全ての悪夢に終焉を
この頃毎日のように更新してたせいか更新遅れたみたいな感覚が…笑
待ってくれていた方がいたら申し訳ありません笑
「ヒィィロォォトォォォォッ!!!」
「…来やがったな…!!フレアァァッ!!」
フランがレーヴァテインでエルギオスに斬りかかる。
ガギィィンッ!!
エルギオスはナイフでそれを受け止めた。
これまでにない程の衝撃が辺りに発生した。
「うわぁっ!!」
その衝撃で、ぬえと魔理沙が吹き飛ばされた。
「…!」
こいしはそこに踏みとどまり、二人の戦いを見ていた。
「随分遅かったなフレアちゃん!?」
「こいし!下がってて!!」
「…!わかった!」
エルギオスが右手に持つナイフでフランを攻撃した。
フランはそれを、顔を少し逸らして躱し、エルギオスの右腕を自身の右腕で掴む。
「こんな時に他人の心配かぁ!?」
「……」
ブンッ
「おぉっと!!ヒヒヒッ」
フランがレーヴァテインを振るうが、エルギオスはそれを飛び上がって躱した。
「…!?」
その時、エルギオスがフランの方を見たが既にそこにフランはいなかった。
「なっ…!?」
フランは、レミリアの遺体の前で屈んでいた。
「…お姉様……」
−今までありがとう、レミリアお姉ちゃん……。
フランがレミリアの遺体の手を掴んだ時だった。
ドオォ…
「…!」
フランに、何かが伝わった。
「……私のために……?」
フランは、レミリアの最後の魔力を貰ったのだった。
死後に手に溜まるようにしていたようだ。
「……」
フランがレミリアを抱えた。
そして、こいし達のいる方へと運んでいく。
「そいつは俺を前にして自殺を選んだ軟弱な奴だぜ……そこに突っ立ってる奴は絶望して一時は諦めてた……!お前の姉とお友達はゴミクズ同然だなぁ!ヒャッハハ!!」
ザッ
フランの足が止まる。
「……何だと?」
「お前の姉とお友達は!!誇りもクソもねえ軟弱で弱くて何の価値もねえゴミクズ同然だっつったんだよ!!」
フランがレミリアの遺体をそっと地面に置いた。
「…こいし、お姉様をお願い」
「…うん」
こいしも怒りを堪えていた。
「…!!」
こいしは、フランの顔を見た。その表情は、怒りで満ちていた。
「お姉様とこいしが誇りのない軟弱な奴…?」
フランがエルギオスの方へと振り返った。
「取り消しなよ、今の言葉」
「はぁ?」
エルギオスが地面に降り立った。
「あいつは別の世界とはいえお前を助ける事ができず!!終いにゃ勝てないと察して自殺するようなゴミクズ野郎だ!!こいしの奴は自分が強くもないくせに出しゃばって他人に迷惑をかける邪魔なだけのゴミクズ!!本当の事を言って何が悪い!?」
「私を救ってくれた人達を馬鹿にするな!!お姉様は誰よりも誇り高い偉大なる吸血鬼だ!!こいしは誰よりも人の痛みをわかってあげられる心優しい妖怪だ!!」
フランが怒りを露わにし、エルギオスに向かって怒鳴った。
「今の私があるのはお姉様とこいしが私を救ってくれたからだ!!何も知らないお前が……二人を馬鹿にするな!!お前に、こいし達の何がわかるって言うんだ!!」
「わかるさぁ!!何せ俺は神になったんだからなぁ!!ヒャーーッハハハハーー!!」
エルギオスがフランに向かっていく。
「!」
「オォラッ!!」
エルギオスがナイフを振るう。
そのナイフには、禍々しい魔力が大量に込められていた。青黒いオーラが覆っている。
ガギィィンッ!!
レーヴァテインでそれを防ぎ、反撃をする。
「おっとぉ!!ヒャッハハ!!」
エルギオスがフランの顔に向けて右手でナイフを振るう。
ガッ
「…おっ…?」
フランは、ナイフを左手の人差し指と中指に挟んで止めた。
それが予想外で、エルギオスは驚いた。
「…『破壊の爪撃』」
「…あぁ…!?」
ドゴォッ!!
「おぉおーー!?」
フランに腹部を思い切り殴られ、エルギオスが岩場に吹き飛ばされていった。
フランは、指を立てて掴みかかるように殴っていた。
エルギオスの腹部に、五つの小さな穴が空いている。
「…!!」(こいつ…!爪で…!!)
