表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方人気投票の裏話(?)  作者: アブナ
第二章 過去編 〜吸血鬼と悟り妖怪〜
15/123

紅魔館の守護者

これで第二章も終わり。作品順序が合ってるかどうか少し不安…笑

「…ん……」


「起きた…?お姉ちゃん」


「……こいし……」


目を覚ますと、こいしが外を眺めていた。


「おはよう」


「ええ……おはよう」


昨日までとは雰囲気が違った。まるで、何か吹っ切れたような感じだ。


「……心配してくれてるのはわかる。けどもう大丈夫よお姉ちゃん」


「フランは……私に託してくれた。この先は……私がフランに変わって歩いていく」


「……そう」






「さて、みんな起きたことだし紅魔館を出るわよ」


「いいのか?ここを拠点に活動していけば生活に困ることはないだろ?」


「またバルコニーで毎日寝なきゃいけないっての?それにいずれ敵に見つかるに決まってるわよ」


「……それもそうだな」


「レミリア、いつまでも引き摺ってたらフランが悲しんじゃうだけだよ……」


「……そうね。私としたことが……フランの為にも生き残らなきゃね」


「それでこそレミリアだ!」


「さあ、行きましょうか」


「せっかくだから図書館寄って行っていいか?私あそこの本にお世話になってるから、ちと名残惜しくて」







紅魔館の内部には、やはり誰もおらず静寂に包まれていた。それが逆に不気味で、もしかすると隠れているだけなのではないか、と心を疑心暗鬼にさせた。


「……あれ……昨日はこんな本ここには……」


こいしが、作業机の上にある本の一つを手に取りパラパラとめくっている。


「……まさか……やっぱり…」


「……こいし、皆さんに伝えに行きましょう」


「うん」


その後、皆さんに伝えて急いで出ることにした。


「やっぱりねぇ……違和感があったのよ」


「急いで出よう!」


「ええ」


図書館を出ようとしたその時ーー


ドオオオオオオオンッ!!


「うおぉあ!?」


「逃がしませんよ」


「美鈴!」


美鈴が図書館の出口に立ち塞がる。


「お嬢様。フラン様が死んでしまったというのは……本当なのですか?」


「……ええ」


「……!!」


美鈴が一瞬動揺する。


「……そうですか。それは、残念です」


「美鈴、貴女と戦う理由はないわ……やめなさい。これは命令よ」


レミリアが美鈴にそう言った。


「お嬢様。私が貴女の言うことを聞かなければならない理由は今はありません。私は……フラン様に忠誠を誓っていたのです。フラン様が私に、『お姉様の言うことを聞いてあげてね』と言われたので聞いていただけのこと」


