姉の怒り こいしVSレミリア
「レミリア…！」
「……行くぞ……！」
「……！」
−今のレミリアは完全に怒りで我を忘れてる……！私を殺す気だ……！
「やるしかないんだね……レミリア！」
「ウオオアアアア！！」
レミリアが魔力を高める。
「……」
−私の経験上、レミリアは本気で戦えばそれなりに強かったはず……
今は特に強いだろう。何せ殺す気で攻撃してくるはずだから。
「……最初からあのモードでは行かない……あのモードで行けばおそらく体力戦になれば負けてしまう……」
『珍しく冷静だな……仲間と戦う時はいつもどうやって落ち着かせるかで頭がいっぱいなのにね』
「……貴女からもいい案はないの？」
『ああなっちゃ倒すしかないよ……ま、危なくなったら助ける……安心して行きな』
「……ありがとう」
「くらえ！」ドンッ！
レミリアが妖怪弾を飛ばす。
「……！」ダンッ
飛び上がって躱すこいし。
−レミリアは今は冷静さを失っているはず……なら裏の描くのは簡単のはずだ……だったら能力をつかっ…
「逃がさん！！」ヒュッ
「！？」
−速……
考え終える前にこいしの目の前には既にレミリアが居た。
「くらえっ！」ブンッ！
レミリアは、手に持ったグングニルをこいしに向けて振るった。
「くっ！」ガキィンッ
瞬時に魔力刀を作り、攻撃を防ぐ。
「ちぃ……！」ザザザァ……
「……」ザザザァ……
−……今だ
スゥー……
「！！」
こいしが消える。
−無意識能力の最大の活用法は……遠距離攻撃で攻撃すること。私が放った攻撃全てが見えないのだから……
飛び道具も見えない。
ドドドドドドドドドドドド！！
レミリアの立っている場所に突然爆煙が上がる。
「私が飛ばした弾幕が、レミリアに当たったと見ていいかな……」
「だから何だ？」
「……何……！？」
ドンッ！！
「ぎっ！？」ガキィンッ！
「私をその程度の攻撃で倒せると思ったか…！？」
「……！！」
−全く効いてない……のか！？いや、まさかそんなわけが……！
「……！」
−そうか……今のは当たったからじゃない……！
「気付いたか！？だがもう遅い！！」
ヒュンッ
レミリアがこいしから離れる。
−レミリアは……自身の周りに魔力で壁を作ってる……！今それを縮めて、レミリアは私を潰すつもりか……
「貴女らしくないね……こんな殺し方」
「何を言う……そんなもの簡単に脱出出来るだろ？」
「その通り」すっ
こいしが帽子を深く被る。
「簡単さ」ドオオッ
パリーーンッ！
「！？」（溢れ出る魔力で破壊した！？）
「何驚いてるの？破壊の仕方がそんなに意外だったかな？」
「……ああ……意外だったさ……だから驚いてる」
「……ここからは、ただ実力勝負だ……行くよ」
「来い……！じわじわと嬲り殺しにしてやる！！」
「……威勢がいいことだね……」
「……え……？」
こいしがレミリアの後ろに立っていた。
「！？」（速…）
ズバァンッ！
「ぐぁあっ！！」
「……」
魔力刀でレミリアの背中を斬る。
「くっそぉ……！！」ビュンッ
レミリアがこいしから距離を取ろうとする。
「鈍い……そんな程度のスピードで私から逃げられると？」
しかしこいしが一瞬でレミリアの目の前まで移動する。
「なっ……！」（嘘でしょ……！）
ズバァンッ！
「うわぁあっ！！」
こいしに腹から右肩にかけて斬られる。
「くっ……！」
「……」
「……ッ…〜！！舐めるなぁ！！」ドォンッ！！
レミリアがこいしに向けて巨大な妖怪弾を放つ。
「……弱いな」
ドオオオオオオオンッ！
「……なん……だと……！？」
こいしが片腕で掻き消した。
「あんたがそんなんだから……！フランがいつも苦労するんだ……！！そんな、自分の都合で勝手に動くから、フランがいつも苦労するんだ！！」
「……！！」
「あんたはフランの心配をしてるだけで！！その心配してるフランの為になる事なんて何一つしていないんだ！！」
「……！！」
−……私の所為で……フランが……？
「終わりにしようか……！！」ヒュッ
「！！」
−い、いや、今はそんなことより、こいつを……！
こいしの方を見るも、既にそこには居らず……
「ど、どこへ…！？」
こいしがレミリアの後ろに居た。
「なっ……！？」
ズバァンッ！
「ぐぁあっ！！」
−嘘よ……
ズバァンッ！
「ギャァア⁉︎」
−こんなに実力差があるわけがない……！
ズバァンッ！
「がぁああ！！」
−私だって……必死に修行したのに……！