エルギオスは、フランが思っていた以上に強くなっていたため少し焦っていた。
「ヒャッハハ…!!やるじゃねえかよフレアちゃん…!?」
「私の名前はフレアじゃない」
フランが左胸に手を当て、言った。
「我が名はフランドール・スカーレット……
誇り高き吸血鬼、レミリア・スカーレットの妹だ!!」
「……」(てめえはいつもそうだ……)
−俺といる時もいつもいつもレミリアの話ばかりしやがる。
あの時も……
−『それでね!お姉ちゃんが慌てて紅茶を拭いてさー!』
−『……へえ』
あの時も……
−『共に在り続けよう!!』
−『お姉ちゃんを……いじめるな』
俺の思い通りにならねえ奴は今までいなかった。
全ては俺の思うがまま……俺こそがこの世の全てなんだ。
俺が唯一恋心を持ったのがお前なんだ……どうして俺の思い通りにならねえ?
−『一族の王の息子が、まさかあの程度とはなぁ……』
−『期待外れだよな!それが理由で友達になってやったってのに』
−『あっ…!よ、よう!エル!ど、どうかしたかー?』
−『エル、邪魔だ。とっとと失せろ』
−『友達が苦しんでいるのに……じっとしてられるわけないでしょ?』
…何が友達……何が仲間……!!
「……気に食わねえんだよぉ!!」
エルギオスがウロボロスをフランに向けて飛ばす。
「!」
フランはそれを右に少し動いて躱した。
「てめえはいつもそうだ……!!俺の気に障るような事ばかりグダグダ言いやがって!!
俺の思い通りにならない奴は一人残らず叩き潰す!!」
エルギオスから発生する青黒いオーラが大きくなった。
「……」
フランはエルギオスが一瞬だけ寂しそうな表情をしたのを見逃さなかった。
「……ずっと、聞きたい事があったの」
「黙ってろ!!このブスおん……!!」
エルギオスは、フランの顔を見てその言葉を詰まらせた。
フランは、とても優しい表情でエルギオスを見つめていた。
「どうして、貴方はこんな事を……?」
「……黙ってろって……言ってんだろぉがァァッ!!」
エルギオスがフランに突っ込んでいく。
「…貴方がその気なら……私も本気で殺しに行くけど」
「やってみろ!!」
フランとエルギオスが空へと飛んだ。
ガキィンッ ガキィンッ キィンッ ガガガッ ガキィンッ
二人が激しい攻防を繰り広げている。
「……」
そんな中、こいしは思い出していた。
−これまでヒロトは……”この世界のフラン”を馬鹿にするような言葉を言っていない……。
私の知る限りでは一言も……。
仮に言っていたとしても……きっと勢いに任せて言っていたんだろう。自分の思いを押し潰す為に。
「…ヒロトは……フランの事が好きなんだ」
−けど……フランは絶対渡さないからね。
「はっ…!わ、私は何を考えてっ……!」
ガキィンッ!!
「ちぃっ!!」
フランがエルギオスの後ろに回る。
「!?」
ブンッ
ズバァンッ!!
