大事にしたいもの
今回は主人公こいしにちょっとした変化が起きます。
今後の展開の予想を広げてください笑
「……」
「……」
こいつが何の能力を持ってるか知らないけど……私が負けるわけがない…!
すぐに殺してやる……力の差を教えてやる。
私が……みんなを守る……守るんだ
絶対 誰も死なせない。
「……」(こいつ、さっきから様子がおかしい。まるで何かに取り憑かれたかのような……)
−私の能力は『式神を操る程度の能力』……こいつの無意識の能力の前では何の意味もなさない。
だが……。
「さあて、どうやって殺してほしい?式神」
「……お好きにどうぞ……やりたいようにやるといい」
「ならそうさせてもらおうか……」
何か狙ってるのか、それとも慎重な奴なのか……中々攻撃に出て来ない。
まあ、関係ないけど。
「ははっ!」
ヒュッ
「!!」
こいしが一瞬で藍の後ろに回る。
「ぐっ!!」(速い!)
「そぉら!」ブンッ!
ガキィンッ
「へえ、よく防いだね!」
「この程度でやられるか!」
ザザザァ…
「……」(やはり違う……古明地は冷静沈着で、あらゆる方法で攻撃を仕掛けてくるかなり上級の策士だと聞いている……。
明らかに違うじゃないか……なんだこの荒ぶりようは?
「何考えてるの?」
「!!」
いつの間にかこいしが消えている。
「どこに…!」
「ははは!やっぱりね…貴女じゃ私には勝てない……なぜなら、能力を破る術がないからね!」
「……!」
−奢りが過ぎるようだな……どうやら自身の能力を過信しすぎている。
……さて……
「さあて…まずはどこから切り落とそうか?」
「……」
まずは腕から行こうかな?フランを殺した原因とも言うべき八雲 紫の式神だ……苦痛に歪む表情が見たいなぁ……!
「決めたァ!」ゴオッ
ズバァンッ
ドシャッ
「……え?」
「甘いな」
こいしが地面に落とされていた。
「……何で……よ……!?」
「お前は自分の能力を過信しすぎている……お前の能力は認識していれば近くに行けば気付かれることを忘れたのか?」
「……!!」
そうだ……!何でそんな重要なことを……!
「……まともに戦えば勝負は分からなかったものを……お前は冷静さがあったから強かったんだ。それを思い出すべきだった」
「………くぅ……!」
「さようなら、古明地こいし。本調子のお前と戦ってみたかったよ」
「…!」
ああ……なんてことだ……私は本当に馬鹿だった……何で……こんな……。
何であんなに必死になっていたんだ……冷静に立ち回れば……勝てたかもしれないのに……。
そうか……慢心…か……。
ごめんね、お姉ちゃん……フラン……。
ガキィンッ!
「!?」
「……?」
「ったく、世話の焼ける奴ね!」
「…れ…!
霊夢!」
「危なかったわね、ほんとに」
霊夢が、藍と同じように刀を作って防いでいた。
「さあて、妖怪なんだから…そのくらいの傷なんてことないでしょ?」
「…うん。ごめん、さっきまでの私は冷静じゃなかった。次からは注意するよ」
「ええ。その方があんたらしいわ」
「向こうは大丈夫なの?」
「魔理沙も妹紅もいるし、心配は不要よ」
「そっか。なら、とりあえず藍を倒そう」
「ええ」
私はもう狼狽えない。……こんなことを言って、何度二の舞になったか……。
けど、今回は違う。もう二度と……あんな風になってたまるか!
『本当にそうかな?』
「……!?」ゾクッ
「?こいし?」
「な、何でもないよ」
「そう?」
「……」
−何……今の……⁉︎
「さあて、とっとと倒して魔理沙達の援護いくわよ!」
「う、うん!」
「……まあ、ここで相手をしてやってもいいんだがな……もう相手になる理由が無くなった」
「……どういう意味よ」
「時期にわかる」
そういい藍は消えていった。一体どういう意味だ?
「……?」
そういえば、さっきから幽々子の霊力の高まりが止まったような…………⁉︎
そうか!そういうことか!
「霊夢!急いで魔理沙達の援護に行こう!」
「え?あ、そ、そうね。でもどうしたの?」
「このままじゃ魔理沙達……殺されちゃう!!」
「!?何でよ!?」
「説明は後!急ごう!」
「…!ええ!」
間に合え……!間に合ってくれ!!
