決着。そして……
「フラン!!ぬえ!!」
「…はあっ…!…はっ……ふぅー……ぬえは私が治す…!けどその前にここから離れて!私が時間を稼ぐ!」
フランが自身の傷に治癒魔法をかけ、治した。
「でもそれじゃあフランが!!」
「大丈夫!さっきは油断しただけ!急いで!」
すると、触手がフランに五本同時に襲いかかってくる。
「フラン!!」
ズバァンッ!
「行って!後で必ず追うから!」
フランがこいしの方を見ながら片手間で触手を全て切り落とした。
「…!…わかった!絶対だよ!?」
「うん!」
「フラン!!」
「!」
妹紅がフランの隣に立つ。
「私もやるよ!」
「…うん!お願い!」
「こいし!藍を頼む!!」
「……でも、妹紅…!」
「……わかってる!けどまだ希望はあるはずだ!!」
「……!?」
妹紅の言葉に疑問を持ち、フランは振り返った。
「……!!」
藍は、身体中風穴だらけになっていた。
「……フランの言っていた事が本当なら、生き返らせられるんだろう!?」
「…うん!」
「こいし!藍の遺体を持って行ってくれ!」
「…わかった!」
こいしが触手を出し、二人を巻きつけて走り出した。
「こいし、美鈴もお願い」
「うん!」
並行こいしが現れ、並行美鈴を抱えて走り出した。
「…!今まで何処に?」
「レミリアの遺体を遠くに移動させてた。今からそこに行くよ、私についてきて!別世界の私!」
「了解!」
「そういえば……こいしも触手使えるんだったっけ」
「ああ………フラン、お前にもどうやら記憶があるみたいだな」
「……妹紅も?」
「ああ……って事はこいしもか」
「…うん」
「お前とこいしには、世界を救わせてばかりだな……今なら私だってやれる事はある。手伝わせてくれ、英雄さん!」
「…英雄って……!…まあいいけど」
「ははは!さあ、やるぞ!…とは言ったものの、あれをどうやって止める?」
「私もだいぶ魔力を消費してる……この後に大仕事があるからあまり魔力は使えないんだけど……まあこの場合は仕方ないかな」
「何する気だ?」
「多分あの黒い触手は、ハデスの体から放出されているものだと思うの。だから、今のハデスの姿を見ることができれば破壊できる」
「なるほどね……よっしゃ、なら特攻あるのみって事か」
「うん…!行くよ!」
「応!」
フランと妹紅が、翼で飛んでいく。
すると、地面から四本触手が生えてきた。
「…こいしの方に触手は一本も生えていない……やっぱり一定距離だけなんだね」
「らしいな…よし、さっさと倒すぞ!」
「うん!」
バサァッ
妹紅とフランが左右に分かれて移動する。
「…!」
フランの方に無数の触手が現れ、フランに襲いかかる。
「!フラン狙いか!!」
フランが無数の触手の中に突っ込んでいった。
「!?フラン!?何で自分から…!」
「スターボウブレイク」
ドパァンッ!!
無数の触手が全て弾け飛んだ。
「…!す、凄いなおい」
−こりゃ私も負けてられないな…!
「……」
−まずいな…少し魔力を使いすぎた。これ以上大技を使うと魔力が足りなくなるかも……。
妹紅が加速し、一気に触手の発生源のところまで向かう。
「!妹紅!」
「周りの触手は私に任せろ!お前は早くあいつを破壊しちまいな!」
「…わかった!」
フランが猛スピードで発生源まで向かった。
「さあとくと見よ!私の最強のスペカ……!!
フェニックス再誕!!」
超巨大な炎の不死鳥が現れ、その巨大な不死鳥から小さな炎の不死鳥が無数に飛ばされる。
その不死鳥に混ざって、フランがハデスのもとへと向かっていく。
フランを攻撃しようとする触手を不死鳥が体当たりして燃やしていた。
「はっはーー!邪魔はさせないぞ!!行けぇフラン!!」
「うん!」
−触手に阻まれて姿が見えない……ならば近くに行けばいいだけだ。
フランがレーヴァテインを構える。
「多少の技なら問題はない」
レーヴァテインを解放させる。
「禁忌『レーヴァテ……」
ドドドドドドドド!!