「なんっ……!あんた自分で何言ってるか…」

「自身の妹一人護れない軟弱な主など……仕えるに値しません」


「……!」


美鈴は、レミリアをまるで軽蔑するかのような目で見ていた。


「言わせておけば美鈴……あんた、お嬢様の命令に背くつもり?」


「そうですよ咲夜さん。貴女にも手を出さなかったのはフラン様に忠誠を誓っていたからこそです」


美鈴の目尻には、涙が浮かんでいた。


「私はっ……!貴女達ならフラン様を助けてくれると……護ってくれると……!信じていたのに!!」


「……!」


「……私はもう、貴女達の命令には従いません」


「ここで、殺します」


美鈴が構えをとる。


「……美鈴……」


「美鈴。そんなことしてフランが喜ぶと思う?」


こいしが美鈴に語りかける。


「……貴女が、フラン様を語りますか」


美鈴の目は、怒りに満ちていた。


「……何に対してそんなに怒ってるの?」


「無力な自分と、今まで好き勝手やっていたそこにいる二人の愚か者共にです。フラン様の命がなければ、私は手を上げていた場面など星の数ほどあります」


「……!」


「貴女に指図される筋合いはないです」


「……」


「美鈴……!貴女らしくないじゃない!どうしてそんな……」

「話を聞いてなかったんですか?」


「……!」


「お嬢様……かつての貴女はとても強く皆を引っ張っていけるとても寛大な主だったと思います」


「ですが……フラン様の精神が不安定となり、館を半壊させて以来どこか決定力がなくなっていました」


「……それは……」


「美鈴!それ以上お嬢様の傷口を舐めるようなことを言うと……本気で殺すわよ!!」


「そうしてください。私には勝てないことがわかりますので」


「美鈴!お前なぁ……レミリア達だって頑張ってんだぞ!それを踏み躙るようなこと言ってんじゃねえぜ!」


「その通りよ……気のいいあんたがどうしてそんなことを……」


「……なら一つ聞いていいですか?」


「?」


「本心を言って……何が悪いのです?」


「……このクズがっ……!」


魔理沙がマスタースパークの構えを見せる。


「待って魔理沙!撃たないで!」


「レミリア……もうこいつは駄目だ!お前への忠誠はなくなってる!」


「それでも美鈴は!大切な家族なの!」


「……!」


「……!!」


美鈴は、レミリアからフランの面影を感じた。


「……やはり姉妹ですね……似てらっしゃる……」


「……レミリア……悪いけど美鈴も倒すわ。まだ何で死ぬかが判明していないから……こいつではっきりさせときたいの」


「霊夢……!やめて!もうこれ以上は……これ以上は……誰も……!」


「あんた、少しはフランを見習いなさい!!あの子は自分を犠牲にしてまであんたを守り抜いたのよ!?それなのにあんたは……‼︎」


霊夢は本気で怒っていた。


「れ、霊夢……」


「……ちっ!もういいわ」


「美鈴……お前だってレミリアには世話になったはずだろ?」


「かつてのお嬢様は心から尊敬していましたよ……しかし、フラン様と出会いに、フラン様の寛大な心、そして揺るぎなき強さ、美しさに感激し、フラン様に忠誠を誓ったのです。……フラン様がいない紅魔館など……居る価値もない」


「……そこまで性根が腐っていたとはな……!」


「なんです?魔理沙には、関係のない話でしょう」


「黙れ!!そんなこと言って……フランが喜ぶと思うのーー」

「その通りさ、美鈴」


『!!?』


−この声は……!?


「フラン……様……?」



骨格に宝石がぶら下がっているかのような羽、幼い少女の容姿。レミリアとお揃いのナイトキャップにサイドテール。

遠くの本棚に、フランと思われる影が見える。


「……フラン……なのか……?生きて……!」


「魔理沙……今は美鈴と話させて」


「あ、ああ……」


「フラン……様……!?本当にフラン様なのですか?」


「ええ。美鈴……魔理沙の言った通り、貴女がそんなことをしても私は何も喜ばないよ。お姉様の命令には従ってあげてねって、約束したでしょ?」


「は、はい!」


「わかってくれたならよかった。それじゃあ美鈴。私達と一緒に来ない?貴女がいてくれたらとても頼りになるよ」


「はい!是非行かせてください!」


「よーし、ならこれからーー」


刹那、遠くの本棚が爆発する。


「!!フラン様ー!」


「うわぁっ!」


「……え?」


爆炎の中から出てきたのは、こいしだった。


「……こいし……?」


「……!」


−しまった……!無意識の能力で声をフランの声だと認識させるってのはとってもいい案だったんだけど……ごめんねフラン、こんなことに利用しちゃって……!けど平和に終わらせるためだったんだ……!


「……フラン様だと思ったのは、能力を使ったお前だったのか」


「バレちゃった……平和に終わらせようと思ったんだけど」


「……よくも……」


「フランには悪いと思ってるよ!けど、こうでもしないと美鈴、止まらないでしょ?」


「……関係ない……よくも……よくも……!!」


「……ちょ、ちょっと……?」


「私の前でフラン様に化けたなぁああ!!」


美鈴から凄まじい魔力が出てくる。


「ぐっ!?」


−なんだこの魔力……幽香にも負けていない!


「ふっ!」


次の瞬間、美鈴がこいしの背後に回っている。


「なっ……!?」


「くらえっ!!」ブオンッ


美鈴がパンチを繰り出す。


「ぐぅっ…!」バキィッ


両腕をクロスさせ、防御するも……


ビキビキッ


「いっつ……あぁぐ…!がっ……!」


こいしの腕の骨が割れていく音がする。


「このままへし折って……!」


「そぉれ!」


ドゴォンッ


「ぐあっ!」


霊夢が美鈴に飛び蹴りをくらわせる。


「れ、霊夢!ありがとう、助かったよ」


「こいし、あんたのした行為は、咲夜やレミリアにもショックを受けさせるものよ……後で謝っときなさいよ?」


「……うん」


「い、いいのよこいし!美鈴を止めるためだもの」


「そうですわ……致し方なし……」


「……ごめんね」


「……うん」


「……」


ドゴォンッ!


