後悔しないために
「こいし、朝ご飯よ。起きなさい!」
「ん、んー?お、お姉ちゃ〜ん?おはよ〜」
「おはよう、朝ご飯よ!麺伸びるから早く起きなさい」
こいしは、地霊殿の自室で目覚めた。
「えー、朝からCUPRAHMEN食べるのー?」
「な、何でそんな発音よく…?カップラーメン最高じゃない」
「まあいいけどねー」
「こいし様、そこは食いついていかないと…!あたいは朝はねこまんまがいいです!
「具体的な物を挙げなさいよ」
「味噌汁にお米入れた奴!」
「あ、それ美味しいよねー!お姉ちゃん今度作ってよ!」
「わかったわ、今度作ってみるわね」
「わーい!やったねお燐!」
「やりましたね!」
「うにゅ〜、私の意見はー!?」
「うふふふ…」
「あ、そうだお姉ちゃん!私今日ちょっとお出掛けするから!」
「あら、またぬえちゃんのところ?」
「お、鋭い!」
「あんまり遅くまで遊ばないでよ?」
「はーい!」
「おーい慧音ー、今日空いてるー?」
「妹紅!ああ、今日は寺子屋は休みだ。どうしたんだ?」
「ちょっと人里に買い出しに行かなきゃなんなくなってさ……」
「へえ、妹紅が買い出しなんて珍しい。永琳にでも頼まれたのか?」
「そうそう、何でも最近本を読むのにハマってるらしくてね。わざわざ出向くのも嫌だから買ってこいって言われたんだ」
「はは、まあ妹紅は案内役だし暇だと思われたんだろうな」
「実際暇だから別にいいんだけどね……さあ、行こう慧音」
「ああ。ところでどんな本なんだ?」
「それが面白いんだよ。『花より男爵』っていう謎の本でさ。笑っちゃうよな!」
「何だよ、その渋そうな本!ははは!」
「しかもあの永琳がだぞ?ははは!」
妹紅は、いつも通りの生活を送っていた。
「あ、こいし」
「やっほーぬえ!遊びに来たよ!」
「おう!いらっしゃい。今日は正邪もいるぞ」
「お、そうなんだ!」
「こいしか。久しぶりだな」
「久しぶり正邪ー!ところで何してたの?」
「あそこにドミノがあるだろう?あれを手と足を使わずに倒すっていうゲームをしていたんだ」
「へえーそうなんだー!すっごい地味でくだらないね!」
「こいしってたまに酷いこと言うよな…」
「私もやっていいー?」
「ああ!言っとくけど弾幕も駄目だからね?」
「わかってるよ!ほいっ」
「あっ!倒れた!ちょっ、何!?何したの!?」
「にひひー、教えな〜い!ね、正邪?」
「…ふふっ…ああ、教えないよ」
「え!?正邪も何か知ってるの!?」
「今のでわからないわけないだろう」
「えぇ!?」
「あはは!正邪さっすがぁ!」
ぬえと正邪とこいしの三人が、命蓮寺で楽しそうに遊んでいた。
「咲夜、紅茶お願い」
「はい、かしこまりました。あ、お嬢様。お嬢様の部屋にお嬢様宛のお手紙が置いてありましたよ?」
「?誰からかしら……そこに置いといてくれる?」
「わかりました。では、紅茶を取ってまいります」
「いってらっしゃい」
−しかし、誰からかしら。私に手紙なんて……。
「どれどれ?……
『今までありがとう、お姉様』……?」
−…?