「!?」
突如、無数の触手がフランの背後から現れる。
「…ちぃっ…!」
−仕方ないな……本気のレーヴァテインで…!
「フラン!!」
「!!」
「私が抑えるぞ!!」
妹紅が炎の翼で触手を全て防いでいた。
「妹紅!!」
「急げフラン!!そんなに時間は稼げない!!」
「…わかった…!」
ハデスを覆っている触手を、レーヴァテインで破壊した。
「……また会ったね、ハデス」
「て、てめぇはっ……!!…ちくしょうがァッ!!何でてめえのような強え奴がこの世界にぃッ!!」
「合縁奇縁……私と出会った貴方の運命を恨め」
ドパァンッ!!
ハデスの体が、バラバラに破裂した。
すると、触手が消えていった。
「……」
「ヒュー!危なかったな…!死ぬとこだった」
「ありがとう妹紅。貴女のおかげだよ」
「よせやい。私は今まで何にもしてやれなかったんだ……これくらいさせてくれよ」
「…うん」
「さて、こいしのところへ戻ろうぜ。……あのー…居場所、わかる?」
「…ふふっ、ついてきて!」
「さ、サーセン……ついていきます」
「……レミリア……」
こいしと並行こいしは、レミリアの遺体がある場所にまで戻っていた。
「……ねえ、私。藍さんは…生きてる?」
「……ううん」
「……そっか。ぬえの容態は……」
「まだかろうじて生きてる……フランが治してくれるだろうから心配はいらないよ」
「…そっか」
「お待たせ二人共!ぬえと藍さんは大丈夫!?」
フランと妹紅が空から降りてきた。
「フラン!…藍さんは……」
「…そっか……でも大丈夫」
フランがぬえを治癒魔法で治している。
「もう閻魔様の許可ももらう必要はない。小町さんも生き返るんだから、文句は言ってこないだろうし。……それに……」
「…?フラン?」
フランの表情が、一瞬暗くなった。
「…ううん、何でもない」
「…う…ん…?あ、あれ、私は……」
「ぬえ!よかったぁ!」
ぬえが目を覚ました。
胸元に空いていた穴は、完全に塞がっていた。
「それじゃあ、みんなを生き返らせるよ。少し離れてて」
「わかった」
フランから、紅いオーラが発生した。
「…ねえ、別世界のフラン。私達の世界のみんなも……生き返る?」
「もちろんだよ」
「!…そっか……よかったぁ…!」
その時、妹紅がフランに話しかけた。
「……フラン。私はずっと気になってたんだ」
「…何?」
「私は今まで、そうとうの年月を生きてきた。だから命の重みってのは身に染みて理解してる」
「……」
「私はそんな都合のいい話があるとは思えない。…何か隠してるだろう?フラン」
「……え?」
「……ふふっ、鋭いね……妹紅」
フランが笑みを浮かべる。
「確かに妹紅の言う通り……そんな都合のいい方法はない。”誰か一人が犠牲にならない限り”はね」
「…!!お前、まさか…!」
「そのまさか」
フランが笑顔で妹紅に言った。
「たった一人の命とこれまでなくなった命……どっちが重いかなんて目に見えてわかるでしょ?……止めないでね。これは私の意思だから」
「……!!」
「…どういう事…?フラン…!?」
「黙っててごめんね、こいし。今からやる事は、とんでもない禁忌……要するにやっちゃいけない事なんだ。だから、この技を使った後は、私は世界から存在を消されてしまうの」
「…!!?」
こいしは、その言葉に驚愕した。
「少し言い方を間違えたかな……存在を無かった事にされるって言った方が正しいか」
「…!?フランが……消えるって事!?」
「そういう事」
「やめてよ!!そんな方法で生き返らせたって…!」
「これは私の意思なの、こいし」
「……でも…!!それでも嫌だよ!!」
「……こいし、貴女には大切な家族がいたはず。その人達とまた会えるんだよ?」
「…!確かに会いたいよ……会って謝りたい!たくさん甘えたい!!けど……フランがいなくなるなんて耐えられない!!」
「…!」
「フランがいるから私は幸せだったんだ!フランがいたから私はここまで強くなれたんだ!!
