一ヶ月
今回から少しグダるかもしんない……笑
ちょっとアイディアが思い浮かばないから引き伸ばしが続くかも
「妖夢の容態は?」
「大分良くなったよ。明日には目が覚めるかも」
「それはよかった。…で、こいしは?」
「……今朝から、ずっと屋上で蹲ってるよ」
「……そう」
−……あんな自分が居たと知ったら……誰でもそうなる……私だってきっと……
「……ちょっと、様子見てくるわ」
「霊夢さん、私に行かせてください。……大切な妹ですから」
「……分かった。じゃあお願いねさとり」
「はい」
ガチャ バタンッ
「……」
−こいしはただでさえフランを失っているのに……それに加え二重人格である事が分かり……みんなに迷惑を掛けたと自己嫌悪している状態……
こいしの精神は……ズタズタじゃないか……
屋上
「……」
−『本当にそうかな?』
『何する気かって?あんたの体をちょっと借りるだけさ……』
「……」
−『……こいしのこと、これ以上傷付けてやらないでよね』
「……」
−……私は……何を信じればいい?
自分の事?……そんなの無理に決まってる……
仲間の事?……それで妖夢はあんな目に遭ったんじゃないか……
家族の事?……私を庇ってくれるんだ……フランみたくなるじゃないか……
…………。
−『あーあ、無能な王を持つとこっちは苦労するよ……仕方ない、こっちから貰いに行かせてもらいますかねぇ』
−……
「……私は……」
とんっ
「!」
「……大丈夫?こいし」
「お姉……ちゃん……」
「……よかった。傷はもう大丈夫そうね」
「……うん……」
「……精神の事?」
「……」
「……貴女は……いつも抱え込むわよね……そうやって、私達に迷惑掛けたくないから一人で解決しようとする……」
「……!」
「……でも自分をしんじきれず、そのまま悩み続ける……貴女はそんな感じでしょう?」
「……」
「……こいし、貴女は私の妹なの。だから……悩んでる姿や悲しんでる姿は見たくないよ」
「お姉ちゃん……」
「だからさ……辛い時は私に言って。いつでも側に居てあげる。私が、貴女の悩みを解決してあげる」
「一人で解決しようとしないで……貴女は、私の掛け替えのない家族なんだから」
こいしがさとりに抱き着いた。
「…お姉ちゃん……!」
「……よしよし……」
「……うぅっ……」
−あったかいなぁ……お姉ちゃんの体。
優しく私を包んでくれる……強くて、優しくて、かっこよくて、でもどことなく可愛くて……。
私の……掛け替えのない家族。
こんなに近くに……幸せがあったじゃないか。
そうだ……私はもう一人じゃない。
ありがとう、お姉ちゃん
「……スー……スー……」
「……安心して、寝ちゃったのね……ふふ」
「……こいし、ごめんね……こんな愚かな姉で……本当にごめんね……言葉でしか……力になれない……」
「……そんな無力な姉を……許して」
「スー……スー……」
−……この子だけは……私が絶対に守ってみせる。私の、命に代えても……。
翌日
「……」
「……何で、みんなを集めた?霊夢」
「これはあくまで私の推測……だから、賛成するしないは貴女達に任せるわ」
「?」
「……奴らはおそらく、これから一ヶ月は攻撃して来ない」
「え!?」
「ど、どういう事だよ!?」
「……紫だって馬鹿じゃないわ……こいしにあんな魔物が居ると分かった以上、何の対策もなく勝負は仕掛けて来ないもの」
「……!……」
「……霊夢さん……口に出すのはやめてください」
「……悪かったわ……とりあえず、一ヶ月は平和って事なのよ」
「……で?」
「……一ヶ月間、ここら周辺で修行をしましょう」
「……修行、だと?」
「ええ。今の私達じゃとてもじゃないけど紫や藍、力を得たパチュリーや美鈴には勝てない」
「だから、ここで一旦止まるの」
「……それは名案だ。私は乗った!」
「私も賛成だ……慧音も強くなってるだろうし」
「……私も構わないわ」
「……私も、別にいいよ」
「私も、賛成です」
「いいんじゃない?」
「賛成ですわ」
「……決まりね」
「それじゃあ、一ヶ月間……どうやって修行するかだけど……」
「……こいし。貴女の中の魔物……その魔物の力を支配してほしいの」
「え!?」
「……!」
「霊夢……どういう意味だ?」