「ぐおぉっ!!」
フランはレーヴァテインを解放せず、刀状のまま攻撃していた。
「…くそがぁっ…!!何処までも舐めやがってぇ!!」
「…私だって馬鹿じゃない……貴方が今本気を出せていない事ぐらいわかる」
「それがどうしたってんだぁ!!」
「……そうだね……私も正直どうでもよかった。…けど、このまま殺したところで後味が悪いだけ」
フランがレーヴァテインを鞘に収めた。
「…!?何をっ…!!」
「貴方の全てを知って……それの全てを否定して……完膚なきまでにねじ伏せないとねぇ……」ニヤァッ
「……!?」
こいしは今までにないフランの様子を見て、驚いた。
「破壊の神を怒らせた罪は重いよ……ねえ、貴方は何の神様なのかしら?」
「…!?て、てめえ…本当に……フレア…か?」
「さあ…!!もっともっと私を楽しませてよ!!」
フランがエルギオスを拳で殴りかかる。
「ちっ…!!」
「…なーんてね……」
「…あっ…!?」
「ヒロト君が動揺するとこ見たかったからさ…」
「はぁ!?こんな時に何を言ってやがる!!」
「私だって本当は今すぐにでもあんたを殺してやりたい。お姉様や咲夜達……霊夢や美鈴……みんなが死んだ原因だ」
「…!……なら何で殺さねえ……今さっきのやり取りでてめえは俺よりも遥かに強い事なんざわかったぞ」
フランが帽子を深く被り、前髪の影で目が見えなくなった。
そして、何かを喋りだした。
「……『全部話しなさい、エルギオス』」
「…!!?……てめえ……ぶっ殺すぞ…!!」
「『貴方は何も抱え込まなくていいの』」
「やめろ…!」
「『たとえ私達の一族が敵に回ってもいい……』」
「やめろっつってんだろうがァァア!!」
「『お母さんは、どんな時も貴方の味方よ』」
「……殺す……ぶっ殺す!!」
エルギオスがフランに向かっていく。
「……」
「死にやがれぇぇぇ!!」
−『エル、最近元気ないみたいだけど……』
−『別に、何でもないよ母さん』
−『あら、嘘わかりやすいわね』
−『う、嘘じゃない!』
−『全部話しなさい、エルギオス。貴方は何も抱え込まなくていいの』
−『たとえ私達の一族が敵に回ってもいい……』
−『お母さんは、どんな時も貴方の味方よ』
−『…母さん……俺……強くなりたい』
−『…そう』
−『誰よりも強くなって……あいつら見返してやりたい』
−『貴方なら出来るわ、エル。
何たって貴方は、私の子供なんだから』
俺が……俺が……!!
「俺が最強なんだァァァァッ!!」
−母さん……俺さ、好きな奴が出来たんだ
そいつな、すっげえ優しくて、可愛くて……ああいうのを一目惚れっていうのかな?
俺はそいつの気を引きたくて、ある日一人の子供の体を奪ったんだ
そしたらさ、あいつ俺とたっくさん話してくれたんだ
他の奴らも、俺と話してくれてさ……
世界ってのも……まだまだ捨てたもんじゃねえなって思ったんだ
今思えば、体を奪っちまった子供はどんな思いだったんだろうな
……今からでも……やり直せないかなぁ……?
もう一度あの明るい場所に……戻りてえなぁ……
ねえ……母さん……?
ザンッ
「……ゆっくり休んで……エルギオス
貴方の悪夢は……これで終わりよ」
エルギオスの首が、フランに斬り飛ばされていた。
ドサッ
「……」
「フラン!大丈夫?」
こいしがフランのもとに駆け寄る。
「……うん。ヒロト君の……いや、エルギオスのたましいはきっと成仏したはず」
「…本当は、寂しかったのかな……こいつも」
「…うん……エルギオスはずっとずっと、一族の王の子供という肩書きに追われ続けてたんだ……それなのに自分は普通で、むしろ才能がなかった程に弱かった。だから、エルギオスの一族はみんなエルギオスを見下していたんだ。実の父親でさえも……
そんな中、いつでも味方で居てくれたのが自分のお母さんだった。エルギオスが唯一心を許していた人……それが、お母さんだった。ある日……お母さんは人間に殺された。危険指定をされていた一族だったから、人間と戦ってばかりだった。
その日以来、エルギオスは復讐のためだけに生きてきていたんだ。……そして、私と出会った……」
「……」
「…こいし、エルギオスを責めないであげて……死んだ人達は、生き返らせられると思うから」
「……うん…………って、え!?」
生き返らせられるという言葉を聞いて、こいしは驚いた。
「ほ、本当!?本当に!?」
「うん、本当だよ」
「よかった…!よかった…!!」
「…ふふっ」
その時だった。
「……フ…!!」
「…ぐっ…」
「フラァン!!」
フランの腹部に、巨大なナイフが刺さった。
「…こいし……気をつけて…」
「今は自分の心配をして!大丈夫!?」
「…うん、このくらいは……」
フランがナイフを抜いた。
「…よくやってくれたよ、貴様ら」
「…え!?」
エルギオスの亡骸から声が聞こえる。
胴体だけが動き、エルギオスの頭を拾った。
「エルは貴様らのおかげで死んだ……だから私が表に出る事ができた」
エルギオスの頭を首にくっつける。
エルギオスの頭髪は逆立っておらず、長い髪の毛がだらんと垂れている。
「我が名はハデス……エルギオスの父親にして……
ツヴァンクの王なり」
To be continue…
何かが刺さる絵って意外と難しいんだな…笑
まああんまり上手な絵ではないがね!むしろ下手だガネ