私が成長出来たのは何もかも、フランがいてくれたからなんだ……!」
「……」
「お願いフラン!別の方法を探そう!?」
「……」
フランが後ろを向いた。
「…フラン…!」
「…こいしの馬鹿……」
「…え…」
「…もうっ…覚悟は決めてたのに……!!」
フランは、涙を流していた。
「……!」
「貴女にそんな事言われちゃったから……死ぬのが怖くなっちゃったじゃない……!!」
「…フラン…!……」
−『ぬえ、貴女も来なさい』
−『おーいぬえー!新しいお茶買ってきたぞー!』
−『ぬえ、宝塔知りませんか!?またナズに怒られる…!!』
−『ぬえ、ご主人知りません?宝塔見つけたから説教してやらないと……』
−『お前最近は古明地こいしやフランドールとよく遊んでなかったか?何で私のところにわざわざ……』
「……」
−『貴女には姫様が世話になってるからね』
−『べ、別にあんたの為に用意したんじゃないんだからね。勘違いしないでよね!』
−『姫様、実は貴女の為に頑張ってたんですよ?ふふっ』
−『もこたーん!そこ私が仕掛けた罠あるから気をつけなー!』
−『妹紅!よく来たな。今日は寺子屋は休みなんだ。ゆっくりしていってくれよ』
ぬえと妹紅は、フランの行動を止められなかった。
二人共、もう一度会いたい者がいたから。
「……」
−『こいし、この本読んでみてよ。面白いよ』
「……」(…フラン……みんな……)
−私は…どうすればいいの…?
並行こいしも、同様だった。
「だったら別の方法を探そう!絶対に他の方法があるはずだから!!」
「……ごめんね、こいし。もう決めたんだ」
フランが掌に黒い球のようなものを出した。
「……!!まさかそれって…!!やめて!!やめてフラン!!」
「…今まで、ありがとう……こいし」
フランは、色々な事を思い出していた。
−『フラーン!今日ぬえと地霊殿で遊ぶ約束してるんだけどフランも来ない?』
−『フラン、今日少し夕飯の後チェスに付き合ってくれないかしら?』
−『フラン、こいしってさ……どんな物が好きか知らない?』
−『お!フランじゃないか!なあ、ちょっと本盗むの手伝ってくれよ!あ、間違えた。借りるの手伝ってくれ!』
−『魔理沙…あんたねえ、フランはここのお嬢様の妹よ?そんなの手伝うわけないでしょ』
−『ならお前が手伝ってくれよ霊夢』
−『パチュリー!ここに盗人がー!』
−『ちょっ、おまwww』
−『フラン、貴女凄いわね。魔法こんなに使えるなんて……こあにもこれくらい才能があればね……』
−『ちょっ……!なんですかその目は!やめてくださいよパチュリー様!』
−『妹様、美鈴に言ってやってください。また居眠りしてたんですよこいつ』
−『痛い痛い!咲夜さん髪の毛引っ張らないで〜!フ、フラン様ー!助けてー!』
……いい人生だった。
フランが手を握りしめた。
「さよなら」
「フラッ…」
辺りが白い光に包まれた。
Continued To Three Ends…
今回はちょっと色んな終わりの形を作ることにしました
true endとhappy endとbad endの三つです
全部綺麗に終わるようにちゃんと考えてあるので多分不快な気持ちにはならないと思います笑