「こいしの中の魔物は、あの紫さえ手を焼く相手だった……なら、そいつの力をトレーニングに使えるとしたら……いいと思わない?」
「ですが……それはこいしの心を余計に……!」
「分かった」
「こいし……!」
「やってみるよ……きっと、コントロール出来るようにしてみせるから…!」
「……期待してるわよ」
「うん!……紅魔館の何処かに、ものすごく広いところってないのかな?」
「ええ、あるわ。そこで何するっての?」
「結界を張ってもらって、私が中であいつと対話する。その時に多分暴走して暴れ出すから……その際にみんなが自分の好きなタイミングで後退の出来るように順番に回す……それだけだよ」
「ほお……それいいわね。なら、すぐに用意するわ……来なさい」
遊戯場
「ここはかつて、フランと手合わせしていた場所よ……あの子、とんでもなく強くてね……いつも苦戦していたわ。ま、私には敵わないけd」
「……それじゃあ、行ってくる」
「ええ、行ってらっしゃい」 「スルー?」
「……」
−『あーあ、無能な王を持つとこっちは苦労するよ……仕方ない、こっちから貰いに行かせてもらいますかねぇ』
−あいつに……精神の中で勝つ
そうすればきっと、力をマスター出来る。
「……」
こいしが座り、目を閉じる。
気がつくと、辺りが何もない荒野へと変わっていた。
「……まあ、大体話は聞いてた……だからって自分より弱い王にわざわざ力を支配されるつもりはないからね」
白目の部分が真っ黒で、眼球が黄金色。
帽子を指に乗せてくるくると回しているもう一人のこいしが、高台に腰掛けて此方を見ていた。
「……分かってるよ……でも、貴女はわたしのこと心配してくれてたよね?」
「……まあ、こいしが死んじゃったら私も死ぬわけだしねぇ……それに、貴女とは気持ちが分かり合える気がするし」
「……」
「……ま、そんなことはどうでもいいとして……とっとと始めようかね……!」ニヤァッ
「……貴女らしいことね……!」ニッ
「……」
こいしから紫色のオーラが出ている。
「……あれは一体……」
「……」
「!」
こいしが立ち上がった。
「……ま、今こいしは精神の中で私と戦ってる……その間私は自由ってわけだ」
「……!」
「……大丈夫さ……こいしの大切な者達を殺したりなんかしな」
「殺す気で来なさい」
「!」
「その方がいいわ」
「……いいんだな?」
「ええ」
「……そうかい……それはよかった……
私も加減は苦手でね」ニヤァッ
「……」
−順番は、私、魔理沙、さとり、妹紅、アリス、レミリア、咲夜、そして病み上がりの妖夢……傷は完治したとはいえ大丈夫なのかしら……
妖夢の番までに少しでも奴の体力を削っておかなきゃいけない……!
ガキィンッ!
「ははっ!」ザザザァ…
「くっ…!」ザザザァ…
−魔力刀の色が……違う?
こいしの魔力刀の色は薄い緑色で、もう一人のこいしの魔力刀の色は黄金色だった。
「……前より幾分かマシにはなってるな……何かあったのかな?」
「さあ、何があったんだろうね?……何てね。貴女も知ってるんじゃない?」
「……そうか……お姉ちゃんか……ふふ」
「……?」
−何て穏やかな目……
「よっしゃ、続きやろうか」ニヤァッ
「……!」(いつもの奴に戻った)
−……奴も、お姉ちゃんやフランは大好きだと言っていたしな……ふふ
「ええ!」
「そぉら!」ブンッ!
「せえい!」ブンッ!
ガキィンッ!
「はあっ……はあっ……」
「……あんた、病み上がりでしょ?休んだらどーよ?そんな奴殺しても私としてもあんま嬉しくないんだよね」
「……うるさい……!私は強くなりたいんだ!」
「……あっそ。まだ幽々子の事引き摺ってんのね」
「……え……」(何で……)
「強くなりたいんなら、全力でぶつかってきな!」ニヤァッ
「……言われなくても!」
「はっ……はっ……!」
「……」
「くっ…」
「……こいし、なんでそうまでして私を支配しようとする?私は私、こいしはこいしでいいじゃないか」
「みんなの役に立ちたいんだ……私は強くなって、みんなを守れるようにならなきゃいけないんだ!」
「……そうかい。なら続けるか」
「ええ!」
「はは!」ブンッ!
狂こいしがこいしに向けて魔力刀を振るう。
「遅い!」ヒュッ
こいしが狂こいしの裏に回る。
「はあ!」ブンッ!
