決戦の時
「……」
「……いよいよ後一週間ですよ……紫様」
「ええ、わかってるわ。奴等も準備している頃でしょうね」
「……どんな作戦かは、大体予想がつきますね。わざとはたてに垂れ流させた永遠亭へのルート……そこから攻めてくると見て間違いないでしょう」
「私達もそろそろ準備しておきましょうかねぇ……
”万が一”敵が来たら……困るものねぇ……ふふ」
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紅魔館は、物静かな雰囲気が漂っていた。決戦の時を迎える。
空に立ち登っていた日が沈み出したその頃……
「さあ、いよいよ決戦の時よ!今日で奴等とは決着を付けようじゃないの!!」
『おお!!』
「作戦は前決めた通り……二手に分かれて攻めるよ」
「チームはご覧の通りです」
A.こいし、さとり、妹紅、妖夢、文、大天狗、椛
B.フラン、レミリア、咲夜、魔理沙、霊夢、アリス
「それじゃあ……妖怪の山に行きますか」
「はい!」
「さて、役者は揃ったわね……さあ、行きましょうか」
「ルートはちゃんと覚えてるね?気をつけなよこいし」
「もちろん!フランも気をつけてね」
「ええ」(……)
「?フラン?どうかしたの?表情暗いけど」
「いや、何も……少し不安なだけさ」
「きっと、大丈夫だよ。修行して私達も大分強くなったし!」
「そうだね……それじゃあ頑張って行こう!」
「うん!」
迷いの竹林、入り口
「それじゃあ、健闘を祈るわ!」
「ああ、任せておけ!迷いの竹林なら私に部が有る!」
「……」
−いよいよだ……勝ってフランと遊ぶんだ!
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Aチームside
「よーし、やっぱり奴等は奇襲攻撃に気付いてないみたいだな」
「この感じなら行けそうですね!」
「油断は禁物だぞ、文」
「ええ、分かっています」
「でも、ここまで上手く行くかな……何か違和感を感じる……」
「……油断は、禁物って今言われたろ……つまりそういう事だ」
「……いつ敵が来てもおかしくない……そういうことでいいんだね」
「ああ」
「こいし、私と貴女は後ろの敵の注意よ」
「了解、お姉ちゃん」
−いくら上手くいっていても、注意しなきゃな……
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Bチームside
「こいし達はまだ敵と戦っていないようね。やはり奇襲作戦は成功と見ていいかも」
「よっしゃ!なら一気に畳み掛けようぜ!」
「……」
「フラン、何か探してない?」
「いや、周りを警戒してるだけ」
「そう。ならそれは私に任せなさい」
「……分かった。お願いね、お姉様」
「ええ」
「……」
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「さて、そろそろね?」
「ええ、敵は完全に分散されたわ」
「しかしあまり気分が乗らんの。こういうのは」
「気持ちは分かりますが、勝つ為です。致し方ありません」
「さあ、こいし達の方のチームに後ろから奇襲を掛けて一気に攻めるわよ」
こいし達が分かれた場所に、白蓮、永琳、輝夜、ぬえ、そして衣玖とマミゾウが居た。
「一網打尽、だね」
「……」
「?どうしたぬえ?浮かない顔して」
「う、ううん……何でも」
「?そう?」
「……」(こいしを……殺すのか……嫌だなぁ)
「何やら面白そうな話してるねぇ……私も混ぜてよ」
『!?』
少し短い竹の節に立ち、フランが永琳達を見下ろしていた。
「ば、馬鹿な……確かにフランドールは竹林の中に……!」
「私のスペル、知ってる?」
「……フォーオブアカインド……」
「ご名答、ぬえ」
「ならば所詮分身だ……一人で私達を倒せるかな?」
「……残念ながら私が本体……時間稼ぎくらいにはなるんじゃない?」
「……賢明ね……”全員”でやろうが……私達月人は愚か聖にも勝てるかは分からないものね」
「……」
「……何がおかしいのよ」
−薄ら笑いばかり浮かべて……何を考えている?
「何も……ただ私の予想が当たってよかったと安心していただけ」
「何?」
「もし私の予想が外れてたら……みんなはどうなってたんだろうな、と思ってね」
「……ふふ、仲間思いなのね」
「まあね」
「……で?貴女はどう行動するつもりなの?」
「……貴女達を止める」
「一人で?」
「ええ」
「……いい心がけね……貴女のような仲間が欲しかったわ」
「どうも」
「ちょっと永琳。それどういう事よ」
「ああ、姫様は仲間ではなく姫様なので」
「……何か遠回しに馬鹿にされてる気が……」
「さあ、どうでしょう?」ニヤァッ
「あ、馬鹿にしてるわねこれは」
「……フラン……!」
「ぬえ……久しぶり」
「……」(喜んで……いいのかな……でも、この状況じゃフランは間違いなく……)
「どうして……そんな余裕でいられるの!?早く……!」「こらこら、敵に向かって言っていい事じゃないよそれは……」
「…あっ……」(そうだ……『逃げろ』なんて言ったら……紫に……)
「……まあ、仕方ないよ。覚悟を決めるしかないってことさ」
「……」
「ぬえ、下がっていなさい。貴女の気持ちは分かっています」
「聖……!でも……」
「無理に戦う必要はないのです。下がっていなさい」
「……うん……」
「フランドールさん……貴女の覚悟は尊敬に値するものです。ですが私達は負けるわけにはいかない」
「……人質、無事だと良いね……白蓮さん」
「……そこまで分かっているのなら……もう言葉はいらないはずです」
「それもそうだね。それじゃあ……やろうか」
「お主も……中々の器よのぉ……」
「どうも……マミゾウさん」
「儂もこういうのは好きじゃない……加減はしてやろう」
「へえ、気前がいいんだね。それじゃあ手加減してよ?言ったことは絶対曲げないのが女でしょ?」
「はははっ、冗談が通じるの!男の教訓のようなものを言ってくるとは面白い奴だ!」
「ふふ、貴女こそそんなこと言っておいて最初から手加減する気なんてないでしょうに」
「ふん、まあそうじゃな……じゃ、行くぞ!」
「かかってこい……!」
−さあて、カッコつけて一人で残っちゃったけど……これ、死んだかもなぁ……私
まあ、いいや。そんなこと
こいし達が生き延びれば……それでいい
時間、稼がないとね
「さあ、私を楽しませてよ?」
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「……!」ゾクッ
「?どうかしたの?こいし」
「……いや、何も」
「そう?」
「……」
−……フラン……無事だよね……?
上位十位
生存者 13人
死者 0人
厨二病爆発……笑




