天狗達との対面
勉強忙しくなってきた……
「昨日はその……本当にごめんね……?フラン、レミリア……」
「いいのよもう……ていうかあんな事であそこまで怒った私の方が悪いわ……」
「うんうん、平和が一番だ!」
「さてと……フランさん」
「わかってる。……それじゃあ、急で悪いんだけど……みんな、今から妖怪の山の方へ来てもらってもいいかな?」
「え?何で?」
「ちょっと会わせたい人が居てね…」
−フランは確か……第三勢力の天狗達のもとで修行をしていたんだっけ?
フランをここまで強くした人達……か
「みんな出発の準備が整ったら、私に言って。文お姉ちゃんと待ってるから」
「わかったわ。それじゃあみんな!急いで準備するわよ!」
「イエッサー!」
「どこの軍隊よ……」
−あ、因みにアリスはあの時の記憶がないみたい。あのことはフランと私以外誰も知らないから秘密にしたんだ!
アリスが私の部屋の前で倒れてたって言って咲夜さんに介抱してもらったけど、バレずに済んだかな?
「みんな準備はいいかな?それじゃあ、行こうか」
「あっ……フラン!!」
−傘も無しに外なんか出たら……!
「心配ないよ」すっ
フランがフードを被る。
「実はこれ、日光を遮断出来るのよ。装束から身を出しても、その肌に触れた部分しか日光は当たらないから……私の体質なら何の影響はないってわけ」
「へぇー……」
「……フラン、ちょっといいかしら?」
「ん?どうかしたの?お姉様」
「……あのね……私、フランが死んだと思ってたから……その…お墓を建てちゃったの……」
「……見たよ……あんなに盛大に作ってくれたのに、生きててごめんね」ニヤニヤ
「ちょっと!そんなこと言ってるんじゃないわよ!」
「ははは!わかってるよ。……それで?」
「……貴女に、渡したい物があるの」
「……なあに?」
「……これ」
レミリアが差し出したのはーー
「……!」
フランの帽子だった。
「……お母様の、形見でしょ?だから……大切にしてくれてたよね?」
「……あの時……私が来た時にはまだ帽子があったから……安心してたんだ。……次ここに来た時……帽子が無くなってたから……風に飛ばされたのかなって……もう、被れないのかなって思ってた」
「……」
「……よかった……ありがとうお姉様……この帽子……私の宝物なんだよ……」
「……ええ、よく知ってるわ……いつも大事に被っていたもの……」
「……さあ、行こう」
フランがフードを取り帽子を被る。
「あちゃちゃちゃ!?」ジュウゥゥ…
「フランさん!早くフードフード!」
「ふう!あぶな……!」
「……くく……あははは!」
「あははは!」
−何か、前に戻ったみたいで嬉しいな!
「……何だか……懐かしい気分になるな」
「……ええ……」
「みんなも?ふふ、実は私もここで修行してた時にそんな感情が出てきたかな」
「……ここから、全てが始まったんだね」
−妖怪の山の、麓……
「……たった一ヶ月くらい前なのに……もう何年も前のような気がします」
「……ああ、わかるよ」
「……あと一週間後くらいには決着を付けるんだから……気合い入れなさいよ?」
「ええ、わかってるわ」
「さあ、行こうか。みんな妖怪の山にいるの」
「あっ!フランさーん!おはようございます!」
「ん!おはよう!今日も見回り頑張ってね!」
「はい!」
「椛ももうすっかりフランさんに懐いてますねぇ」
「まあ、三週間近くお世話になってたしね」
「フランさんが大怪我した時なんて見回りすっぽかして駆けつけましたからねー」
「ふふ、あの時は嬉しかったよ」
「あの椛が懐くとはね……」
「普段警戒心の塊なのにな」
「そんなこと言ってあげないでよ。椛も仕事でやってるんだからさ」
「フランは優しいよなー……多分その優しさが椛の心に来たんだろうな」
「そうかな?ありがとう」
−フラン、みんなに好かれてるなー……
「あ、フランさーん!今日は新鮮なトマトジュースありますよー!」
「お、後で貰いに行くよ!それまでちゃんと残しておいてよね?」
「もちろんです!」
「フランさーん!依頼してた刀出来上がったんで後ででもいいので一度見ていってください!」
「了解!出来、楽しみにしてるよ!」
「期待にお応えできると思います!」
「す、凄いな……フランって天狗達にどんだけ好かれてんの?」
「一度ここが襲撃されたことがあったんです。私とて反乱分子。紫は始末しようとします」
「その時、怪我が完治しているわけではないのに一人立ち向かって行ったのです。顔を隠すために装束を身に付けてね……」
「そして、死闘の末、見事撃退して見せたのです。自身はボロボロで、今にも倒れそうな程にやられていたのに我々の心配をなさってくださいました。それに心を打たれた我々は全力でサポートすることに決めました」
「それが、今の現状です」
「へぇ……」
フランが大勢の白狼天狗達に囲まれている。