「甘いね!」ガッ
「何⁉︎」
魔力刀を素手で掴まれる。
「嘘でしょ…!」
「表像……」
「!!」
「弾幕パラノイア」
ドオオオオオオオンッ!
「はあっ……!はあっ……!」
「へぇ、よく避けた。凄いじゃない」
「お世辞はやめてよ……!」
「そうでもないさ」
「……」
−奴の考えてることが読めない……常に笑っているし構えもない。本当に急に攻撃してくる……
それに素早いし一発一発急所に攻撃してくるし……何より付け入る隙がない……!
私の感想では……暴走したフランより強い……!
「……さあて……」
「……!」
「……嫌われ者の……」ガチャッ
魔力刀を構える。
「!!」
「フィロソフィー」ドオオオオオオオッ
刀から妖怪弾が交差しながら高速でこいしに向かって飛んでいく。
「!?」
こいしは咄嗟に飛び上がり避ける。
「……なんだ……⁉︎私の知ってる嫌われ者のフィロソフィーじゃない……!」
「貴女は使い方が下手なんだよ……もっと工夫すれば幾らでも強くなるってのに……」
「……!」
「貴女には強くなりたいと思う気持ちはあっても、本能がそれを否定しているのさ。戦いを恐れる本能がね」
「本……能……」
「貴女には強さを求める本能がない……だからいつまで経っても強くなれないのさ」
「頭を使ってこそこそと戦う……今迄通り行けば勝てると慢心してりゃあ、そりゃあ強くはなれない」
「……!」
「……っはっ……もう終わりにしますかねぇ」
「……」
ブゥンッ
「……な……⁉︎」
こいしの周りに大量の桃色のハートが現れる。
「……貴女に言ったね……使い方が下手だと」
「……!」
「つまり、こういう事さ。抑制……」
「!」
「スーパーエゴ」ぐっ
狂こいしが手を握ると……
ドオオッ
「えっ!?」
ハートが凄まじいスピードでこいしの方へ集まっていく。
−な、何で!?スーパーエゴは……!
「マーキングって言葉、知ってる?」
「!」
「それをあんたにしたんだよ」
「……!」
ドオオオオオオオンッ!
ハートがこいしに当たると同時に爆発した。
爆心地に、こいしが倒れている。
「……他愛のない……これで、体の所有権は貰っ…」
「……なん……だと……!?」
こいしが立ち上がった。
「……」
「……!少し驚いた。そこまで生命力があったとは」
「……」
−本能……
強く……なりたい
誰にも負けないくらい…
もう誰も失わないように……
もう誰も悲しまないように……
みんなを守れるくらい……
強
く
な
り
た
い
ドオオオオオオオッ
「……!!」
「……」ギロッ
「……!」
ドォンッ
「!!」(速……)
ドスッ
こいしが狂こいしの腹部に、魔力刀を刺していた。
「……ははっ……やれば出来んじゃん。貴女にもあったらしいね……強さを求める本能って奴が……」
「……」
「…仕方ないね……私を倒したんだから……暫くは、貴女に力を貸してあげるよ」
「……」
「ただ、忘れないでよ……私はいつでも貴女の体を奪って自由になるからね」
「……」
「それまで精々……死なないように気をつけな」
「……ええ」
「……けっ、いい眼をする様になっちゃって……」スゥー……
狂こいしが消えていった。
「……」
「くっ……!」(そろそろきついわね……!みんなは……)
「はあっ…!はあっ…!」
「霊夢!交代行けるわよ!」
「……!咲夜!お願……」
ドオオオオオオオッ!
「!!?」
こいしからいきなり凄まじい光が出る。
「な、何!?」
「……」
「……こいし?」
目が、綺麗な澄んだ薄緑色に戻っていた。
「……ありがとう、みんな。もう、大丈夫」
「……ふぅー…」
「おー!すげぇなこいし!」
「魔物の力を……支配したのか⁉︎」
「流石ね……」
「我が妹の親友なだけはあるわ」
「……自分から傷口を抉るようなこと言わないでください」
「……ごめん」
「……」
−『仕方ないね……私を倒したんだから……暫くは、力を貸してあげるよ』
『ただ、忘れないでよ……私はいつでも貴女の体を奪って自由になるからね』
『それまで精々……死なないように気をつけな』
「……ありがとう、もう一人の私」
もう一人のフランちゃんやこいしはイケメン風な性格にする風潮。
特にこいしの方は大分イケメンに書いてる気がする笑