「誰よこんなの書いたの……私に妹なんていないわよ」
「……お前の存在、完全に忘れ去られているぞ。本当によかったのか」
「あら、珍しい。貴方が人の心配?」
「…悪いか」
「……何だ、素直なのね」
「…この際だから言うけど、俺はお前が好きだったんだ。そういう奴の言葉には……逆らえん」
「ふふっ、案外可愛いところあるじゃない」
「う、うるせえ!!」
何処ともわからない謎の場所で、エルギオスとフランが話していた。
「…これでいいんだよ。みんなが平和に暮らしている事が、私は一番幸せだからね」
「…そうかよ」(嘘つけ。レミリアやこいしに忘れられてたのを見た時、悲しい顔してただろうが。本当は辛いくせによ……)
「あの時、私は一度止められたんだ。ある人にね」
「…あの時ってのがどの時か、俺にはわからんがな」
「世界の”不幸”を壊す時。その時に並行こいしに止められたんだ」
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ガッ
「……!?」
「待って」
並行こいしが、フランの手を掴んでいた。
「…やっぱり駄目だよ、そんな方法は」
「……!!」
「あ、ありがとう、私!!」
「…うん」
「…けどそうしないとみんなは生き返らないんだよ!?こいしだって…会いたいんでしょ!?」
「…会いたい…会いたいよ…!でも、誰かの犠牲の上で成り立った平和なんて偽物の平和だ…!そんなの嫌だ!」
「…!」
「……これからどうして行くかが大事なんじゃないかな……私はそう思う」
「……フラン、私もそう思うよ。確かに慧音にまた会いたいし話したい……けど、お前が犠牲になって成り立つ平和なんて、これっぽっちも嬉しくない」
「……一つ言い忘れてたね」
「…え?」
「みんなの記憶からも、私は消えて無くなるよ」
「…!!」
「…だから、いいんだよ。これで」
フランが再度黒い球を手に出す。
「!やめてフラン!!」
「…もう決めたことなの。邪魔はさせないよ」
フランが殺気を放った。
「…フラン…!!」
「……ごめんね」ぐっ
フランが拳を握りしめた。
カッ
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「……」
「世界の不幸を壊すと言っても、具体的には色々と調整したんだろう?」
「うん。貴方が現れる前までの不幸を壊した。だから貴方の存在も消してしまった。…ごめんね」
「気にしてないから大丈夫だよ。またクソ親父の胸糞悪いツラを拝まずに済む方がいいぜ」
「…ふふっ、そっか」
「ところでここ、どこなん?」
「ここはただの花畑……ただ、誰も辿り着くことのない花畑だよ」
「意味わかんねえな……」
「でしょ?私にもわからない」
「まあ要するに、これからここでお前と二人きりってわけだろ?」
「そ。察しが良くて助かるよ」
「…少し散歩でもしようぜ。お前も退屈だろ」
「散歩?わかった。行こっか。エスコートお願いね♪」
「エスコートもクソもねえだろうよ…ったく」
「ふふふっ…あ、そうだエルギオス。できれば私の事は名前で呼んでほしいんだけど……」
「はあ?」
「フルネームでさ、呼んでみてよ!」
「…ったく…行くぞ!フレア・ランドル」
「ブッブー、そういうと思った!ふふっ」
「あぁん!?」
「前にも言ったでしょ?」
ある日、幻想郷というパズルのピースが一つ欠けた。誰一人として、一つだけぽっかりと空いた穴に、欠けたピースに気付くものはいなかった。
しかし、それがそのピースの望んだ事なのだ。
人知れず世界を救ったその者の名前は……。
「フランドール・スカーレット。
それが私の名前だよ!」
The end
ルート② Happy end
こいし「なぁにがハッピーなのぉぉぉ…!!」
フラン「私はハッピーだよ!」
こいし「駄目だよこんなの!!」
「待て待て、落ち着けよ!まだもう一つエンドが残ってるだろ?」
こいし「え!?フラン生き返るの!?」
「さあどうだろうね。そこは深くは言えない」
こいし「うえぇぇぇん…」
フラン「ま、まあまあこいし!私ならここにいるし…!」
こいし「うえぇ…何でフランってどこの作品でも悲しい結末が多いの…!」
フラン「私としては闇堕ちこいしが一番衝撃だったけどね」
こいし「い、いやあれは仕方ないよ。うん」
true endをお楽しみに!