「おいおい……洒落になんねえぜ?これは…!」
「……幽々子…様……?」
「……!」
「一体何が……!」
「……!」
幽々子は、まるで別人のようになっていた。
霊魂を吸いすぎて、力が暴走していた。
被っていた帽子は身体から放出される霊力に耐え切れず弾け飛び、服も所々破けている。
目は白黒反転していて、幽々子の桃色の瞳がより目立って見えた。
口は、頬の辺りまで裂けていた。
「アアアアアアアアア!!!」
「幽々子様!幽々子様ァ!!一体何があったのですか!!幽々子さ…!」「アアアアア!!」
幽々子が巨大なビームを放ってくる。
「えっ⁉︎」
ドオオオオオオオンッ!!
「ヒュー!あぶねぇな…!」
「ま、魔理沙……!」
「大丈夫か?妖夢」
「う、うん……ごめん……」
「…仕方ないぜ……主があんなことになってたら……私だってああなる」
「…なんつーか…暴走してるよな?あれ」
「……駄目だ、心を読めません」
「お前そもそも能力封じられてるだろ?」
「あっ、そうでした」
−…?おかしいな……じゃあなんであの時は心を読めたんだ?
「さとり!ぼーっとするな!来るぞ!」
「!は、はい!」
「キシェアアアアアアアア!!!」
コオオオ…
「なんだ……ありゃあ!?」
「赤い弾幕!?」
「違う…!全速力で逃げろ!!」
「へっ!?」
ドオオオオオオオンッ!!
幽々子が赤い光線を放つ。
「うおぉおう!?」
「規模が大きすぎる…!これはやばいですよ!」
「幽々子様……!」
「妖夢!貴女はまだ幽々子を助けるつもりなんじゃないでしょうね!?」
「……ッ…!」
「……妖夢、無理すんな。ここは私達に任せて下がっててもいいんだぜ?」
「……大丈夫。ごめんなさい……もう覚悟は決めた」
−妖夢の目つきが変わった……どうやら本当に覚悟を決めたらしいわね。
「幽々子の周りには霊蝶が飛んでる……当たれば即死だ……気をつけろよ」
「不死身であろうがなんであろうが……奴の霊蝶は命を持っていく。魂を抜かれると思ったほうがいいかもな」
「ヴヴヴヴ……」
「何かしかけてくるかも知れないわ……気を付けて」
「アアアアアアアアアアアア!!!」
幽々子が叫び声を上げると同時に凄まじい数の霊蝶が現れ、それが集まり悪魔のような形をなす。
「ーーんだよ、あれ……!?」
ゴオオオオ!
「向かってくるぞ!逃げろォ!!」
「不死鳥……」
「再ッ誕ッ!!」ドオオオオオオッ!
無数の火の鳥が集まり、巨大な火の鳥となる。
「みんな伏せろ!!」
「いいね!」
ドオオオオオオオンッ!
「へっ、どんなもんだ!」
霊蝶の悪魔は消えていた。
「ナイス妹紅!」
次の瞬間ーー
「キシェアアアアア!!!」
「!?」
ドスッ
「……くそっ……!」がふっ
「妹紅!!」
妹紅の心臓部を幽々子は手で射抜いていた。
「……悪い魔理沙……私、死んだ」
妹紅の周りに霊蝶が集まってくる。
「ふざけんな!!死なせるか!」
魔理沙がマスタースパークを撃とうとすると……
「ガアアアアアアア!!!」
ドオッ!
「うわっ!だ、弾幕!?違う…妖怪弾か!」
「……くっ……!」
霊蝶が妹紅を取り囲む。
「妹紅ー!!」
「……」(死んだな……私)
「嫌われ者のフィロソフィー!」
ドオオオオオオオンッ!
「え?」
「よっ…と、間に合った間に合った」
「こ、こいし!」
「霊夢!妹紅を!」
「了解!」
霊夢とこいしが現れる。
そして、霊夢は妹紅を抱え魔理沙達の下へ行く。
「れ、霊夢!ナイスタイミングだぜ!」
「間に合ってよかったわ。さてまずは……幽々子はどうしてあんな姿に?」
「……多分、霊魂の吸いすぎだ」
「……そう」
「フラン戦では未完成だった私のイドの解放……その完成版を見よ!」
「本能『イドの解放』!!」
「!?」
こいしから凄まじい数のピンク色のハートが放出される。
ドドドドドドドドドド!!
