞬で叩き潰してやろう!!』


「……!!」


−逃げなきゃ……逃げなきゃ……!!何で!?体が動かない


『震え上がって動く事すらままならんとはな……お前はもう少し強い精神力を持っていると思っていたが……残念だ』


ブオンッ


『ぐっ!?』ズキンッ


「……?」


藍の動きが止まった。


『な、何だ……み、右腕が……動かないだと……!?』


「……!」


−そうか!奴は今までの攻撃の殆どを右腕で防いでいた!それが蓄積していたんだ!


「……今がチャンスだ……!」


『おのれぇ…!逆上せあがるなよ!!たかが半人半霊如きが!!』


藍が怒りで我を忘れているようだった。


「くらえ!」


妖夢が飛び上がって、藍の顔の前まで行く。


『叩き落としてや…「待宵反射衛星斬!!」

る……!?』


ズババババ


『ぎゃあぁあぁぁあ!!』


ズシィィンッ


藍が地面に倒れた。


「はあっ……!はあっ……!」


−全力で撃った……これで倒せなければ、もう私に手立てはない……!


だが……


『くっ……!この程度で倒せる私ではない……!』


藍が起き上がってくる。


「そ、そん……な……!」


『残念だったな……お前の負けだ!!』


藍が左腕を振りおろす。

妖夢も、死を覚悟していた。




「……え?」


しかし、いつになっても腕が妖夢に振り下ろされることはなかった。


『かっ……かがが……!!』


藍が腹部を抑え、苦しんでいる。


『がぁああぁあぁぁあ!!!』


ボオオッ!!


腹部から、不死鳥フェニックスの形を成した火柱が上がった。


「……ああ……!妹紅!」


「よく生き延びた妖夢!死ぬなよってのはこういう意味だったんだ」


妹紅が火柱から出てきて、妖夢の下へと降りる。


藍は、変身が解けて元の姿に戻っていた。

腹部には、焼け焦げたような穴が空いていた。


「……あ……ああ……」


変身により、膨大な魔力を使った為再生する事が出来ず、息は絶え絶えになり、今にも死んでしまいそうな様子だった。


「……悪いな、藍。私達の、勝ちだ」


「……この……私が……負けるとは……な……」


「……二対一だったんだ……仕方ないさ」


「……は、はははっ……!敵から同情されるのは……はじめてだ……」


妹紅が、思い出したかのように聞いた。


「……なあ、聞かせてくれ……どうして紫はこんな事をしたんだ?」


「……分からない……急にだった……本当に……急だったんだ……紫様が……博麗神社に行って……人気投票を見て……帰ってきた時……急に……」


「…博麗神社に?」


「……私だって……好きでこんな……こと……してなんか……いなかった……」


「……」


「私は……ただ……皆が……平和……に……」








「……行こう、妖夢」


「……うん」


−藍……私はお前に敬意を表する。お前の主人に対する忠誠は本物だし、平和を望む心も本物だった。

お前は……本当に凄い奴だったよ。

任せろ、藍。お前が望んだ平和なら、私達が取り返してやる。

だから……お前はもう休んでていいよ。

もう大丈夫だ……お前が心配するほど柔じゃないのは分かっただろ?

後は任せて……安らかに、眠ってくれ。




藍は、微笑んでいた


微笑みながら、息を引き取っていた


そう、まるで……安心したかのようにーーー









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「急いで戻ろう!みんなもう来ているかも……」


「うん!」


先に進むと、行き止まりだった為先ほどの分かれ道へと戻っていた妹紅と妖夢。


「あれみろ!私達が来た道の入り口だ!」


「うん!思いの外早く着いてよかった……誰かいるのかな?」





「誰もいない……かな?霊夢は……」


「誰か居ませんかー?」


「おいおい!敵を自分からおびき寄せてどうする……!もし見つかった……ら……」


「?妹紅?どうかしたの?」


「……嘘だろ……!?……おい……」


「妹紅!?」


「……」すっ


「何!?何が見える……の……」


妹紅が指差す方向を見ると……





指差す先には、霊夢がいた。

が……


腹に刀が突き刺さり、壁に貼り付け状態となっている


「……霊夢……さん……?」


「……」


「きゃあああああああああああああああ!!!!」


やっと状況が理解出来たのか、絶叫した。


「……!!」


「……嘘でしょ……霊夢さん……?」


声を震わせながら、妖夢が言った。


「……早く彼処から霊夢を降ろすんだ!!まだ死んだと決まったわけじゃない!」


「う、うん!」










上位十位


生存者 12名

死者 1名





今回はちょっと戦闘描写ということでかなり分かりづらくなってたかな……笑

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