ズバァンッ！
「あぁぐっ！！」
−何だ……この力の差は……！？
どさっ
「……」
−私はやっぱり……貴女には不相応な姉なのかもしれない……
こんな情けない姉で……ごめんね、フラン……
「……死ね」ガチャ
ガッ
「！！」
「……やめなよ、こいし」
「……フラン……」
「……」
−お姉様……泣いてる……
「……こいし…お姉様に、何か言った？」
「……！！」
−『あんたがそんなんだから……フランがいつも苦労するんだ！！』
「……」
「……正直に言ってよ。怒らないから」
「……『あんたがそんなんだから……フランがいつも苦労するんだ』……そう言ったの」
「……そっか……」
「……ごめん……」
「……いいよ……今回は許すさ。……私が原因でこんなことになってしまったんだから。……お姉様もお姉様で、頑張ってくれてるんだ……だからさ……あまり、傷付けないであげて」
「……うん……」
「……それと、さっきお姉様を殺そうとしたよね」
「……あ、あれは……」
「……悪いけど、そればっかりは私も許せない。だから一つ、私のこれから言う事を黙って聞いていて」
「……う、うん……」
「言わせてもらうけどね……！」
「……！」
「ごめんなさい！！」
「……へ？」
フランが頭を下げている。
「ごめんこいし！あの時貴女の気持ちに応えてあげられなくて……素っ気ない態度を取ってごめんなさい。今度はちゃんと……貴女の事も考えるから」
「……やまらないでよ……」
「……？」
「フランが謝らないでよ！！」
「……！」
「フランは何も悪くないのに……！私が勝手に逆ギレしてレミリアをこんな目に合わせて、フランを悲しませたんだよ！？むしろ謝るなら私の方だよ！！」
「……こいし……」
「ごめん……本当にごめん……フラン……！全部……全部私が悪いんだ……全部……」
「……こいし」
「……？」
「何もかも一人の所為にしちゃだめだよ。何でもかんでも自分の所為にしても意味はない。……まあ、私が言えたことじゃないんだけどね」
「私が言いたいのは、一人で抱え込もうとしないで。私でよかったら何でもするから」
「……！」
「……こいしは、ずっとストレスが溜まり続けていたんだよね……私にはわかるよ」
「……」
「……こいし、貴女は私の掛け替えのない親友なんだから……辛い時や困った時は、何でも言ってよ。出来る限り力になるから」
「……ありがとう…フラン……」
「……うん」ニコッ
「……今日はもう、部屋に戻って寝なよ」
「……うん。ごめんね……レミリアを……」
「……正直言って、怒ってないって言ったら嘘になるね……けど」
「！」
「……貴女だもの……それなりに辛い過程があるんだから、許すよ」
「……ありがとう…おやすみ、フラン」
「うん、おやすみ」
ガチャ バタンッ
「……こいし……」
−……こいし、大丈夫かな……精神状態が不安定過ぎる……
……けど、今は……
「……お姉様、大丈夫？」
「……まだ、お姉様と呼んでくれるのね……こんな……こんな身勝手な奴の事を……」
「……」
「私はもう……貴女の姉である資格もないわ……」
「……！！」
「私は……貴女をただただ苦しませて来ただけよ……そんな……そんな最低な姉なんて……いら」
「そんなこと言わないでよ！！」
「……！」
「お姉様は確かに少し身勝手な所はある…けど！いっつも私の事を気に掛けてくれてた……いっつも私の事を助けてくれた！」
「お姉様の事を最低だなんて……思った事ないよ……！」
「私にはお姉様が必要なの！……私のお姉様は……お姉様だけよ……！」
「だから……だからそんな悲しい事…………言わないでよ……！」
「……ごめんなさい……フラン……」
「……うぅっ……！」
「……貴女も……我慢してたのね……本当は……こいしや私に会った時……泣いて飛び付きたかったのね……」
「……わかってたなら……そんな事言わないでよ……！」
「……ふふ、ごめんなさいね……これからも、私の妹で居てくれる？」
「！もちろんだよ！！」
「……ありがとう……嬉しい」
「お姉様ァ…！」ぎゅっ
フランがレミリアに抱き着いた。
「……よしよし」
−……こんなにも心優しい妹を持てるなんて……私は幸せ者ね……
この子だけは絶対……私が守り抜いてみせる
決戦まで、後【一週間と五日】
イイハナシダナーに持ち込みたいけど、駄目だ……才能がないのか、ただただくどいだけになっている気がするってばよ…