「ギャアアアアアア!!!」
「お、いいぞこいし!効いてる効いてる!」
「からの〜!抑制『スーパーエゴ』!」
ドドドドドドドドドドドドドドド!
「キシェアアアアアアアアアア!!!」
「ん!?」
幽々子が叫び声を上げると同時に、口の辺りに赤黒い弾幕が現れる。
「……大分力が凝縮されてる……あれを解放すれば光線となって攻撃出来るね」
「こいし!気をつけろ!それ喰らったら……!」
「分かってる!」
さあて、どうしたものかな……私が避けても後ろのみんなが爆発に巻き込まれるレベルにまでは溜めてるし……かといって吹き飛ばしても巻き込まれない保証はない……相殺するったって、あれだけのレベルの妖怪弾を相殺出来るレベルの魔力砲を溜める時間もない。
だったら……!
ヒュッ
「アアアアアア……!?」
「自分でくらいなよ!」
ドゴォンッ!
こいしが幽々子の目の前まで一瞬で移動し、魔力刀で口の中に幽々子が溜めていた妖怪弾を叩き入れた。
「!!?」
「ちゃんと口を……
閉じてろ!!」ドゴォンッ!!
「!!?」
こいしが幽々子の脳天に踵落としを喰らわせる。
堪らず幽々子は口を閉じてしまう。
「それ逃げろ!」ヒュッ
コオオオ…!!
「アアア……!」
ドオオオオオオオンッ!!
「ギェヴヴアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
爆発は幽々子の半径五メートル程にまでしか及ばなかった。
幽々子は消え去っていた。
「よっと……」スタッ
「ほえー…!これはちと幽々子が可哀想だ」
「まあ、仕方ないさ……とにかくこれで倒した。さあ、紅魔館へ戻ろう」
「そうね……しかしやっぱり強いわね。こいしは」
「そうかな?」
「私からも言わせてもらうと、あんたはかなり強いわ。自信持っていいわよ」
「そっか……ありがとう」
「さ、戻ろうぜ。妖夢……辛いだろうが……」
「大丈夫。もう覚悟は決めたって言ったでしょ?」
「……そうだったな。じゃあ、戻ろーー」
ドオオオオオオオンッ!
先ほど幽々子が消え去った場所に、爆発が起こる。
「な、なんだ!?」
「……まさか……!」
「霊夢!今回は手伝ってくれないかな?多分、さっきより……!」
「ええ……大体雰囲気で分かるわ」
「おいおい……!」
「魔理沙、妹紅、妖夢、アリス、お姉ちゃん。……気をつけてよ……
さっきよりやばい奴が……覚醒した幽々子が来る!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
「ヴヴヴヴ……」
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紅魔館、屋上にてーー
「咲夜……みんなは大丈夫かしら」
「大丈夫ですよ。きっと」
「……だと、いいのだけど……」
ビュオオ…
「!」
突然、強い風が吹いた。
「……フランの帽子、飛んでないかしら」
墓の方を見たその時だった。
ーー!!
「……」ガッ
ヒュッ
「……!?」
「お嬢様?どうかなさいましたか?」
「……れかいた…」
「え?」
「……今……フランの墓の前に……誰か居た……」
「……え?」
「フランの墓だということは私達九人以外知るはずのないはずなのに……誰か……居た……帽子を……帽子を取っていった……」
「……!!」
「まさか……!」
「……お嬢様。きっと疲れているのですよ。墓を見てください」
「……え?」
墓を見ると、帽子がちゃんとあったのだ。
「……じゃあ、さっきのは……」
「……幻覚なのでは、ないでしょうか……」
「……」
−そうよね……フランが生きてたら……魔力くらい感じる筈だもの……。
「……少し、中で休んでいるわ……」
「ご一緒します……」
「……ありがとう、咲夜」
「……いえ」
ガチャ バタンッ
ビュオオ…
墓前
ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ
「……」
ガッ
バサッ
ザッ ザッ ザッってのは足音です。小説だと表現しにくいから困るな……笑