「!」


美鈴が本棚を殴り飛ばして起き上がる。


「……全力でやっても……よさそうだ……!」


−…美鈴は近距離戦においては最強クラス…距離を置いて戦うのが得策ね……弾幕を張れば近距離戦に持ち込まずに済むはず……


「美鈴……やめなさい!」


「お嬢様……こうなっては私は止まりませんよ」


美鈴がレミリアを睨みつける。


「レミリア、悪いけど注意を少し引いていてくれるかしら?策があるの」


「……美鈴を、殺すの?」


「……他に道はないわ」


「……わかったわ……」


レミリアは、覚悟を決めた。たとえ相手が家族であろうと、親友であろうと、肉親であろうと、倒して生き残るという覚悟を。


「おおお!」


美鈴が突撃してくる。


「……霊夢、私が巻き込まれても構わないわ」


「……!」


レミリアが美鈴に突撃していく。


「はっ!」


「せい!」


バキィッ


互いの蹴りがぶつかり合う


「お嬢様……!どいてください!!私はこいしに用があるんです!」


「なら……私を倒してからになさい」


「……!」


−美鈴め……こいしに対してしか殺意はないようね……やっぱり根は優しい奴……


美鈴がレミリアに向けて弾幕を飛ばす。


「貴女、こいしに対してしか殺意はないようね!」


「……何を仰っているのかわかりませんね……」


「やっぱり根は優しい奴なのね……美鈴」


「お嬢様。無駄話はそれくらいにしておきましょう」


「……そうね」


「おおおお!!」


−美鈴は、一気に私を倒すつもりのようね……


「おおおお!!」


「フラン様への忠誠は……!これからも変わらない!こいし……!お前だけは殺して……!」


「美鈴……フランに忠誠を誓ってるのはわかるわ。でも化けたこいしに恨みを持つのはお門違いよ」


「……!?」


「こいしはフランが大好きだったの……フランが死んでしまった時、私達と同じくらい悲しんでいたもの」


「悲しみは、同じなのよ」


「……それが何ですか……一度犯してしまった罪は……償うものではありませんか?」


「……分かったわ。なら、私を倒してからになさい」


「……!まだ言いますか……!いいでしょう!」


−美鈴……フランが本当に大好きだったのね……ごめんなさい、妹も守れない情けない姉で……でも、今なら貴女の想いも受け止めてあげられる

紅魔館の主として……フランの姉として……!


「来い!美鈴!!」


「うおおおお!!」


ガギィンッ!!


「……ッ…!」(止められた!?)


「……っうぅ…!強いわね、美鈴!」


レミリアは、グングニルで美鈴の蹴りを受け止めていた。


「……くっ…!」


バババババ


「!!?」


美鈴の周りに大量の札が現れる。


「……」ダンッ


レミリアは、それを見て下がる。


「封魔陣」


「…れ、霊夢……!?」


「……悪いわね、美鈴。初めからこうするつもりだったのよ」


「くっ…!」


「……さようなら」ぐっ


霊夢が拳を握ると同時に札が美鈴にむかっていく。


「くっそおおお!!」


ドオオオオオオオンッ!!


「……?」(手応えがない……?)


「惜しかったわね、レミィ」


「!!パチェ!」


パチュリーが美鈴を魔法でワープさせ、助けていた。


「あ、ありがとうございます……パチュリー様……」


「ええ。一旦、退くわよ」


「……はい」


「逃げるのかしら?」


「らしくない挑発ね霊夢。貴女は分かってるんじゃないかしら?今の私の力を……」


「……」


すっ


ブゥゥゥン……


「!?」


パチュリーが何もないところに指をなぞると、何かのゲートのようなものが開いた。


「……やるべきことは終えた。後は”紫様”に報告するだけのこと……」


「……紫……”様”だと…!?」


「伝えておくわ……奴らは妹様がいなくなったことで一気に塵へと成り下がった……とね」


「……またいつか……会いましょう」


ブゥゥゥン……


「……あれは一体…?」


「……また、逃げられた……」


「……あいつの言う通りだ……フランがいなくなってから……士気はガタ落ちしてるもん……」


「こいし……紅魔館を出る前に、墓参りでもする……?」


「……うん」


その後、咲夜の許しを得て食料やら服やら、今後の為のものを色々と調達した。


霊夢が別空間で管理してくれるらしい。


そして紅魔館を出る前に、フランの墓参りをした。


これから、白玉楼に向かう。


きっと厳しい戦いになるだろう……妖夢も、表面上は普通に振舞っていても辛そうなのはすぐにわかった。


紅魔館はレミリアとフラン、咲夜がこちら側だったから大したことはなかったんだ。


本当の戦いは……ここからだ……。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……そうか……フランの死は大きいと言うことね」


「はい」


「……今奴らは白玉楼に向かってる……幽々子のところに行かせる前に……あの二人に少しでてもらおうかしらね……」





パッチェさん逃げてばっかだねパッチェさん。

まあ、今後の展開で大きく関わってくるフラグは立てたからいいね^ ^

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