フラン達は、とても楽しそうに会話をしていた。
「……ふふ」
−フランが幸せであったのなら……よかった
「只今戻りました、大天狗様」
「……おかえり、文。今回はどうだった?」
「新たな仲間を見つけました」
「……ほう?それは誰だ?」
「私の親友や家族、知り合い達さ。警戒しなくてもいいよ大天狗様」
「ほお……フランの知り合いか。なら信用出来よう」
「え!?大天狗って女だったのか!?」
「こらこら魔理沙……大天狗様だよ」
「えっ、フランも大天狗様って呼んでるのか?なら私も……」
「はははっ!私は別にどちらでもいいんだがな!」
「実は私も”大天狗の姉さん”って呼んでたら文お姉ちゃんに怒られてね」
「大天狗様は偉大な方なのですよ?」
「わかってるって」
その後、フランの離脱後に今まで私達の身に何があったのかを話した。
「そんなことまで……だから幽々子は……」
「……?なんで幽々子様が成仏されたことを知って……」
「白玉楼で貴女達と幽々子の霊力は感じていた……だから心配になってね。あの後様子を見に行ったんだ」
「な、なるほど……でも、どうやって知ったのですか?」
「幽々子の魂は完全には成仏していなかった。だから幽々子の魂を見つけて、再生させようと思ってね……その日は見つけられなかったけど、ほんの数日前見つけてね……早速再生させたよ」
「ほ、本当ですか!?なら、幽々子様は……!」
「生きてるよ。……生きてるってのも少しおかしいけど」
「よかったぁ……!」
「よく再生出来たわね……」
「霊魔術って知ってる?それを使ったんだ」
「霊魔術と言えば、パチェも色々実験してたわね」
「そう、その霊魔術だよ。私はパチェの実験の手伝いをしてたからやり方も効果も解析しておいたんだ」
「へぇ……」
「私達の方でも色々あってね……敵が攻めてきたり、はたてがスパイになるって言って相手に寝返ったふりをしたり……」
「現に今はたては向こう側にいます。スパイとしてね」
「ほうほう」
「はたてのおかげで敵の本拠地の場所が掴めたんだ」
「本当!?」ガタッ
霊夢が立ち上がる。
「うん。場所は永遠亭。永遠亭の場所をスキマで移して、敵以外誰も辿り着けないようにしてあるんだ」
「そうなのか……」
「因みにルートは……」
「…と、二通りあるの」
「なるほど……その二通り以外を通ろうとすると迷うってわけでもなさそうだけど、敵も馬鹿じゃないな……敢えて西側と東側のルートを使ってやがる」
「場所の特定をさせない為かな……」
「そんなの関係ないよ……」
『!』
「敵に本拠地の場所を明かしてしまった……それだけで充分に敵にとってはピンチのはずだ」
「だから……後一週間後……一ヶ月待たずに、一ヶ月経つ一週間前に攻めよう」
「奇襲作戦ってわけだな……よし、乗った!」
「それならこちらが有利になるわね……」
「決戦の時が近付いたわけだな」
「……さて、早速作戦会議と行こうか。二手に分かれて攻める方がいいだろうから……上手い具合に戦力を分散するよ。こっちの戦力は……大天狗様も戦ってくれる?」
「ああ、出来る限り最善を尽くそう」
「ありがとう。なら……」
こいし、霊夢、魔理沙、咲夜、フラン、妖夢、レミリア、さとり、妹紅、アリス、文、椛、大天狗
「……と、椛率いる白狼天狗のみんなかな」
「強大戦力が十三人なら、片方一人少なくしてフランを入れましょう。そうすれば実力差はなくなるはずよ」
「そうですね……それなら」
A.こいし、さとり、妹紅、妖夢、文、大天狗、椛
B.フラン、レミリア、咲夜、魔理沙、霊夢、アリス
「……こんな感じですかね」
「それで行こう!」
「希望を見えてきたわね……!さあ、張り切って後一週間、頑張るわよー!」
『おー!』
「……」
フランは、何か嫌な予感を感じていた。
−そう都合よく行くだろうか……私ははたてがスパイだと気付かれている気がする……まるで、敵が私たちを誘っているかのような……
……はたて……貴女は無事なの?
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「……」
「紫様、偵察に行って参りました。紅魔館には何故か誰もいなかったです」
「そう……ご苦労様、はたて。ところで貴女は最近よく偵察に行ってくれるけど……どうして?」
「敵の動きは、常に把握しておくべきだと思いまして」
「そう……ありがとう。貴女は優秀な子ね」
「お褒めにあずかります……では」
「ええ、ゆっくり休みなさい」
ガチャ バタンッ
はたてが部屋から出て行く。
「……あの世で…ね」ニヤッ
すっ
スキマが現れ幽香と勇儀が入っていく。
「奴を……始末しろ」
『はっ』
ブゥン…
決戦まで、後【四日】
この作品、死亡フラグを立てるだけ立てて殺さないパターンが多いよね……逆に死亡フラグなかったのに急に死ぬことが多い…笑




